- 985. D4y00CB 2009/11/11(水) 23:42:05.62 O
- それから少し経ってバスは合宿所に到着した
着くなり先輩は一番に立ってみんなの荷物を降ろしたり、
監督と何やら打ち合わせをしたりと大忙し
バスでの時間が嘘のように先輩が遠い存在のように思えてくる
って当たり前か・・・
相手は部長だし、あたしは入ったばかりでまだ中学生だもん
なんかあたしわがままになってるな。気をつけなきゃ・・・。
「梨沙子、何やってんの?こっち手伝って」 ぼーっとしてたからかママに大声で呼ばれて慌てて駆け寄る
その時に一瞬先輩の方を見たけど、
先輩は何やら久住先輩と紙を見ながら真剣な表情であたしには気づいてくれなかった。
- 28. 名無し募集中。。。 2009/11/14(土) 10:12:24.99 0
- 宿舎のロビーで夏焼先輩とママが中心となって今日の動きを説明していく
あたしはそれを聞きながら意識は先ほど渡された部屋割の紙にいっていた
部屋はママと一緒かぁ・・・
マネージャー二人しかいないもんね
徳永先輩は熊井先輩と一緒で・・・
「あ・・・」
夏焼先輩は久住先輩と一緒なんだ・・・
しかもあたしの部屋から一番遠い・・・
なんだかそれだけでちょっと落ち込んでいたら
話を聞いてないように見えたのか、―――まぁ実際聞いてなかったんだけど
ママに梨沙子、ちゃんと聞きなさいって注意されて慌てて前を向いた
すると夏焼先輩がニヤニヤとあたしのことを見ていて
それが恥ずかしくて赤くなった顔を隠すようにちょっと下を向いてしまった
- 30. 名無し募集中。。。 2009/11/14(土) 13:00:39.54 O
- 「梨沙子っていつもまぁに怒られてるよね〜」
ミーティングが終わった途端夏焼先輩がささっとあたしの横に来た。
何を言われるかと思えば、案の定さっきのことをからかわれた。
「……先輩だってママによく叩かれてるじゃないですか」
「梨沙子ほどじゃありませんー」
そんなことっ!って反論しようとしたけどやめた。
悪かったのはあたしだもん。反省してます…。
素直にすいませんでしたって頭を下げたら「よし、いい子」って頭を撫でられた。
「合宿さ、毎年体調崩す子とか怪我する子とかいるから、よろしくね。マネさん」
その言葉を聞いてはっとする。
そうだよ!部屋割りなんか凹んでる場合じゃない!
合宿頑張るって決めたんだからちゃんとしなきゃ!
あたしは元気にはい!って返事をした。
そしたらまた髪を撫でてくれた。
- 31. 名無し募集中。。。 2009/11/14(土) 13:10:25.01 0
- 荷物を部屋に置くとすぐに体育館に集合
あたしはさっきの汚名返上とばかりに一番に体育館に入って練習の準備
するとすぐ後に来たママが張り切ってるね、私も負けてられないねって誉めてくれた
それから部員もぞろぞろと集まって初日の練習が始まる
あたしはみんなの動きをきっちりチェックしてノートに書き込んでいく
出来るだけ全員を均等に見ているつもりだけど
やっぱり無意識に夏焼先輩を見ている時間が多い気がする
だめだめ、みんな平等
・・・
ちょっとくらいはいいよね・・・?ママ
- 32. 名無し募集中。。。 2009/11/14(土) 13:27:13.06 O
- てゆーかね、ママ。あたし思うんだけど。
あたしも悪いけどさ、夏焼先輩も悪いと思うんだよね。
さっきなんてね、あたしの目をじっと見て
――梨沙子。選手のことばっかじゃなくて、梨沙子も具合悪くなったらちゃんと言うんだよ?
――無理することと頑張ることは違うんだからね?
なんて言ってくるんだよ。
ずるいよね、いつもそう。あたしの心を掴んで離さない。
あたしが捕まえられないの知っててああいうこと言うのかな?
