- 801. 名無し募集中。。。 2009/10/08(木) 23:14:12.80 0
- 練習が始まったのにあたしは集中できていない
理由はわかってる・・・夏焼先輩のさっきの言葉だ
練習後に一緒にジャージを買いに行くなんて・・・
もちろん二人っきりだよね・・・?
愛理ちゃんに悪いとか・・・諦めようと思ってるのにとか・・・
色々考えて頭の中はパニック状態
なのに・・・
なんで早く練習終われって思ってるんだろう・・・
なんで胸がドキドキしてるんだろう・・・
「梨沙子、何ぼーっとしてるの?ほら、次の練習の準備!」
案の定ママに怒られてあたしは慌てて動き出す
その隙に夏焼先輩をちらっと見たら真剣な表情でシュート練習をしていてまた胸が高鳴った
- 807. 名無し募集中。。。 2009/10/09(金) 00:09:50.90 0
- 練習が終わって選手たちが騒ぎながらも着替えを済ませている
徳永先輩がいつものように騒いでいてママに叱られている
(徳永先輩は相変わらずだなぁ・・・あれ?でも久住先輩は・・・?)
いつも徳永先輩と一緒になって騒いでママにしかられている久住先輩の姿がない
どうしたんだろう?ってキョロキョロすると携帯をじっと見つめて固まっている先輩
それから何かを決心したように携帯を閉じると夏焼先輩に何かを耳打ち
「大丈夫なの?」
「うん、だってせっかく向こうが誘ってくれたから」
「・・・わかった・・・でも小春、あんまり無理しちゃダメだよ」
二人の会話を盗み聞きして頭の中は???
そうこうしているうちに久住先輩は明るい声で
「では、久住小春!お先に失礼しまーす!!」と叫んで出て行った
夏焼先輩はそんな久住先輩を心配そうに見つめた後、
カバンからいつものように携帯を取り出した
(そっか・・・いつも愛理ちゃんにメールしてたんだ・・・)
今さら気付いてショックを受けるなんてバカみたい、あたし
- 836. 名無し募集中。。。 2009/10/10(土) 01:47:32.03 0
- 選手たちよりも早くに着替えが終わってどうしようかと戸惑う
さっきの夏焼先輩の誘いにはっきりと返事をしたわけじゃない・・・
だから別にこのまま帰ってもいいはず・・・
いや、でも、勝手に帰るって言うのも・・・
こんなチャンスめったに・・・っていやいやチャンスとかじゃない・・・
だって、先輩は彼女いるし・・・そっか、だから、うん、ただの先輩と後輩で買い物行くだけだよね
「・・・ぉーい・・・」
あぁ、でも何話したらいいかわかんないし・・・うーん・・・
「聞こえてますか?梨沙子さん」
「ふぇ?・・・っ!?せ、せんぱい!!」
「あはは、梨沙子、さっきからぶつぶつ独り言言いまくってかなり変な人だったよ」
気がついたら目の前に夏焼先輩がいてつい大声を上げてしまう
そんなあたしを見て先輩はけらけらと笑った後、
「ほら、行こう?」
あの爽やかな笑顔を見せるから、あたしはつい頷いてしまった
その笑顔・・・反則だよ・・・
- 874. 名無し募集中。。。 2009/10/11(日) 00:43:24.15 0
- バスケ部がいつもお世話になってるというスポーツショップに入る
野球ボール、テニスラケット、サポーター、コールドスプレーまで何でも揃ってるここは
初めて踏み入れる場所だけどどこか懐かしい
昔もよくこうやって買い出しに来てたっけな・・・
部員とワイワイ言いながら 予算と戦いながら みんなのことを思いながら
ピカピカのバスケットボールにそっと触れながら、前の学校を思い出して少しだけキュンとした
「梨沙子、ジャージに入れる名前『RISAKO』でいい?『GA-SU-』にする?」
「ガースーは嫌です」
「だよねwサイズはうちと一緒でいいよね」
先輩はテキパキと注文表を書いて、お店の人と親しげに話してる
頼りになるなあって改めて思う
すぐそこにある優しい背中
手を伸ばせば届くけど、手を伸ばしちゃいけない
そんな、近いようで遠い先輩
- 876. 名無し募集中。。。 2009/10/11(日) 01:01:17.78 0
- 先輩がお店の人と話している間、店内を歩き回るとあるものを見つけた
「あ・・・これ・・・」
色とりどりのリストバンドの中から手に取った赤色のそれ
見つけた瞬間ぱっと先輩の顔が思い浮かんで慌ててレジに目を向ける
先輩はまだお店の人と談笑中
似合う・・・だろうな・・・
でも・・・先輩一人にあげるのってやっぱり・・・
「あ、可愛いじゃん!」
「え・・・?」
急に先輩の声が後ろから聞こえたと思うとあたしの手の中のリストバンドをひょいっと取る
「梨沙子センスいいねぇ!うわぁ、欲しいなぁ・・・
でも今月はお小遣いピンチだしなぁ」
「はぁ・・・」
「また今度にしよっ・・あ、梨沙子、注文済んだよ。3日で届くって」
そう言って先輩はリストバンドを元の場所に戻して先に出て行った
- 877. 名無し募集中。。。 2009/10/11(日) 01:30:17.70 0
- 先輩の少し後ろを歩く
先輩は「お腹空いたねえ」なんて言いながら少し暗くなった空を見てる
先輩も空が好きなのかな
「先輩」
「んー?」
「よかったんですか?」
「なにが?」
「約束とか、あったんじゃないですか・・・?」
先輩はピタっと足を止めると
ゆっくりとあたしの方に振り返った
つられるようにあたしも足を止めた
やばい、ドキドキする
「大丈夫だよ」
「で、でも・・・」
「大丈夫だって。それより、ジャージ買えてよかったじゃん」
先輩は笑顔であたしの肩を叩いた
- 878. 名無し募集中。。。 2009/10/11(日) 01:39:43.64 0
- 「梨沙子は何でも気を遣いすぎ!
