- 456. 名無し募集中。。。 2009/06/27(土) 11:57:53.58 0
- それは中学に入学したばかりの頃
人見知りな性格の上引っ越してきたばかりという状況も重なって、
学校生活は楽しいと言えるものではなかった
話す友達はいるけれど、どこかみんな探り探りのこの季節。上辺だけの友達。そういうのはあまり得意じゃない。
けど、悪いのは周りの友達じゃない。あたしが相手に心を開かない限りこの状態は変わらないということは分かっていた。
けど、だからといってすぐに心を開けるわけもなく。ただ日は過ぎて行った。
そんなある日、再婚して間もない両親が家で派手な喧嘩をした。
またか、とため息をつき家を出る。でもそれは表面上の精一杯の演技。心の中はズタズタだった。
学校に着いてからも何度か泣きそうになったが、友達と世間話をしてなんとかそれを堪えていた。
でもそれにも限界がある。あたしはもともと涙腺は強いほうじゃない
とにかくみんなに涙は見せたくなくて、屋上に逃げた。
なんであたしの家はこうなんだろう。また離婚するのかな。そしたらお母さんバツ2か・・・・
そんなことばかりを考えてたら当たり前だけど涙は余計に溢れた
幸い屋上には誰もいない。思いっきり泣こう。そう思った瞬間屋上の扉が開いた。
「だいじょうぶ?」
そこには同じクラスの愛理ちゃん。
クラスの中では一番話す子だ。といっても他の子と比べてだけど。
「大丈夫だよ」
焦って涙を拭く。すると何を思ったか愛理ちゃんはくるっと後ろを向いてあたしと背中合わせに座った
「え?」
「ごめんね、泣いてるとこに来ちゃって。あたしは見てないから、泣いてていいよ。」
驚いて思わず振り返ると、愛理ちゃんはあたしの後ろで体育座りをして顔を膝に埋めていた。
「・・・・っく・・・うう・・う・・・」
あたしはその日、愛理ちゃんの背中の温かさを感じながら思いっきり泣いた。
- 457. 名無し募集中。。。 2009/06/27(土) 11:59:07.48 0
- それから、二人はすごい仲良くなった
あたしは愛理と呼び捨てにするようになったし、向こうも梨沙子とか、愛嬌こめてりーちゃんとか呼んでくれるようになった。
お互いなんでも話すようになり、一緒に笑って、一緒に悩んで、たまーに喧嘩してはまた仲直りして。そしてあたしにとって愛理は掛け替えのない存在になった。
あたしが泣いてしまった時も愛理が泣いてしまった時も、いつでも二人は側にいた。
喧嘩して「もう知らない!」なんて二人して泣いてる時も、あたしと愛理は黙って側にいた。
一緒にいる理由なんてない。何か得するわけでもない。それでも一緒にいるのが友達なんだと。
他でもない愛理から、大切な愛理から教わった。
- 458. 名無し募集中。。。 2009/06/27(土) 12:00:43.32 0
- 「りーちゃん、どうでもいいとか言ってるけどほんとは両親に仲良くしてもらいたいんでしょ?」
いつだったか、家のことを愛理に愚痴っていた時のこと。
突然愛理はそう言った。
「んー、そうかもしんないけど、信じられないよ」
あたしは笑う。愛理も笑った。大人なんて勝手だよねーとか、いつもはそんな感じで終わっていたから、今日もそうなるだろう。
そう思っていた。でも・・・・・
「りーちゃんが信じたいなら、私も一緒に信じるよ」
「え?」
「そしたら、裏切られる時も一緒でしょ?」
「・・・・・・・・・」
「家のことだけじゃなくても、りーちゃんが信じたいものは私も一緒に信じてあげる」
いやー我ながらかっこいいなーなんて冗談を言いながらおちゃらけてる愛理。
あたしは、そんな愛理を見て「うわ、雰囲気台無し〜」と肩を叩いてやった。
いたーいなんて言いながら大げさに寝転がった愛理は、そっぽを向いたまましばらくこっちを向かなかった。
あー恥ずかしーなんて言ってるけど、
本当は、涙が溢れてしまっているあたしに気付かないふりをしてくれてたんだろう。
「ありがと、愛理」
「いーえー」
そっけなくてまた笑った。
- 459. 名無し募集中。。。 2009/06/27(土) 12:01:27.95 0
- あたしはいまだに両親のことを信じられないし、恋愛のこととかにも抵抗がある。
それはしばらく変わらないだろう。
でも、今こうして悩んでいるのは、信じたいから悩んでいるのかもしれない。
信じたいと思えるのは、間違いなく愛理のおかげだ。
愛理がいてくれるから、あたしは悩んだり考えたりすることから逃げずにいられるんだろう。
ねえ、愛理。
愛理が泣いてるのなら、あたしはやっぱり側にいたい。
たとえ傷つけたのがあたしだとしても、側にいたい。
馬鹿って怒ってくれてもいい。
口を聞いてくれなくてもいい。
許してくれなくてもいい。
でもね、嘘だけはつきたくないんだよ。
ほんとはね、愛理に相談したいことがたくさんあるんだよ。
ねえ、愛理。
あたしが一番信じたいものはやっぱり愛理なんだよ。
最終更新:2009年07月02日 23:38