126 :名無し募集中。。。:2010/02/12(金) 21:53:51.25 0

あれから徳永先輩とラーメンを食べて(じゃんけんに勝って奢ってもらった)
合宿で疲れ切った体を引きずりながら家に帰ってきた

部屋に入って真っ先にベッドに倒れ込む
あー久しぶりの感触
やっぱ自分の部屋は落ち着く

・・・でも、夏焼先輩と一緒にいるのはもっと落ち着く

「ちょっと寝ようかな・・・」

起きたらお風呂入って・・・日記書いて・・・あ、その前に洗濯物出さなきゃ・・・
ていうかあたし着替えてないや・・・
そんなことを考えてるうちに早々と夢の中へ旅立った

外は今にも雨が降りそうだった

128 :名無し募集中。。。:2010/02/12(金) 22:05:57.26 0

~♪

着信音で目が覚めた
目を擦りながら今何時だろう?って時計を探すけど部屋は真っ暗
窓の外は大雨になっていた
その間も鳴り続ける携帯に、睡眠ボーガイだと心の中で文句を言いつつディスプレイを見る
そして一瞬にして目が覚めた

「!!!」

夏焼先輩
090××××××××

「え!えっ?あ、もしもし!?」
なぜだか応答がない
「・・・あれ?もしもーし。聞こえますかー?」
電波ないのかな?
「もしもーし。先輩?」

130 :名無し募集中。。。:2010/02/12(金) 22:33:54.42 0

『梨沙子ぉ・・・』
「はい!菅谷です!!っていうかあたしの携帯だから梨沙子です!」
『なぁんか・・・』
「はい?」
『うち・・・愛理にふられちゃったみたい・・・』

・・・・・・・・・

「はい!?」
『あー・・・なんていうか、もう・・どーしよ・・・』
「え~っと・・・」

夏焼先輩が愛理ちゃんにふられた!?
え?それで先輩は何であたしにかけてくるの?
起きたばっかりの頭じゃ理解できないけど
多分、普通に聞いてもそんなすぐに理解できないんですけど!

『ねぇ梨沙子・・・なにか、言ってよ・・・』
「え~~~~~~・・・?う~~~~~~ん・・・」
こういうときなんて言えばいいんだろ?
え~っと・・・
「・・・がんばれっ」
携帯越しじゃ見えないだろうけどあたしは右手でガッツポーズをつけて言った。

『・・・・・がんばる、か・・・』
「あ~、えっと、なんか違いますよね!え~っと・・・」
夏焼先輩からかってる?
そんなワケないか・・・
声がすっごく落ちてるし・・・でも・・・何で?

137 :名無し募集中。。。:2010/02/12(金) 23:08:13.11 0

「てか先輩・・・今外ですか?」
なんか雨の音がすっごい聞こえるんですけど・・・
「あー、うん」
「どこにいるんですか?」
こんな雨の中・・・・


―――え?


何気なく見た窓の外
暗くてよく見えないけど、確かにそこには誰かがいた

「そこで待っててください!!!」

それだけ言うと携帯を切って階段を駆け降りた
玄関を開けて表に飛び出す
そこにはいたのはやっぱり夏焼先輩だった

138 :名無し募集中。。。:2010/02/12(金) 23:09:34.12 0

「・・・何してるんですか、傘もささないで」
「梨沙子だってさしてないじゃん」
「そうですけどっ・・・!」

ゆっくりと先輩に歩み寄る
上から下までびっしょりで体は冷たい
いつからここに居たんだろう・・・

「先輩・・・なんで?」
「だって梨沙子が」
「あたしが?」
「別れた時は一番最初に言ってくださいねって、前言ってたから」

はははって乾いた声で笑う先輩
あたしそんなの言ったっけ?って思うけど今はそれどころじゃない
「先輩、とりあえず上がって・・・」
「いいよ、帰る」
「え?」
「ごめん、なんか分かんないけど・・・ここ来ちゃった。ごめんね・・・」

5 :名無し募集中。。。:2010/02/14(日) 20:56:47.39 0

先輩は雨に濡れたまま、背中を向けて歩いていく

いいの?これでいいの?あたし・・・
先輩、あんなに寂しそうなんだよ?
先輩、あんなにつらそうなんだよ?

