653. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 02:16:29.03 0
いろんな事があったけど、熊井ちゃんとの件ですごく気が楽になった。
昨日までの重い気持ちがうそみたいで、軽い足取りで学校に向かう。
学校につくと、愛理がいた。机に突っ伏して寝てるみたい。
やっぱりまだ仲直り出来ないのかな・・・と思ってたらメールが来た。
みやからだ・・・。
『今日、お昼一緒にどう?あの相談室で待ってる。』
身体の奥が熱くなるのを感じた。
行かない訳にはいかない。

昼休憩になった。
とりあえず、相談室へ向かう。
高等部の校舎へ入るのはこれで2度目。やっぱり緊張する。
3階の、長い廊下の一番奥。昼間でもうっすら暗いこの教室は普段は使われてないらしい。
人の気配はない。本当にいるのだろうか。鍵は開いているのだろうか。
ガラガラガラ・・・・
開いた。
教室内を見回すと、窓の前にみやを見つける。
じっとこっちを見てた・・・いや、睨んでた。

655. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 02:23:09.30 0
「ごめん、ちょっと遅れちゃった・・・待った?」
「ううん・・・」
みやの目が私をとらえて離さない。
頭から足まで、舐めまわすように見られてる。
「みや・・・どうしたの?」
流石に少し不気味になって、尋ねてみた。
するとみやは、ゆっくりと口を開く。
「昨日、なにしてた?」
え・・・・昨日って・・・熊井ちゃんと・・・
「な、なにもしてない、かな」
「ホントに?」
嫌な汗が体中から噴き出してくる。顔が熱い。
すると、みやがこっちに歩み寄ってきた。
怖い・・・・。
みやとの距離が限りなく0に近づき、唇を奪われた。

656. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 02:28:47.64 0
みやが話してくれた梨沙子という女の子
あのみやが、ももの話以外で表情をあんなにくるくる変えて話すのは初めてだ

そしてみやは最後にこう言った
「でももう嫌われたかもしれない・・・連絡もこないんです・・・」
みやにとって急に連絡が途切れるということは一番怖いことのはずだ
もものときもそうだったから・・・

梨沙子ちゃんと話がしたい・・・
梨沙子ちゃんに会って気持ちを確かめたい・・・

それがあたしがみやのためにできる唯一のことだから
あたしは放課後みやたちの学校に行こうと決心した

658. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 02:31:24.27 0
キスをされた瞬間、無意識に舌を受け入れる準備をしていた。
もしかしたらここでまたシちゃうのかもしれないと思ったから。
でも、キスは一瞬で、すぐにみやは離れた。
どうしたんだろうと思い、みやの顔を見て、ハッとする。
みやが目に涙をため込んでじっとこっちを見ていたのだ。
「みや・・・・?」
訳が分からず声をかけるとみやは力なく床にへたり込んだ。
「みや!?どうしたの?体調でも悪いの・・・?」
グスッ、グスッっと涙をすする音が聞こえてくる。泣いているのだろうか。
「りっ、さこぉ・・・」
「みや・・・」
私も腰を下ろし、みやの肩に手を置く。
「うっ・・・・ぐす・・・・」
何で泣いているのか分からない。
でもみやのこんな表情初めて見た。
初めてみやを“きれい”とか“かっこいい”じゃなく、かわいいと思った。

661. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 02:44:52.06 0
「そばに・・・いてよ・・・ぐすっ・・・寂しいよ・・・梨沙子・・・」
あたしに縋りつくように抱きついてくるみや
「みや・・・」
「もう・・・どこにも行かないでよ・・・みんな・・・離れて行かないでよ・・・」

みんな・・・?みんなってどういうこと?
みやは誰のことを言ってるの・・・?
664. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 03:05:55.37 0
丸くなって泣きじゃくるみやの背中をさすりってあげた。
多少落ち着いたようだが、それでも涙は次々溢れてくる。
「ごめん・・・・」
「え?」
「ごめんね、梨沙子」
なんで謝るの?
「うち、梨沙子に酷いことした。」
酷いこと・・・?ってあの日、この相談室でのこと?
「自分勝手に梨沙子を・・・・」
「もういいよ・・・私も嫌がらなかったんだし」
正直、意外だった。
みやがあの事を反省してるなんて。
でもこれは私を釘づけにするための演技なのかもしれない。
この時点では、半信半疑だった。
681. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 13:35:54.98 0
結局、壁にもたれかかってくっついてた。
みやがあんなこと言うなんて正直意外だったし、少し嬉しくもあった。
しばらくそうえいていると、急に携帯が鳴る。
えーっと・・・電話だ・・・熊井ちゃんから。
みやはだいぶ落ち着いたがまだ泣きやんだわけではない。
どうしよう・・・出るに出れない・・・
「電話鳴ってるよ、梨沙子」
「う、うん・・・」
「・・・・・誰から?」
「え!?っと、お母さん!」
「そ」
怪しまれたかな・・・。
熊井ちゃんにも後でちゃんとかけなおさないと・・・
684. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 14:04:10.00 0
みやはあたしの肩に頭を預けていて、随分弱っているようにみえた。
いつもの自信満々のみやとは違う。でも、これもみやの本当の姿なんじゃないかって思った。

