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もしもみやびちゃんと梨沙子が同じ学校の先輩後輩だったら @ ウィキ
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もしもみやびちゃんと梨沙子が同じ学校の先輩後輩だったら @ ウィキ
第36章~本編~
760.
名無し募集中。。。
2009/12/08(火) 22:56:57.27 0
少し時間が空いて、うちは小春に呼ばれた。熊井ちゃんはと千奈美が呼びにいったみたい。
熊井ちゃんと並んで、二人の話を聞いた。
「じゃあ、1on1で10本先取した方の勝ち。それでいい?」
小春がちょっとめんどくさそうにそう言う。
ごめんね小春。でも、ありがとう。ちゃんと、考えてくれて。
「ハーフコートで、ディフェンスとオフェンスに分かれてやってもらうね。
シュートが入ったりボールがコートの外に出たりディフェンスがボールを奪ったら攻守交替。
先に10本決めたら勝ち。みやも、熊井ちゃんもわかった?」
千奈美がボールを脇に抱えながらそう言った。
臨むところだ。気合がどんどん入ってくる。
でも・・・1on1は・・・近い。体がぴったりくっつくようなこともあるから・・・だから・・・・。
そう思うと、手が震えてくるのがわかった。ぎゅっと拳を握って誤魔化すけど
震えが止まらない。どうしよう、もう・・・始まってしまう。
先輩として、キャプテンとして負けられないのに・・・なのに、・・・。
「どっちが先にオフェンスやる?」
「・・・・熊井ちゃん好きなほう選んで」
強がってそんなことを言う。本当が動揺していてうまく考えられないだけなのに。
「じゃあ・・・オフェンス」
「おっけー。はい」
熊井ちゃんに千奈美がボールを手渡した。
拳を握り締めたまま、うちはボールを持った熊井ちゃんの前に立った。
そして、笛が鳴る。
767.
名無し募集中。。。
2009/12/08(火) 23:31:12.96 0
夏焼先輩と熊井先輩の勝負をあたしはコートの隅で見守った
あたしの気持ちは正直複雑だ
だって一人は昨日あたしに・・・告白してくれた人で・・・
その相手はあたしの好きな人で・・・
あたしはこの勝負をどうやって見ればいいのかわからなかった
なんて始まるまではそう思っていたはずなのに
気が付いたらあたしはやっぱり夏焼先輩の姿を目で追ってしまっていた
770.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 05:05:43.75 0
1on1に承諾はしたものの正直みやに勝てる自信なんてなかった
チームのエースでキャプテン
そんな人に勝てるのなんて今のチームにはいないと思ってたし…
でも、もしも…もしも勝てるようなことがあったらあたしは…
あたしは…勝って何がしたかったんだっけ…?
ピーっという笛の音と共に目の前にはDFの構えをするみやの姿
振られたのに未練がましく梨沙子ちゃんを追いかけるため?
梨沙子ちゃんに曖昧な態度をとるみやが許せないから?
それとも…
うちの視線は知らないうちにまぁのほうへ向いていた
心配そうにコートを見つめるまぁ
「熊井ちゃん?」
徳永先輩のその声でうちは我に戻るとドリブルをつき目の前のゴールを見据えた
776.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 13:27:14.64 0
ダンッ!とボールを弾ませドリブルで切り込む。
みやのディフェンスを横から・・・
あ、れ?
うちが想定していたみやのディフェンスは無く。
意外にもうちは30秒も経たずに1本目のシュートを決めた・・・・・・。
振り返ってみやを見たらうちの方を向いてなくて
始まってから動いてなかったという事実に気づくのには少々時間がかかった。
777.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 13:39:48.29 0
震えるな!震えるな!
自分に言い聞かせてディフェンスをしようと思った。
でも始まって目の前で熊井ちゃんがドリブルした瞬間
フラッシュバックされる”過去”
頭が真っ白になる・・・・・・
ピーッ!という笛の音が聴こえた気がした。
それが熊井ちゃんがシュートを決めた音だとわかったのは
外野で見てる小春の声で
「みや何やってんのー!動かなきゃ勝負になんないじゃん!!」
「・・・あ・・・・・・」
振り返るとなんとも言えないような表情の熊井ちゃん
「・・・・・次、先輩のオフェンスです」
ボールを拾ってうちに渡す。
若干強めに渡されたのは気のせいじゃない。
その直後に「本気で来てください」なんて睨まれちゃ・・・本気で行くしかない。
でも・・・
開始して5分も経たない間にうちは一人で何を葛藤してるんだろう・・・
コートに入ったら勝負!
