- 162. 名無し募集中。。。 2009/10/17(土) 21:37:30.93 0
- 今日も愛理をチャリの後ろに乗っけて登校。
でこぼこした道なんかを通る時は愛理が落ちないか気になっちゃって
ちょくちょく後ろを向いてたら「危ないよ」って笑われた。
うーん・・・心配、される側になっちゃった。
「あれ?」
ふと、交差点の向こうに見覚えのある子を発見。
「どうしたの?みや」
「梨沙子だ。あれ?なんであんなとこに座ってんだろ・・・体調悪いのかな?」
思わず梨沙子のとこに行こうとしたら、愛理に「信号赤だよ!」って怒られた。危ない危ない。
・・・ていうか、一緒にいるの、熊井ちゃん?
梨沙子の顔を覗き込んでる。何かを話してるみたい。
それにしても、顔、近いなあ・・・・
結局、梨沙子はすぐに熊井ちゃんの手を借りて立ち上がったので
どうやら体調が悪いわけではないみたい。うちが行かなくても大丈夫そうだ。
でも、何で座ってたんだろう。梨沙子、ドジだから転んだのかな?
まったく。危なっかしいなあ。
- 164. 名無し募集中。。。 2009/10/17(土) 21:57:19.43 0
- 「みや・・・」
「あ、ごめんね。行こうか」
色々考えてたらぼーっとしてたみたい。
愛理の声で現実に戻された。
もう一度愛理にごめんねと謝ると、うちは止めていた自転車を漕ぎ始めた。
うん、梨沙子はもう平気みたいだし、早く行かなきゃ朝練に遅れちゃうね。
「ねえ、みや・・・」
「ん?なに?」
「・・・いいや、なんでもない」
「??」
どうしたんだろう?そう思いながらも、うちはせっせと自転車を漕ぎ続けた。
- 180. 名無し募集中。。。 2009/10/17(土) 23:18:33.75 0
- みやが心配そうに交差点の向こうの梨沙子ちゃんを見ている時
私は複雑な思いでみやの背中にため息をついていた
体調悪いのかななんて言うけどさ、どう見ても転んだだけだと思うよ?
私だってケガとかしてないかなって心配だけど、みやは心配しすぎだよ・・・
私のこと、今は完全に忘れてるよね・・・
梨沙子ちゃんしか目に入ってないよね
ねえ、どうしてそんなに梨沙子ちゃんを気にするの・・・?
信号無視して飛んで行こうとするぐらい、大事な子なの?
こんなの、醜い嫉妬だってことは分かっていた
みやは何も悪いことしてないし、梨沙子ちゃんだってそう
分かってるのに、どうしてこんなに胸が痛いんだろう
「愛理、ホントどうしたの?急に元気なくなったよね?」
学校に着き、自転車を置いたみやが私の元に戻ってくると、開口一番に今一番聞かれたくないことを聞いてきた
- 186. 名無し募集中。。。 2009/10/18(日) 00:01:12.13 0
- 「っ!最近のみやは梨沙子ちゃんのことばっかり・・・」
「え・・・?」
あ・・・つい、言っちゃった・・・。
でもホントにそうだから。
「あ・・・あたし以外に余所見してるから」
「愛理?」
「だから、だから元気になんて、楽しそうになんてできない!」
ポカンとしたみやを置いてあたしは一人で先を歩いた。
なんだか、黙ってられなかった。
「ちょ!愛理、待ってよ!!」
みやが追いかけてくる。
でもきっと、みやは自分が梨沙子ちゃんばかり見てる自覚ないんだ。
そういうのが・・・1番キツイよ・・・・・・
- 187. 名無し募集中。。。 2009/10/18(日) 00:46:37.38 0
- 文化部のあたしが逃げたところでバスケ部のみやにはあっという間に追いつかれる
「待ってってば!愛理!!」
みやがあたしの手首をギュッと掴む
「っ!!・・・離してよ」
「ヤダ、離さない」
そう言ってみやはもっと力を込めてあたしを引き寄せる
振り向いたすぐ目の前にはみやの真剣で、そして少し泣きそうな瞳
「・・・愛理」
「・・・」
「愛理・・・泣かないで・・・」
そう言ってみやは手を伸ばして指であたしの目じりをそっと拭うと抱きしめた
言われて気がついた・・・あたし・・・泣いてる・・・?
そう自覚すると余計涙が溢れてあたしは強くみやに抱きついた
- 204. 名無し募集中。。。 2009/10/18(日) 01:22:06.58 0
- 「愛理、なんか誤解してるよ・・・」
みやはあたしを抱きしめながらポツリ、ポツリと話す。
「梨沙子はなんか、妹みたいな感じでさ・・・
気が強いのに結構ドジだたり・・・目が離せないっていうか・・・
うん、やっぱり手がかかる妹って感じ!
