225 :名無し募集中。。。:2009/12/24(木) 00:31:06.84 0

    「それより茉麻どこ行ったんだろ」
    泳げない茉麻のことだしきっと砂浜にはいるはずなのに
    辺りを見回してみるとビーチバレーをしている徳永先輩達の横で一人
    パラソルを立ててる茉麻がいた
    額には汗がにじみ時折徳永先輩達に
    「手伝ってよ!」なんて大声をあげている

    そんな光景にうちは小さく微笑む
    「飲み物買っててあげるか」



226 :名無し募集中。。。:2009/12/24(木) 00:41:27.97 0

    「すいません。オレンジジュース2つ」
    近くの海の家で飲み物を頼んでいるといきなり後ろから誰かに両腕を掴まれた

    「ねぇ、一人?」
    「え?」
    「あたし達とあっちで遊ぼうよ」
    「え?え?」
    初めてのことで動揺を隠し切れないでいるうちをいいことを
    「いいじゃ~ん」とみるみるうちに腕を引かれていく

    「え、ちょっ…!うちまぁに飲み物!」
    「そんなの後であたし達で買ってきてあげるよ」
    「で、でも…!」
    「いいからいいから」
    引きずられるようにして二人のお姉さんに連れていかれるうちは
    どんどんまぁやみんなの場所から遠ざかり仕舞いには人だかりで全く見えなくなってしまった…
    どうしよう…



232 :名無し募集中。。。:2009/12/24(木) 03:21:14.81 0


    「あ、あの!うちやっぱ帰ります!」
    「いいからいいから」
    「よくないです!」
    腕を振り払おうとしてもまとわりつくように絡められた腕はまったくほどけなくて
    これ以上前に進まないようにどうにかこうにか踏ん張るしかなかった

    「…熊井ちゃん?」
    ふいに自分を呼ぶ声が聞こえ振り向くとジュースを片手にもったまぁが立っていた
    「まぁ!」
    「なにやってんの?」
    眉間にしわをよせ怪訝そうな顔でまぁはうちを睨みつける…
    絶対ここ砂浜じゃなかったら殴られてる…
    「ちがうの!これは…!」
    弁解しようにも両腕には女の子
    そして「早く行こうよ~」と甘え口調で話す彼女たちの態度に
    どうしても上手い言い訳が出てこない…



233 :名無し募集中。。。:2009/12/24(木) 03:31:02.84 0

    「へぇ~。あ~そう。あたしが一人でパラソル立ててる時に、熊井ちゃんは女の子と遊んでたわけ?」
    「ちがっ…!」
    「もういい。知らない」
    そう言って背中を向け走り出したまぁを追いかけようと一歩踏み出したが
    女の人に腕を引っ張られ引き止められる

    「あの離して…!」
    「いいじゃん、あんな恐い人」
    「そうだよ。ほっときなよ。ちょっと可愛いからウザイじゃん、あーゆうの」
    まぁがウザイ…?
    いつも自分より他人の心配ばっかして、優しくて、メンバーのことを誰よりも見てるまぁがウザイ…?

    「いったぁ…。何すんの!」
    気付くとうちは女の人を突き飛ばしいた
    「あんたにまぁの何がわかんの?まぁを悪く言うやつは許さないから」
    そう吐き捨てうちは慌てて走って行ったまぁの後を追いかけた


250 :名無し募集中。。。:2009/12/25(金) 01:04:19.06 0

    あの場にいるのが辛くあたしは思わず走りだし合宿所へ続く道へ一人戻る
    熊井ちゃんのバカバカバカバカ
    あたしがどんな気持ちで…

    「まぁさん!」
    あたしのことなんてなんとも思ってないのになんで追いかけてくるの…
    もうわけわかんない…

    「まぁ!待ってよ!」
    合宿所の目の前で追いついてきた熊井ちゃんの大きな手があたしの腕を掴み引き止める


252 :名無し募集中。。。:2009/12/25(金) 03:06:21.91 0

    「なんで追いかけてきたの」
    「…え?」
    「早くあの人たちのところ戻りなよ」
    そう熊井ちゃんを冷たく突き放し宿舎に戻ろうとすると
    掴まれていた腕が思いっきり引かれあたしは吸い込まれるように熊井ちゃんの胸に収まった

    「うちは…まぁと居たいから…」
    よりいっそうぎゅっと抱きしめられて熊井ちゃんの心臓の音がすぐ傍で聞こえる
    早く脈打つ鼓動が自分のと重なり小さなメロディを奏でているようだった
    「なにそれ…。意味わかんない…」
    「まぁ?」
    「昨日まで梨沙子梨沙子言ってたくせに、今朝になってケロっとしてて、それになに?
    海で女の人とイチャイチャして…熊井ちゃんずるいよ…」
    潮風が目にしみて涙が出てきてるんじゃないことくらい自分でもわかるのに
    どうしてもこの涙を抑えることができなくて小さな雫が熊井ちゃんの腕に落ちていく