「ごめんね」

壊れたようにごめんねを繰り返すみや。
あたしは背中をさすりながら、自分自身を振り返る。
悪いのは・・・みやじゃない。少なくとも、みやだけじゃない。

「もう謝らないでよ」
「梨沙子・・・」
「あたしだって・・・みやと同じだよ・・・」

みやが自分勝手というなら、あたしだって自分勝手だ。
親友の好きな人を好きになって。
好きだったから身体を許して。
遊ばれてるって分かってたのに受け入れて。
なのに、それが嫌になって。とてつもなく寂しくなって、結局違う人の温もりを求めた。
そのくせこうしてみやといると気持ちがまた揺らいで。
「寂しい」と泣くみやを見ると、優しくしてくれた熊井さんを思うと、そして愛理を思うと、
あたしは傷ついたふりをしてみんなを裏切っているんじゃないか。
悲しいけど、そう思わずにはいられなかった。

(・・・・みやは好きになっちゃいけない人だったんだよ)

そう思うけど口に出すことはもちろん出来なくて。
こんなに弱ったみやをほっとくことも出来なくて。
もうどうすればいいか分からなかった。
690. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 14:32:03.53 O
「困らせてごめん」
それからちょっと時間が経ってあたしの体をそっと離す
「うち、最低だ…」
吐き捨てるように言うと立ち上がるみや
693. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 16:12:42.66 0
「ごめんみや」
「え?」

梨沙子に謝られて驚いて梨沙子を見た。

「・・あたしバカだから全然気付かなかったんだ・・・
あたしはみんなのこと傷つけて裏切って・・・情けないなって」
「・・・?どういうこと?」

涙がまた出てきそうになってブレザーでゴシゴシと擦った。

「・・・・ね、全部なかったことにしよう?」
「何言って」
「全部、なかった。あたしとみやは他人。」
「梨沙子やめてよ何言ってるの」
「・・・そうしよう?それがいい」

梨沙子は俯いてそう言った。
なんで?どうしてそんなこと言うの?

「一人にしないでよいやだよ梨沙子寂しいのはいやだよ!」
混乱していた。
「・・・ごめん。」

梨沙子は俯いたまま顔を上げてくれなかった。
さっきの私みたいにずっとごめんって言い続けた。
700. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 16:46:25.95 0
梨沙子視点


みやに出会っていろんなことがあって
でも結局それはいろんな人を傷つけてて裏切ってる。
みやのことは好きだと、思う・・・。

でも、一緒にいたらまた誰かを傷つけてしまうかもしれない。
そんなのはいやだ。

だから何度も謝り続けた。
ごめんねみや、ごめん。

今この部屋を出たら他人。
それでいい、それがいい。
縋るみやを振り払って部屋を出た。

「ごめん・・・」

小さく呟いて屋上までダッシュした。
涙を誰にも見られたくなかったから。
705. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 17:38:54.02 0
「はぁ・・・はぁ・・・」

最近あまり走っていなかったからすごく息が乱れている。
みやの顔が頭に浮かぶ。

だめ、考えちゃだめ。
あの人は他人でもう関係ない・・・。

「グスっ・・・うわぁぁーん!」

子どもみたいに大声を張り上げて泣いた。
涙がポタポタと零れてくる。
屋上のコンクリートがポツポツと濡れていくのが目に入る。
涙はしばらく止まらなかった。

昼休みが終わるチャイムが鳴り響く。
それでもこの場所から動けなかった。

すると、柱の影から人が出てきた。
私はビックリして固まってしまう。


「ごめん、出るタイミングが見つからなくて・・・」

頬をポリポリ掻きながらその人はバツが悪そうに下を向いた。
この人って確か・・・・
706. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 18:02:38.41 0
「タイから察するに中等部の子?どうした?」

