801. 名無し募集中。。。 2009/06/30(火) 10:41:50.80 O
みや…みや……ううん、もう『夏焼先輩』って呼ばなきゃ…
あ……呼ぶことも、もう…ないか

布団に潜り込みみやへの想いを忘れようと思えば思うほど
屋上で会った時やライブ、急に迫ってきたり優しくしたり…
色んな顔の『みや』が浮かぶ


「会いたい…でもあたしなんかが恋なんてしちゃダメ…みんなを傷つけて……」


"あたしを傷つけたママやパパみたい"


そう思うと胸が酷く痛んだ
843. 名無し募集中。。。 2009/06/30(火) 23:48:59.97 0
布団にもぐって目を瞑っているとママが部屋に入ってくる
「梨沙子、返事位しなさい、さっきから何回呼んだと思ってるの?」
「ごめんなさい・・・」
ママの声が怖かったからすぐに布団から出る

「もういいから、おつかい行って来てちょうだい
ここにいるもの書いてるから」
そう言ってメモをあたしに渡す

ここから近くのスーパーは結構遠い
しかも今は自転車もパンク中だから歩いて行かなきゃ・・・
気分転換になればいいけど・・・はぁとため息をつき、あたしは家を出た
849. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 01:27:56.84 0
「「めんどくさいなぁ」」
そう思いながらもスーパーへと向かう
三十分ぐらい歩いてようやくスーパーに着いた

買い物している間も気分が晴れない
「「本当はみやにそばにいて欲しい」」
どこにもぶつけようのない寂しさが胸を締め付ける
でももう我慢しなきゃもう関係は切ったんだから…

「「愛理にこのこと話さないと、このまま気まずい関係ではいられないよ…」」
そう心に決めてスーパーを後にする
家に帰ろうと来た道を戻る
ちょうど一軒のカフェの目の前を通りすがろうとしたとき
浮かない顔をした愛理とそれを心配そうに見つめる清水さんが出て来た
852. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 01:49:46.56 0
「あ、愛理と清水さん?」
一瞬目の前にいる二人に驚いたけど思わず話しかけた
「り、りーちゃん!なんでこんなところにいるの?」
どうしてこんなにもタイミングよく愛理と会ってしまったんだろう
「お母さんに頼まれて」
とスーパーの袋を見せて言う

でも今は話せるタイミングじゃないから帰ろう

「じゃあたし行…
「梨沙子ちゃん!愛理ちゃんと話してあげて」
と清水さんが言うと手を振りながら帰ってしまった
「し、清水さんちょっ…」
愛理が言いかけたけど行ってしまった
853. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 01:50:48.08 0
しばらく沈黙が続いた

愛理があたしに話したいことでもあるの?
あたしの頭の中は混乱していた

「りーちゃん…今から大丈夫?」
「大丈夫だよ」
あたしには断る理由もなかった

近くの公園で話そうと二人で歩き始めた
855. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 01:57:03.51 0
二人でよく来た公園
ここでお互いのいろんな話をしたっけ
どんなテレビが好きとか、どんなタイプの人が好きとか・・・

この公園に来たらいつも座るベンチに今日も二人隣同士腰かける

「ごめんね?買い物の途中で・・・」
「あ、う、うん、大丈夫、腐るものとか入ってないし・・・」
「あ、そっか・・・」
「・・・うん」

ついこの前まで愛理と話してるとすごく楽しかった・・・話もいつも尽きなかったのに・・・
今はこんなにも気まずい・・・
914. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 22:00:52.91 0
ベンチに座ったままどちらも話し出せなくて沈黙が続く
「えっと・・・あの・・・し、清水さんと仲良いんだね」
いっぱい考えて出てきたセリフがこれ
「あ、うん・・・ずっとライブ行ってたから顔も覚えてもらったんだ」
「・・・そうだったんだ」

