129. 名無し募集中。。。 2009/11/16(月) 19:50:50.89 0
シャワーを浴び終えてもも達がいる部屋に向かう。
その途中まぁと梨沙子ちゃんの部屋を通る時、うちは自然に足を止めた。

そういえば、さっき食堂いる時梨沙子ちゃん眠たそうだったなあ…。

ほんの興味本位だった。
まさか本当に寝てるなんて思ってなかった。
部屋を覗いたうちの目に飛び込んできたのは無防備に寝てる彼女。
うちが開けたドアから光が差し込んで彼女を照らした。
うちは彼女に見惚れてしまって、しばらく動くことができなかった。

「ん…眩し…い」
「あっ」

やば、起こしちゃった!ていうか部屋覗いてるとかうち変態じゃん!
慌ててドアを閉めようとしたけど…
遅かった。

「…熊井先輩?」

あーあ…見つかっちゃった。
130. 名無し募集中。。。 2009/11/16(月) 20:43:44.52 0
「お、おはよう」
ぎこちない挨拶
「おはようございます…」
まだ眠たそうに目をこすりながら起き上がった梨沙子ちゃん

その場に動けずに固まってるうちを不思議そうに見つめ
「熊井先輩?」と心配そうに問いかけた
「あ…、えっと…。もうミーティング始まってるみたいだったから呼びにきて…」
思わずついた嘘
それでも梨沙子ちゃんは何の疑いもなくそれを聞き入れると
慌てて「いけない!」と髪型を整えうちの目の前まで走ってきた

「もう始まっちゃってますよね!?」
「え、あ、うん。たぶん…」
「すいません!あたしマネージャーなのに…」
「あぁ、大丈夫だよ。今やってるミーティングは桃子先輩の趣味みたいなもんだから」
「趣味?」
「うん。とりあえず、行こっか」
そう言って部屋を出るとうちの後ろをひょこひょこと梨沙子ちゃんがついてくる
なんか犬みたい
そんな可愛い姿に思わず笑いそうになった
143. 名無し募集中。。。 2009/11/16(月) 22:50:36.61 0
もも先輩の部屋の前まで行くと外からでも聞こえるくらい大きな声が聞こえる
この声はきっと千奈美先輩

『愛理ちゃんとどこまで進んでんの?』

え…?
一瞬世界の全てが時間が止まったかのように
何も聞こえなくなりその後すぐに

『顔赤くなってる!ということはやっちゃったんだー!』

やっちゃったって…
それって…
考えたくもないことが頭を巡りその間脳内でフラッシュバックされるのは夏焼先輩の笑顔や
優しさ、手の温もりだった
恋人同士だしそうなるのはわかってるのに…
どうしてこんなに胸が苦しいんだろう…
気づいたらあたしの足は桃子の先輩の部屋ではなく外へと向かっていた
145. 名無し募集中。。。 2009/11/16(月) 23:01:53.48 0
突然目の前から走り出した梨沙子ちゃんをうちは無我夢中でおいかけた
意外に足早いよ…
宿舎から少し離れた場所でやっと捕まえたときには息もきれていた

捕まえたはいい物のかける言葉も見つからずどうしようかと模索した
うつむき何も言わない梨沙子ちゃん…
どうしよう…こういう時ってなんていえばいいの…

「あっ!ねぇ、これから探検しよっか?」
「え?」
「いいからいいから」
無理矢理、を引き歩きだすとさっきのように
ひょこひょこ何も言わずついてくる梨沙子ちゃん
やっぱ犬だ
149. 名無し募集中。。。 2009/11/16(月) 23:07:40.27 0
熊井先輩に引かれるようにしてついていく
正直今はそんな探検云々言ってるほど心に余裕はなく
今にも泣きそうなのを堪えるのに必死だった
だから熊井先輩の行動がよくわからなくて…
イニシャル通りにKYなのかと思ってしまった…

「着いた」
「すごい…」
着いた河原には無数の蛍が飛び交い眩い光を灯らせていた
あまりの綺麗さに見とれていると
「やっと笑った」
なんて優しい笑顔で囁くからついうつむいた…

「あのここどうして…」
「さっき自主練してるときに見つけたんだ。本当は独り占めしたかったんだけど、
梨沙子ちゃん元気になればって思って」
150. 名無し募集中。。。 2009/11/16(月) 23:12:31.72 0
口では飄飄としたように言ってるけどうちの心臓はさっきから破裂寸前だ
今だって梨沙子ちゃんの横顔に見とれていた

なんでこんなに綺麗なんだろう
なんでこんなに惹かれるんだろう

なのに、
なんでこんなに遠くに感じるんだろう

きっとうち・・・初めて会ったときから梨沙子ちゃんのことが・・・
155. 名無し募集中。。。 2009/11/17(火) 00:27:17.94 0
「あ、あのさ・・・」
「はい?」
「す・・・」
「す??」

――・・・好きです

言おうとして言葉を飲み込んだ
情けなくて頭を乱暴に掻いた

「先輩?」
「あ、ううん・・・なんでもない・・・」

はあ・・・
こんなにはっきり分かってる気持ちなのに、どうして言葉に出来ないんだろう・・・
困らせたくないから?
嫌われたくないから?