仲間だってライバル!!
うちはまた言い聞かせるように心で繰り返す。
過去に怯えながら―――――・・・・・・・・・
780.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 15:33:04.82 0
「交代、熊井ちゃんDF。みやいい?」
珍しく真剣な顔をした千奈美に言われて頷いた。
熊井ちゃんがDFの構えをしてる・・・でも
うちはその場を動かずシュートを打つ
入れば衝突の不安を考えずにすむ。
うちの行動に外野はザワついた。
熊井ちゃんはリバウンドに走ったけど
シュートはリングをパサッと通過した。
ふー・・・と胸を撫で下ろした・・・
その直後にバァンッ!と大きな音にビックリする。
熊井ちゃんが拾ったボールを床に叩き付けた音だった。
「・・・みや、全部こういうコトする気?」
「え・・・熊井、ちゃん?」
「こんなの勝負じゃないじゃん!する気ないじゃん!!」
熊井ちゃんが叩きつけたボールが床を転がる。
「熊井ちゃんの言う通りだよ。
みや、全部ロングシュートにする気?
小春はそんなつまんないプレイするみやを見たくないよ」
ボールを拾い上げて小春が言う。
「まあまあ!まだ1ターンずつだしね!!
次々行こうか!!」
笑いながら千奈美が半ば強引に進めてくれた。
781.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 15:46:47.25 0
2度目のオフェンスでも動けなかった。
熊井ちゃんがシュートを決めた後
静まる体育館にはゴールしたボールの僅かに弾む音だけが虚しく響いた・・・。
「・・・あ・・・・・」
「みやのターンだよ・・・次はロングシュートじゃないよね?」
熊井ちゃんが冷たい目でボールを投げて渡してくる。
震える手で受け取る。
「みや!いつまで逃げるつもり?」
外野からキャプテンの強い声が追い討ちをかける。
ダメだ・・・うち、ダメだよ・・・
「・・・ごめん・・・・・」
周りの沈黙、熊井ちゃんとの1on1。
この場にいるには、うちはまだ勇気がなくて
勝負する力もなくて、無理だって・・・全てを放棄した
渡されたボールを床に置いてそのままうちは走った。
いや、逃げたんだ。
熊井ちゃんが言った通りだった。
うちは逃げてる。
過去に立ち向かおうなんて・・・思ってるけど!
そんな簡単にはいかないんだよ!!
振り返らずにただ走った。
逃げて、逃げて、その先には何があるんだろう?
782.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 16:00:05.06 O
先輩が体育館から出て行った
その時に一瞬見えた先輩の表情は泣きそうで・・・
あたしはただそばにいたいって思った
「りーちゃん!?」
後ろからもも先輩の慌てたような声が聞こえた
だけどあたしはそれには振り向かず先輩の後を追った
783.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 16:33:21.22 0
「先輩!待って!」
後ろから声が聞こえた。
すぐに分かった。梨沙子だ。梨沙子がうちを追いかけてるんだ。
でもうちはスピードを緩めることなく走り続けた。
どこに向かってるか分からないけど、走り続けた。
「夏焼先輩!!」
だんだんと梨沙子の声が遠くなっていく。
それでも梨沙子はうちを呼び続けた。
梨沙子がうちの足に追いつけるわけないのにずっと追いかけてくる。
けどうちは決して止まろうとしなかった。
梨沙子、もういいから・・・さっさと諦めなよ・・・
いいんだよ、こんな最低なキャプテンほっといていいんだよ・・・
「せんぱ・・・あぁっ!!」
「え・・・?」
あれだけ頑なに振り返らないと決めたのに、うちは咄嗟に足を止めて振り返った。
「・・・バカ梨沙子」
足遅いくせに追いかけるからだよ・・・
うちは転んでる梨沙子を遠くから眺めながら、溢れ出た涙を乱暴に拭った。
784.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 16:51:16.69 0
追いつけないと分かっててもあたしは先輩を追いかけ続けた。
必死に、見失わないように、全力で。
でもやっぱり先輩は足が速くて、どんどん距離を離される。
どんなに名前を呼んでも先輩は止まってくれなくて、息がどんどん苦しくなる。
「せんぱ・・・あぁっ!!」
・・・っ痛ぅぅ〜。
うわ、血出てる・・・
こんな豪快にこけたのいつぶりだろう・・・
でも立たなきゃ・・・先輩を見失っちゃう・・・
そう思ってるはずなのに痛くて立ち上がれなくて、無性に悔しくて涙が地面に落ちた。
785.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 17:00:09.46 0
「・・・バカ梨沙子」
肩で息をしながら近づいてきたその声はあたしが追いかけてた・・・
夏焼先輩の声――――・・・
「っとにドジなんだから・・・って血出てるし!」
真っ赤な目をして普段通りな素振り。
あたしの持ってたタオルを取って血の出てる膝に巻いてくれる。
「先輩が、走るから悪い!!グス・・・」
「泣き虫・・・追ってこなくていいじゃん。うちなんか」
「・・・『なんか』じゃないです・・・夏焼先輩は『なんか』じゃないもん」
「ダメダメキャプテンだよ・・・逃げちゃったし・・・」
先輩は悔しそうな悲しいような複雑な顔で俯いた。
あたしの知らない先輩の何か・・・なんなんだろう・・・?
