357. 名無し募集中。。。 2009/09/28(月) 03:05:47.70 0
夏焼先輩とそんなメールのやり取りをしているうちにあたしは眠りについていた
朝目が覚めると昨日のことが現実だと言い聞かせてるかのように
携帯を手に握り締めていて、受信BOXにはまだ読んでない夏焼先輩からのメールがあった
そのメールに
「おはようございます。朝練、寝坊しないでくださいね」とだけ返信した

朝の空は青く澄んでいて空気もなんだか美味しい
部員のみんなが来る前にマネージャーとして朝練の準備でもしようとみんなより早く学校に着いた
―――ダムダム  キュッ  ガコン
誰もいないと思っていたはずの体育館からバッシュの音と、ボールの跳ねる音が聞こえる
「こんな早くに誰だろ…」
おそるおそる体育館を覗き込むとそこには背の高い女の人が一心不乱にシュートを放っていた
ゴール下にはボールが散らばり打っては打っては何度もそのボールを拾い集めて…

「…っくそ」
放ったボールの一つがあたしの足元に転がりその人がこっちを向いた
「梨沙子ちゃん」
「熊井先輩、早いんですね」
あたしはそのボールを拾い上げ先輩目掛けてパスをした
358. 名無し募集中。。。 2009/09/28(月) 03:24:53.58 0
―――パシッ
熊井先輩の胸元で綺麗に止められたボール
それを先輩はゴールに向かって放つと弾かれたボールが床に転がった

「うん。みんなより早く来て練習しとこうと思って」
転がったボールを拾いながら熊井先輩は言った
「どうして先輩はいつもそんなに練習するんですか…?昨日だって一人残って…」
一緒に転がったボールを拾いながら熊井先輩にそう問いかけると
熊井先輩は拾ったばっかのボールをゴールの放ちながら
「うちも梨沙子ちゃんと一緒だから」と、呟いた

放たれたボールは今度はシュッと音を立ててゴールに吸い込まれた
「あたしと一緒…?」
「うん。うちも梨沙子ちゃんと同じ転校生だったんだ」
「そうなんですか!?」
「うん。でもうちこの身長だし目つきも悪いし…だからクラスになかなか馴染めなくてさ…。
その時にみやにバスケ部誘われたんだ」
熊井先輩が「パス」と右手をあげたからあたしは持っていたボールを熊井先輩目掛けて投げた
熊井先輩も転校生で、夏焼先輩にバスケ部誘われて、確かにあたしと一緒だ

「うちみやのおかげで変われたんだ。
だからみやのためにもチームの足引っ張りたくなくてこうやって練習量増やしてんの」
熊井先輩の放ったボールはまたもやゴールへ吸い込まれていった
373. 名無し募集中。。。 2009/09/28(月) 18:03:49.81 O
熊井先輩の練習の邪魔にならないようタンクを持って水道場に向かう
タンクに水を貯めてる間ぼーっと昨日のことを思い出す
そういえば昨日は夏焼先輩が手伝ってくれたっけ・・・
なんて考えているとどこかから聞き覚えのある声
(ん・・・?確かこの声・・・)
思わず水をとめて声のする方へ

あ、あれは・・・鈴木さん・・・
「じゃ・・・また・・・りがと・・・み・・・」
途切れ途切れでよく聞こえなかったけど誰かと話してしばらくすると満面の笑顔で手を振って校舎に入っていった

相手の顔は隠れてよく見えなかったけど、なんか鈴木さん嬉しそうだったなぁ・・・
誰なんだろ・・・聞いたら教えてくれるかなぁ

なんて思いながらまた水道場に戻ってドリンク作りを再開させる


すると後ろから
「わっ!!!」
と肩を叩かれてせっかくためた水を全部こぼしてしまう

「あー!!!な、なにするんですか?夏焼先輩!!!」
あたしはびっくりしたのを隠すように犯人に向かって叫んだ
382. 名無し募集中。。。 2009/09/28(月) 23:42:24.80 0
「ごめんごめん」
「もう」
「まーいいじゃん、手伝うから膨れないの」
「・・・・・じゃあ、これお願いします」
「よしよし、おっけー」

