- 448. 名無し募集中。。。 2009/10/25(日) 01:55:51.64 0
- 5時間目の授業の準備をしていたら
愛理ちゃんがチャイムギリギリに教室に入ってきた
愛理ちゃんは俯いたまま早足で自分の席に着いたと思うと
教科書を出してじっと読み始めた
さすが・・・授業の予習するなんて偉いなぁ・・・
って・・・あれ・・・?
愛理ちゃん・・・目が赤い・・・?
- 449. 名無し募集中。。。 2009/10/25(日) 02:55:03.09 0
- みやの好きと、あたしの好きは交わることは無いの?
ずっと一緒にいたいっていうのは
このまま、このまま、平行線で
ただ、時間が流れていくことなの?
空の青がゆっくり滲んだ
泣きたいわけじゃない
けれど、涙をコントロール出来るほど、大人じゃない
子供だから、泣けば届くと思ってるのかな・・・
抱いて欲しいって。本音だった
今まで、口にすることが出来なかった言葉
心の底から、零れ落ちた感情
でも・・・望んではくれなかったんだね
大切にしてくれていることがわかるから
余計に辛いことがあるの
けど、嫌いになんてなれない
突き放されたこの瞬間でも、大好きなのに・・・
- 450. 名無し募集中。。。 2009/10/25(日) 02:58:49.50 0
- もう、行かなきゃ・・・
思っても、体は動いてくれなくて
食べそびれたお弁当が、ふたつ、仲良く並んでいた
「・・・食べて、もらえなかったね・・・」
膝を抱えた。独りは嫌だけど
今は、誰にも顔を見せたくない
どんな表情をすればいいのか、わからない
みやに、両手いっぱい愛されて、包まれて
触れられて、触れて、感じて・・・
笑って、寄り添って、目で語らう
言葉なんて要らない瞬間
そんな理想を思い浮かべながら、また消す
やっぱり、行かなきゃ・・・
時間は過ぎていくだけ
立ち止まっても、留まっても・・・
- 462. 名無し募集中。。。 2009/10/25(日) 16:43:40.57 O
- 5時間目の授業は全く頭に入ってこなかった
教科書の文字を目で追っていてもすぐに視界がぼやけてきて
さっきのみやの戸惑ったような、拒絶するような表情が浮かんでくる
きっとみやはあたしのこと、軽蔑した・・・
そう思うと言わなきゃよかった、とか色々後悔してしまう
- 465. 名無し募集中。。。 2009/10/25(日) 18:26:47.07 0
- するとどこからか飛んできた小さな紙
すぐに分かった。隣の席の梨沙子ちゃんからだ
『だいじょうぶ?』
可愛い字と、その横に描かれた泣きそうな顔してる女の子の絵
梨沙子ちゃん、心配してくれてるんだ・・・
そう思ったらもうダメだった
弱ってる今のあたしに梨沙子ちゃんの優しさは刺激が強すぎた
次の瞬間、緩みきってた涙腺が決壊した
積もりに積もった感情がドバっと溢れ出た
教室で、しかも授業中に泣くなんてサイアク・・・あぁもう嫌だ・・・
「先生!」
教科書で顔を隠しながら必死に声を堪えていると、隣から大きな声が聞こえた
顔をあげなくても分かる。梨沙子ちゃんだった
「鈴木さん体調悪いみたいなので、保健室に連れて行きます」
- 466. 名無し募集中。。。 2009/10/25(日) 18:36:25.39 O
- いつも完璧な愛理ちゃんが泣いている
あたしはほっておけなくて先生の了承を待たずに愛理ちゃんの腕をつかんで教室を出た
愛理ちゃんはただ涙を啜りながらあたしについてき
お昼、お弁当を二つ抱えて教室を出て行った愛理ちゃん
戻ってきてから様子がおかしくなった愛理ちゃん
もしかして夏焼先輩と何かあった・・・?
そして今朝のいつもと違った夏焼先輩を思い出してしまって、また胸が痛くなった
- 468. 名無し募集中。。。 2009/10/25(日) 19:01:54.43 0
- 保健室の先生がいなかったので勝手にベッドを借りることにした
泣きやまない愛理ちゃんをそっと寝かして、あたしもベッドに腰掛ける
枕を濡らして泣き続ける愛理ちゃんは苦しそうだった
あたしは髪を梳かすように頭を撫でた
「何があったか分からないけど・・・思いっきり泣いちゃえばいいと思うよ・・・」
「ヒック・・・ごめ・・・うぅ、ごめん、ね・・・」
「ううん。・・・ねぇ、夏焼先輩と、喧嘩でもしたの?」
聞いてしまった時にはもう遅かった
あたしの問いに愛理ちゃんは小さく首を振ると、また大声で泣き始めた
あたしは焦って背中をさすり続ける
無神経なこと聞いちゃって悪かったな・・・
- 471. 名無し募集中。。。 2009/10/25(日) 19:38:44.30 0
- ―――ねぇ、夏焼先輩と、喧嘩でもしたの?
