224.名無し募集中。。。:2010/06/20(日) 23:31:58.69 0

あたしはどこに向かってるかもわからないまま走り続け
いつの間にか自分の学校前に来ていた
触れた唇…
先輩の気持ち…
わけのわからないこの気持ちをどうにもできなくて
あたしは門の前に座り込んだ

ハンカチを取ろうとポッケに手を入れたときカサっという紙の感触
「あ…」
そこにはめぐさんの連絡先
なんでかわからないけどママでもなく愛理でもなく
あたしはめぐさんの連絡先に電話をかけていた…

「もしもし?」
「あ…、もしもし…」
「ん?だれ?」
「あ…えっと…」
「あ、もしかして梨沙子ちゃん?」
「はい…」
めぐさんの優しい声

「連絡くれたんだ、ありがとう」
「はい…」
「…どうした?なんかあった?」
あたしの声を聞いただけでめぐさんは察してた
あたしが泣いてるってことを…
225.名無し募集中。。。:2010/06/20(日) 23:40:40.64 0

「・・・」
何かはありました・・・
大好きな先輩にキスされました・・・
しかもファーストキス・・・

なんて言えるわけがなくて、電話なのに黙ってしまった
すると、

「今、梨沙子ちゃんどこ?家?」
「え、あ・・・まだ・・・」
「じゃあ外?あ、もしかしてまだ学校いる?」
「はい・・・」
「んー・・・ここからなら・・・んー・・・ちょっとさ、そこで待っててよ」
230.名無し募集中。。。:2010/06/21(月) 02:02:41.08 0

ちょっと待てて
そうめぐさんに言われてからどれくらい経っただろうか…
少し肌寒くなった風にあたしは腕をさすった
「心寒いなぁ…なんてね…」
「梨沙子ちゃん?」

少し先に見える街灯に照らされた人影
「めぐさん?」
「良かった。寒かったでしょ」
めぐさんはあたしの元に駆け寄ると着ていたパーカーをあたしに着せた
「い、いいですよ!めぐさんが寒くなっちゃいます」
「あたしはいいよ。走って来たから暑いし」
そう言っためぐさんは確かに息があがってて暑そうにTシャツをパタパタ仰いでいた

「じゃあ…お言葉に甘えて…」
「どうぞ」
ニコニコ笑って門の前に腰かけためぐさんの横にあたしも腰をかけた
しばらく続いた沈黙
めぐさんは何も言わないけどきっとわざと聞かないようにしてる…
ただ傍に寄り添ってくれてるだけであたしが安心するのわかってる…
「あの…」
「ん?」
「聞かないんですか?何があったのか…」
「あ~…、何となくわかるから。…みやのことでしょ?」
あたしはその言葉に小さく頷く
231.名無し募集中。。。:2010/06/21(月) 02:19:19.18 0

「あいつ、相変わらず鈍いって言うか・・・
まだまだ女心わかんない奴だからねー」
軽く笑いながらめぐさんが呟く
「はぁ・・・」
「無意識なんだろうけど優しすぎたりね」
「よく知ってるんですね、先輩のこと」
「中学からよく県の代表とかで一緒だったから」

そうなんだ・・・だからかな・・・?
知り合ったのは間もないはずなのにめぐさんといるとなんだか安心する
232.名無し募集中。。。:2010/06/21(月) 02:44:54.06 0

「梨沙子ちゃんはみやのこと好きなんでしょ」
「…はい」
あたしの答えを聞いためぐさんは小さく微笑みゆっくり立ち上がった
「やっぱあたしは脈無しか~」
「え?」
「ねぇ、梨沙子ちゃん」
「はい…?」
「明日気分転換にどっか行こうか」

空を見上げながら呟いためぐさん
あたしがその返答に困っているとめぐさんはゆっくりと振り返り
あたしを指さした
「そのパーカーのお礼ってことでどう?」
「え…」
「それだったらいいでしょ?」
「でも…」
「大丈夫。みやには言わないから」
やっぱりめぐさんにあたしの心は見透かされていた…
っていうより顔に出るのかなあたし…
233.名無し募集中。。。:2010/06/21(月) 02:52:38.59 0

「でも、めぐさん、あんまり歩いたりしたらダメなんじゃ?」
「リハビリも兼ねて運動しなきゃ。ね?いいでしょ」
そう言ってにっこり笑っためぐさん

気がついていたらあたしは頷いていた

先輩とのキス・・・忘れたくないし、忘れられない・・・
だけどそうしていたらすごく苦しいから・・・

だから、きっとめぐさんに甘えたいなってそう思ったんだと思う
最終更新:2010年08月11日 02:22