そうだ・・・愛理は顔を覚えてもらうほどみや、うぅん夏焼先輩のライブに行ってたんだ
あたしなんかとは思いの深さが違う・・・
今さら愛理にあたしも夏焼先輩のことが好きなんて言えるわけがない・・・
言っちゃダメなんだよ・・・
915. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 22:16:56.73 0
「りーちゃん…あの…夏焼せんぱ」
言いかけた私の言葉をりーちゃんは遮った
「愛理!」
「え?」
「あたし熊井さんが好きなの」
りーちゃんの思いがけない言葉に私は口を開けたまま動けないでいた

「愛理が何を見て何を聞いたのか知らないけど夏焼先輩と会ってたのは熊井さんと仲良くなりたかったからなの」
りーちゃんは私の顔を一切見ようとせずに前だけを見ていた
夕日に当たってオレンジ色に色づいた瞳は少し潤んでるようにも見えて…
だから私はその言葉がすぐに嘘だってわかった

「りーちゃん嘘ついてる」
「ついてないよwほんとに夏焼先輩のことなんて何とも思ってないし、愛理のこと応援したいって思ってる」
「じゃあどうして泣いてるの?」
918. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 22:26:05.64 0
愛理のことを応援してあげたい
そう思ったはずなのに体は嘘をつけなくて…
私の頬をいつの間にか涙が濡らしていた

「ちがうよ。嬉しくて泣いてるの。こうして愛理と仲直り…」
「もうやめてよ!どうして嘘つくの?ねえどうして?」
「愛理…」
「りーちゃんが夏焼先輩好きだからってなんなの?それで私がりーちゃんと友達やめると思った?」
愛理の真剣な眼差しは私だけを見つめて離さない
私の肩を持った愛理の手は少し震えてて泣きたいのを堪えてるのが伝わってきて…
気づいたら私は大粒の涙を流して愛理の胸に顔をうずめていた
919. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 22:44:28.72 0
「愛理、ごめんね・・・ごめんなさい・・・」
私に抱きついて涙ながらにごめんを繰り返すりーちゃん
りーちゃんは何も悪くないよ・・・仕方なかったんだよ・・・

「うぅ・・・あたし・・・好きだよぉ・・・夏焼先輩が好き・・・グスッ
好きになってごめんなさい・・・ウゥ・・・」
りーちゃんの涙を見て私も堪えていた涙が溢れ出す
938. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 23:25:56.74 0
「2人で片思い・・・しようよ。」
「愛理・・・・」
「あたしりーちゃんに諦めろとか言うわけないでしょ・・・でも」
「・・・?」
「隠し事はいやだよ・・・辛いもん」
「・・・ごめん」
「さ、全部話して楽になって。まーちょっと妬いちゃうかもだけど
でも・・・あたし先輩が好きだけど・・・友達のりーちゃんのこともっと好きだもん」
「愛理・・・ごめん、ごめんっ」

私は泣きながら愛理に謝った。愛理のひどいことした。
裏切って悲しませて隠し事もいっぱいある。
みや・・・ううん、夏焼先輩とのこと全部話そう。
愛理が怒るような事も話さなきゃいけないだろうけど
隠し事をしてまたこんな風にギクシャクする・・・それだけはいやだった。

だから、時間をかけてゆっくり・・・ここ何日かで起こったことを全部話した。
941. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 23:36:03.53 0
初めて出会った日のこと
屋上でたまたま夏焼先輩が寝ていて声をかけられたこと

ライブの後のこと
ファーストフードで夏焼先輩と隣になって話をしたこと

上手く伝えられてるいるかわからなかったけど一生懸命その時のことを話した

そしてファーストフードの後で私は言うのをためらってしまう
ホテルに行ったこと・・・その後のこと・・・言うべき・・・?

「・・・」
「りーちゃん・・・?」
「・・・この後のこと、言ったら愛理はあたしのこと軽蔑すると思う・・・」
あたしは俯いてぎゅっと拳を握りしめた
943. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 23:46:27.24 0
俯いてる私に愛理は優しく微笑んで私の頭をそっと撫でた
「どんなことがあっても私はりーちゃんを軽蔑したりしないよ」
そんな愛理の優しい言葉
愛理の優しい手の温もり
全てが私の心の鍵を解いていくようで私は意を決してすべてを打ち明けた

