- 402 :名無し募集中。。。:2010/02/04(木)
23:58:04.81 0
「帰りたくないなぁー」
バスの中で自然と漏れた言葉
あたしの視線の先は前の方の座席で徳永先輩とはしゃいでいる夏焼先輩
行きは先輩と隣だったから期待してたけど
徳永先輩に呼ばれて先輩はそっちに行っちゃった
ふぅーとため息をついてあたしは携帯を弄る
データフォルダの中にこっそり作った「夏焼先輩」フォルダ
こんなの誰かに見られたら大変だ、って思いながらも
みんなから隠れるようにあたしはこっそり先輩の画像を眺め続けた
- 412 :名無し募集中。。。:2010/02/05(金)
13:42:13.76 0
少し離れた場所から撮った夏焼先輩の横顔。
顔のラインがすごく綺麗・・・
先輩って気さくだしおちゃめだったりするけど
やっぱりすっごい美人だなぁ。
先輩の画像と徳永先輩と騒いでる先輩を交互に見て
携帯を閉じて騒いでる先輩だけを見ることにした。
なるべくバレないよーに・・・
そのあたしの視界に入ってきたのはママと熊井先輩。
二人はなんだかハートを飛び散らせて・・・
「幸せそう・・・」
小さくだけど心の声が漏れた
- 419 :名無し募集中。。。:2010/02/05(金)
22:59:46.41 0
数時間後、バスがようやく学校に着いた
みんなには先にバスから降りてもらって、うちは忘れ物やゴミが残ってないかチェック
すると、まだバスに残ってた千聖と舞ちゃんがうちの肩を叩いた
「夏焼せんぱーい。りーちゃんが爆睡してて起きなーい」
「起こしても全然起きないから後ろに置いて来ました」
それだけ言ってバスを降りてく二人
二人が指したうしろの方の席を見ると、確かにそこにはスヤスヤ寝てる梨沙子がいた
ったく、あんなにザワザワしてたのに起きないなんて、なんて奴
うちは笑い混じりのため息をついて一人取り残された“忘れ者”の元へ向かった
- 420 :名無し募集中。。。:2010/02/05(金)
23:00:59.89 0
「りーさこー。着いたよ起きなさい」
「・・・ん・・・あと・・・ごふん」
「だーめ。ほら起きなさい!」
ほっぺたをペチペチ叩く
夕べ遅くまで起きてたから眠いのは分かるけど、ここまで起きないなんてごんご・・・ん?ごんご?げんごどーだん?
わ、忘れた!とにかくありえないってこと!
「もうみんな降りちゃったよ?梨沙子びりだよ?いつまでも寝てたら恥ずかしいよー?」
「んー・・・」
まだ寝足りなさそうな梨沙子を引っ張ってバスを降りる
右手には荷物、左手には梨沙子
お姉ちゃんは大変だよ
- 435 :名無し募集中。。。:2010/02/06(土)
20:44:08.80 0
先輩に手をひかれてバスを降りると何やらやけに視線を感じる
はっとして周りを見るとニヤニヤしながらこちらを見ている熊井先輩とママ
も、もう!そんなんじゃないんだもん!!
あたしは慌てて先輩の手を離してみんなの輪の中にもぐりこんだ
それから先輩はキャプテンらしく締めくくりの挨拶
それが済むとみんなは先輩の「解散」という言葉と同時におつかれ―って言い合いながらそれぞれ家路へ
「こんな時間だ・・・」
時計を見るともう夕食の時間
久々に家でご飯食べれるなぁって思いながら夏焼先輩の姿を探す
みんなの輪から離れて携帯を弄っている先輩
きっと愛理ちゃんに連絡してるこれから会ったりするんだろうな
メール打ち終わったら挨拶だけしてさっと帰ろう
先輩と愛理ちゃんが二人でいるところを見ないように・・・
- 466 :名無し募集中。。。:2010/02/08(月)
00:11:38.51 0
みんなから少し離れてカバンから携帯を取り出す
メール画面にすると、もちろん愛理へ文字を打ち込む
『今学校戻ってきたよ☆
これから会えたりするかな?』
「・・・恥ずかしいけど・・・うー・・・これも入れておこう」
『愛理に会いたいです』
自分の素直な気持ちを乗せたメールは送信ボタンと同時に愛理のもとへ
それから愛理からの返信が来るまでベンチにどさっと腰を下ろした
- 500 :名無し募集中。。。:2010/02/08(月)
22:26:37.41 0
「梨沙子、救急箱とか部室に戻しとこうか」
「はーい。あ、これぐらいあたし一人で平気だからママ帰っていいよ?」
「そう?んー、じゃあ頼んじゃっていいかな?」
「任せてー」
ママはあたしの髪を優しく撫でると「ありがとね」と言って熊井先輩の方へ歩いていった
「おつかれー!」と二人に言われて笑顔でペコっと頭を下げる
歩きだしたママと熊井先輩の後ろ姿はなんだか幸せそうだった
よし、さっさと荷物運んじゃおう!早く帰ってご飯だご飯!