あたしのこと、少しでも必要としてくれてるんじゃないの?

あたし、あたし・・・

「ま、待って!!!」
「え・・・?」

「あたし・・・あたし・・・先輩のそばにいたい!!」
この言葉に特別な意味なんてない・・・
ただ必死だった・・・先輩の力になりたいって本当にただそれだけの気持ちでいっぱいだった

21 :名無し募集中。。。:2010/02/15(月) 02:10:13.78 0

「ははっ。新種の告白?」
先輩はあたしに言葉に噴出すように笑った
真面目な顔で言ったはずなのに伝わらなかったのかな?
ううん、違う…
先輩は優しいから笑ってはぐらかしただけ…
本当にそばに居てほしいのはきっとあたしじゃないから…

「ありがとう。でも、大丈夫。なんか梨沙子の顔みたら元気出たし」
優しく頭に触れてくれた手から伝わる温もり
雨は冷たいはずなのに先輩の手は暖かくてすごく心地良い
「そう…ですか?」
「うん…。それよりさ…さっきからすごい熱いんだけど、梨沙子もあつ…い…」
「え?」

ことんと倒れるように先輩の頭があたしの肩に乗っかった
「ちょっ先輩!?」

39 :名無し募集中。。。:2010/02/16(火) 01:49:56.70 0

あたしにもたれかかってくる先輩
慌てて抱きとめると・・・

「あつっ!!」
体が凄く熱い・・・もしかして!っておでこに触れると案の定。

「せ、先輩!!しっかりして!」
「だい・・・じょうぶ・・・だから・・・さ」
先輩は苦しそうに笑うとそのまま気を失った

59 :名無し募集中。。。:2010/02/17(水) 12:47:42.08 0

小雨になってきている中
あたしは先輩を倒さないように家の玄関まで運んだ。
ずぶ濡れの夏焼先輩は冷たくなって顔も青かった。

ママが「どうしたの~?」なんて呑気にリビングから出てきたから
正直あたしも事情とかわかんないけど・・・
手伝ってもらって急いでタオルと着替えさせたり。

「ねぇ、梨沙子・・・この子のお家に連絡しなくてもいいの?」
「ん~・・・先輩が目を覚ましてからじゃ遅いかな?」

何であたしのトコに来たのか。
あたし「別れたら教えてください」なんて、本当に言ったかな?
あ、でもベッドに寝かせた先輩は大分顔色が良くなっていた。

62 :名無し募集中。。。:2010/02/17(水) 17:41:52.05 0

「先輩・・・」

起こさないように小声で話しかける
布団を肩まで掛け直してそっと額に触れた
まだ熱は下がってない

「あたしね・・・」

好きなんです、あなたが
愛理ちゃんを想う先輩を見てるのはつらかったけど
だからって別れればいいのになんて思ったことはないし
先輩の不幸を願ったこともないし、愛理ちゃんを恨んだこともない
先輩の『特別な子』になれないのは悲しかったけど、先輩が幸せそうに笑う顔は好きだった

そっとほっぺたを触ってみた
先輩、泣いたのかな?涙の跡はないけど雨で流れちゃったのかな?
それともあのびしょびしょに濡れた顔は雨じゃなくて涙だったのかな?


