533. 名無し募集中。。。 2009/06/28(日) 00:18:50.94 0
車に乗り込んで助手席にはキャップ、後部座席には私と梨沙子ちゃんが乗り込んだ。
梨沙子ちゃんは終始不安げな顔をして窓の外を見ている。

この子は愛理ちゃんがなぜいなくなったりしたのか気付いているんだろうか。
知っていたとしたら傷つけていると気付いているとしたら
ものすごく傷ついているんではないかと心配になる。
同時に数時間前まであんないやらしいことをしていたんだ・・・と思うと
本当に情けないけれど少しだけ梨沙子ちゃんもいやらしく見えてくる。

見かけによらず軽い子だと、キャップには言ったけれど
いや、実際そうなのだけれどこうして近くで見ていると・・・
みやが早々に手をつけた気がわからなくもない。
なんて言うとキャップに叱られそうだから言わないけど。

人形みたいに可愛らしい顔をしていて栗色でふわふわの髪の毛。
中学生のくせに身体つきはもう十分大人みたいで
胸も大きくて・・・なんて考えていると梨沙子ちゃんと目が合った。

「・・・・?」
「ご、ごめん。綺麗な髪だなぁって思って」
ごまかすように髪にそっと触れると梨沙子ちゃんは静かに笑って
「ありがとうございます」
とそう言った。

その顔にどうしても惹かれてしまった。
みやのモノ、簡単に抱かれちゃう軽い子、色っぽいカラダ、愛理ちゃん
全部が私の恋愛を面白おかしくする要素に思えてならなかった。

今日の放課後までの中途半端な感じじゃなく、
私は完全に恋に落ちていた。
この、女の子に。
534. 名無し募集中。。。 2009/06/28(日) 00:27:00.72 0
「梨沙子ちゃん?可愛い名前だね」
「あ、えっとはい・・・」
「乗って、家まで送るね」

熊井さんがまーさんと呼んだ茉麻さんはニコニコとした笑顔で
車のドアを開けてくれた。
私はお礼を言って乗り込み、隣には熊井さんが座った。

家までの距離はけっこうあるみたいで、
私は何もすることがないのでずっと窓の外を見ていた。
暗くて何も見えなかったりするけど。

愛理がいなくなって誘拐まがいのことをされて
何も出来なかった自分が不甲斐なくて
その理由もよくわからなくて。

ぼーっと目に入らない景色を眺めていた。
ふと、視線を感じて隣を見ると熊井さんが私を見ていた。
すぐに目が合うと熊井さんは微笑みながら
「綺麗な髪」と触れながら褒めてくれた。

その笑顔が柔らかくて温かくてみやとは全然違う種類の優しさで
言葉には出さないけれど励ましてくれているような
そんな気がしていた。
だけど勘違いでもいい、それでもいいから優しくされていると思いたかった。
一人は寂しかったから、怖かったから。

みやと愛理は今どこを歩いているんだろう。
ふと頭の中をそんなことが掠めていくのだった。
537. 名無し募集中。。。 2009/06/28(日) 01:07:42.94 0
なんとかして、手に入れようと思った。
もっといえば、奪ってしまおうと思った。
でもそんなことしたらキャプに怒られる。
「梨沙子ちゃん」
「え?何ですか?」
「そんなに不安?」
「え・・・?」
「隠さなくても分かってるよ、みやのこと好きなんでしょ?」
ハトが豆鉄砲食らったような、そんな顔でこっちをじっと見てる梨沙子ちゃん。
たぶん、まぁとキャプがいなかったらこの場で襲ってた。
「・・・でも付き合ってはくれないと思います」
「だろうね」
「・・・はい」
泣きそうになりながらうつむく梨沙子ちゃん。
こうなればこっちのもんだ。
「うちなら絶対梨沙子ちゃんを泣かせたりしないのに」
ボソっと。でもはっきり聞き取れるぐらいの声で呟いた。
538. 名無し募集中。。。 2009/06/28(日) 01:15:22.73 0
『うちなら絶対梨沙子ちゃんを泣かせたりしないのに』
この言葉が最初、なにを指すのかいまいちピンと来なかった。
でも、単語ひとつひとつをゆっくり受け止めていくと、その意味が見えてくる。
熊井さんなら、私を大事にしてくれるってこと・・・だよね。
「あ、これうちの連絡先。何かあったら連絡して。別に何もなくても連絡していいよw」
「あ・・・ありがとうございます。」
どうしよう・・・ドキドキする。
『ずっとうちのものでいてよ』
あんなみやの本気かどうかも分からない言葉よりずっと愛を感じる。
どうせ、これから先みやと会ったってみやの好きに抱かれて、弄ばれるだけなのに。
それならいっそ、熊井さんの胸の中で幸せにつつまれていた方が・・・
「梨沙子ちゃん?」
「うちはいつもでも君の味方だから」
この言葉で、均衡を保っていた天秤が、一気に崩れた。
539. 名無し募集中。。。 2009/06/28(日) 01:22:29.41 0
気付くとうちについていた。
須藤さん達にお礼をいい、部屋のベットに転がり込む。
ポケットの中には熊井さんの連絡先。
「とりあえずお礼だけ・・・」
『今日はほんとうにありがとうございました。』
一文にしとこう。ここで長文を使ったらがめつい女だと思われちゃう。
送信して数分。すぐに返事が来た。
返信の早さは愛情の深さを測るなんてよく言うから、これは嬉しかった。
さっそく、開いてみる。
『明日会える?』
あまりの展開に軽く携帯を投げてしまった。
「会えるって・・・いきなりそんな」
返信に迷っていると、またメールが来た。
みやからだ。
『次に会うのは明後日の放課後、うちにおいでよ』
なにそれ・・・どうせまたエッチして終りのくせに・・・
それなら熊井さんに悩みを聞いてもらいたい、話をしたい。
先に返信を送ろうと思ったのは、熊井さんだった。

最終更新:2009年07月03日 00:00