・・・それだけだよ・・・ホントに。」
あたしの顔を覗き込むみやは真っ直ぐな目をしていて・・・
きっと本当にわかってないんだろうな。
みやは間違いなく梨沙子ちゃんに惹かれてるってこと。
「ごめん、愛理・・・でもうち部長だしさ。
最近確かに梨沙子にばっかりかまってたかもしんない。
誤解、しちゃうよね、ごめん!ホントごめんなさい!!」
年下の彼女に対して「ごめんなさい」って
困ったような顔して言うみやを見たら許さないワケにはいかない。
みやのこういうとこズルイ。
でも、そういうトコも好きなんだけど。
- 205. 名無し募集中。。。 2009/10/18(日) 01:28:11.41 0
- 愛理がそんな不満を抱えていたなんて今まで全然気づかなかった
うちは愛理を泣かせてしまったことが情けなくて抱きしめることしかできなかった
ごめんね、愛理・・・うち約束したのにね?
うちの「付き合ってください」っていう告白に涙を流して頷いてくれた愛理
その時に愛理に誓ったのに
これからも嬉しい涙しか流させないからって・・・
絶対悲しませたりしないからって・・・
愛理、約束破っちゃってごめん・・・
- 213. 名無し募集中。。。 2009/10/18(日) 03:32:12.41 0
- 「別に梨沙子ちゃんと仲良くしないでとは言ってないよ…。
あたしってほら友達少ないし…心許せる人あんまりいなくて…
だからみやがいなくなったらあたし…」
「居なくならないよ。ずっと愛理のそばにいる」
愛理の細く華奢な体をぎゅっと抱きしめると
愛理の肩は小さく揺れ耳元はすすり泣く声が聞こえてきた
ずっとそばにいる
そう誓った思いを胸に愛理と別れ部室へと向かうと
もうすでに部室のドアが開いていた
「熊井ちゃんかな?」
「あ、みや。久しぶり」
「キャプテン!」
- 214. 名無し募集中。。。 2009/10/18(日) 04:03:06.50 0
- 「どうしたの?」
「ちぃに誘われたからさっ」
古くなったボールを磨きながらニコニコ笑ってるキャプテンこと佐紀ちゃんは
元うちの部のキャプテンで、小さい背丈はPGとして上手く器用し部も試合も
キャプテンが引っ張って行ってくれていた
「なんか今日は浮かない顔してるね。何かあったの?」
「うん…ちょっと…」
それ以上は話すことが出来ず口ごもってるうちをキャプテンは手招きすると
横に座らせた
「あたしが次期キャプテンを、しっかりしてる光井じゃなく、才能のある久住でもなく、明るいちぃでもなく、
みやを選んだかわかる?」
「ううん…」
「みやには一度決めた自分の意思を曲げないで貫く強さがあるから」
「強さ?」
「うん。キャプテンってさ、部をまとめるだけがキャプテンじゃないの。みんなの夢とか思いも背負って行かなきゃいけない。
それを背負ってみんなを夢へと導く行動力とか、決断力とか、強さがみやにはあると思う」
キャプテンは握りこぶしをうちの胸にトンと当てると微笑んだ
「だから落ち込んだり、悩んでるしてることがあったらみやらしく自分の気持ちに正直になりな」
その直後、真剣な顔つきだったキャプテンの顔はみるみるうちに笑顔に変わり
うちの頭をそっとなでながら
「頑張れ、キャプテン」と微笑んでくれた
- 236. 名無し募集中。。。 2009/10/18(日) 20:40:11.72 0
- 朝練の後ちーや小春と話しながら携帯を弄る
愛理に「さっきはごめん」ともう一度メール
それから待受に設定している愛理とのツーショットを眺める
「みや、どうかした?」
そんなうちの様子に気づいたのか小春が顔を覗き込んでくる
「あ、うぅん、なんでもないよ」
「そう?」
「うん、あっ!それよりも時間!!小春、ヤバい!」
「うぇ!?ホ、ホントだ!!また石川先生に怒られる!」
二人でカバンに荷物を詰め込んで部室を飛び出した
- 252. 名無し募集中。。。 2009/10/18(日) 21:48:45.67 0
- 授業なんて耳に入ってこない
目を瞑ると思い出す 愛理の泣き顔と震えた体
愛理は泣かせちゃうし、梨沙子とも普通に話せなかったし・・・なんかうちダメダメだなあ・・・
梨沙子と仲良くするなって言ってるわけじゃないって愛理は言ってたけど、
梨沙子を変に意識しちゃった・・・うち最低だわ・・・
梨沙子、うちの様子がおかしかったの気付いたかな?
気付いてないといいんだけどなあ・・・
ホントにごめんね、梨沙子・・・
梨沙子と話すと愛理のこと思い出して胸が痛くなるから、それで話さなかっただけなんだよ・・・
巻き込んじゃってごめんね
うちバカだから・・・今ちょっと頭が混乱してるんだ
でもすぐに元に戻るから、それまで我慢しててね・・・
ふと教室の窓から空を見上げた
モコモコした真っ白い雲が梨沙子みたいだった
最終更新:2009年10月23日 23:57