私が膨れていたら先輩はニコニコしながら言った。
ずるいなぁこの笑顔・・・。


朝練も終わって、始業ベルギリギリにみんなクラスへと散っていく。
夏焼先輩も例外ではなく、
「あ、ちょ、梨沙子それ取って!」
「え?」
「そのペットボトル!あぁ、早く!」
「はい!」
「さんきゅ!じゃあまたあとで!」
すごくバタバタした様子で夏焼先輩は部室を出て行った。
「ったくもう、あいつ」
ママは呆れたように言いながら、部屋の中を片付けていた。

先輩たちがすごく焦っていたのは、この部室から教室がすごく遠いかららしい。
スポーツ系の部に所属してる子が入るスポーツクラスはわざと遠くしてあるとか、ないとか。

ママとそんな話をしながら私たちも、急いで教室へ向かった。
395. 名無し募集中。。。 2009/09/29(火) 12:19:09.59 0
教室に入って勇気を出しておはよーと言うと
みんなも笑顔でおはよーって返してくれた
朝からちょっと嬉しい
「おはよー梨沙子ちゃん!」
「あっ。おはよう愛理ちゃん」
隣の席の鈴木さんも、満面の笑顔であいさつしてくれた
しかも菅谷さんじゃなくて梨沙子ちゃんって呼んでくれて、
あぁ距離を縮めようとしてくれてるんだって思うと嬉しくて、
あたしも咄嗟に愛理ちゃんって呼んだ

「さっき愛理ちゃん見たよ。学校来るの早いんだね!」
「えっ、ああ、まあね。一緒に来てる人が朝早いからさ・・・」
そう言って少し顔を赤らめる愛理ちゃん
その一言であたしはひらめいた
「あ、もしかして恋人?」
「え?あ、う、うん・・・」
「へーそうなんだあ♪いいなあ♪」
406. 名無し募集中。。。 2009/09/29(火) 23:51:44.56 0
愛理ちゃん、付き合ってる人いるんだぁ・・・
なんかすごいなぁ・・・可愛いし優しいし頭いいし・・・
うん、大人って感じ・・・

「梨沙子ちゃんは付き合ってる人いないの?」
「えー!?、あ、あたし?いないいない!」
付き合ってるどころか好きな人すらできたことないし・・・
恋ってマンガの世界って感じがするけど実際のところどうなんだろ?

「ねぇ、どっちから告白したの?」
「えー・・・もう恥ずかしいよぉ・・・一応・・・向こうから・・・」
「そうなんだぁ・・・同い年?」
「ううん、2個上の先輩」

2個上・・・ってことは夏焼先輩と一緒だ・・・
すぐに夏焼先輩を思い浮かべてしまって自分を慌てて否定
でも付き合うってことはマンガだと確か・・・

「すごいなぁ・・・ねぇ・・・?」
「ん?」
キョトンとする愛理ちゃんに近づいて耳元でそっと尋ねる
「もう・・・キス・・・とかした・・・?」
ってまだ早いよねぇなんて思いながら愛理ちゃんの反応を待つ
408. 名無し募集中。。。 2009/09/30(水) 00:36:51.47 0
自分で聞いておきながら、ちょっとドキドキ
数秒の沈黙。

愛理ちゃんは一度線を落とし、静かに息を吸いながら顔をこちらへ向けた

「どっちだと思う?」
「・・・えっ」

まーさか、質問に質問で返されるとは思ってなかった
ずるい。そんな顔されたら、何て言えばいいのさ

「したと、思う?」
「えぇ〜〜。どぉなんだろ・・・」

そんな私を見て、愛理ちゃんは顔を傾けニコッと八重歯を覗かせ笑う
ちょっと・・・からかわれてるような、転がされてるような、そんなキブン


結局、その後すぐ先生が来てしまいキスの話はごまかされてしまった
409. 名無し募集中。。。 2009/09/30(水) 00:45:58.83 0
授業中もさっきのキスの話が気になって仕方なくて
気がついたらチラチラと愛理ちゃんの唇を見てしまっていた

キスかぁ・・・きっとしてるんだろうな・・・
付き合ってたらみんなしてるもんね、マンガの中では・・・

夏焼先輩もしたことあるのかなぁ?・・・って関係ないじゃん!
その前にあの人バスケに夢中でそういうこと興味なさそう・・・

ってまた夏焼先輩のこと考えちゃってる・・・もう!だから関係ないってば!!
最終更新:2009年10月05日 00:17