ポットや救急箱を両手に持つと思ったより重かった
あたしはフラフラした足取りで部室へと歩きだした
- 502 :名無し募集中。。。:2010/02/08(月)
22:56:46.18 0
ベンチで足をぶらぶらさせているとふらふらと歩いている梨沙子の後姿が見えた
「梨沙子・・・?」
なんか危なっかしいなぁ、なにやってんだろ?
も、もしかして合宿で疲れて貧血とか!?!?
「り、梨沙子!!」
「ふぇ??」
うちのよびかけに呆けた顔で振り返る梨沙子
その腕には救急箱やポットが抱えられていて・・・
「な、なんだぁー・・・重いもの持ってただけか」
「どうしたんですか?」
「あ、いや、なんでもない。それにしても荷物持ちすぎでしょ?
うちも手伝うよ」
うちはほっと胸をなでおろして梨沙子が持っていたポットを手に取った
- 504 :名無し募集中。。。:2010/02/08(月)
23:12:32.42 0
「えっえ?」
「ほら行くよ」
なぜかおろおろしてる梨沙子を置いて歩きだす
梨沙子は慌ててうちの隣に来た
「先輩・・・」
「ん?」
「・・・いいの?」
「なにが」
「え?んと、メールしてたから・・・約束とか、あるのかなって・・・」
- 505 :名無し募集中。。。:2010/02/08(月)
23:20:14.58 0
梨沙子があまりにも申し訳なさそうな表情をするからうちはちょっぴり拍子抜け
「あはは、部室にこれ置くだけなんだから大丈夫だって」
「でもー・・・」
「もーう、いいから、早くしないと家帰るの遅くなっちゃうよ?」
「・・・ありがとう・・・ございます・・・」
うちが促すと梨沙子が小声でぼそっとうちにお礼を言ってくる
ほんと可愛い奴。
うちは梨沙子のおでこに軽くデコピンをしてやった
- 509 :名無し募集中。。。:2010/02/08(月)
23:59:41.11 0
「いたぁー・・・」
先輩にデコピンをされたところにそっと手を当てる
全然痛くないんだけど、あまりにも先輩の笑顔が優しかったから
ついこぼれたこの言葉はきっとおでこじゃなくて胸の痛み・・・
なんてぼーっと考えているといつのまにか先輩がどんどん先を歩いていたので
あたしは遅れまいと慌てて追いかけた
- 510 :名無し募集中。。。:2010/02/09(火)
00:08:19.67 0
「うわっなんか部室懐かしい」
「確かにー」
ほんの数日なのに凄く懐かしく感じる部室
荷物を置くと梨沙子はしゃがんで救急箱を開いた
「足りなくなったの今度買いに行かなきゃ」
「何足りない?」
「んと、絆創膏と・・・」
「絆創膏は梨沙子がよく使うからね~」
「っちょ!使いません!」
「あはは・・・・・・あ、そういえば膝大丈夫?傷治った?あ!それと手の火傷は?」
「え?あ、うん!どっちも平気です!」
思い出したように手と膝を見せてくれる梨沙子
そっか、治ったならよかったよかった
跡残ったらどうしようって思ってたんだ
「でも今年の合宿、いつもよりケガ人少なかったかも」
「ほんとですか?」
「うん。梨沙子が目光らせてくれてたおかげかな」
さすがマネさん!!って堅く握手すると、梨沙子は嬉しそうにイヒって笑った
一番ケガしたの多分梨沙子だよ、っていう言葉は胸にしまった
- 11 :名無し募集中。。。:2010/02/11(木)
00:22:01.84 0
先輩と一緒に部室を出ると徳永先輩が部室の前にいた
「ん?どしたのちぃ」
「仲いいねぇ。相変わらず」
「何、それ言いに来たの?」
「違う。愛理ちゃん来てるよ」
「えっ!?」
先輩が分かりやすい反応を示す
あからさまに嬉しいです!って表情
あたしはそれに気付かないふりをして、先輩の背中を押す
「先輩。早く行かないと」
「あ、うん!お疲れ梨沙子!ちぃもありがと!」
それだけ言って先輩は走っていった
はぁ・・・・いいな、愛理ちゃん・・・先輩のキモチを独占できて・・・
最終更新:2010年02月15日 22:26