328. 名無し募集中。。。 2009/10/21(水) 15:19:13.36 O
いつもの屋上に行くとみやが地面に寝転がっていた
携帯を空に向けて写真を撮っているみたい
その横顔がすごく優しくて、あたしはみやを初めて話したときを思い出した

そういえばあの時もこういう表情をしていたなぁ・・・

バスケ部のエースでみんなに人気で、すごく美人で、
絶対あたしとは関わりがないんだろうなって思ってた

ちょっと怖いかなとまで思っていた人があんなに優しく笑うんだって胸がキュッとなったっけ


ぼーっと遠くはない昔のことを思い出していると
みやがあたしに気付いたみたいで振り返った
338. 名無し募集中。。。 2009/10/21(水) 22:15:54.71 O
やばい、緊張してきた。どーかしてる
今から逢えると思うと、手に汗が
喉も、渇いてきた。さっきから何度も唾を飲み込んでる気がする

ひとりの時間はほとんど、愛理の事を考えている
でも、いくら考えても、思っても
うちは伝える術を持っていないのかな
余所見していたのなら、謝るし
嫌なところは、直す
減ってしまった愛情なら、埋めたい
物足りないのなら、何でも、出来るものならば・・・
わかってもらえるまで、頑張るよ

深く、息を吸った

悩んでいるのがもったいないくらいの、青
朝見た雲は、どこかへ行ってしまったみたいだ

愛理に、この空をプレゼントしたら喜ぶかな
あぁ、でも、何にも無いって、悲しむかな

そんな時は、うちが居るよ・・・なんて恥ずかしいセリフも
笑ってくれるなら、元気を取り戻せるなら

ねぇ、お願い。愛理が好きなんだよ
344. 名無し募集中。。。 2009/10/21(水) 23:36:59.65 0
「愛理、どうしたの?こっちおいで」
みやがちょいちょいと手招きしてくれてあたしはみやの隣に座る

「さっき、携帯持って何してたの?」
「ん?空撮ってた・・・今日の空、すごく綺麗だったから」
みやの言葉で思わず空を見上げる

ホントだ・・・雲ひとつない青い空・・・

「愛理にあげたかったけど届かないから・・・ハイ」
そう言った途端あたしの携帯が震えてメールを確認すると差出人はみや
え?と思いながらメールを開くと画面いっぱいにこの青い空が映し出された

キレイ・・・
この空の下でみやと二人一緒にいられることがとても幸せ・・・

すると急にみやに後ろからそっと抱き締められる
「愛理が好きだよ・・・ずっとずっとうち、愛理と一緒にいたい・・・」

みやの優しくて、それでいて一生懸命なその言葉

あたしも好きだよ、みや・・・だからもっともっとみやを感じたい・・・
369. 名無し募集中。。。 2009/10/23(金) 02:41:14.03 O
太陽の光が眩しくて、目が慣れなかった
それでも、シルエットだけで充分だった

愛理が居る。いつもの場所、いつもの風景

さすがに、毎日ってワケにはいかないけれど
時間が許す限りは、いつも

体を起して、愛理を呼ぶ「おいで」って
でも、本音を言えばうちが愛理の許へ飛んで行きたい
逢いたくて、焦る。飛び出しそうな体を抑えるの、大変なんだよ

隣で空を見上げる、愛理
ごめん。うちは愛理を盗み見
誰にもあげたくないなぁ、この横顔

・・・やっぱり、抑えられなかった
携帯を見ていた愛理を、そっと包んだ
気がつくと、包んでた。壊れないように、抱きしめた

ねぇ、泣かせてゴメン。けど、ありがとう
言ってくれなかったら、たぶん、気がつかなかった

後ろからで、ゴメン。好き、愛理が、愛理の事が
絞り出した、この声。届け、心に
370. 名無し募集中。。。 2009/10/23(金) 02:42:24.24 O
そっと、頷いた
そのストレートな言葉が好きだけど、嫌い
純粋すぎて、真っ直ぐで
色々考えてしまう、あたしが汚いんじゃないかって

「ねぇ、みや」
「なに?」

向き合う、ふたり
邪魔なのは、もどかしい気持ちだけ

「もっと、みやのこと知りたいの。みやのこと、いっぱい」
「うちもだよ。愛理のこと、いっぱい知りたい」

ねぇ、違うの。そうじゃなくて、もっと

あたしだけなの?あたしだけが・・・触れて欲しいの?

