- 215. 名無し募集中。。。 2009/09/25(金) 01:59:50.43 0
- それから練習は再開し、今日は初日ということもあって早めの終了した
今日の感想・・・
色々緊張したけど・・・うん、やっていけそう・・・
片づけをしながら振り返っているとママが声をかけてくれる
「梨沙子、お疲れ様。どうだった?」
優しく尋ねてくれるママに楽しかった。これからも頑張るっていうことを伝えたら
嬉しそうに笑って一緒に頑張ろうねって言ってくれた
そして選手たちより少し遅れて部室に入ると
「菅谷さん、おつー!」
なんて徳永先輩がご機嫌で声をかけてくれて
「あ、どうも・・・」って軽く頭を下げると
「菅谷さん、もっとリラックスー!!ねぇ、みや?」
って横から久住先輩が割って入ってきて携帯を弄っている夏焼先輩に話を振った
「へ?」
夏焼先輩は突然の振りに驚いたように顔を上げる
「もう、みや携帯弄り過ぎー!」
「そんなことないって」
なんて言いながら携帯をカバンにしまって何か慌てた様子の夏焼先輩
- 218. 名無し募集中。。。 2009/09/25(金) 03:18:06.61 0
- 「もしかして、もしかして〜」
千奈美はうちを肘でつつきからかうように笑ってる
「違うよバカ!」
なんて言いながら千奈美の頭をポカっと殴ると部室に笑いが起こった
「いったぁ〜。酷いよみや!」
「ちぃが変なこと言うからでしょ!」
「はいはい。もうおしまい」
2人の小学生のような言い合いを宥めるように割って入った茉麻に促され
うちはしょうがなく千奈美から離れるとふてくされたように頬を膨らませた
「なんか2人共子供みたいですね」
そう言ってクスクス笑ってる梨沙子を見てなんだかすごく恥ずかしくて
「梨沙子のほうが子供じゃん!」なんて言い返したけどきっと今のうちすごい顔赤い…
- 219. 名無し募集中。。。 2009/09/25(金) 03:28:27.27 0
- 「あー騒いだらお腹空いちゃた!ねぇ、早く終わったしマック行かない?」
「はーい!小春行く行く!」
徳永先輩の提案に久住先輩がすぐさま賛成する
その後も何人かが同意するように手を挙げ始める
あたしはどうしよう・・・みんな行くなら・・・って悩んでいると
「みや行かないの?」
「あーうーん、うちは・・・ごめん、パス」
「なんだよー!せっかくみんな乗り気なのにー」
ぶぅぶぅ膨れる徳永先輩に次は行くからと夏焼先輩が両手を合わせる
夏焼先輩・・・来ないんだ・・・
- 220. 名無し募集中。。。 2009/09/25(金) 03:44:23.25 0
- 「うちもパス」
汗を拭いながら入ってきた背の高い先輩
熊井…さん?だっけ?
「え!?熊井ちゃんも!?」
「うん。もう少し練習してく」
熊井先輩はそう言うとボールを持ちまた体育館へと戻っていった
「熊井ちゃん頑張るね〜」
「うん。でも熊井ちゃんのプレーはチームというより個人で突っ走っちゃってるからね…。もう少しチームに合わせて動いてくれるといいんだけど…」
夏焼先輩は困ったように笑うと鞄を持ち部室のドアノブに手をかけた
「じゃあ、うち帰るね」
「えー!」
「えー!じゃない。用事あるの!じゃあ、また明日ね」
- 221. 名無し募集中。。。 2009/09/25(金) 03:51:42.87 0
- 夏焼先輩が部室から出て言った途端、
明らかにどよよんとする徳永・久住両先輩方
「みや来ないなんてつまんなーい!」
「どうせ用事ってあれでしょ?」
あれ・・・って?
「まぁまぁ今日は大目に見てあげよう?
さあ梨沙子の歓迎会も兼ねて行きますか?」
ママがマネージャーらしく二人をまとめて促す
あたしはこの中だとママ以外とはあまり話したことがないから
自ずとママについていく形で参加することになった
- 227. 名無し募集中。。。 2009/09/25(金) 11:07:22.01 0
- ここのマックは元々バスケ部のたまり場だったみたいで、
みんな手慣れた感じでテーブルをくっつけて座っていく
あたしはどうしようと悩んだ結果やっぱりママの隣に座った
「菅谷ちゃんっておとなしいんだね」
適当に相槌打ちながらみんなの話を聞いていると、
ガンガンしゃべってた久住先輩が突然名指しでそんなことを言ってきた
みんなの視線が一斉にあたしに集まる
ちょっとびっくりして言葉に詰まっていると、ママが「この子人見知りだから」ってフォローしてくれた
「慣れちゃえばおとなしくないし、バスケに関しては堂々としたもんだよ」
ママは少しからかうようにあたしの頭をポンポン叩く
「へーそうなんだあ」
「みやにはすでに容赦ないもんね。みやに最初に言った言葉なんだっけ?」
「えっと・・・『へたくそ』?」
「ぷっ!!!」
「次に会った時に言ったのは?」
「えーっと、確か・・・『ガタガタだね』って」
「ぶはっ!!!!」
- 228. 名無し募集中。。。 2009/09/25(金) 11:12:12.01 0
- 何それウケる!!さいこー!!
となぜか大爆笑する久住先輩と徳永先輩
うちもみやに言ってみたい!いつか言ってやるー!なんて二人で叫んでいて
「うるさい!」ってママに叩かれていた
・・・なんでこんなにウケてるんだろう?って不思議に思っていると
「あんまみやにそういうこと言う人いないんだよ、部員では」とママが教えてくれた
(部員では・・・?)
