690.名無し募集中。。。:2010/07/03(土) 16:39:08.01 O

次の日の朝、そっこーで梨沙子を迎えに行った。
先輩おはようございます!ってちょっとちょっと。
呼び方、1日で元に戻っちゃってるよー。


さっそく梨沙子を自転車の後ろに乗せて学校へ。
今日から新しい1日が始まるような気がしてワクワクする。
でも同時に照れくささもあって、それは多分梨沙子も一緒で。

「・・・・部室、時間差で入る?」
「そう、だね」

少し不自然になってしまう。

まぁこれも楽しいっちゃ楽しいけどね。
696.名無し募集中。。。:2010/07/03(土) 20:02:47.34 O

「おはよー」
「おはよーみやー」

先に中に入ればいつも通りわいわいしてる部室。
いつもと変わらない。なんの変哲もない光景が広がる。
・・・ただひとつ、複雑そうな表情でうちを見てるちぃを除けば。

『昨日は無理に合コン連れてってゴメン!』
『でもあのあと大変だったんだぞ!』
『てか梨沙子ちゃんとどうなったんだよおおお!』

とでも言いたそうな目でじっとうちを見つめてくる。
とりあえず口パクで昨日はごめんとだけ言って両手を合わせた。
697.名無し募集中。。。:2010/07/03(土) 20:15:11.81 O

みやと時間差で部室に入る
なんかこういうの、ドキドキしちゃうな

入った途端、あたしが目をやってしまうのはやっぱりみや

なんか徳永先輩に絡まれてる・・・?

「無理やり合コン連れて行ったのは悪かったけどあれはひどいよ!」
「あぁ、ごめん」
「あの子たち、みんなみや狙いだったんだよ?もったいない」
「そういうの興味ないって前から言ってんじゃん?
うちは自分で好きだなぁって思った子がいいの!」
698.名無し募集中。。。:2010/07/03(土) 20:48:58.12 O

みんなに挨拶しながらロッカーに向かってると聞こえてきたその言葉。
転びそうになった。
思わず先輩・・・いやみやを見ようとしたけど、とっさにやめた。
これ以上顔赤くなったら誰かにバレそうだから。

とりあえず早く着替えて体育館に行こう。

「梨沙子ちゃんおはよ!相変わらず胸おっきいね!」
「っちょ!小春先輩触んないでくださいよー」

朝から元気でヘンタイな小春先輩が、突然後ろから抱きついて胸を触ってくる。
まぁ今に始まったことじゃないし、こうゆう悪ふざけはしょっちゅうだから慣れちゃったけど。
あたしも軽く流していたんだけど。

・・・・今日はなんだか鋭い視線を感じた。

ちらっと恐る恐る視線をずらすと案の定愛しい人と目が合う。
うん。軽く睨まれてるねあたし。
先輩・・・みやの口元が「コラ」と動いたので慌てて小春先輩を引き剥がした。
701.名無し募集中。。。:2010/07/03(土) 22:36:04.70 0

「もー、そんな勢い良く小春をはがさなくたっていいじゃん」
「・・・小春先輩、亀井さんに言っちゃいますよ」
「え?や、ちょっ・・・それは困るかも・・・」

また抱きつこうとしてた小春先輩は勢いよくパッとあたしから離れた。

「てゆーか、いいじゃーん別に減るモンでもないし・・・むしろ増やして・・・アイタ」
ヘンタイ小春先輩がやらしい手つきでおかしなことを言い始めた所で
小春先輩の後ろから目が笑ってないちょっと怖い笑顔で頭にチョップを入れた。

「小春~バカなことやってんじゃないの!大切なマネージャーをいじめない」
「そ、そうですよ!いじめないでください」
「みや何すんの痛いじゃん!これはホラ、愛情表現も大切じゃん?」

「小春が梨沙子に愛情表現とかしなくていいから」
「ホントしなくていいですから!」
「何だよも~、二人とも息ピッタリで・・・なんか怪しいな」

ドキ!!

