- 242.名無し募集中。。。:2010/06/21(月)
14:15:38.22 0
めぐさんと別れて一人トボトボと道を歩く。
送るって言われたけど申し訳ないから丁重に断り続けた。
夜道・・・怖いな。いつも先輩と一緒だったから気付かなかったけど、この辺人通り少なすぎるよ・・・。
先輩・・・今頃何考えてるんだろう。
カラオケに夢中であたしとキスしたことなんて忘れてるのかな?
それにしても・・・
我ながら押しに弱いっていうか、雰囲気に流されやすいっていうか・・・。
まだ知り合って全然経ってないのにめぐさんと二人きりで遊ぶとかよく考えたら凄すぎるよ。
夏焼先輩ともまだ遊んだことないのに。
・・・・でもめぐさんは夏焼先輩のことよく知ってるし、いい人だし、安心できるし。
もしかしたらいいアドバイスとかくれるかもしれないな。
そんな呑気なことを考えながら歩いていると、前の方から聞きなれた自転車の音がした。
え・・・まさか・・・
「・・・・先輩?」
「・・・あ!梨沙子!!」
- 243.名無し募集中。。。:2010/06/21(月)
14:17:13.19 0
やっぱり夏焼先輩だ!
どうしたんだろこんなとこで・・・。
いつもの習慣で駆け寄ろうとしたけど、キスのことを思い出して足がカチコチに固まった。
「心配したんだよ!電話しても出ないから!」
怒ったような声で先輩があたしに駆け寄る。
で、電話・・・?慌ててポケットの中の携帯を見ると確かに何件も着信が入っていた。
やば・・・めぐさんと話してたから気付かなかった。
ごめんなさいと言おうとしたその瞬間、全身があったかい体温に包まれる。
あああああああたし・・・抱きしめられてる・・・。
「よかった無事で・・・何かあったかと思ったよ・・・」
「・・・せんぱい」
「何してたの?どこ寄り道してたの?」
体を離してお姉ちゃんみたいな口調で詰め寄られる。
こんだけ心配かけちゃったなら正直に言わなきゃ・・・
そう思って口を開こうとしたら、夏焼先輩があたしの服をじっと見つめているのに気付いた。
「・・・こんなパーカーさっき着てたっけ?」
-
- 244.名無し募集中。。。:2010/06/21(月)
14:33:08.78 0
体を離して梨沙子をよく見ると、見慣れないパーカーを羽織ってることに気付いた。
「・・・こんなパーカーさっき着てたっけ?」
うちの問いに目を泳がす梨沙子。
もう一回、なるべく優しくどうしたの?って聞くと、ゆっくりと口を動かした。
「めぐさんに・・・借りました」
「・・・は?」
笑っちゃうぐらい情けない声が出た。
梨沙子、今なんて言った?めぐ?めぐってあのめぐ?村上愛?
借りたって・・・は?なに??
「え、どゆこと?何でめぐ?」
「あの・・・電話してたら今から会おうってことになって・・・さっきまで話してて・・・」
ちょ・・・待って待って待って。
ハテナマークがうちの頭を埋め尽くす。
え?なんで二人電話とかしてんの?
てゆか何会ったりしてんの?
え?それでさっき走って帰っていったの?え?え?
- 245.名無し募集中。。。:2010/06/21(月)
15:04:27.57 0
「そうなんだ・・・」
やっと絞り出た声はさっきよりも情けなかった。
明らかにうち動揺してる。多分梨沙子にも伝わってる。
無事でよかったって思ってた自分はどこに行ったのか。
胸がモヤモヤしてきて・・・なんだかすごいイライラしてきた。
うちの知らない間に仲良くなってる二人にどうしようもない焦りを感じた。
たこやき屋で見たあの紙も・・・もしかしてめぐが?
気付けばうちは最低なことを口走っていた。
「めぐは・・・やめた方がいいよ」
「え?」
「いい子だしうちの自慢の友達だけど・・・恋愛とかはすぐ飽きちゃう子だから。梨沙子には合わ」
「なんでそうゆうこと言うんですか?」
- 246.名無し募集中。。。:2010/06/21(月)
15:05:52.38 0
顔を上げると珍しく怒った顔した梨沙子と目が合った。
・・・なんでそんな目でうちを見るの。
心配して言ってあげてんのに。
「友達のことそんな風に言うなんてひどい」
「恋愛のこと言っただけじゃん」
「でもっ!・・・てかあたし達恋愛とかそんなんじゃないもん!」
「めぐはどうでもいい子とこんな時間に会ったりしないよ」
「っ!それはっあたしが・・・」
あたしが・・・何?