屋上で寝ていたらバンっていう大きな音で目が覚めた。
誰かが勢いよくドアを開けたようだった。
柱の影からドアの付近を見ると女の子が一人いて
急に大声で泣き始めた。
正直焦ってすぐに出て行こうかと思ったが
結局その場から動けずにチャイムが鳴るまで、とそこでじっとしていた。

「ごめん、出るタイミングが見つからなくて・・・」

ちょっと悪いなぁと思いつつ言いながら出て行くとその子は固まったように
動かなくて涙も止まってしまったようだった。

「何年生?」
「・・・・・・・・・・」

返事がないただの(ry
ってそうじゃなくてビックリしたまま固まって動かないその子。
だから私は自分から名乗った。

「高等部3年の矢島です、あなたは?」

警戒させないように優しく微笑んでそう言った。
770. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 23:27:02.77 0
「え、えっと・・・中等部3年の菅谷梨沙子です」

カッコイイ人だった。背は結構高くてがっしりとした体格の人。
あれ、やっぱりどこかで見たような・・・

「ん、梨沙子・・・あぁ、愛理の友達だ」
「え、・・・・あ!」
「覚えてた?愛理の幼馴染の矢島」
「すいません、今思い出しました・・・」
「おあいこだよ。あたしも初めはわからなかったしw」

矢島さん、愛理の幼馴染・・・前に一度紹介されたことあったっけ。
自慢のお兄ちゃん、そんな風に紹介してくれたことを徐々に思い出す。

「で、なーんで泣いてたの?」
あまりにストレートな聞き方で驚くけれど
下手に何も言われないよりは嬉しかった。
「えっ・・・・あ、先輩授業が」
始まっているはず。
「いいよ別に。それより何かあったの?」
首を振って授業へ行かないことを告げると矢島先輩は
私の肩を抱いてそう聞いてくれた。すごく優しい声・・・・

そこでハっとした。なにやってるんだろう。
優しくされて気持ちが傾きそうだった。
これじゃ熊井ちゃんのときと一緒だ・・・・バカだあたし・・・バカだ
そう思うとその場から駆け出していた。

先輩の声がしたけれど今その優しさを受け入れるのは怖かった。
779. 名無し募集中。。。 2009/06/30(火) 00:19:46.09 0
それから授業にもどる
先生にはみっちり怒られた

気分が乗らないのになおさら落ちる
授業に耳を傾けながらふと熊井さんとの約束を思い出す
話すべきだろうか…
熊井さんにもうこのままの関係を続けられないことを
はっきりもうやめたいと言うべきだろうか

いや、言わないといけない

学校が終わり一度家に帰って支度をする
熊井さんに連絡する勇気がでない
ちゃんといえるだろうか拒否することができるだろうか
一時間ぐらい悩みようやく電話をする決心がついた
780. 名無し募集中。。。 2009/06/30(火) 00:38:02.39 0
深呼吸を一つして電話をかける
「もしもし」
ワンコールで出てくれる熊井さん
「熊井さん・・・」
「あ、梨沙子ちゃん?今どこ?待ち合わせの場所決めてなかったよね」
受話器の向こうの熊井さんはなんだかとても楽しそうで・・・
あたしのことを想ってくれてるっていうことが伝わってくる

だけど・・・あたしもそういう風に想う人がいるの・・・
787. 名無し募集中。。。 2009/06/30(火) 01:26:45.42 0
電話の切れた音が耳に響く
自然とあふれてくる涙・・・

優しくてかっこいい熊井さん・・・
あたしなんかのことを好きだって言ってくれた熊井さん・・・

熊井さんといたら幸せになれたはずなのに・・・

なんで?なんでみやのことしか考えられないの?
みやはあたしのことなんて何とも思ってないのに・・・

辛くて・・・悲しくて・・・自分が情けなくてベッドに潜り込む
だけどやっぱり思い浮かぶのはみやのこと

ねぇ、愛理?恋ってこんなに辛いんだね・・・


773. 名無し募集中。。。 2009/06/29(月) 23:48:31.20 0
うちは結局何がしたいんだろうか・・・
梨沙子が出て行った扉を眺めて自己嫌悪に陥る
色んな人を巻き込んで・・・傷つけて・・・

そしてポケットの中から定期入れを取り出す
そこにはももとのツーショット写真・・・

「もも・・・会いたい・・・ももがいないとうち・・・」
うちはその後部活が始まるまで定期入れを胸に抱いて泣き続けた
最終更新:2009年07月05日 14:00