「みやは、このままでいいの?」
「え?」

視線を落とし、みやの人差し指を握った

「あたしは、もっともっと近づきたいって思ってる。前に進みたいって」

ねぇ、わかってよ。あたしばかりが求めてもダメなの
ひとりじゃ、いやなの。ふたりが、いいの
382. 名無し募集中。。。 2009/10/23(金) 18:02:00.34 0
顔を上げて、先を催すように唇に触れた。
いつもみやからしてくれる優しいキスじゃない、もっと激しいキス。

「ん…あい、り…っ」

わかってるのかわかってないのか、あたしにはわからない。
みやがわからない。

どれくらいの時間かはわからなかったけど
長くはないキスは、あたしの手の中にある指が震えて、放された。

「…愛理、どうしたの?今日なんかおかしいよ」
「おかしくない、みやは何もわかってない」

今度は視線を絡めたまま、みやの人差し指を握る。

「あたしは…もっとみやに触れて欲しいのに」

一瞬、みやの体が震えた。
視線があたしから離れる。

「あ、愛理、ダメだよ、そんな…」
「何がダメなの?みやはイヤ…なの?」
383. 名無し募集中。。。 2009/10/23(金) 18:09:49.39 O
「イヤとか……そういうんじゃなくて………」
目の前の愛理が知らない子に見えた。
いや、遠くに見えたのかな?
愛理が、いや…愛理はそういうことを……

顔が熱くなった
ただオロオロするしかできない自分がもどかしかった
何でうちは外見は派手なのに中身は地味なんだろう
419. 名無し募集中。。。 2009/10/24(土) 10:26:22.11 0
突然愛理が戸惑っているうちの胸に飛び込んでくる
「あ・・・あ、愛理・・・?」
「・・・もう・・・ヤなの・・・」
「え・・・?」
「みやの・・・優しいところが・・・好き・・・だけど・・・不安になる・・・
あたしたち・・・もう・・・付き合って大分経つんだよ?
・・・あたしは・・・そんなに魅力ないの?」

ち、ちがう・・・愛理、違うんだよ・・・そうじゃない・・・
うち・・・愛理とこうやって触れているだけで・・・ドキドキして・・・
そういうこと・・・したくないわけじゃない・・・だけど・・・


心の中では色々と思いが巡っているのに口から言葉が出なくて
ただ愛理を抱きとめて見つめるしかできない

そんなうちを愛理は真っ直ぐ見つめて口を開いた

「みや・・・あたし・・・抱いてよ・・・」
420. 名無し募集中。。。 2009/10/24(土) 12:10:03.18 O
それは思うよりも早く出た行動だった
今まで大切に大事にしてた可愛い彼女の突然の艶やかさに
うちは

ただ

彼女を、愛理を突き飛ばしてその場を逃げ出した。
今まで立ってた場所が急にひっくり返ったような
そんな感情…
今のうちにはただ逃げ出すことしかできなかった

大切な彼女を壊してしまうのは怖い。
うちはいつまでたっても肝心な所がきめられない。
最低だ―――――――――――
423. 名無し募集中。。。 2009/10/24(土) 12:35:32.73 0
みやに突き飛ばされてそのまま座り込む

なんで・・・?
あたしのことが好きなら・・・もっと・・・触れたいと思ってくれないの・・・?

そんなにあたし・・・魅力ない・・・?

ねぇ、みや・・・
429. 名無し募集中。。。 2009/10/24(土) 16:21:37.01 O
どうやってきたのかわからない
うちは愛理を突き飛ばした後、ただただ走った。

行き着いた場所は昼休みの誰もいない体育館…

初めて見た愛理の表情と、恥ずかしい程の自分の不甲斐なさに
やるせない気持ちで片付け忘れらるていたボールを蹴飛ばした。
―――最低、うち超っダサイ
何で…愛理急にああいうこと……
思い出してまた顔が熱くなる。

自分に対しての憤りが
泣きたいのか暴れたいのかわからなくなって
蹴飛ばしたボールを拾って無心でシュートを打った。

意外にもこういう時の方が集中できるのか
かなりの確率でボールはリングに吸い込まれていった…

「うちの…ヘタレな気持ちも吸い込んでよ…」
半ばヤケクソ気味に打ったそれはリングに見事に弾かれ…
うちしかいない体育館に午後の授業の予鈴が鳴り響いた―――――
最終更新:2009年10月27日 22:07