梨沙子から会ってくれって頼んだの?
何それもう意味分かんない・・・。なんか悲しくなってきた・・・。
「めぐ・・・梨沙子のこと何も知らないじゃん」
- 247.名無し募集中。。。:2010/06/21(月)
15:37:08.32 0
いつもと違う夏焼先輩に泣きそうになった。
なんで、なんでよ・・・。なんで友達のことそんな風に言うの・・・?
先輩はそんなこと言う人じゃないのに・・・。
なんかあたしとめぐさんの関係勘違いしてるみたいだし・・・。
今日の先輩おかしいよ・・・。
「めぐ・・・梨沙子のこと何も知らないじゃん」
「・・・だから何なんですか?」
気付けばあたしまでイライラしていて、口調がきつくなっていた。
何も知らないって何?めぐさんのこと軽いとでも言いたいの?
何も知らないのは先輩の方じゃん。軽いのだって先輩の方じゃん。
あのキスだってただの気まぐれだったんでしょ?
あたしがどんな思いだったか・・・
どんな思いでめぐさんに縋ったか・・・
- 248.名無し募集中。。。:2010/06/21(月)
15:50:40.66 0
自分でも酷いこと言ってるのは分かっていた。
こんなこと言う権利がないことだって分かっていた。
でも一度破裂した感情は抑えられなかった。
めぐのことをあんな風に言うつもりも、梨沙子を怒らすつもりもなかったのに・・・。
うち、ほんと何してんだろ・・・。
梨沙子を傷付ける為にここまで来たんじゃないのに・・・。
「・・・帰るね。また部活で」
呆然と立ちすくむ梨沙子と目を合わさずにチャリに乗ってその場を去った。
「・・・・うち、梨沙子の恋愛応援するって言ったけど・・・もうできそうにないわ」
誰もいない道で呟いた。ポロっと出た言葉は本音だった。
誰かが梨沙子に気があるかもって思うだけで頭がおかしくなりそう。
いや、もうなってるのかな・・・。
とにかく悪いけどもう応援できそうにない。
ごめんね、梨沙子。めぐもごめん。こんな嫌な奴で・・・。
- 256.名無し募集中。。。:2010/06/21(月)
20:38:23.15 0
自転車から降りてトボトボと歩いていたら
後ろからなんだか音が・・・?
振り返ると遅いくせに必死でうちに向かってくる梨沙子!!
「せんぱーーーいっ!っハァッ、ハァ・・・言い逃げは・・・卑怯ですよ!!」
何で?こんな嫌なヤツで自己中なうちを・・・
何で?追っかけてくれるの?
梨沙子の優しさにうち、勘違いしちゃうよ・・・・・
「捕まえた!・・・・・先輩、自転車に乗ってさっさと行くんだから」
「・・・・・・」
「ずるいです」
肩で息をしながらうちの腕を捕まえたまま話し続ける梨沙子
追いかけてきてくれたのは嬉しいけど予想外すぎてうちは言葉が出ない
- 273.名無し募集中。。。:2010/06/22(火)
14:17:28.12 0
「・・・帰るね。また部活で」
そう言い残して去っていく先輩の背中をただ見つめていた
せっかく心配して家まで来てくれたのに
なんでこんな喧嘩っぽくなっちゃったんだろう・・・
先輩のバカ・・・
少しあたしも頭を冷やそう
そう思って家に入ろうとしたけど
遠くに見えた先輩の後ろ姿があまりにも弱弱しかったから
このまま遠くに行っちゃうような気がして・・・気付けばあたしは走り出してた
「・・・梨沙子。どうして追っかけてきたの?」
先輩がようやく口を開いてくれたところであたしはずっと掴んでいた先輩の腕を離した
「先輩、怒ってる?」
「怒ってるのは梨沙子じゃないの?」
「もう怒ってない。怒るのやめた」
「なんで?」
「先輩と喧嘩したくないから。夜眠れなくなっちゃう」
そう言えば先輩は小さくため息をついて
「かわいーやつ」って髪を撫でてくれた
- 286.名無し募集中。。。:2010/06/22(火)
23:50:11.79 0
「じゃあうちも怒るのやめた・・・ってうちは謝らなきゃいけないんだけどね」
「謝る・・・?」
それって・・・さっきのキス・・・のこと・・・?