「はぁ?梨沙子とは仲良しだし。いつもこんなモンじゃん」
「そ、そうですよこんなモンです」
「ふ~~~ん、そっ」
ちょっと含み笑いをしながら小春は去っていった・・・ケド
気づいてないよね?
ってカンジで梨沙子と無言のアイコンタクトをしたら梨沙子も曖昧な表情だった。
732.名無し募集中。。。:2010/07/04(日) 22:15:10.18 0

先に部室を出て水道場に向かう
ここならもうすぐ梨沙子がポットを持ってやって来るはずだから
少しだけど二人きりになれる

「はぁ・・・」

それにしても、さっきのことを思い出すだけでため息が出る
小春に対してはもちろんだけど、正直自分に対しても・・・
梨沙子を好きになればなる程どんどん心が狭くなってくような気がする
部員の悪ふざけにまでいちいち嫉妬してしまう自分に少しの不安を覚えた

「あ、先輩だ」

声の方を振り向くとそこにはポットを持った梨沙子
うちがここにいることに特に驚きはないみたいだ
いつものように水道の前にしゃがんで、慣れた手つきで作業を始める

「先輩、さっきのやだった?」
「そりゃ嫌でしょ」
「ごめんね」

一瞬だけうちを見て、小さな声で梨沙子が言う
確かにイラついたけど実際謝られると困ったりもする
734.名無し募集中。。。:2010/07/04(日) 22:30:21.43 0

うちは梨沙子の隣に同じようにしゃがみこむと膝をかかえ
そっと梨沙子の顔をチラ見した

透き通るような白い肌に長い睫毛
思わず見とれてしまった

「な、なんですか?」
うちの視線に気づいた梨沙子は顔を真っ赤に染め
目を少し泳がせながらこっちを向いた
「ん~?…最初にあんなことするのうちだと思ったんだけどなぁ…、なんて」
「え!?」
「ははっ、冗談冗談」
「…べ、別に…せんぱっ…みやならいくらでも触っていいよ…」
あんまり梨沙子が可愛いからからかうつもりで言ったのに
梨沙子の口から出た思わぬ言葉に今度はうちが動揺した

「え…」
「あ、今変なこと考えてるでしょ」
「べ、別に考えてないし…!」
「もう絶対みやには触らせない!」
「えー!」
「べーっだ」
「あ、ちょっ」
そういって行こうとした梨沙子の手をうちは咄嗟に掴んで引きとめた
733.名無し募集中。。。:2010/07/04(日) 22:20:37.26 0

「もういいよ。ヘンタイには気をつけてね」
「でもあたし後輩だから、強くは逆らえない」
「引っ叩いていいよ。うちが許す」
「こわっ」

二人顔を見合わせて笑う
すぐ嫉妬する割にすぐ許しちゃううち
惚れた弱みってやつなのかもしれないけど
梨沙子がうちだけ見てる時は穏やかな気持ちになれる

あ、そろそろ行かなきゃ朝練始まっちゃうわ
梨沙子を手伝おうと手を伸ばすと、すでに作業は終わっていたらしく彼女は元気に立ちあがった

「みやが妬いてくれるの嬉しいから、ヘンタイのとこ行ってきます」
「ちょっ!」

一人さっさと走り出す梨沙子を慌てて追いかける
元々足遅い上に重いポットを持ってるからほんの数秒で追いつく。このいたずらっこめ
仲良く半分ずつ持って、みんなが待つ体育館へ急いだ

