- 244. 名無し募集中。。。 2009/06/25(木) 22:26:30.30 0
- Buono!の出番が終了後、楽屋にて。
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「いやー!今日の客マジノリよかったね!」
「ねー!ビックリした」
確かに今日の客の熱気はすごかった。
歌ってるこっちが圧倒されてしまうぐらいに。
でも、それ以上に気になっていたのが、あの子。
前に一度会ったことがある・・・けど名前が思い出せない。
「そういえばさ、今日最前列にすっごいきれいな子いなかった?」
「え?どんな子?」
「愛理ちゃんの横にいた子!」
熊井ちゃんとキャプの会話にドキっとした。
今まさに私はその子の事を考えていたから。
「じゃあ愛理ちゃん繋がりでみやのファンだ」
「そうだよね・・・みや、あの子知り合い?」
知り合い・・・といえば知り合いだけど、名前も知らないのに知り合いとは言えない。
「んっと、同じ学校だから顔は見たことあるけど、よく知らない」
「そうなんだ!じゃあさ・・・」
- 245. 名無し募集中。。。 2009/06/25(木) 22:27:13.84 0
- さっきまで無邪気な笑顔だった熊井ちゃんの顔が急に殺し屋の目に変わる。
「あの子、うちがもらってもいい?」
「なっ・・・・」
「だって友達とかじゃないんでしょ?」
「そうだけど・・・あの子中学生だよ?」
「そんなの関係ないじゃんw」
この感じはマジだ。
別にあの子は私のものじゃないけど、熊井ちゃんに手出されるなんて嫌。
「はいはい!二人とも、くだらない話はその辺で、打ち上げどこにするか決めようよ」
「え〜!キャプはお堅いなぁ・・・」
「うるさい!いつものファミレスでいいよね?みや」
「え?・・・あ、私、今日はパス」
「え!?打ち上げパスって何それ!」
「ごめん!」
そう言い残すと、ギターを抱えて楽屋を飛び出した。
- 247. 名無し募集中。。。 2009/06/25(木) 22:45:59.75 0
- なにやってんだろ。
名前も知らない子なのにむきになっちゃって・・・
ひとしきりの興奮が収まると、だんだんお腹がすいてきた。
打ち上げ行けばよかったかなぁ・・・
でもしょうがないから、どっかで食べて帰ろう。
そして見つけたファーストフード。
カウンターで軽食を頼んで席を探しに行こうとしたら、見覚えのある後姿があった。
「あの子・・・って」
今日のライブ中ずっと気になってた子。
名前だけがどうしても思い出せない・・・一度聞いたことは確かなのに。
“あの子、うちがもらってもいい?”
熊井ちゃんの言葉を思い出す。
熊井ちゃんは普段こそおとぼけキャラだけど、長身でキレイな顔をしている。
仮にあの子が私のファンだとしても、熊井ちゃんに口説かれたらきっと拒まない。
もしかしたらその日のうちに身体を・・・・・・なんてこともあり得る。
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とりあえず彼女の横の席に座り、じっと見つめてみる。
手元には私たちのCD。
買ったのか、もしくは愛理ちゃんにもらったのかは分からないけど。
「夏焼先輩…」
彼女が私の名前をつぶやいた。
ビックリしたけど、嬉しかった。いや、それよりホッとしたって言う方が近いかな。
この子は熊井ちゃんのファンじゃなく、私のファン。
熊井ちゃんには渡したくない。
この感情、いわゆる独占欲というものは、私が初めて抱く種類の感情だった。
頼んだ料理を食べることもなく、じっと見つめていた。
すると、彼女の方がこっちに目をやって、目線ががっちり合った。
「!!な、夏焼先輩!」
勝負を決めるなら今夜だ。そう思った。
佐紀目線
- 218. 名無し募集中。。。 2009/06/25(木) 01:24:55.41 0
- 観客はいつも女の子が多くて歓声は黄色い。
大半はみやに向けられたものだけどみやは興味なさそうに
誰も視界に入れないように誰に向けているのかわからない笑顔を作る。
すると、女の子たちはキャーと嬌声を上げる。
ギターを持った私はそんなみやの横顔をいつも見ている。
綺麗でそれでいて冷たい顔のみや。
いつも少しだけ心苦しくなるけれどそんなこと本人に言えるわけもなく
私はただギターをかき鳴らす。
でも、今日のみやはなんだか違った。
何度も同じ場所に目線をやっていた。
目線を送るたびに目を伏せて考え込むような顔をしていた。
私もこっそりその場所を見てみるけれど何か変わったものがあるわけではなく
恍惚とした女の子たちの顔をがあるだけだ。
不思議に思った私は、ライブが終わった直後みやをつかまえた。
「みやー」
「キャプテン?どしたの?」
「今日はどこをボーっと見てたの?」
「え?」
「いや、なんか一点を見つめてたから」
「え?うちいつもと一緒だよ?」
「そ、そう?あれ勘違いかな?」
「そうだよキャプテン変。」
「あ、あはは、変、そだね」
笑ってごまかしてなかったことにした。
けれどみやがウソをついたのはすぐにわかった。
みやはウソをつくと手首を握るクセがある。
何を隠そうとしてたんだろう。なんで隠すんだろう。
私は疑問を持ったまま、やっぱりみやという人はよくわからないと思った。
最終更新:2009年07月05日 17:29