「さっき、梨沙子に酷いこと言ってごめん」
「・・・あ。あー・・・そっち」
「そっち?」
「う、ううん、なんでもないもん。あたしもごめんなさい」
お互いさっきの言い合いを謝り合って・・・
なんとなく、ちょっと空気が柔らかくなったような、でも少し緊張してるような
「じゃあ、家まで送る」
「家、すぐそこですよ?」
「すぐそこだろうと危ないものは危ないんだよ」
「でも・・・」
「いいから乗って」
そう言って先輩は強引にあたしの腕を取って後ろに乗せてくれる
- 308.名無し募集中。。。:2010/06/23(水)
20:19:43.54 0
キーコキーコ
夜道に自転車を漕ぐ音だけが響く
ほんの数十メートルなのに送ってくれるなんて優しいな
今日も、電話に出ないってだけで心配して家まで来てくれた
・・・恥ずかしいけど勇気出してちゃんと言おうかな
「・・・先輩」
「んー?」
「いっぱい心配してくれてありがと」
先輩の背中に頭を預けてそう言うと、突然ハンドル操作がめちゃくちゃになって
そのまま電信柱に激突した
とっさに二人で足を着いたから倒れずに済んだけど
「・・・っごめん梨沙子。大丈夫?」
「あ、はい・・・」
「ごめんね、うち今日ほんとおかしいや」
「・・・・」
「どうかしてる」
困ったように笑う先輩を見て切なくなった
やっぱり・・・さっきのキスは『どうかしてた』だけなんだ・・・
- 309.名無し募集中。。。:2010/06/23(水)
20:32:15.04 0
自転車を漕いでると突然肩らへんに温もりを感じた
梨沙子が頭をくっつけてるんだって分かると顔が一気に熱くなった
「いっぱい心配してくれてありがと」
そんなうちに追い打ちをかけるかのように囁かれた言葉・・・
案の定うちは冷静さを失って見事に電柱に突っ込んだ
はは・・・うちほんとどうかしてる
梨沙子の一言一言にいちいち反応しちゃうなんて・・・
嬉しかったり不安になったりイライラしたり、今日のうちは忙しい
なんかおかしいや・・・
- 313.名無し募集中。。。:2010/06/23(水)
21:31:11.74 0
「じゃあ明日は休みだからゆっくり休んで」
「あ、はい」
あたしの家の前
自転車から降りたあたしと乗ったままの先輩
「今日はおつかれ」
「先輩こそお疲れ様です」
「うん」
「さっきも言いましたけど自主練とかしないで休んでくださいよ?」
「わかってるって。じゃあ月曜に学校でね」
「はい・・・」
離れたくない・・・ずっと先輩と一緒にいたい・・・
そう思ったけどあたしにそんなこと言えるはずがなくて
あたしは小さくうなずくことしかできなった
-
- 316.名無し募集中。。。:2010/06/23(水)
22:18:50.22 0
梨沙子が困ったような苦笑な感じで
「さっきも言いましたけど自主練とかしないで休んでくださいよ?」
「わかってるって。じゃあ月曜に学校でね」
「はい・・・」
・・・・・・・・月曜に・・・
じゃあ、その間は?
梨沙子に会えない?
・・・・・・・・・・・・・なんかヤダ
そう思ったら、もう後ろを向いて
家に入ろうとしている梨沙子の手を反射的に掴んでしまった
- 318.名無し募集中。。。:2010/06/23(水)
22:28:37.08 0
家に入ろうとしたら後ろから腕をつかまれた・・・先輩?
「・・・先輩?」
「あ・・・・・・えーっと、さ・・・その・・・」
「?」
どうしたんだろう?
