849. 名無し募集中。。。 2009/11/07(土) 15:19:12.75 0
学校に着くと既にそこには大型バスが待機していた
前の学校の部活は少人数でこんな待遇されなかったから、朝からちょっとびっくり・・・

「よし、荷物も積んだし、出欠もOK!梨沙子、先バス乗ってな」
「はーい」

お言葉に甘えてママより先にバスに乗り込んだ
先に乗って出発を待ってる部員のみんなは、遠足に行く子どもみたいにはしゃいでいた
あたしは少し悩んで前の方の2つ空いてる席に座った
きっと隣にママが座るから

「ねー、隣いい?」

・・・・って思ってたんだけど・・・

「な、夏焼先輩!?」
「うしろさあ、小春とちーがうっさくて眠れないんだもん」
「あ、はい。どうぞ・・・」

先輩はあたしの隣にドサっと座ると、眠そうにあくびをした
850. 名無し募集中。。。 2009/11/07(土) 15:25:54.32 0
「昨日夜遅かったんですか?」
確か昨日は先輩、部活終わった後すぐに帰ったはずじゃ・・・

「うーん・・・そういうわけじゃないんだけどねぇ」
なんて言いながら携帯を弄る先輩
その携帯には昨日までついていなかった“A”というイニシャルのストラップ

あ・・・そういうことか・・・

すぐにわかった・・・って普通はそうだよね
今日からなかなか会えなくなるわけだし前日は会ったりもするよね
851. 名無し募集中。。。 2009/11/07(土) 15:32:38.67 0
「家帰ったのはそんなに遅くなかったんだけどさ。なんてゆーか、ドキドキしちゃって眠れなかったんだよね」
「…プッ」
「こら、笑うな!」
頭をパシンと叩かれてわき腹をくすぐられた
「だって、ドキドキして眠れないとかどこの子どもですか」
「うーるーさーいー。バスから降ろすよ?」
「あー、先輩がいじめるー」
「いじめではありません。しつけです。」
「愛理ちゃんに言いつけようかな」
「あー!それだけは勘弁!!」

「みやも梨沙子もうるさい!!」
いつの間にかバスに乗ってたママに二人揃ってげんこつされた
852. 名無し募集中。。。 2009/11/07(土) 15:45:30.46 0
まぁに頭をげんこつされておとなしく愛理にメールを打つ

『愛理、おはよう!まだ寝てるかな?
今からバス出発します
合宿頑張ってくるね☆愛理も部活頑張って!
帰ったらまたデートしようね♪』

昨日愛理とお揃いで買ったストラップを眺める
愛理にはうちのイニシャルの“M”、うちは愛理の“A”

愛理、うち強くなるから・・・
だからもう少し待っててくれないかな・・・
853. 名無し募集中。。。 2009/11/07(土) 16:13:45.76 0
顧問の先生の話も終わって到着まで自由時間だというのに夏焼先輩はいっこうに寝る様子がなかった
それどころか興奮気味に色々話しかけてくる
なんの為に席移動したんだろ?

「海でね、ちょっとは遊ぶ時間あるから!楽しみにしてな!」
「あーでも水ちょっと怖いかも」
「何言ってんの。転校生は海に投げられる決まりだから」
「は!?嘘ですよね!?」
「ホントだよ。今決めた」

最低!と拗ねるあたし、笑いながら突いてくる先輩
こんなバカげたやり取りが結構楽しかったりする
それから合宿のきつさとか、楽しさとか、目をキラキラさせて話してくれた

「そういえば、引退した先輩たちも来てくれる予定だから」
「そうなんですか?」
「うん。朝早いの嫌だから昼ぐらいから来るってさw合宿手伝いに来てくれるんだ」
854. 名無し募集中。。。 2009/11/07(土) 16:15:21.39 0
嬉しそうに話す夏焼先輩
引退した先輩、ってことは3個上かあ・・・
あたし会ったことないから緊張するなあ・・・
そう思ってたのが顔に出てたのか、夏焼先輩はポンポン頭を叩いてきて
「大丈夫だよ。優しい人ばっかりだから」
って言ってくれた

それから写メを見せてくれて、着くまでに全員覚えねって笑顔で言われた
うう・・・鬼キャプテン・・・

ということでさっきからあたしは先輩の携帯画面と必死ににらめっこしている
えっと、これが、元キャプテンの清水先輩
しっかりしていて、夏焼先輩の尊敬してる人・・・
で、これが、マネージャーだったもも先輩
きもくてぶりっ子・・・ってひどい紹介・・・