聞いても、いいのかな?
786.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 17:10:19.10 O
先輩に巻いてもらったタオルをぎゅっと握りしめる
あたしが知らない先輩の過去
すべてを受け止めることはできないかもしれない
何の役にも立たないかもしれない
だけど先輩が悩んでいるなら一緒に悩みたい
苦しんでいるならそばにいたい
だから・・・
「先輩、あたしが入る前に・・・何があったんですか?」
787.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 17:32:39.02 0
先輩は一瞬俯くと、すぐにあたしの目を見て小さく微笑んだ。
「・・・やっと、聞いたね」
「え?」
「ホントはずっと気になってたんじゃないの?」
穏やかな声でそう言われて、そっと指で涙を拭ってくれた。
そして「立てる?」と体を支えて立たせてくれた。
「あっち、座ろ・・・」
手を引かれて近くにあった段差に座らされる。
先輩はあたしの隣に座ると、ふぅと息を吐いた。
「・・・ごめんね」
「え?」
「梨沙子が一緒に頑張ろうって言ってくれたから、戦おうって思えた。けど・・・やっぱり駄目だった」
「・・・先輩」
「うち、ダメだったよ・・・」
803.
名無し募集中。。。
2009/12/09(水) 21:56:46.30 0
「そんなつもりじゃなかったんだ・・・」
夏焼先輩は拳を握りしめて絞り出すような声で話し始めた
「あれは夏の全国大会の準決勝だった・・・」
『中学の時から周りの人にうちのライバルだって言われている子がいたんだ
うちと年も同じで、向こうの方が少し背は低いけど
技術力とか精神力とか全てが凄くて・・・
うちはみんなからライバルって言われてたけど絶対肩なんて並べられてないってずっと思ってた』
先輩の話を聞きながらそんなすごい選手が他校に・・・?ってあたしは漠然と思った
だって先輩はすごくうまいのにそれよりも上って・・・
『それが悔しくて、追いつきたくて必死に練習した
高校に入ってからも向こうの学校も強豪校だったから絶対勝ちたくて
それもあってさ、ちょっとは自分の実力にも自信がついてきて
やっと向こうと互角に戦えるかもしれないってそう思ってきた矢先だったんだ・・・
ライバルだったけどうちらはプライベートではメールのやりとりもする仲でさ、
あの大会の前も決勝で会おうなんて約束したりなんかしてさ
でも、うちらはめぐり合わせで準決勝でぶつかったんだ・・・
そしてその試合でうちは・・・』
832.
名無し募集中。。。
2009/12/10(木) 16:45:34.82 0
『その日のうちは足が動いてなかった
なんだろう…自分の想像以上に疲れが溜まってたのかな
シュートが決まらなくて、その子…村上愛も抑えられなくて
明らかにみんなに迷惑かけてた
だけど監督はうちを使い続けてくれた
キャプテン…清水先輩はうちにパスを出し続けてくれた
ちーや小春、まぁも必死に声出してくれた
でも、それでも応えられない自分に腹が立って…』
841.
