- 122. 名無し募集中。。。 2009/07/04(土) 13:01:05.86 0
- 一人でホテルを出て家路を急ぐ
いつもはみやが送ってくれるから一人で帰るのは久しぶりだ・・・
こうやって抱き合えば抱き合うほどみやに惹かれていく自分がいる
うちには舞美がいるし、みやにとってうちは数多い女の一人
それなのになんでこんなに胸が苦しくなるんだろうか
色々思い悩んでいるともう自分の家まで来ていたことに気づく
すると家の前に見覚えのある姿
「舞美・・・?」
「あ、えりー!!おかえりー!!とか言って」
うちの顔を見て嬉しそうに駆けよってくる舞美
でもうちは舞美の顔をまっすぐ見れる自信がなかった
- 147. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 01:21:49.67 0
- 舞美はいつでも笑顔。
逆にみやの笑顔はほとんど見たことがない。
この両極端の二人に同時に惹かれてる。最低な女。
「えりさ、今日時間ある?」
「え・・・まぁ、うん。」
「よかったぁ!じゃあちょっと出かけようよ。」
と、言う訳で舞美の自転車の荷台に乗っている。
思うと、こうするの、久しぶりだな。
前まで、毎日のようにこうして舞美の後ろに乗って、いろんなとこに行った。
初めて告白されて、キスして、身体を重ねて・・・
物思いにふけっていると、自転車が止まった。
「さ、ついたよ。」
- 148. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 01:27:32.08 0
- >ここは・・・河川敷?
舞美が告白してくれた場所だ。
「懐かしいよね、ここ!」
―あの時、舞美に連れられてここに来た。
ここから見る夕日が最高に綺麗なんだって。
当時、学校のバスケ部の中で一番のルックスで、人に優しくて、完璧だった舞美が、告白してくれるなんて考えもしなかった。
でも、こと恋愛に関しては奥手で、そういうギャップにうちは惹かれたんだ。
なんか、こうしていると、うちを悩ませるどす黒い感情を抑制できる気がする。
「綺麗だね、相変わらず」
「でしょ!ここの景色が一番好き。」
弾ける舞美の笑顔が眩しくて、心が洗われる。
- 149. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 01:35:13.08 0
- 「最近ね、うちら、すれ違いばっかだったじゃん?」
「うん」
・・・・すれ違い
そうじゃない。うちが舞美よりみやを優先しただけ。
「でね、もしかしたらえりはもううちの事好きじゃないんじゃないかと思ったの。」
「・・・・・ちが!」
「聞いて。」
うちの言葉を遮り舞美が続ける。
「このまますれ違いが続くなら、お互い辛いだけだし、付き合う意味あるのかなって思った」
―――――嫌。そんなこと言わないで。
舞美の優しさに甘え続けてきた。それがついに崩壊するんだと思った。
綺麗な夕日が涙でかすむ。
「だからね、もう一度、えりに告白するの。」
「・・・・・え?」
「あの人同じ気持ちで、好きで好きで仕方無いから、いくらすれ違っても、嫌いにはなれないの。」
「・・・」
「だからね、もう一度、告白して、えりの返事を聞きたい。」
舞美の笑顔が真顔に変わる。
心にダイレクトにくる表情で、まっすぐこっちを見ている。
「梅田えりかさん。」
「・・・・・・・・・はい」
「うちと、付き合ってください。」
気付くと、首を縦にぶんぶん振っていた。
- 172. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 03:11:46.61 0
- 涙はしばらく止まらなかった。
その間ずっと舞美は何も言わずそばにいてくれて、愛してるを100回言われるより愛を感じた。
この涙は辛い涙じゃない。悲しい涙でもない。
私の心の奥のどす黒い部分を洗い流す涙。
泣けば泣くほど心がすっと晴れていくのを感じた。
30分ぐらい経っただろうか。
落ち着いて顔を上げると、だいぶ薄暗くなっていた。
横を見ると、舞美がこっちに微笑みかけてる。
――――ありがとう。
ここまで私を思ってくれる舞美を何度も裏切り続けた。
この罪は消えない。だから少しずつ償っていく。
舞美が私に注いでくれた愛と同じぐらいの愛で。
「もう落ち着いた?」
「うん、大丈夫。ありがとう。」
「じゃ、帰ろう。送ってくよ。」
「待って。」
そういうと、優しく舞美に口づけをした。
舞美はあの頃と同じように真っ赤になってた。
きっとあの頃に戻れるよ。
だってあのどす黒い何かはもう、どこかに流れて行ってしまったから。
最終更新:2009年07月05日 16:15