梨沙子ちゃんからの問いに、あたしはただ首を振って泣くことしか出来なかった
言えないよ・・・あんなこと・・・誰にも言えない
こんな惨めなあたし・・・誰にも・・・
一瞬、えりかちゃんの笑顔が浮かんですぐに消えた
梨沙子ちゃんは察してくれたのか、それ以上何も言わずにただ背中を撫で続けてくれた
時々、涙も拭ってくれた
「・・・自分責めちゃダメだよ?ちょっとぐらい、誰かのせいにしても、いいと思うよ?」
一生懸命言葉を選んで慰めてくれる梨沙子ちゃん
梨沙子ちゃんの優しさが胸に沁みた
・・・そういえば梨沙子ちゃん、あたしのせいでみやに無視されて、悲しい思いしたんだよね・・・
あぁ・・・あたし、何してんだろう・・・
なんかもう、全てが悲しいよ・・・
えりかちゃん、あたし、どうすればいいの・・・?
- 474. 名無し募集中。。。 2009/10/25(日) 22:31:39.00 0
- それからどれくらいの時間が経っただろう。
5時間目終了のチャイムの音が遠くに聞こえる。
あたしはごしごしと手で目をこすってから起き上がる。
「梨沙子ちゃん、もう大丈夫だから」
「・・で、でも」
「ホント、大丈夫。次の授業、数学だから休んだら遅れちゃう」
梨沙子ちゃんの何か言いたげな表情を見ないふりをして制服の乱れを整えた。
「さぁ、行こう?」
「・・・・・・うん」
もう一度促すとあきらめたのか梨沙子ちゃんもゆっくりと腰を上げて立ち上がった。
教室に戻るとき、梨沙子ちゃんはあたしにこう言った。
―――全て言って?なんて言えないけど
あたしにもし力になれることがあるって愛理ちゃんが思うことは言ってね
押し付ける言い方じゃない梨沙子ちゃんらしい言葉にあたしは素直にうんと頷いた。
- 519. 名無し募集中。。。 2009/10/27(火) 01:07:36.28 0
- 教室に戻ると、クラスの子達に「大丈夫?」と声を掛けられた
正直、みやとか家族以外の人に心配されたりするのは慣れていない
「うん。もう平気」
自然に、振舞えたかな?目も鼻の頭も真っ赤
泣いてたのなんて、バレバレだよね
ちょっと、恥ずかしい・・・
人前であんなに泣いたのは、小さい頃以来な気がする
でも、何だかちょっとスッキリした
解決とかしたわけじゃないけど、前進むしかないんだよね
「愛理ちゃん、この問題わかる?」
「どれ?」
あ、次の次、当たるのか
先生の目を気にしながら小声で話す
泣きそうな顔になりながら必死に答えを聞いてくる梨沙子ちゃんが
なんだか可笑しかしくて・・・
みやが梨沙子ちゃんの事を“妹みたいでほっとけない”
そう言ったのを思い出して、少しだけ納得してしまった
悔しいけれど、可愛いもんね
- 530. 名無し募集中。。。 2009/10/27(火) 16:47:49.05 O
- まだ目は赤いけど愛理ちゃんは数学の授業をいつものように真剣に聞いていた
それにほっと安心するけど、今度は自分のことを考えて憂鬱になる
今朝様子がおかしかった夏焼先輩
きっと愛理ちゃんとの間で何かあったんだと思う
だって愛理ちゃん、夏焼先輩が何か言ってたかとか聞いてきたから
また話できないのかな・・・?
別にあたしと先輩は特別な関係じゃない・・・
ただのあたしの片思い・・・
だけどやっぱり・・・寂しいよ
思わずナミダが出そうなのをこらえてぎゅっと目を閉じる
大丈夫・・・普通にすればいいんだから・・・
そして気付いたら授業どころかHRも終わっていてあたしは慌てて鞄に荷物を詰め込んだ
最終更新:2009年10月28日 19:18