103 :名無し募集中。。。:2010/04/06(火) 22:15:43.48 0

HRが始まる前、うちは“A”のストラップを眺めていた
まだ愛理と別れたってことが信じられない自分は惨めかな
別れるってことがどういうことかうちにはわかんないんだ・・・

「みーや!どうしたー?ぼーっとしてない?」
背中をぼんと叩くとうちの前の席に座ってこちらを向く小春
「そんなことないでしょ」
うちは慌てて携帯をポケットにしまいこんで笑顔を作る

「・・・ふーん・・・ならいいけど・・・」

小春はもしかしたら気付いたかな?
うちが愛理と何かあったこと・・・

114 :名無し募集中。。。:2010/04/07(水) 03:20:21.83 0

HRの時間が近づき次第に教室に人が溢れてきた
うちは握りしめたAのストラップをただただ見つめていた

「うわっ」
ふいになった携帯にうちはびっくりして思わず変な声をあげ
隣にいた千奈美が「なにやってんの」なんて笑った
「ちょっとびっくりしただけ」
そう答えて携帯の受信メールを見ると梨沙子からのメール
HRが始まる時間なのにどうしたんだろ?
不思議に思いながらもそのメールを開くと

『先輩にこんなこと言うのは間違ってるかもしれないですけど
愛理ちゃんが教室を飛び出して行っちゃったんです』

そう書いてあった
「え…」
教室飛びだしたってどういうこと?
愛理またうちのせいで…?
うちは無意識に席を立つと急いで教室を飛び出した

「みや!もうHR始まる!って…聞こえてないか。
ったくいつもみやは一人で抱え込むんだもんなぁ」

124 :名無し募集中。。。:2010/04/08(木) 00:15:07.72 0

梨沙子からのメールを見た瞬間うちは教室を飛び出していた
その時のうちは愛理と別れたって事実は完全に頭から飛んでいて、
ただただ愛理が心配でたまらなかったんだ

あの時、冷静になっていればあんな光景みることなんてなかったのに・・・


うちの足は無意識に音楽室に向かっていた
何かあるといつも音楽室で歌を歌っていた愛理
歌が大好きな愛理
だからきっと、ここにいるって・・・そう確信してた・・・

そして、もし愛理を見つけられたら、もう一度自分の気持ちを伝えて抱きしめられたら

――――うちはそう思ってたんだ

128 :名無し募集中。。。:2010/04/08(木) 01:19:52.42 0

音楽室の前に着くとなんだか人が話している声が聞こえた

そっとドアに近づいたところで耳を澄ましてみる
「・・・ふっ・・・ンって」

この声・・・愛理・・・?

うちは音楽室の扉を少しだけ開けて中を窺う
「あ・・・」

そこには愛理と・・・あの人、梅田先輩がいた・・・

二人はうちに気づくことなく話し続ける
でも内容はもうちっとも耳に入ってこなかった

ただ目の前で愛理は涙を流していて・・・だけど・・・抱きしめるのはうちじゃなくて・・・

そして二人はうちの目の前でキスをしていた

ただ、それだけだ・・・
最終更新:2010年06月05日 03:12