あーずるい。
先輩のせいにしたら心が軽くなった。
あたしはいっぱい声を出して、いっぱい動いて、頑張る選手たちを応援した。
…ちゃんと平等にね。
- 33. 名無し募集中。。。 2009/11/14(土) 13:42:47.04 0
- キャプテンとして臨む初めての合宿
今年の夏まではずっと佐紀ちゃんの後をついて回っていたけど
今年はうちが先頭に立たなければいけない
色々大変だけど・・・うん、頑張って上手くならなきゃね
うちの活躍を楽しみにしてくれている愛理のためにも・・・
愛理に自慢の恋人だって思ってもらうためにも・・・そして、自分のためにも・・・
「はーい!じゃあみんな10分休憩!!」
まぁの合図を見て皆に声をかける
するとその瞬間・・・
「「「みんなーお疲れー!!!」」」
大きな声がしてはっと振り返ると引退した先輩たちが大きな袋をそれぞれ両手に持って体育館に入ってきた
- 38. 名無し募集中。。。 2009/11/14(土) 16:42:25.23 0
- みんな一斉に先輩たちを取り囲み懐かしそうに目をキラキラと輝かせていた
「差し入れ持ってきたからみんなで食べてね。ウフ」
大きな紙袋を顔の横に持ってきてニコっと笑った桃を
昔のようにみんなスルーすると他の先輩の紙袋へ手を伸ばしていく
「ちょっと!桃のも取ってよみんなぁ!」
そんな風景をあきれたように見つめているうちに冷たい飲み物が目の前に差し出された
「はい。みやの」
「キャプ…清水先輩。ありがとうございます」
「またキャプテンって言おうとしたでしょ」
「ついくせで」
いまだに慣れないキャプテンという役目
あんなにキャプテンの背中を見つめてきたつもりなのに
実際うちが見てたのは表だけで裏ではいろんなことを頑張ってたんだって
自分がキャプテンになって初めて実感した
「キャプテンってすごいよね」
「急にどうしたの?」
不思議そうに笑ってる清水先輩
「べつ…っ!」
別にと言い掛けたうちは何者かの衝撃によって吹っ飛ばされた
- 43. 名無し募集中。。。 2009/11/14(土) 21:28:40.67 0
- 高3の先輩が体育館に入ってきた瞬間みんなの顔が明るくなった
あたしは初対面だから少し輪から離れて様子を窺う
そしてバスの中で覚えた先輩たちの名前と顔を一致させていく
えっと・・・あのみんなからいじられている小さい人が確か嗣永先輩
で、嗣永先輩より少し背が高くてショートカットの人が清水先輩
あとはあの爽やかそうで背の高い人が矢島先輩・・・だよね
うん、完璧
小さくガッツポーズしているとママに呼ばれる
「梨沙子!先輩から頂いたモノを冷蔵庫に入れるの手伝って」
「あ、はーい!!」
- 63. 名無し募集中。。。 2009/11/15(日) 18:23:42.93 O
- 「いったいなあ!もも!」
「桃子先輩でしょ!」
ぶつかってきたのはやはりこいつ。いや、この人。
「みや!また佐紀とイチャイチャしてたでしょー!」
「しーてーまーせーんー!」
ぎゃーぎゃー言いながら絡んでくる桃子先輩。
うざい!ってキレそうになるけど、この感じがどこか懐かしくて心があったかくなる。
うざいももと、それに付き合ってあげる優しい舞美先輩。
呆れながら見てる佐紀ちゃん。
昔はこんな日常が当たり前だったのに、今じゃ懐かしく感じちゃうんだね。
「あれ?ねーねー、あの子誰?」
「あの子?」
「ほら!すーちゃんと一緒にいる可愛い子!」
- 66. 名無し募集中。。。 2009/11/15(日) 18:38:38.22 0
- ももが指をさしている先を見る
そこにはまぁに色々と指示をされながらせわしなく動いている梨沙子
「あぁ、あの子は二学期からうちのマネージャーとして入ってきた子」
「マネージャー?じゃあももの後輩だね!!」
「まぁ、そうなるね、おーい!梨沙子ー!!」
ももが興味津津の様子なのでうちは大声で梨沙子を呼ぶ
梨沙子は一瞬びくっとした様子だったけどうちが手招きすると
まぁに何やら話した後うちらのところへやってきた
目の前にきた梨沙子の周りをももはくるくる回ってみては
「可愛い!」やら「お人形さんみたーい!!」とか言ってはしゃいでいる
梨沙子はいきなり初対面の人にそんなことを言われて
うちに助けを求めるように見てきてうちは苦笑いを返した
- 70. 名無し募集中。。。 2009/11/15(日) 18:51:13.22 0
- 「ほら、梨沙子。挨拶は?」
「あ、えっと、中学三年の菅谷梨沙子です!よろしくお願いします」
「じゃありーちゃんだね!よろしくねっ♪もぉは、ももって言うんだ♪もも先輩かももちって呼んでね♪」
「あ、はい…」
いきなり馴れなれしくあだ名をつけられ、その上呼び方まで強制されて明らかに困惑してる梨沙子。
うん、分かるよその気持ち。うちもいきなり「みーやん」とか呼ばれた時はどうしようかと思ったから。
しかも、梨沙子はうちと同じ人見知りだもんね。
いきなりもも相手はきついか。
ももに抱きつかれてひーってなってる梨沙子をとりあえず放置して、
佐紀ちゃんや舞美先輩たちを呼んだ。
先輩たちに囲まれた梨沙子はビクビクしてて、相変わらずチラチラ助けを求めるようにうちを見てきて
なんかちょっと可愛かった。
- 72. 名無し募集中。。。 2009/11/15(日) 19:01:30.45 O
- いきなり先輩達に囲まれてあたしはテンパった
夏焼先輩に助けてって視線を送るけど先輩はニヤニヤして完全に放置・・・
かと思いきや急にあたしにめちゃぶりをしてきた
「梨沙子、先輩たちの名前覚えたんだよね」
「えっ!?」
な、なに言っちゃってんの?
あたしの戸惑いをよそに先輩達はすごーい!当ててみて!!って乗り気になっていて
あたしは一度夏焼先輩を睨みつけてからなんとか全員の名前を言うことができた
- 80. 名無し募集中。。。 2009/11/15(日) 19:55:33.20 0
- やっぱり先輩とこうやって練習すると刺激になる
うちらだけでもこんな雰囲気にしなきゃいけないんだろうけど・・・
でも今はせっかく先輩が来てくれたんだからいろんなことを盗むつもりでやろう
「みや、動きいい感じじゃん」
シュートの順番を待つ間に小春に声をかけられる
「そう?やっぱり先輩来てくれてるし気合い入れなきゃね
小春もがんばれ」
「小春は・・・亀井先輩来てくれてないし別に」
「そんなこと言わないの!」
小春は頬を膨らませてボールを突く
まったく小春ってやつは・・・
最終更新:2010年03月17日 00:42