「…」
打ち明けた後、愛理は何も言わず悲しい顔だけをしていた…
いつもの下がり眉をもっと下げて…

打ち明けなきゃ良かった…
言った後に後悔して私はまた俯いてぎゅっと拳を握り締めた
945. 名無し募集中。。。 2009/07/01(水) 23:54:38.33 0
「・・・・だめ、りーちゃん隠し事はいや。」
「でも・・・」
「続きあるんでしょ?・・・話して」

愛理は私の握り締めた拳を解くように優しく触れてくれる。
暖かくてその優しさに涙が出る。

私は全部話した。隠し事はなしだもん。
先輩との相談室でのできごと、熊井さんとのこと、今日2人に別れを告げたこと。
全部。

愛理は半べそかきながら悲しそうな顔をしながら
それでもずっとを手を握ってくれていた。
948. 名無し募集中。。。 2009/07/02(木) 00:48:12.80 0
「ごめんね・・・りーちゃん・・・グスッ」
「なんで!何で愛理が・・・悪いのは私で・・・」
「ううん、りーちゃん苦しんでた・・・でもあたし嫉妬して・・・
それにも気付かないで・・・ごめん・・・」
「愛理やめてそんなの・・・」

愛理はいよいよ大泣きしながら私に謝った。
私は違う、悪いのは私、そういい続けたけど
愛理はずっと謝り続けた。

胸が苦しくて辛くて二人して苦しんで
なにやってんだろう・・・そう思った。
22. 名無し募集中。。。 2009/07/02(木) 22:14:16.71 0
「りーちゃんなんで謝るの?」
「だって…愛理のほうが先に夏焼先輩のこと好きだったのに…私よりも前からずっと好きだったのに…
なのに私が夏焼先輩のこと好きになっちゃったから…だから愛理のこといっぱいいっぱい傷つけた…」

りーちゃんは涙濡れた瞳を私のほうへ向けそう呟いた
そんなりーちゃんを私はもう一度ぎゅっと抱きしめた
「りーちゃんのバカ…好きになるのに先も後もないよ…」
「愛理…」
「私がりーちゃんより先に夏焼先輩に会っちゃっただけ。きっとそれが全ての始まりなんだよ。
りーちゃんと夏焼先輩が出会うすべての始まり…。だからもういいの」
「愛理、なに言って…!」
「りーちゃんはきっと夏焼先輩と幸せになるよ!私が好きになった人だもん」

私は心の中の想いを封じ込めりーちゃんに満面の笑みをプレゼントした
そしたらりーちゃんはきっと嬉しそうに笑うんだ
りーちゃんの笑顔が見れればいい
それだけあれば他は何もいらない
それくらい私はりーちゃんのこと大切に想ってる
だからこそりーちゃんには一番幸せになってもらいたいって心からそう思った
41. 名無し募集中。。。 2009/07/03(金) 03:16:27.40 0
「幸せになんてなれないよ…」
「りーちゃんならなれるよ!!絶対なれる!!」
何を自信にそう言ってるの…?あたしにはそんな自信ないよ…
「あたしは夏焼先輩にとって気休めになるひとりとしか見られてないの…
このままじゃずっと遊ばれるだけだもん…」
「そんなのわからないじゃん…」
どんどんと愛理の声が小さくなっていく
「わかるよ」
ついつい強い口調になってしまった

「…」

嫌な間が流れる
42. 名無し募集中。。。 2009/07/03(金) 03:17:24.57 0
「ごめん。言いすぎた。」
「あたしが…あたしが確かめてくる」
「な、なに言ってるの愛理?」
予想もしてないことに戸惑ってしまう
「あたしが夏焼先輩の気持ち確かめてくる」
「あたしが確かめてくれば、あたしの気持ちもすっきりするから」
「…」
心の中でいろいろな思いが交錯する
あの日言われた
「「一人にしないでよいやだよ梨沙子寂しいのはいやだよ!」」
あの言葉は本物なのかそれともただの寂しさの穴埋めなのか
しばらく黙りこんでると
「そうゆうことだから、じゃああたし行くね」
愛理は涙ぐみながら笑顔であたしにそう言って公園から出て行った
最終更新:2009年07月05日 16:07