- 7. 名無し募集中。。。 2009/10/13(火) 19:00:16.20 0
- 「今日はごめんね、急に誘って」
「全然。こんなの久しぶりだから
メール着たときテンション高くなっちゃったよぉ」
「今あーた、テンション高いって言わなかった?」
「あ、えりかちゃん、そのくだりは要らない」
ちっ。この後無理やりにでも「そちらはどちら」に持っていくつも・・・
って今日はそんなんじゃないじゃない
「そんなことより、夏焼さんとはどう?」
そう、今日は女の子が大好きな恋バナをするのよ
あたしが問いかけると、行き成り話題が変わったからなのか
器用にパスタをフォークでクルクルさせていた手が止まった
「どう?って、別に普通だよ」
「普通の中学3年生はどうゆう恋愛をするの?
家の玄関の前でちゅっちゅするのは?亨さん泣いちゃうわよ」
「お父さんの名前出すのは止めてよ・・・」
「ほら、夏焼さんって目立ってるじゃない?
周りからいろいろ言われたりとかしない?」
「周りから?特に無いよ。バスケ部の人とかも応援してくれてるし」
身振り手振り、夏焼さんの事を楽しそうに喋る愛理
「いいわねぇ、順調じゃない」
下唇を少し噛みながら頷く。ハニカミ愛理
- 8. 名無し募集中。。。 2009/10/13(火) 19:01:08.10 0
- 順調なのかな?
えりかちゃんがそう言うんだからそうなのかな
「でも、もうちょっと」
「ん、何?」
違う。“でも”なんて自分の口から出ると思わなかった
「でも、どうした?」
「うん・・・」
言葉に詰まってしまった
・・・嫌だった。心の中に少しでもみやを否定している
部分があるんじゃないかって
何を言っても嫌な顔一つせずに“いいよ”って
疲れた顔もしないし、愚痴だって言わない
なんなんだろう、夏焼雅という人間は
「愛理、パスタこぼれてる」
「うぇっ」
今日は、ダメダメ愛理だ
- 9. 名無し募集中。。。 2009/10/13(火) 19:03:36.29 0
- 喋れないことなら、無理して聞かないよ
きっと、何かあるんだ。わかるわよ、愛理
だから、涙なんて溜めないで
「おいしい?」
「うん。えりかちゃんのちょっとちょうだい」
「はいはい、どーぞご自由に」
恋バナは日を改めますか。仕方ない、乙女は花より団子
不味くなるような事にはしないわよ
それから二人で、好きな食べ物や新しく出来たクレープ屋さんの話
洋服の話、メイクの話、ごくごく日常的な女の子の会話を楽しんだ
良かった。愛理の顔にフニャフニャが戻った
「ふ〜。お腹いっぱいだ」
「ね、ヤバイね。でも、甘いものは?」
「別腹、だね。パフェいっちゃう?」
さすがにバケツはちょっとね。ジャンボパフェを二人で仲良くつつきましょう
「お、きたきた。結構おっきぃな。愛理、食べよ」
「うんっ」
何だ?今日はあれだ。愛理のおいしい顔連発だ
連れてきた甲斐があったみたい
「ん、どした?」
「・・・さくらんぼ、いい?」
おい、可愛いやつめ!
- 10. 名無し募集中。。。 2009/10/13(火) 19:05:04.87 0
- えりかちゃんと居ると安心する。温かい
包み込んでくれるような空気、おもしろいお話
「ありがとう」
「なぁに、急に」
「うん・・・わかんない」
「なんだそれ」
なんだろうね
「ちょっと梅さんトイレね。愛理残り食べられる?」
「いいの?食べちゃうよ」
「食べちゃってくださいな」
立ち上がるだけで、フワッと大人の匂いが広がる
口の中のクリームとえりかちゃんの甘い匂いでとろけそうになる
耳、熱い・・・
お水の中の氷が「カランッ」と音を立てて溶けた
ちょっと、お店の設定温度、高いんだ
ポカポカしてきちゃったなぁ・・・
「愛理、眠い?」
「ふぇ?」
「ちょっと・・・」
え、何?