348 :名無し募集中。。。:2009/12/28(月) 01:55:37.71 0

    「ずるい…ずるいよ…」
    そういうしかできないあたしを壊れそうなあたしを
    そっとぎゅっと熊井ちゃんは後ろから包んでくれている

    「梨沙子ちゃんのこと吹っ切れたのは、まぁが居てくれたからだよ。
    まぁがいなかったらうち立ち直れてなかったと思う」
    「それって…あたしは熊井ちゃんにとってただの休める木陰でしかないんだよね」
    「ちがっ!そういう意味じゃ…!」

    わかってた…
    わかってたのにどうしてこんなに胸が苦しいんだろ…
    それくらいあたしの中で熊井ちゃんは大きくて大切な存在だったのかな
    なんて今更気付いて余計に胸が痛い

    熊井ちゃんが寂しいときにだけ思い出すようなあたしならいらない…


350 :名無し募集中。。。:2009/12/28(月) 02:21:37.97 0

    「ごめん、あたしみんなの夜ご飯用意しなきゃ…」
    まだ何か言いたげな熊井ちゃんの顔を見ないようにそっと離れようとしたのに
    それを引き止めるかのように熊井ちゃんはあたしを強く抱き寄せた

    「…みやに勝ってから言おうと思ってたのにもう知らない。まぁがいけないんだから…」
    「熊井ちゃん?」
    耳元で聞こえる微かな声と
    腰に回された細く長い腕があたしの胸の鼓動を早くさせる

    今までとは違う少し異様な空気にあたしは不安と恐怖を覚え
    おそるおそる熊井ちゃんの顔を伺うように振り向こうと体を変えると
    「見ないで!」とそれを止められた



351 :名無し募集中。。。:2009/12/28(月) 02:29:59.03 0


    「見ないでそのままで聞いて…」
    さっきとは違う小さな声
    「うん…。わかった」
    主人の言うことを聞く忠犬のように言われたとおりに前へ向きなおす

    波の音だけが聞こえまるでこの世界に2人だけでいるような気分になる…
    「本当はみやに勝ってから言おうと思ってたけど、もういい…」
    それは、もうさっき聞いたってば!
    なんて心の中で突っ込みを入れてみて空しくなるだけで
    どうせ梨沙子のことだろうなんて安易に思ってた

    でも…
    「…好き…です…」


355 :名無し募集中。。。:2009/12/28(月) 10:15:46.66 O

    好き…?
    それって――――
    「うち、まぁが好き。
    気づくのに随分時間かかったけど…」
    「……梨沙子は?」
    梨沙子がダメだからあたしってこと?
    そうなの熊井ちゃん?
    「気づくきっかけをくれたのは、梨沙子ちゃん。
    うちは梨沙子ちゃんを好きっていうか多分…
    みやを一途に好きな梨沙子ちゃんに自分も想ってほしかった、のかな。
    梨沙子ちゃん自体より自分を大事にされたかったのかもしんない…
    うまく言えないけど…」
    熊井ちゃんは言葉を選ぶように話し続ける。
    信じていいの?
    熊井ちゃんにとって都合の良い女じゃないって…



356 :名無し募集中。。。:2009/12/28(月) 10:18:10.35 O

    「梨沙子ちゃんに振られても、一晩で結構スッキリしたんだ。
    あの日、まぁが側にいてくれたから…
    いつも、まぁはうちが本当に辛い時に支えてくれてるって
    …今更だけど、そんなまぁに甘えて
    自分が本当は誰を好きなのか気づいたんだ」
    声と同時に後ろからギュッと抱きしめられる…

    「うちが、本当に好きなのは…まぁだから。
    うちバカだから自分の気持ちにも鈍くて。
    でも、まぁが好きって気持ちは間違いないから…」
    「もういい…」

 


357 :名無し募集中。。。:2009/12/28(月) 10:19:07.11 O

    嬉しいけど恥ずかしい。
    熊井ちゃんに「好き」って連呼されるの…
    「よくないよ!ちゃんと聞い………まぁ?」
    あたしを抱きしめる長い腕を強く掴んだ。
    抱きしめるように……
    いくら鈍感でも解ってよ…

    「…まぁ、返事は今はしないで。
    元々みやに勝ってから言うつもりだったんだから」
    ちょ!両思いなのに?
    今のでわかんないの?
    「それに、うち今のままじゃ…まぁに釣り合わないから。」
    「そんなこと」
    「見てて?うちのこと、ずっと……!」