・・・ちぃとヘンタイがうちらを見てにやにやしてたのは、多分気のせい
736.名無し募集中。。。:2010/07/04(日) 22:35:02.58 0

みやとのなんともないやりとりがすごく楽しい
昨日までもこんなやりとりは毎日してたけど今日からあたしとみやは恋人同士・・・

そう思っただけで、あたしの胸はドキドキしてあったかくて幸せになる

体育館に着くとみやはポットをベンチに置いてみんなの輪の中心へ
あたしはボールの準備をしたりいつものように自分の仕事を行った

そっとみやの方を窺うと、キャプテンの顔をして今日の指示をてきぱきと行っている姿にまたキュンとする

なんか、やっぱり信じられないなぁ・・・
あの人があたしの恋人だなんて・・・

そんなこと思いつつも顔は自然と緩んでいたみたいで
ママに怪訝な表情で見られているのに気づいて慌てて変顔をしてごまかした
742.名無し募集中。。。:2010/07/04(日) 23:10:18.65 0

「誤魔化しても無~駄。顔に良い事ありました~って書いてあるもん」
「そんなことないよ!」
「そうやってすぐムキになるのもバレバレ」
ママはまるで子供をあやすようにあたしの頭をぽんぽんと優しく叩くと
「良かったね」
そう言って笑った
ママのその笑顔にあたしも笑顔になる
「うん!」

ママにはたくさん迷惑かけたしいっぱい相談に乗ってもらった
だから本当は一番に伝えたかったんだけど
まだ自分自身実感が湧いてなくて…何より恥ずかしかったから…
「ママごめんね」
「ん?なにが?」
「…ううん。なんでもない」
「なによ~。気になるじゃん~」
あたしの腕をツンツンと肘でついてくるママ
そんなママを見たら自然に熊井先輩に目が行った
ママも熊井先輩とずっと幸せでいてほしいな
そんなことを心から願った
743.名無し募集中。。。:2010/07/04(日) 23:19:03.54 0

今日のみやはなんだか絶好調みたいでスピードもあってキレも抜群。
シュートの決定率もすごく高かった。

ちょっとはあたしが関係してたら嬉しいな、なんて思ってみたり。

休憩時間になってみんなにタオルを配って最後はみやのところに・・・

「あ、まぁタオルちょうだい!」
「えー、あたしに言わないでよー」

みやは先にママにタオルをお願いしていて、ちょっとションボリ。

「梨沙子、これ、みやに渡してきてもらえる?」
「え?」
「全く。あたしに頼むなっつーの」
ママはあたしに強引にタオルを握らせるとポンと背中を押してくれた
764.名無し募集中。。。:2010/07/05(月) 20:30:16.50 O

「夏焼先輩、タオルどうぞ」
「え?あ、ありがと」
「・・・・・・・」
「ん?どした?」
「・・・あのね、ママにバレちゃった」
「へー・・・ええぇっ!!??」

せっかく冷静を装っていたのに梨沙子の一言で崩壊した。
周りの部員が一斉にうちらを見る。
なんでもないよとジェスチャーして、梨沙子を体育倉庫に連れ出した。

「え、なんで茉麻が?」
「なんかあたし分かりやすかったみたいで・・・」
「え、あ、そっかそっか・・・いや、全然いいんだけどね」

いいんだけど、なんか照れくさい・・・。
茉麻のやつ感付くの早すぎ・・・。
うちらどっか不自然だったかな。
いや、まぁだから気付いたんだろうな。
普段からよく梨沙子を見てるママだから。

どうしよう、まぁになんて言おう。
「娘さんをください!」とか?
殴られそうだな・・・。
769.名無し募集中。。。:2010/07/05(月) 23:13:54.08 0

「と、とりあえず、戻るわ」
「あ、うん」
そう言って先に倉庫から出ていくみや
ちょっと時間空けた方がいいかなってあたしはみやが出て行くのを見送った

みやはコートに戻るとすぐに「みんな集合ー!」って大声で号令
それを聞いてからあたしはそそくさとベンチに戻った

みやから受け取ったタオルをママに無言で渡すとママは優しい笑顔で頭を撫でてくれた
最終更新:2010年08月11日 03:58