- 110. 名無し募集中。。。 2009/09/22(火) 23:37:18.37 0
- 今日は二学期初日だから午後はHRのみで終了
みやの部活が終わるまで何してよっかなぁなんて考えながら
食べそびれたパンをカバンから取り出す
隣では何やらバタバタと帰る準備をしている菅谷さん
「どうしたの?そんなに慌てて」
「あ、うん、今日から部活入ることにしたんだ」
「え!?何?何に入るの?」
「色々考えたけど、やっぱりバスケ好きだから
マネージャー続けようと思う」
小声ながらもしっかりとした口調の菅谷さん
「ホント?わぁ・・・きっとみんな喜ぶよ!」
マネージャーが増えるって聞いたらきっとみやも喜ぶはず!
みやの嬉しそうな顔を想像して思わずあたしも笑顔になる
「みんな・・・?鈴木さんバスケ部のこと詳しいの?」
「え?うん、まあ色々あってね。
菅谷さん頑張ってね!あたしも応援してるから!」
「あたしがプレーするわけじゃないんだけどね
じゃあ遅刻したらまずいから行ってくるね」
菅谷さんはちょっぴりワクワクしたような顔で教室を出て行った
- 130. 名無し募集中。。。 2009/09/23(水) 16:30:40.87 0
- 気づいたら教室にはあたし一人しかいなかった
みんな今日は早く終わったから街で遊んでるんだろうな
なんて思いながらぼーっとしていると突然扉が開く音
「ん?」
「あ、いたいた」
扉から顔を出しているのは部活の準備を済ませたみや
「どうしたの?部活は?」
「うん、今から行くよ。でも今日は愛理と朝別れてから会えてなかったから
ちょっと顔見たくなっちゃって」
照れ笑いを浮かべているみやにあたしはくすっと笑う
「もう!何言ってんのさぁ」
「へへへ、今日も1日頑張ってきます!」
敬礼のようなポーズを見せてみやはそのままバタバタと駆けて行った
「もう・・・バカなんだから」
なんて思うけど自分の顔もニヤけているんだろうな
- 135. 名無し募集中。。。 2009/09/23(水) 20:06:54.76 0
- 部室に行く前に体育館の前を通ると、制服姿の子が体育館の前で佇んでいた。
時々中を覗いてはキョロキョロして、そのくせ中には入らなくて
その様子がちょっと挙動不審で面白かった。
うちは笑いを堪えつつ、その肩をトンと叩く。
「梨沙子」
「あ!夏焼先輩!」
「何してんの。もしかして一人で体育館入れなかったのー?」
「・・・だって、先輩もママもいなかったんだもん」
口を尖らせてうちを睨む梨沙子が可愛くて、思わず吹き出してしまった。
機嫌を損ねた梨沙子が帰る素振りを見せたので、慌ててその手を引く。
「おいで」
「・・・どこに?」
「ジャージないんでしょ?貸してあげるから」
- 136. 名無し募集中。。。 2009/09/23(水) 20:24:02.68 0
- 先輩に手を引かれて部室に向かう
「ここが部室ね。今日から好きに使っていいから」
そう言って先輩はあたしの腕を離してロッカーに向かう
「そこ座ってて?今うちのジャージ出すから」
「あ、は、はい・・・すみません」
ベンチに座ってそっと自分の手首に触れる
ってか先輩、力強過ぎだし・・・
なぜか先輩に掴まれていた腕が熱い・・・
それにしても・・・きっとこの人、いい人なんだろうな・・・
優しそうだし、バスケも上手いみたいだし、すっごく綺麗・・・だけど無邪気なところもあって
きっとモテるんだろうな
なんて漠然と考えていると・・・
「お待たせ!これ、使っていいよ
ロッカーはここを使って?」
「あ、はい、ありがとうございます」
「いえいえどういたしまして!
じゃあうち先に行ってるからさ着替え終わったら来て?まぁにも言っとくね」
- 153. 名無し募集中。。。 2009/09/23(水) 21:38:02.53 0
- 体育館に入ると新チームのみんなが思い思いに体を動かしながら談笑している
「あ、みや遅ーい!」
うちを見つけるなり甲高い声で叫ぶこの子は久住小春
いつもハイテンションだけどやる時はやる奴
ちょっと軽いところもあるけど結構気が合う親友だ
「ごめんごめん。ちょっと色々やることあって」
「どうせ大好きな愛理ちゃんといちゃいちゃしてたんでしょー」
これまた小春と同じように高い声でニヤニヤ笑っているのは徳永千奈美
常に笑顔なんだけど嫌なことがあったらたまに逆ギレしたり
うん、なんか感情の起伏は激しい奴だけど素直でいい奴
「そんなんじゃないって。あ、まぁ!」
まとわりついてくる二人を無視してまぁのもとへ
「もうすぐ梨沙子来るからさ。まぁ、いろいろお願いね」
「言われなくてもわかってるよ。あたしは梨沙子のママだからね」
「へへ、頼りにしてるよ、ママ?」
- 163. 名無し募集中。。。 2009/09/23(水) 22:15:39.06 0
- 夏焼先輩に借りたジャージを着てさっそく体育館まで行くと
もうすでにたくさんの部員がいてアップを始めていた
仕切っているのはやっぱり夏焼先輩で、本当にキャプテンなんだあって実感した瞬間だった
「梨沙子、来た?」
「あ!ママ!」
佇むあたしを見つけてくれたのはママ
ママはあたしをコートの近くまで連れていった
するとあたしに気付いた夏焼先輩が、いったんストーップ!と言って部員の動きを止めた
- 164. 名無し募集中。。。 2009/09/23(水) 22:25:25.82 0
- 夏焼先輩の号令で部員がぞろぞろとこちらに集まってくる
みんなあたしを不審な目で見てきて、その視線が耐えきれなくて表情が固まる
「みんな!新しい仲間を紹介します!