この子の好きな人を知ってるから?
162. 名無し募集中。。。 2009/11/17(火) 13:32:22.49 0
熊井先輩が連れてきてくれた
キラキラした蛍の空間・・・・・・・・
これを夏焼先輩と一緒に見れたら―――・・・

『愛理ちゃんとどこまで進んでんの?』
『顔赤くなってる!ということはやっちゃったんだー!』

忘れたくて逃げ出したハズなのに
あたしの頭の中には夏焼先輩がいて。
先輩の一挙一動に、あたしは一喜一憂してて
バカみたい、叶うハズのない想いなのに。
163. 名無し募集中。。。 2009/11/17(火) 13:41:24.30 0
・・・梨沙子ちゃん蛍に見惚れてるなぁ。
そんな横顔も絵画の様に綺麗・・・あ・・・!

すぐ側にいるのに気づかないくらい
いや、本人も気づいてないのかもしれない。
それはとても静かに・・・
梨沙子ちゃんの横顔から一筋の涙が頬を落ちていく・・・
ああ、この瞬間、この表情は・・・うちが生まれてから
今まで見てきたモノの中で、間違いなく1番綺麗だと思った。


君の好きな人は知ってる・・・
うちじゃダメだって!
・・・頭の中で解ってるつもりだった・・・


でも身体は反射的に梨沙子ちゃんを抱きしめていた・・・
164. 名無し募集中。。。 2009/11/17(火) 13:50:10.24 0
「・・・熊井、先輩?」
「あ・・・・・ごめん・・・でも」
何故か急に視界がぼやけたと思ったら次の瞬間
どうやら熊井先輩に抱きしめられて、る??

「ほっとけない・・・梨沙子ちゃん見てると、ほっとけないんだよ・・・!」
「・・・・・・え?」
搾り出すような熊井先輩の切ない声にビックリした。
普段はどちらかというとほんわかした感じの声なのに・・・

「うちなら泣かせない・・・」
「あ、あの・・・アレ?あたし泣いて・・・?アレ??」
確かにあたしの目からは涙が溢れていた。
まるでダムが決壊したかのように・・・止まらない涙。
165. 名無し募集中。。。 2009/11/17(火) 13:58:45.20 0
抱きしめる力が急に強くなって密着していた身体がさらにくっつく。
慰めてくれてるのかな・・・熊井先輩。
そう思ったのも数秒
次の瞬間に驚きの言葉が待っていた・・・

「うちにしなよ・・・
あの人を好きでいたって苦しいだけじゃん・・・
辛そうな梨沙子ちゃん、見たくないんだ・・・・・・
うちなら、うちは泣かせない!
梨沙子ちゃんのこと好きだから・・・うちなら」



『絶対に梨沙子ちゃんを泣かせない』



最後の方は強い口調でハッキリと言われた・・・・・
166. 名無し募集中。。。 2009/11/17(火) 14:13:11.96 0
言うつもりなんてなかった。
だけど、泣いてる梨沙子ちゃんを見たくないって
そう思ったら、っていうか思うよりも先に
体が勝手に抱きしめちゃってて・・・
そこからは一気に自分の気持ちぶつけて・・・うちダメじゃん。
でも、僅かでも・・・チャンスがあるなら
そんな数%もないようなチャンスにかけるくらい
うちは梨沙子ちゃんのことが・・・好きなんだ。

言い終えた後、少し間があってからグイっと身体を押され
うちを見上げる梨沙子ちゃん・・・
潤んでる薄茶色の、まだ泣いてる目は何かを訴えているようだった。

「熊井先輩の、気持ち嬉しい・・・でも」
「・・・はぁ――・・・・やっぱり、うちじゃダメ?」
「ダメ、っていうか・・・あたし・・・」
「うん」
「夏焼先輩のこと、先輩への想い忘れようとした・・・でも、ダメだった」

「・・・うん」
「辛くても、みっともなくても・・・あたし夏焼先輩が好きなんです」
「・・・・・知ってる」
「・・・ごめんなさい。」
深く頭を下げる梨沙子ちゃん。
零れ落ちる涙・・・この涙は今はうちの為と思っていいのかな?

「あ〜・・・うん、梨沙子ちゃんの恋、うちも応援するから・・・さ」
栗色の頭をポンと撫でて上げさせた。
うち、今ちゃんと笑えてるかな?
167. 名無し募集中。。。 2009/11/17(火) 14:13:22.04 O
夏焼先輩からはきっと言ってもらえない言葉
そして愛理ちゃんはきっと夏焼先輩に言ってもらっている言葉

言葉自体はとても重くてそんな言葉を自分が誰かに言われるなんて幸せなことのはずなのに

なんでこんな時でも夏焼先輩のことを考えちゃうんだろう
168. 名無し募集中。。。 2009/11/17(火) 14:17:38.89 0
ホントは応援なんかしたくない。
今すぐキスしたい。
でも・・・無理矢理になんて、したくない。
大切にしたいから。
梨沙子ちゃんも、うちの初恋も。

告白しなきゃ良かったのかもしれない。
でも、でも――――――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今は、今だけは我慢しよう
涙を零すのを。
落ち込んでる梨沙子ちゃんを元気づける。
それが目的だったじゃん。


―――うち、今ちゃんと笑えてるかな?
最終更新:2009年11月19日 01:09