名無し募集中。。。
2009/12/10(木) 22:43:42.09 0
『あのときは・・・そうだ、矢島先輩からのパスだった
みや、走れって大きな声で言われてドリブルしようと前を向いたら
村上愛がいて、・・・・めぐはディフェンスが上手くて、絶対取られるって思った
でも、絶対それは避けなくちゃいけないことで・・・うちは強引に・・・
強引に肩を使ってめぐの身体を押し返してさ、めぐはえ?ってちょっと戸惑ってた
今までそんな強引なプレーしたことなかったし・・・でも、ファール覚悟で突っ込んだんだ・・・
そのときめぐはバランスを崩して・・・それで、・・・めぐは・・・・めぐは・・・
うちが一歩出していた足に引っかかって・・・・そのまま後ろに倒れこんだんだ』
先輩はそこまで喋って口を閉ざしてしまう。
悲しそうなつらそうな顔のまま、じっと前を見ている。
何を考えているんですか・・・?
「先輩・・・村上さんどうなったんですか?
「・・・・・そのときにさ、思いっきり足を捻ったんだ・・・めぐ」
「はい」
「でね・・・靭帯損傷だって」
「えっ・・・・」
「全治何ヶ月とかで・・・それで・・・復帰は難しいかもしれないって・・・」
「・・・・・そんな」
聞きたい、そう言ったのに。なのに何も言えなくなった自分が悔しい。
でもなんて声をかければいいのかわからない。
今度は、私が口を閉じてしまった。
843.
名無し募集中。。。
2009/12/10(木) 23:33:18.80 0
「あの時のこと鮮明に覚えてる・・・気づいたらめぐが蹲っていて」
『ヤバイ!!救急車!!』
『村上!立てるか!?』
「めぐの悲鳴がずっと耳から離れないんだ・・・」
そう言って先輩は目をぎゅっと閉じた
「先輩・・・」
「その後うちは病院に行ったんだ・・・だけどめぐの足は・・・」
『何しに来たの?』
『なにもかもあんたのせいよ!』
『もうあんたの顔なんて見たくない』
「言われて当然なんだ・・・そのあとの決勝は最悪だったよ
うちは何もできなくてチームに散々迷惑をかけて最後もシュートを決め切れなかった」
「・・・」
「先輩達の最後の試合をうちがダメにしたんだ・・・」
「最低なんだ、うち」
845.
名無し募集中。。。
2009/12/10(木) 23:59:59.33 O
「そんなこと、言わないで下さい…
先輩は最低じゃないです…」
「…さっきの熊井ちゃんとの試合も、結局逃げ出して…
梨沙子にもケガさせちゃったね。ごめん」
「あたしはこんなケガ慣れっ子だし!すぐ治るもん!!」
沈んだ先輩を少しでも元気づけたくて強がってみた。
実際あたしよくぶつけてケガしちゃうし…。
「……幻滅、しないの?」
「幻滅?どうして?するわけないじゃないですか。
悩んで、答えを出せる…
結果を出す?かな…
先輩はそうやって過去を乗り越えたいんでしょ?
一生懸命、目標に向かう人に最低も幻滅もないです。
…少なくとも、あたしはそう思うから……」
梨沙子の熱の籠もった薄茶色の瞳が印象的だった。
うちは何も言えなかった………
「先輩!?どこか痛いんですか?」
「え?あ、あれ…なんか……何だろ、これ止まん、ない――」
ずっと誰かに言って欲しかったのかもしれない。
逃げてないって…うちなりに立ち向かってるつもりだって…
気づかない内に溢れ出る涙―――
うち、変わらなきゃ―――――
846.
名無し募集中。。。
2009/12/11(金) 00:13:56.11 0
「ありがとう・・・」
「!!!!」
そう言われたかと思うとあたしは先輩に抱きしめられていた
あまりの突然の出来事に体が固まってしまうあたし
だけど先輩の涙はやっぱり綺麗だと思った
つらくい思いをして苦しんで傷ついた先輩―――
なのにいつも優しくて明るい先輩―――
あたしは先輩のために何ができる・・・?
気づいたらあたしは無意識に先輩の背中に腕を回していた
852.
名無し募集中。。。
2009/12/11(金) 08:43:17.95 O
ありがとう……
梨沙子をぎゅっと抱きしめた。
うち、変わらなきゃ。変わりたい。変わりたいんだ。
コートに戻ってみんなに謝らなきゃ。
でもみんなが受け入れてくれなかったら…
受け入れてくれたとしても、また逃げ出してしまったら…
また同じことを繰り返してしまったら…
そんなことが頭をよぎって、梨沙子を抱きしめる手が少し震えた。
「ねぇ先輩」
「……」
「人って、物凄くつらいことはね、誰だってすぐには乗り越えられないと思うんだ」
「…え?」
「だから、もし先輩がまた体育館から逃げ出しちゃっても、絶対あたし追い掛かけますから」
「…梨沙子」
「何度だって追い掛けます。絶対、何があっても迎えにきますから」
「……」
「だからね、先輩」
「一緒に、戻りましょう」
そっか…そうだったんだ…
梨沙子が言ってた『一緒に頑張ろう』って、こういうことだったんだ…
「……ありがとう」
例え躓いたって、転んだって、梨沙子がいてくれるならうちは何度だって立ち上がれる。
一緒にまた立ち向かえる。
そんな気がした。
854.