この時のあたしは、今までの自分の行動がどれだけ愛理ちゃんを傷付けてたかなんて知らなかったから
なんで愛理ちゃんは先輩を振ったんだろう、なんて呑気に考えていた

63 :名無し募集中。。。:2010/02/17(水) 17:44:24.97 0

・・・・・先輩
もしあたしに出来ることがあればなんだってしますから・・・
何も言いたくなかったら何も聞きませんから・・・
せめて側にいさせてください・・・

そっと先輩の手を握って目を閉じた

64 :名無し募集中。。。:2010/02/17(水) 17:46:34.36 0

「ん・・・・」

目が覚めて最初に目に映ったのは
自分の部屋でもなく、もちろん愛理でもなく
うちの手を握って眠る梨沙子だった

「ここ・・・どこ?」

もしかして梨沙子の部屋?なんで?うちどうしたんだっけ?あれ、これ梨沙子の服?
うわ・・・めっちゃ頭痛い・・・寒気もする・・・
だるい体をなんとか起こしてここにいる理由を必死に思い出す

そうだうち・・・あのあと・・・ワケわかんなくなって外に飛び出して・・・
愛理の家に行ってみたけどいなくて・・・宛てもなく歩いて・・・
放心してたのかな?気付いたら梨沙子の家の前まで来ちゃってたんだ・・・

「うち、バカだなぁ・・・」

ホント何してんだろ・・・
愛理に振られて・・・梨沙子にまで迷惑かけて・・・
カッコ悪い・・・うち、カッコ悪すぎるよ・・・
こんな情けない姿誰にも見せたくないのに・・・
こんなんじゃ梨沙子にも嫌われるよ・・・

65 :名無し募集中。。。:2010/02/17(水) 17:49:38.64 0

「梨沙子・・・」
「ん・・・あっ先輩!!」

髪を撫でて呼ぶとすぐに梨沙子は起きたくれた
梨沙子は慌てて立ちあがるとうちのおでこに手を当てた

「先輩大丈夫!?倒れたんですよ!?」
「あー・・・ごめんね。ほんとに・・・」
「いいです!それより、頭痛くないですか?気持ち悪くないですか?いいからこのまま寝ててください」

梨沙子に促されて再びベッドに沈む
体調管理は基本ですよキャプテン!そう言ってうちの頭をグシャグシャ撫でる乱暴な行為とは裏腹に
うちを見つめる梨沙子の瞳は少し潤んでいて、本気で心配してくれてるのが分かった

「ひひひ!先輩バカなのに風邪引くんですね」
なのにいつも通り振舞ってくれる梨沙子に思わず泣きそうになって
慌てて布団をかぶった

66 :名無し募集中。。。:2010/02/17(水) 18:17:36.34 0

「ねぇ先輩」
「・・・ん?」

――どうしてあたしのとこ来たんですか?

また聞いたらしつこいかな?傷付けちゃうかな?無神経かな?

『梨沙子になら弱いところ見せれるから』
『梨沙子に支えてほしかったから』

そんな答えが返ってきたらどれだけ幸せだろう
こんな時に幸せ感じるのもアレだけど・・・

でも先輩はきっと、ここに来たことに深い意味はなくて・・・
先輩は簡単に弱音を吐くような人じゃないけど
大好きな人に振られてつらくないわけないから・・・
誰でもいいから側にいてほしかったんだと思う
あたしじゃなくてもよかったんだと思う

だけど、それでもいいです
あたしは愛理ちゃんにはなれないけど・・側にいたい
さっき言ったことは嘘じゃないよ?

100 :名無し募集中。。。:2010/02/19(金) 09:47:31.76 O

「梨沙子~何?」
「あ、えっと…あ!先輩のお家に連絡しなくて大丈夫ですか?」
「あ……そうだ…今って、うわ結構遅い時間だね…
メールして迎えにきてもらうよ
梨沙子んチにも迷惑だろうし」
携帯でメールを打とうとする先輩。
キツそうだから自宅でゆっくり休んだ方がいいのか…
それとも、キツそうだから動かないでうちに泊めた方がいいのか…


違う。
ただ…
あたしが先輩といたいだけ…

先輩のメールを打つ手に自分の手を重ねた。
「今日は、泊まっていって下さい。
うちは全然迷惑じゃないですから」
「―――ありがと梨沙子。
一応、家にはメールしとく」
先輩はキツそうだけど笑顔を見せてくれた。
…なんだか空元気な笑顔。
あたしなんかに無理しなくていいのに。
少し胸がチクッとした。

101 :名無し募集中。。。:2010/02/19(金) 10:49:42.83 0

迷惑だってのは分かってるけど正直体を動かすのすら億劫だったから
お言葉に甘えて梨沙子んちに泊めてもらうことにした

それに、なんとなくだけど、梨沙子と一緒にいたかった
なんでか分かんないけど

……一人になるのが怖かったのかな?