その言葉がちょっと気になったけど、なんとなく聞ける雰囲気ではなくて
仕方なく目の前のポテトを食べた
- 241. 名無し募集中。。。 2009/09/25(金) 19:58:07.46 0
- みんなの話す会話を聞くのが精一杯で何も話せないでいるあたしの肩を
ママが優しく叩いた
「梨沙子、無理してない?」
ママの優しい声が耳元で聞こえる
みんなに聞こえないようにとワザと耳元で囁くようにそう聞いてくれた
「そんなことないですよ」
そう精一杯のウソをついたのにママには見透かされてて
「うちらそろそろ帰るよ」
そう言って戸惑いを隠せないあたしの腕とバッグを取りマックを出た
「え、ちょっ…いいんですか?」
「はい」
ママはあたしにバッグを渡すとトンっと優しく肩を押した
「うちは妹迎えに行かなきゃいけないから送ってあげられないけど一人で帰れるよね?」
「はい。でも…本当にいいんですか?」
「みやがいないとつまんないって顔してるんだもん梨沙子」
「そ、そんなことないです!逆に清々するし…」
そんな言葉もきっとママにウソだって見透かされてた…
「まあ…今度は帰りたいときはちゃんと帰りたいって自分で言うんだよ」
「はい…」
「じゃあ、また明日ね梨沙子」
ママはあたしに手を振りながら走って行ってしまった
- 275. 名無し募集中。。。 2009/09/26(土) 22:42:47.66 0
- ママと別れてから家路へ向かうため駅前の通りで一人で歩いた
「夏焼先輩の用事ってなんだったんだろ…」
部員のみんなが言ってた夏焼先輩の「あれ」という名の用事
それが胸につかっかってすごく気になった
ぼーっとそんなことを考えながら歩いていると後ろから誰かに呼ばれた
「梨沙子ちゃん?」
振り返るとすらっとした体系と大きな身長
顔を見るのにあたしは少し見上げた
「熊井先輩」
「一人?みんなは?」
「あ、あたし一人だけ帰ってきちゃって…」
その大きな身長と力強い瞳にあたしはついつい目を逸らし俯いた
失礼だとはわかっていてもその威圧感は恐怖へと変わっていた…
- 278. 名無し募集中。。。 2009/09/26(土) 23:53:13.78 0
- 「そうなんだ。じゃあ送る」
そうぶっきら棒に言った熊井先輩はあたしの手を取りさっさと歩き始めた
熊井先輩の長い足は一歩も大きくてあたしはそれについていくのに小走りになる
「いたっ…」
小走りしたせいで足がもつれ大きく転んだ
コンクリートの冷たい感覚が手の平に伝わり転んだあたしを見てクスクス笑ってるみんなの声が聞こえ
痛みと恥ずかしさで涙が溢れそうになった…
もうやだ…
せっかくまた大好きなバスケに関われるのに初日は上手く行かなくて
ママにも気をつかわせて…なにより夏焼先輩の笑顔がそこにないのが切なくて…
気づくと頬を伝った涙が冷たいコンクリートを濡らしていた
- 279. 名無し募集中。。。 2009/09/27(日) 00:00:04.76 0
- 「ごめん!大丈夫!?」
熊井先輩は慌てた様子であたしを抱き上げると膝についた小石や
制服についた汚れを払ってくれた
そして涙で濡れた頬をハンカチで優しく拭ってくれた熊井先輩
その顔は本当に心配した様子で申し訳なさそうに眉が下がっていた
「ごめん…。ちゃんとゆっくり歩くから…」
熊井先輩はまたあたしの手を優しく握ると今度は小さな歩幅で一歩ずつゆっくりと歩いてくれた
何だかよくわからないけど本当は熊井先輩恐い人じゃないんじゃないかなって思えて
ついつい夏焼先輩のあの聞きたかった話題を話し始めてしまった
- 280. 名無し募集中。。。 2009/09/27(日) 00:36:28.50 0
- 「先輩たちが言ってたんですけど・・・」
「ん?」
「あの、夏焼先輩、今日みんなでマック行くって言った時用事あるって
じゃあみんながどうせ「あれ」でしょ?って」
「あれ?」
「はい・・・あれってなにかな?ってずっと思ってて・・・」
こんなこと熊井先輩に聞くのはどうかと思ったけど止まらなかった
「夏焼先輩のあれ・・・うちはどれを指してるのかよくわかんないけど・・・
どうせ先輩たちが面白おかしく言ってるんじゃないの?」
「はぁ・・・」
熊井先輩はわかんないのか・・・ちょっと残念でため息をつく
「・・・気になるの?」
「え?」
「夏焼先輩のこと」
「そ、そういうわけじゃなくて・・・ただこの部活で一番最初に話した人ってだけで」
なんだか図星をつかれたような気がして慌てて否定する
「ふーん?・・・まぁ、いい人だよ、あの人は・・・いい人すぎるくらい・・・」
「いい人・・・」
「うち、あの人だけは尊敬してるし」
熊井先輩は真っ直ぐ前を向きながらもそう口にした
- 293. 名無し募集中。。。 2009/09/27(日) 02:58:48.18 0
- 「そうなんですか・・・」
「うん・・・あの人は強いよ
辛い顔一つ見せないし・・・あの時も」
熊井先輩が最後に小さくいった言葉に反応する
(あの時・・・?)
「あの・・・「梨沙子ちゃん、家どっちの方向?」
あたしが聞こうとした瞬間熊井先輩の言葉とかぶってしまう
「えっと・・・あの・・・この辺でもう大丈夫です」
「危ないし送っていくよ」
「ホント大丈夫です!ちょっと寄りたいところもあるし・・・
ありがとうございます、こんなところまで」
あたしがお礼を言うと熊井先輩は「わかった、気をつけて」と言ってそこで別れた
最終更新:2009年10月05日 00:06