- 11. 名無し募集中。。。 2009/10/13(火) 19:06:06.14 0
- よし、お会計も済んだ。食べた量の割には、安く済んだわね
だから好きよ、このお店
お腹も満たされたし、愛理には癒されるし
恋バナはあんまり出来なかったけれど、追々・・・ね。うふふ
タブンあの様子じゃあまだ二人は、初々しい関係
お姉様はそれだけ、ちょっと安心よ
音符が体から出るくらいルンルンで席へ戻ると
キレイに食べられたパフェの器を見ながら愛理がポーっとしていた
目がトローンとしてるし、お腹いっぱいになったからかな?
名前を呼ぶと、気づいた愛理は顔をこっちへ向け
・・・ちょ、愛理、口!
その顔はダメ。他の人に見せちゃ・・・
あたしは目の前まで行くと、覗いてくる愛理の顔へ、手を伸ばす
やわらかい・・・
- 12. 名無し募集中。。。 2009/10/13(火) 19:07:23.44 0
- 「まだ、ここに残ってましたか」
トイレから戻って来たえりかちゃんはいきなり
手を伸ばし、私の唇を人差し指でゆっくりなぞった
と、思ったらそれを自らの口に咥え、ペロッと・・・
「ごちそうさま、だ」
「あぁ・・・」
「クリーム付けたままで、何を考えてたのかな?」
恥ずかしい。顔から火炎放射
それ以上にびっくりした
他人に唇を指で触られるなんて事は、きっと、今までに無いことだったから
何か、もの凄くイケナイ事をしてる気がして
・・・やだ。心臓がやけにうるさい
「最後の一口が一番おいしかったわね。ボーノ!」
「えりかちゃん、やめてよぉ」
もう、この人には敵わない
鏡を確認。大丈夫だよね?水を口に含んで一息
えりかちゃんとアイコンタクトして、二人で外へ
「あれ?レジは」
「ん?もう済んでるよ」
ホント、敵わない
- 41. 名無し募集中。。。 2009/10/14(水) 13:12:39.64 O
- 「えりかちゃんこそどうなの?」
「ん?なにが?」
「恋人いないの?」
「いないねぇ・・・」
「好きな人は?」
「いないねぇ・・・」
そう。人様の恋バナを聞きたいのは、結局自分にトキメキがないから。
ちょっぴり寂しかったりもして、
せめて人のノロケでも聞いて恋の疑似体験をしたいってゆーかなんてゆーか、なのよねぇ。
- 42. 名無し募集中。。。 2009/10/14(水) 13:14:12.01 O
- 「えりか様にふさわしい理想的な人が現れないのよ」
真面目に話しちゃったら、この楽しい雰囲気が壊れそうだからおちゃらけて答える。
「えりかちゃんの理想ってどんな人?」
おっとそうきましたか。
そんなの考えたこともないから困ったぞ。
「・・・好きになった人?」
「なにそれ」
カラカラと愛理が笑う。
うん、愛理の笑顔ってすごく好き。
こっちまで幸せな気分になる。
あんまりガーって情熱的に突っ走る方じゃないから、
側にいるだけでなんとなく幸せにしてくれて、自分もしてあげられる、
そんな付き合いがしてみたいかも、なんて漠然と考えた。
- 66. 名無し募集中。。。 2009/10/14(水) 23:27:18.79 0
- 帰り道、ものすごく早く感じた
わざわざ家の前まで送ってくれたうえに
親が心配しただろうからって「遅くまですいませんでした」って
お父さんとお母さんに挨拶したえりかちゃん
こういうところ、年上だなって思う
二人ともえりかちゃんと会うの、久しぶりだったから
「あがってお茶でも」なんてはしゃいじゃって
特にお父さん。「いやぁ〜大人っぽくなったなぁ」
鼻の下、ちょっと伸びてた
もう遅いから、あんまり引き止めると迷惑だからって説得して
えりかちゃんも「また、日を改めてお邪魔しますね。グフフ」って
「また」があるって思ったら嬉しくなった
また、絶対、誘ってくれるって言ってくれた
いつもは絶対にしないのに、ベッドの上でジタバタしちゃった
指で、唇をなぞってみたりもした
えりかちゃんの指と違う
変なのかな?また、触って欲しいって思った
最終更新:2009年10月17日 22:12