「先輩はそのままそこで寝てくださいね」
「梨沙子は?」
「あたし、横にお布団敷くんで」
「うちそっちでいいよ。梨沙子ベッドで寝なよ」
「いいですって。先輩は何も気にしないでいいんで
今は体調直すことだけ考えてゆっくり寝てください。分かりましたか?」
「……はい」
「あ、寒くないですか?お風呂は今日のとこは我慢してくださいね」
梨沙子は押し入れからタオルケットを一枚取り出すと
うちの布団の上にかけた

102 :名無し募集中。。。:2010/02/19(金) 11:10:08.88 0

「なんか……梨沙子やさしいね」
「えっ!???」

ついにネジ飛んだ?熱上がった?
慌てて先輩のおでこに手をやると・・・うーん、別にさっきと変わらない

「へ、変なこと言ってないで早く寝てください!」

電気を消して布団に潜り込んだ
先輩は何も言わなかった
きのうもおとといも一緒の部屋で寝たけど、今日はいつもと違う雰囲気が部屋に漂っていた

103 :名無し募集中。。。:2010/02/19(金) 11:11:13.21 0

「梨沙子」
今にも消えそうな声であたしを呼ぶ声
「なんですか?」
「うち…明日愛理に謝りに行くから…朝、家出るね」
「っ!」

風邪引いてるのに…!?って言いかけたけど我慢した
きっとそれどころじゃないんだってのは先輩を見てれば分かる
それよりも…あたしが気になるのは…

「…謝るって、先輩が何かしたんですか?」
「何かしたから振られたんじゃん」
「何をしたか分からないのに謝るんですか?」
「………」
「…それ、愛理ちゃんが可哀相ですよ…」

105 :名無し募集中。。。:2010/02/19(金) 11:28:16.75 O

「…でも、あの愛理が…あんな風に、その…
すっごい泣かせちゃってさ……
だから、うちバカだから何かしたんだよ…」
「先輩それって…」
「ん?」


『先輩の自己満足なだけじゃないですか?
何をしたかもわからないことを謝るなんて
してしまった”何か”に対して何の反省もないと思います』

言う、べきなのかな?
たかだかマネージャーのあたしが…
わからない……。

「…謝るなら何がいけなかったかくらいはわかってた方がいいと思います」
「…そっかな…ん~……」
「今はおとなしく眠って下さい!
明日には今より良くなってるハズだから
朝、起きてからでもいいじゃないですか?」
「梨沙子のくせに…
……良いアドバイスありがと」
先輩の声、後半は少し小さかったけどわかってくれたかな?
熱もまだあるのに難しいこと考えない方が良いと思ったんだもん…

106 :名無し募集中。。。:2010/02/19(金) 12:39:48.95 0

しばらくしてお互い何も話さなくなった
先輩は体調が悪いせいか、それとも愛理ちゃんのことがあってつらいのか、
何度も寝返りを打ったりうなされたりして凄く苦しそうだった
そんな先輩の横であたしは冷静にいられるわけもなく
合宿で疲れてるはずなのになかなか眠ることができなかった
そして聞こえてきた先輩の寝言・・・

「あ・・・り」
「・・・」
「あい・・・り」

堪え切れなくなって上半身を起こした
暗闇の中手探りで先輩のほっぺに触れると・・・湿ってた
先輩・・・泣いてるんだ

「・・・先輩、好きだよ」

寝てる先輩に向かって呟いた
先輩が愛理ちゃんのこと諦められなくても、あたしは先輩が好き

ずっと好きだよ・・・

最終更新:2010年03月12日 02:01