まぁまだ慣れない部分もあると思うけどうちに対してはもっと色々言っていいんだから
初めて会った時みたいにさ」
そう言ってニヤッと笑う先輩
「だ、だから、あの時は反省してますってば!」
「あはは、全然気にしてないって。
それにその方が梨沙子らしくていいじゃん」
もう、なんでこの人はこうなんだろう・・・
優しくて、優しすぎて、そんなに優しくされたら誰だって
「ねぇ、梨沙子ーうち、家まで我慢できそうにないや
そこのたこ焼き屋行かない?うちがおごってあげる」
「え・・・で、でも先輩さっき、お小遣いが」
「あーいいのいいの、これは別!ほら行こう」
- 908. 名無し募集中。。。 2009/10/12(月) 00:41:46.53 0
- 先輩と半分こして食べたタコ焼きはすごく美味しかった
それは店のおじさんの腕がいいからなのか、先輩と一緒だからなのか
あたしにはよく分からないけど
たぶん、先輩と一緒だからだと思う
いや、絶対そうだと思う
出来るならこれ以上好きになりたくない
叶わない恋なら、綺麗さっぱり諦めたい
そう思ってるのに、どうして先輩から目が離せないんだろう
「梨沙子。りさこっ」
「・・・・はい?」
「なんかぼーっとしてたけど平気?もしかしてまだ体調悪い?」
「あ、いえ。大丈夫です!」
「そう?もうすぐ合宿もあるし、ホント無理しちゃだめだよ?」
「はい・・・・・・・えっ?合宿?」
今、合宿って言いましたか?
いや、あたしの聞き間違いですよね
もう夏休み終わりましたもんね 合宿なんてあるわけ・・・
「あれ?言ってなかったっけ?シルバーウィークに合宿あるからね♪」
- 920. 名無し募集中。。。 2009/10/12(月) 12:34:02.13 0
- 聞いてない、聞いてない、合宿なんて・・・
あたしが一人テンパってる横で嬉しそうに話す先輩
「合宿はねぇ、きついけどやっぱり楽しいよ、
何て言うかさ、こう、上手くなってるって感じがするしね」
はぁ・・・そんなキラキラした瞳で話さないよ・・・
そんな瞳見せられたら・・・あたし・・・
先輩の顔を直視できなくて慌ててたこ焼きを頬張る・・・って
「あつっ!!」
「だ、大丈夫!?あはは、梨沙子、こんな大きいたこ焼きを一口で食べるなんて食い意地張り過ぎ」
先輩に大笑いされるし・・・あぁ最悪
- 927. 名無し募集中。。。 2009/10/12(月) 17:38:10.37 0
- たこ焼きを一気に口に入れて舌を火傷したっぽい梨沙子
笑ったら拗ねるのは分かってたけど、堪えられなくてつい大笑いしちゃった
梨沙子は舌が痛くてひーひー言ってるけど、うちはお腹が痛いよ
梨沙子ってホントおっちょこちょいだよね、ほっとけない感じ
でも、なんだか親近感わくわ
「梨沙子って妹みたい」
「えー!あたしの方がセクシーだから見た目はあたしがお姉ちゃんですよ」
「いやいや、うちの方がセクシーだから」
「寝言は寝て言ってください」
「うわ!サイテー!」
罰としてたこ焼きを没収すると、梨沙子は急に慌ててごめんなさいごめんなさいって言ってきた
どんだけたこ焼き好きなんだろうw可愛いなあ
ほんとに妹みたい
- 929. 名無し募集中。。。 2009/10/12(月) 18:54:48.66 O
- 先輩は大笑いしながらあたしにたこ焼きをまた戻してくれた
あぁ・・・でもさっきの先輩の言葉・・・
―――梨沙子って妹みたい
妹か・・・やっぱりそうだよね・・・
同じ年でも愛理ちゃんは彼女であたしは妹
なんかくやしいな・・・
「先輩、あたし愛理ちゃんと席が隣なんですから
あんまり意地悪すると言いつけますからね」
「えー!それだけは勘弁!愛理、怒ったら超怖いし」
「イヒヒー!でも先輩は幸せ者ですね
愛理ちゃん、優しいし頭いいし、可愛いし」
あたし、何わざわざ自分が傷つくこと言ってんだろ
「あはは、まぁねぇ、辛かった時期も愛理がすっごい励ましてくれてさ
うん、だからもっと頑張ろうって思ったんだ
応援してくれる愛理のためにもさ」
「そうなんだ・・・ベタぼれなんですね・・・そういえば愛理ちゃんから聞きました、先輩の方から告ったって」
「うん、超頑張った
うちさぁ、恥ずかしながら愛理が初めて付き合う相手でさぁ
って好きになったのも愛理が初めてだし
もう、全然アタックの仕方わかんなくて部員にアドバイスを受けながら超必死
その甲斐あって今があるって感じなんだけどね」
「へぇ・・・」
はぁ、そんなこと聞きたくないのにあたし、相槌打ったり、バカみたい
最終更新:2009年10月14日 00:09