名無し募集中。。。
2009/12/11(金) 10:17:11.37 O
「梨沙子…足、大丈夫?」
「大丈夫……っ痛!」
戻ろうと思ったけど梨沙子の膝に巻いたタオルは真っ赤に染まってて…
立ち上がろうとした途端、崩れるようにしゃがみこんだ。
「ごめん…うちが逃げたせいで…」
「追ったのはあたしです!勝手に転んだのも、あたしです!」
強がる口調と裏腹にきっと痛みに震える梨沙子の身体…
こんなに、心配と迷惑かけちゃったか。
ホント、うち変わらないと――
「梨沙子、ほら。」
「え?」
「『え?』じゃなくて、こんなに出血してんの歩かせられないよ。
ドジな梨沙子を走らせちゃったのはうちの責任。
だから梨沙子はうちがおぶって戻ります〜!!」
梨沙子は一瞬で顔を真っ赤にさせて
「いいです!歩けます!」
物凄い拒否をした。
全く、支えになったりドジしたり…梨沙子って、なんか…
なんか可愛いよね。
855.
名無し募集中。。。
2009/12/11(金) 10:27:49.57 O
結局5分くらい「おぶる」「いいです!」を繰り返して…
いい加減、出血が気になるし悪化させて取り返しつかなくなっちゃ大変だって……
「梨沙子がもし、このケガでうちの側からいなくなったら
うちが困るからおとなしく背中に乗って?」
「ゆ〜……」
「ね?ほら、涙目なってんじゃん。
お願い、うちがおぶるのヤダ?」
梨沙子は首を横にブンブン振って
「あたし、重いもん…」
なんて真っ赤な顔して、それこそ泣き出しそうな顔して言うもんだから
つい吹き出しちゃって。
そこから拗ねた梨沙子のご機嫌をなんとか取って背中に乗せた。
857.
名無し募集中。。。
2009/12/11(金) 10:56:00.99 O
…重くないと言ったらウソになる。
でも梨沙子はうちより背が高いしこんなもんじゃない?
そんなに気にしなくていいのに…
背中で不機嫌な梨沙子は膨れっ面で黙ったまんま。
「りーさこ!そんなに重くないって」
笑いながら言ってみたら
「『そんなに』………やっぱり、あたし重いんですね…」
「じゃなくて〜…あ!ほ、ほら昨日の夜!!」
「ゆ〜?」
「うちがカップ麺買ってあげたじゃん?
きっとその分だよ!
うん、普段の梨沙子は軽いよ!」
ホントにそう思ったから言ったんだけど………
梨沙子は余計に黙ってしまった。
膨れっ面じゃないけど少し凹んでるように見えた。
う〜ん、難しい年頃だ…。
858.
名無し募集中。。。
2009/12/11(金) 11:16:52.57 O
夏焼先輩の背中は暖かかった
華奢で小さいけど頼もしくて、
だけど傷付いて悲しみを隠した先輩
あたし、先輩の力に少しはなれたかな?
あたし、先輩の特別に少しはなれたかな?
860.
名無し募集中。。。
2009/12/11(金) 12:57:39.49 0
もうすぐで体育館に着く
うちは大きく息を吸った
『何度だって追い掛けます。絶対、何があっても迎えにきますから』
ありがとう、梨沙子
うち、梨沙子が迎えに来てくれたからここまで戻ってこれたよ
一人だったら本当にあのままどっか行ってたかもしれない
『ありがとう』はもう言わない
その代わり、この気持ちを今から行動で示すから
どこまで出来るか分からないけど・・・
また、立ち止まっちゃうかもしれないけど・・・
『一緒に、戻りましょう』
大丈夫、何があったってきっと梨沙子だけは側にいてくれる
何度だって勇気をくれる
何度だって迎えにきてくれる
だから、まだ少し怖いけど、うちは一歩を踏み出すよ
「・・・梨沙子、行くよ」
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