55. 名無し募集中。。。 2009/10/14(水) 22:28:06.36 0
あ、辞書返すの忘れた・・・いや、返しそびれた
おかげでカバンが重い


でも、これでちょっとはパワーつくかな・・・


3年生最後の大会、うちは多く居る部員の中
唯一、一年生でベンチ入りを任された
もちろん、部活でバスケットをやる以上は試合に出たり
出るチャンスを貰えるのは嬉しい
けれど、うちより上手い2年生が沢山居て、3年生だってベンチに
入れない人だって居た。正直、何でうちなんだろう?って
監督に直談判する人はさすがに居なかったし
うちも直接何を言われたわけでもない
でも、やっぱり周りでイロイロ、文句とまではいかないけど
疑問みたいな、そんな話は耳に入ってきてしまって・・・

でも、真剣に練習して、みんなよりも沢山練習して
認めてもらえるようになれば、って言い聞かせた

そう思っていたけど、なかなか上手くいかなくて



56. 名無し募集中。。。 2009/10/14(水) 22:29:02.06 0
チャンスはすぐにやってきた
下馬評でもうちらとしても、ぶっちゃけ余裕で
勝てるだろうって言われてたし、思っていた相手

結構な差で迎えた第3Q
監督に声をかけて貰った。あんまり顔には出てなかったと
思うけど、ありえないくらい緊張したし、出る前から
手に汗がびっしょりだった

ポジションはセンター。相手チームのセンターは
うちより10cm以上も小さくて、少し気が緩んだのかもしれない
全くゴール下で仕事が出来なくて、思うように体も動かなくて
先輩達は頑張れって、大丈夫って言ってくれたけど
誰が見ても足を引っ張ってしまってた
うちのおかげでリズムも・・・

その試合は結局勝ったのだけれど、一人だけ別に監督に呼ばれて
「飾りの身長なら他の選手にくれてやれ」ってお説教をされた
悔しくて、情けなくて、どうしたらいいのかわからなくて・・・
この大会で、試合に出たのはこれっきり。でも、監督に
悪意があったわけじゃないと思う。出来ない自分に心底腹が立った

スピードは元から無かった。運動能力も高いわけじゃないし
ドリブルの技術だってそんなに無い
やっぱり高さを生かすことしかないし、それを求められている
みやに憧れていたけど、自分はみやじゃないんだって

57. 名無し募集中。。。 2009/10/14(水) 22:30:09.14 0
3年生最後の試合が終わって、みんなが泣いている中
一人、泣く事ができなかった
輪にも入れず、居場所が無いような気がした

学校に戻って、3年生が荷物を片付けていた時
清水キャプテンに体育館裏に呼ばれた
一瞬よくないことが脳裏をよぎった“うわ・・・ヤラれる・・・”

少しの距離を置いて石段に腰を下ろすと
キャプテンがゆっくり、優しく喋り始めた

「熊井ちゃん、短い間だったけどありがとうね」
声のトーンから嫌味とかではないことは、確かだった
「監督がね、どうしても熊井ちゃんをベンチに入れるって
大会前に言ってたんだ。申し訳ないけど、私はすぐに賛成を
したわけじゃないの。他にも上手い子はいるから
でもね、誰よりも直向に練習する熊井ちゃんを見てね
納得した。試合に出るとか出ないとかじゃなくって
ベンチに入る資格がある人・・・何だろう上手く言えないな」

うちは黙って、ただ静かに聞いた
口下手だし、何を言っていいのか、言葉が浮かばなくて

「期待してるんだよ、監督も。もちろん上背があるからってのも
あるけど。うちも、熊井ちゃんなら出来るって思ってるし
あの試合はね、やっぱり経験がちょっと出ちゃったんだよ
気にしないでってのは無理かもしれないけど・・・」
58. 名無し募集中。。。 2009/10/14(水) 22:31:37.34 0
聞きながら、喉の奥が熱くなるのを感じた

「うちは小さいからスピードを磨いた。小さいくせに遅い!
って言われるのが嫌だったからね。そもそも小さい人は
速くなきゃいけないってのがおかしいんだけどさ・・・
なんて言ったら何にもなくなっちゃうか」

お互い、大きいくせにとか小さいくせにって言われて
大変だよね?って

「これからも練習、続ければ自信つくから。大丈夫」

気持ちが少し弱いかな?って

「ちょっと線が細いから。あ、マッチョになれってわけじゃないよ」

もうちょっとパワーつけて、って

「うちらが抜けて、みやの負担が大きくなると思う。1年生だから
対等にってのは難しいかもしれないけど、部の土台になって、下から支えてあげて」

肩をポンポンって叩いて、笑って立ち上がる

「こっからスタートだから。こっから」

頭を撫でてくれた
小さいけれど、うちにとってはもの凄く大きい人
59. 名無し募集中。。。 2009/10/14(水) 22:34:07.38 0
もちろん、みやの方が遥かに重いプレッシャーと
昔も今もこれからも戦わなきゃいけないんだろう
でも、うちも先輩の、清水キャプテンの期待に
応えなきゃって

返しそびれた辞書の重みを感じながら
「まだまだ、パワー足りないかな」なんて思った

一人でも続けられる練習だけど
誰かに見られながら練習するのも悪くない
プレッシャーに弱いうちだから、尚更

今日みたいに、見守ってくれてる人の為にも
頑張らなきゃ・・・

「合宿の準備」とか言って、ホントは待っててくれたんだ
わかってる。まぁは優しい嘘をつく人

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2009年10月17日 22:15