    返事いらないって言ったり見るなと言えば見ててって
    どれだけ自己中なんだろ。
    こっちはもうずっと見てたっていうのに。
    つい笑いが零れたらこういう時だけ鋭い熊井ちゃんに「うちの気持ち笑わないでよ」と怒られた。
    あたしは自己中で子供でワガママで手のかかる熊井ちゃんが好きだよ。
    って、よっぽど振り返って言ってやりたかった。

 


104 :名無し募集中。。。:2010/01/05(火) 23:07:10.31 0

    「熊井ちゃんってほんと鈍感」
    そういって口元を押さえて笑ってみせるとたちまちふくれっ面になって
    「もういい!」なんてそっぽ向いちゃう子供な熊井ちゃん

    そんな熊井ちゃんが溜まらなく好き…

    そっぽを向いた背中に抱きつくようにそっと顔を埋めた
    「まぁ!?」
    驚いて振り返ろうとした熊井ちゃんを今度はあたしが止める
    「見ないで!見ないでそのままで聞いて…」
    「う、うん…」
    熊井ちゃんのと重なる自分の心臓の鼓動
    ごめん熊井ちゃん…
    あたし待てそうにないや…


110 :名無し募集中。。。:2010/01/06(水) 00:27:20.75 0

    「あたしは今のままの熊井ちゃんでいいよ…」
    「…え?」
    「みやに勝つなんていつまで待ってればいいのかわかんないし…」
    「そ、そんなの、すぐに…!」
    ガッツポーズを作ってみせて見ないでって言ったのに振り向いた熊井ちゃん

    「…まぁ?」
    「見ないでって言ったじゃん…」
    赤くなる頬を隠してくれるかのように夕焼けがあたし達を照らしてくれている

    「ご、ごめん!」
    慌ててもう一度あたしの背中を向けた
    いつからだろう…
    自分でもわからないけど、その背中も、長い髪も、笑顔も、くせのある声も…
    全部全部独占したいって思っちゃうんだ…

    熊井ちゃんの腰にそっと腕を絡め背中に顔を埋めた
    「…好き」


122 :名無し募集中。。。:2010/01/06(水) 15:01:02.08 0

    「…好き」

    背中越しに聞こえた小さな声
    遠くで聞こえる波の音にかき消されそうなくらい小さな小さな声だった
    好き?
    今…確かに好きって…

    「…好きだよ熊井ちゃん…」

    今度ははっきり、ちゃんと聞こえた…

    「え?え?す、好きって…え?」
    状況が飲み込めなくてあわてふためくうちの前にまぁは回り込み小さく微笑んだ
    バックには海に沈みかけた夕日が見え、光り輝くまぁを上手く見ることができない
    「え?え?今本当に好きって?え?だって、まぁは…そんな」
    「熊井ちゃん慌てすぎ」
    クスクスと口元を押さえて笑うまぁにうちも恥ずかしさのあまり腕で口元を押さえ直視できない目を泳がせた


128 :名無し募集中。。。:2010/01/06(水) 22:04:38.94 0

    「……まあ?」
    「え?」

    急に熊井ちゃんは怪訝な目をした。
    長い腕が私の頬に伸ばされて、触れる。

    「なみだ。……う、うち、なんかした?」
    「あれ、なんでだろ、嬉しいのに。おかしいな」

    泣いたつもりはないのに、私の頬を掠めた
    熊井ちゃんの指が濡れてた。

    嬉しいのに。ほんとにほんとに、嬉しいのに
    なんでだろう、涙が止まらない。


129 :名無し募集中。。。:2010/01/06(水) 22:11:46.42 0

    「ずっと、好きだったの。ずっと熊井ちゃんだけ見てた」

    好きで大好きで、側に居られればそれだけでいいって、思ってた。
    でもそれは違った。こうして熊井ちゃんが振り向いてくれることを
    待ってたんだ。
    もう我慢しなくていいんだ、そう思ったら勝手に涙があふれた。
    やっと実った私の恋。

    熊井ちゃんは所在無さそうな感じで、でも
    大きな手を私の頭に乗せて、ぎこちなく撫でてくれた。

    あったかい、熊井ちゃんの手。



130 :名無し募集中。。。:2010/01/06(水) 22:18:31.22 0

    両手で顔を覆って泣いている茉麻は、なんだか
    すごく可愛くて、小さく見えてた。
    いつも頼れるマネージャーとしてうちらを支えてくれていたから、
    甘えてばっかりで気づかなかった。

    でもこれからは――

    「まぁ。」

    呼びかけると少しだけ顔を上げてくれた。
    頭に置いていた手を、頬にもっていく。

    濡れてる唇に、キスをした。

    「これからは、うちが守るから」

最終更新:2010年01月15日 19:12