「よしっ。全員覚えた!」
先輩、と言いかけた時だった
肩に重みを感じた
ちらっと横目で見ると、そこにはスースー寝息を立ててる夏焼先輩が・・・
867. 名無し募集中。。。 2009/11/07(土) 18:49:20.21 0
(・・・っ!うそでしょ〜・・・)

近い近い近い・・・!
夏焼先輩近いよっ・・・!
あたしの肩に頭を預けて、ぐっすりスヤスヤ眠ってる先輩
時々微妙に動くから髪が首に当たってくすぐったい
だけどあたしが動いたら先輩起きちゃうから・・・動かずにじっと耐えた
嫌じゃないけど・・・むしろ嬉しいけど・・・
ダメだ、心臓が飛び出そう・・・

ちょっとしたイタズラ心で、あたしもコツンと頭を先輩の頭に乗っけてみた
いひひ、この感じカップルみたい♪

・・・ってあたしバカ?
ほんと何してんだろう・・・虚しいにもほどがある
恋人いる人に対してこんなこと・・・
愛理ちゃんにも悪い気がしてきた
ごめんなさい・・・もうしません・・・

かといって先輩を振り払うことも出来ないあたしは、しばらくこの体勢のまま動けずにいた
894. 名無し募集中。。。 2009/11/08(日) 12:47:09.55 0
体を動かさないようにじっとしたままの時間が続く

先輩の横顔をこっそり眺める
やばいなぁ・・・
まつげ長い・・・肌すべすべだ・・・鼻高い・・・
髪の毛・・・いい匂いがする・・・

どこを見ても先輩は綺麗であたしをどきどきさせた

でも先輩が・・・

「んん・・・愛理・・・」

なんて寝言を言うからあたしは小声でばーかって言って鼻を軽く掴んでやった
901. 名無し募集中。。。 2009/11/08(日) 21:05:10.02 0
「ん・・・」

周りの騒がしい声で目が覚めた。もう着いたのかな?
ん?あれ?てゆーかうち、いつの間に寝てたんだろ?

「・・・あ!梨沙子ごめん!」

いつの間にか梨沙子の肩を枕にして寝てたみたい。
うちはすぐに体を起こした。

「やーっと先輩起きた」
「えっと…ごめんね?うち結構寝てた?」
「結構寝てましたよ」
「起こしてくれればよかったのに」
「だって、昨日あんま寝てないって言ってたから」

梨沙子はヒヒって笑うと、さりげなく肩を回したり体を伸ばしたりしていた。
もしかして、うちを起こさない為にずっと同じ体勢でいたのかな?

「もう着くみたいですよ」
「あ、うん」

梨沙子って、さりげなく優しいって言うか、心広いよね。うん。
ありがと、梨沙子。
944. 名無し募集中。。。 2009/11/10(火) 11:58:36.11 0
あーぁ・・・先輩起きちゃったな・・・。
肩から先輩の体温が伝わってきてドキドキするんだけど・・
でもなんか落ち着くっていうか・・・
もう!鼻摘んでも起きなかったのにぃ・・・・・・。

「梨沙子どうかした?眉間にしわ寄せて」
「え?なななななんでもないっ・・・・・・デス・・」」
「ふぅん?ま、何かあったらまたすぐうちに言いなね。あ!」
「?」
先輩は何か思い出したようにポケットに手を突っ込んでゴソゴソしてる。

「はい。いつもがんばってるから」
「キャンディーだっ!」
「フルーツのど飴だから、疲れた時にでも食べて」
「ありがとうございます!イヒィー♪」
夏焼先輩のこういう何気ない優しさが大好きで少しキライ。
だって先輩のこと、もっともっと好きになっちゃうから・・・・・・
902. 名無し募集中。。。 2009/11/08(日) 21:16:44.73 0
先輩が目を覚ましてあたしの肩から離れた
なんかほっとしたような残念なような複雑な気持ち

でも先輩とまたこうやって到着するまで二人で話せる時間がとても嬉しかった
きっと先輩は部長だから向こうに着いたらいろいろと大変なはずだから
今、この時間を大切にしたくてあたしは着くまでいっぱいしゃべり続けた
最終更新:2009年11月19日 00:31