- 69. 名無し募集中。。。 2010/03/13(土) 16:27:45.00 0
- 朝早く、あたしは自分の家への道のりをゆっくり歩く
隣には一人で帰れるって言ったけどわざわざ送ってくれているえりかちゃん
昨日の夜のえりかちゃんの言葉
「愛理、ナツヤキさんと何があったの?」
えりかちゃんの一言であたしの心は強く痛み出した
そうだ・・・あたし、あんなに大好きなみやを・・・
みやにあんなことを言った自分が嫌になりそうで・・・
でもそれはきっとみやに対してずっと思っていた本当のことで・・・
ただ、自分の気持ちがわからなくてあたしはえりかちゃんに一言
「別れたんだと思う」って言った
えりかちゃんはそっか、ってそれ以上何も言わなかった
- 70. 名無し募集中。。。 2010/03/13(土) 16:33:02.67 0
- 「ねぇ、愛理、今何時?」
ぼーっと歩いているとえりかちゃんが急にそんなことを聞いてきた
「あれ?えりかちゃん、携帯は?」
「携帯ねぇ、家に忘れてきちゃったのよ」
「あ、そうなんだ。ちょっと待ってね」
そう言って鞄の中から携帯を取り出すと、メール着信のランプが点灯していた
「あれ?メールだ・・・」
こんな朝早くに誰から?って首をかしげながらページを開く・・・
「っ!!!」
差出人のところには『みや』という表示
それを見た瞬間胸の鼓動が激しくなるのを感じた
- 85. 名無し募集中。。。 2010/03/14(日) 14:35:33.31 0
- 「みや…」
確かにそう聞こえた
ずっと聞きたかった愛しい人の声…
その声のするほうへ振りかえると眉の下がった愛理
そして特等席だった愛理の横にはうちじゃない誰かが立ってて…
「愛理…」
「なんで…?別れようって言ったのに…」
「愛理!うちは…!」
必死に繋ぎとめようとした離れた心はいつしか
取り戻せないほど遠くに行ってて
愛理を…大切な人を…傷つけてた…
「愛理!」
うちの横を通り過ぎ走って行こうとした愛理の腕を掴んだ
「離してよ!」
「やだ!」
暴れる愛理をなだめるようにうちはその体を自分の体へ引き寄せ抱きしめた
- 86. 名無し募集中。。。 2010/03/14(日) 14:44:22.65 0
- 「っ!!!」
今までにないみやの強引な抱きしめ方にドクンと心臓が跳ねる
「愛理・・・うちの話聞いて」
「・・・もうみやと話すことなんて・・・」
“ないよ”ってそう言おうとした瞬間、
急にみやとの楽しかった思い出がフラッシュバックされた
- 87. 名無し募集中。。。 2010/03/14(日) 14:53:34.57 0
- 楽しかった思い出と同時に溢れてくる涙
そしてそれを優しく拭ってくれるみやの顔
それなのに…あたしは…
昨日のキス…そして…みやとの思い出がえりかちゃんとの思い出と重なってく
あたしはみやの体を離した
「愛理?」
「あたし…えりかちゃんとキスした…」
- 88. 名無し募集中。。。 2010/03/14(日) 15:08:36.83 0
- 「え・・・?」
あたしの言葉に戸惑ったような表情で目を大きく開けるみや
「あたし、みやのこと・・・好きだけど・・・だけど・・・
みや以外の人とキスした」
「・・・」
「・・・」
そのままお互い沈黙が続いて、あたしはみやの顔が見れなくて下を向く
するとみやはそっとあたしの手を取った
「・・・好きなの・・・?梅田先輩のこと」
「・・・・・・わかんない・・・」
「・・・そっか・・・」
- 90. 名無し募集中。。。 2010/03/14(日) 16:30:39.27 0
- 「それだけ…?」
「え?」
「なんで?みや以外の人とキスしたんだよ?なんでもっと怒らないの!」
涙を流しながらうちの手を振り払った愛理は俯き小さな声で呟いた
「わかんない…みやがわかんないよ…」
「愛理!」
家へ入っていく愛理を追いかけようとしたのにその腕を誰かに掴まれ引きとめられた
「梅田先輩、離してください。うち行かなきゃ」
「行くってどこに?」
思いっきり壁に押し付けれた
ものすごい形相でうちを見下ろし胸ぐらを掴んだ梅田先輩
優しくて温厚な人だと聞いていたのにそんなのも感じさせないくらいその顔は怒りに満ちていた
「愛理がどんな気持ちであたしとキスしたこと話したと思ってんの。
あんたに嫉妬してほしくてあんたに自分の気持ちを気付かせたくて…。
これ以上…これ以上愛理に悲しい顔させないでよ…」
胸ぐらを掴まれていた手が離れ梅田先輩は「ごめん…」と倒れこんだうちの手を引いた
- 91. 名無し募集中。。。 2010/03/14(日) 16:50:33.43 0
- 「ねぇ、ナツヤキさん・・・あんた何にも感じない?
愛理が自分以外の人と仲よくしてたり、手つないだり、抱き合ったり、キスしたり
そんなことしてても何とも思わない?」
「・・・そんなの・・・そんなのいやに決まってるじゃないですか・・・」
「じゃあなんでそれを愛理に言ってあげないの?」
梅田先輩の言葉にうちは思わす目をぎゅっと閉じた
嫌だけど・・・そんなこと言ったら愛理に嫌われそうで・・・
好きだから優しく接することしかできなくて・・・
そんな自分の気持ちをうちは梅田先輩にもうまく言葉にできなかった
- 92. 名無し募集中。。。 2010/03/14(日) 17:16:15.22 O
- ひとつ大きく深呼吸。
声を荒げるなんてうちらしくない。
でも、言わなきゃわからないこともあるし、言っておかないといけないこともある。
「ナツヤキさん、うち愛理のこと泣かせないでって言いましたよね?」
なるべく冷静を保って話すうちを見上げてくるナツヤキさん。
冷静さを保てなくなるまえに言ってしまおう。
ごめん愛理、今からうちは、ナツヤキさんを傷付けてしまうわ。
「あんたのは、優しさじゃない、周りの人や愛理を傷付けて、自分が傷つくのが怖いだけ」
大きく目を見開くナツヤキさん、でも止めてあげない。
「愛理とうちがキスしたのは本当。」
「誘ったのはうちから、好きだっていうことも言ったわ。」
「それでも、何にも感じない?」
もう一度うちは大きく深呼吸。
「選ぶのは愛理だけど、今のナツヤキさんには、愛理は渡せない。」
- 94. 名無し募集中。。。 2010/03/14(日) 17:38:32.02 0
- 何も言い返す言葉が見つからなくて自分の拳をぎゅっと握りしめた
あんなに好きで大好きで大切だったのに
こんなにも言われて言い返せないなんて
うちは愛理に甘えすぎてたのかもしれないね…
愛理はうちのこと何でもわかってくれてるなんて勝手に自惚れてたのかもしれない…
「今日はもう愛理一人にしてあげて。この様子じゃきっと今日はもう出てこないと思うし」
そう言って梅田先輩は来た道を歩いて行ってしまった
「愛理…」
愛理の部屋の窓を見上げてみても愛理が顔を出すわけでもなく
カーテンがただ閉まっていた
あの部屋で一人泣いている愛理を抱きしめてあげることもできないなんて
うちは本当に愛理の恋人失格だね…
今更遅い「ごめんね」をただ胸の中で呟き続けた
最終更新:2010年03月15日 19:00