今日からまぁと一緒にこのバスケ部のマネージャーになる菅谷梨沙子ちゃんです」
「ほら、梨沙子、挨拶」
ママに促されて一歩前に出る
「今日この学校の中等部に転校してきました、3年の菅谷梨沙子です
前の学校でもマネージャーをやってました。よろしくお願いします」
人前で話すのが苦手でつい早口になってしまってまた後悔
「この部も先輩たちが引退してまた新しいスタートを切るわけだけど、
菅谷さんも新しい仲間としてみんな仲良くしてあげてね」
夏焼先輩の言葉に「はーい」って声を揃える部員達
- 173. 名無し募集中。。。 2009/09/24(木) 00:35:51.93 0
- 全員の自己紹介も済み練習を再開させる選手たち
あたしは選手を見ながら渡された名簿で顔と名前を一致させていく
「あのポニーテールの人が・・・久住先輩」
「ちょっとたれ目の黒い人が徳永先輩」
「すっごい背の高い人が熊井先輩」
選手の動きを見ていると・・・なんだろ・・・
スポーツ推薦だけあって前の学校の部員よりかなり上手い
だけど・・・なんかみんな必死さが足りない気がする
そりゃオフ明けでまだモチベーションも上がってはないと思うけど・・・
「何かもっと頑張れって感じ」
気づいたら一人そんなことをつぶやいていた
- 175. 名無し募集中。。。 2009/09/24(木) 01:26:00.77 0
- ・・・・・あ、夏焼先輩
選手たちを見ていると、ふと夏焼先輩が目に留まる
ステップの切り返しに無駄が無いし、速い。
フットワークを見ているだけでもわかる、あの人、やっぱ上手いんだ…
「みや、上手いでしょ」
そんなことを考えていたら、後ろからママに声をかけられた
- 176. 名無し募集中。。。 2009/09/24(木) 01:36:41.85 0
- 「あ、はい・・・なんか一人違うっていうか・・・」
「みや・・・色々あったからね・・・」
夏焼先輩をじーっと見つめるママ
「色々って・・・?」
「うーん・・・まぁ色々ね。
この夏休みはオフの間もずっと練習してたみたい
また上手くなってる」
色々の意味をママは教えてくれなかったけど
練習の間、ママはずっと夏焼先輩を見守っていた
- 208. 名無し募集中。。。 2009/09/24(木) 22:30:22.66 0
- マネージャーは選手たちが休憩の間も忙しい
次の練習の準備も休憩中にやらなきゃ練習に支障が出る
少しの間とは言えママは一人でやってたのかぁ・・・
ママってすごいんだってちょっと尊敬
あ、ドリンク減ってる・・・
あたしは先輩たちがガブガブと飲んで残り少なくなったドリンクを見て
慌ててぽかりの粉を持って水飲み場に行く
一人で容器に水を貯めていると後ろから声をかけられる
「梨沙子、手伝うよ」
「え、あ、いいですよ。マネージャーの仕事ですから」
振り向いた先には頭から水をかぶったのか
髪の毛がびしょびしょのままタオルを頭に乗せた夏焼先輩
な、なんか・・・色っぽい・・・
妙に胸が高鳴るのを押さえながらぶっきらぼうに答えると
「二人でやった方が早いって」
そう言ってあたしの手からポカリの粉を奪うと
慣れた手つきでお水に粉を入れてかき混ぜた
- 212. 名無し募集中。。。 2009/09/24(木) 23:32:58.08 0
- 「みやー!ちょっと」
体育館から夏焼先輩を呼ぶ声
「ちょっと待ってー!」
「あの!あたし一人で大丈夫ですから行ってください」
胸の高鳴りを聞かれたくなくてそれを口実に先輩を突き放したのに
先輩は呆れたように笑って
「強がっちゃって」なんてからかうようにして呟いた
「べ、別に強がってなんか!」
「はい。あとは運ぶだけでしょ」
そんなやりとりをしている間に気づくとドリンクは既に出来上がりあとは運ぶだけの状態になっていた
「ありがとう…ございます…」
「ん?」
意地悪そうに笑いながらあたしのほうに耳を傾ける夏焼先輩
絶対聞こえたはずなのに…
そう思うのにお礼を言わない自分がなんだか嫌で
「ありがとうございました」と大きな声で言いなおし先輩の罠にワザとハマってみせる…
「どういたしまして」
無邪気なその笑顔と頭を優しく撫でてくれた手の温もりがあたしの心の中を何かをきゅっと締め付けた
最終更新:2009年09月26日 00:21