「あっ!梨沙子明日ヒマ?」
明日はめぐさんとの約束が・・・
「スイマセン。明日は用事があるんです・・・
もしかして部活で何か必要なものとかありましたか?」
「そ、そういうワケじゃ・・・ナイんだけど―――」
何だろう?
やっぱり何かあるのかな?
なんだか先輩は考えてるみたいで・・・
しばらく黙ってたかと思うと先輩の口から驚きの言葉が出てきた
-
- 322.名無し募集中。。。:2010/06/23(水)
22:35:04.30 0
うちは意を決して梨沙子を誘おうと思った
でも返ってきた言葉は
「スイマセン。明日は用事があるんです・・・」
ナンダッテーーーーーーーー
梨沙子のことだからきっと
『明日ですか?大丈夫ですよ』
とか、そういう答えを期待していたうちは大バカだ
でも、今・・・梨沙子から離れたくない
そばにいたいんだ
でも明日は無理・・・・・・・・
今日、お泊りとかしちゃダメかな?
梨沙子の家がよければ・・・
もちろんうちの家でも良いし!!
「梨沙子!今日お泊りしてちょこっとおしゃべりとかしない?」
・・・なんか、言ったはいいけどいきなり過ぎかな
梨沙子の目が真ん丸くなってるし
うーん。やっぱ月曜まで我慢かな?
- 324.名無し募集中。。。:2010/06/23(水)
22:42:59.99 0
「へ・・・?」
お泊り・・・!?
だってお泊りだなんて・・・
そう思って前に合宿で先輩達が話していたことが頭の中でよみがえる
『愛理ちゃんとどこまで進んでんの?』
『顔赤くなってる!ということはやっちゃったんだー!』
そうだよ・・・先輩はモテるんだし
こうやって誰かを家に誘うことだってキスすることだって
別に何ともないんだ
ねぇ、愛理?
あたし、愛理みたいに先輩に大事にしてもらえないみたいだよ・・・
なのに心臓は壊れそうなくらいドキドキしていて・・・
愛理・・・あたしはあなたが羨ましいよ
- 346.名無し募集中。。。:2010/06/24(木)
15:28:47.05 0
梨沙子が困ってるのが分かったから慌てて
「急すぎるよね・・・また今度でいっか」
そう言って腕を離した
何焦ってんだろ、うち・・・
もう二度と会えなくなるわけじゃないのに・・・なんでこんなにも離れたくないんだろう
「あの・・・すいません」
「いいよいいよ。そういえば明日ちぃに空けとけって言われてたの忘れてたわ。
ちぃで我慢するよ」
ぎこちなく笑えば梨沙子も似たように笑った
「じゃ、今度こそバイバイ」
- 347.名無し募集中。。。:2010/06/24(木)
15:41:37.26 0
家に帰って即行ベッドに飛び込む
色々あった一日だったな・・・
~♪
「・・・・もしもーし」
『もしもしじゃないっ!もーみやどうしたのさいきなりカラオケ飛び出してー!』
思わず携帯を耳から離す
こんな時間に(かなりの大声で)電話をかけてきたのは徳永千奈美
「あーゴメン。ちょっと用事で・・・」
『何それー!まーいいや。明日だけど、12時に駅前広場集合だかんね!』
「はーいりょうかーい」
『ちょっほんとに分かってる!?明日はみやがいないと始まらないんだからね!』
「は?何それどうゆう意味」
『いやっ・・・・・・ほら、みや来なかったら千奈美一人で暇じゃん?』
あーなるほど・・・
確かにそうだわ
「分かった、12時ね」
適当に返事をして電話を切った
お風呂に入って歯磨いて再びベッドに潜る
瞼が落ちるまで思い浮かべていたのはやっぱり梨沙子のことだった
- 360.名無し募集中。。。:2010/06/24(木)
23:09:21.18 0
部屋に入るなり力が抜けてベッドに座りこんだ
無意識に唇に行ってしまう自分の指
初めてのキス・・・
恋愛になんて興味ないって思ってたけど
やっぱりキスってどういうものなのかなって少しは考えた事はあった
そしていつか自分も好きな人としたいなって・・・
夢はかなったはずなのに・・・
自分のことを好きじゃない人とするキスはなんでこんなに切ないのかな
最終更新:2010年08月11日 02:34