129. 名無し募集中。。。 2009/07/04(土) 17:43:42.04 0
「ありがとう清水さん。でも、Buono!のみんなにはちゃんと説明したのかい?」
「これから説明します。きっと…きっと納得させますから、よろしくお願いします」
「わかりました。話は進めておきます。またちゃんとした日にちが決まり次第連絡いたします」
「はい。お願いします」

そういって私は電話を切るとそのまま熊井ちゃんへ電話をかけた
「もしもし熊井ちゃん?」
「あ、キャップ。どこまで飲み物買いに行ってんの?」
「ごめん。今日はもう練習終わりにしよ。みやいなきゃ何もできないし…っでさ、話したいことあるからいつも喫茶店に来れない?」
「…うん。わかった」

みやはきっと電話に出てくれないだろうから先に熊井ちゃんに話そう
でも本当にこれでいいのかなっていう後悔がまだ胸の底で疼いていた
「もう決めたんだ…もう…」
私は最後の覚悟を決めるといつも喫茶店へと足を運んだ
130. 名無し募集中。。。 2009/07/04(土) 17:52:16.22 0
飲み物を買いに出たはずのキャプテンは1時間以上経っても戻ってこなくて
ドラムをいじりながらも不安で落ち着かなかった
「キャプテンなんかあったのかな?誘拐?いやいやまさかそんな…」
そんな独り言を繰り返しているとキャプからの突然の電話
練習を切り上げていつもの喫茶店まで来れないかという電話

キャプの話ってなんだろう
みやのこと?
ううん、きっと違う
だってみやの話はさっき済ませたはず
じゃあ梨沙子ちゃんのこと?
きっとこれも違う…
キャプの話ってなに?Buono!のこと?
私の頭の中でそんな討論が繰り広げられていて複雑な気持ちのまま私はいつもの喫茶店へと向かった
144. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 00:36:05.11 0
いつもの喫茶店で、熊井ちゃんを待つ。
話が話だけにそわそわして落ち着かない。
この話をしたら熊井ちゃんはどんな顔するだろう。
きっと怒ると思う。もしかしたら関係が切れるかもしれない。
でも・・・うちだって光を浴びたい。

熊井ちゃんがやってきた。
電話してまだ5分しかたってない。息も切らしてる。走ってきたのかな。
「はぁはぁ・・・ごめんキャプ・・・おまたせ」
「う、うん」
熊井ちゃんと眼が合う。
なんとなく居心地が悪くなって眼を外した。
「話って何?」
145. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 00:44:59.66 0
―――――はぐらかしてもしょうがない。
単刀直入に言おう・・・・。
「あのね・・・」
「うん?」
「うち・・・グスッ・・・」
言葉にしたいけど、涙に遮られる。
「キャプ?どうして泣いてるの?」
「・・・・」
Buono!抜けるって・・・言わないといけないのに
言葉に出来ない。まるでうちに辞めるなって言ってるみたい。

でも、うちの信念だけは貫き通したい。
そう思うと自然に涙もとまってきた。
「あのね、熊井ちゃん」
「うん」
「うち、Buono!抜ける。」
熊井ちゃんの大きくて綺麗な瞳が更に見開かれた。
口をポカーンと開けて、言葉が出ないみたい。
「―――――して・・・」
「え?」
「どうしてそんなこと言うの?」
・・・・オファーの事、素直に話すべきだろうか。
でも、それを言ったら熊井ちゃんをさらに傷つける気がする。
「どうしてって・・・・」
「やだ」
熊井ちゃんは、今にも泣きだしそうだったけど、歯食いしばって必死に耐えている。
心に迫るような眼でこっちを見てる。
「やめるなんて、いや」
単純な言葉に、決意が揺らぎそうになった。
167. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 02:08:30.52 0
「ごめん…もう決めたことだから…」
「決めたってなに?なんで勝手に決めるの?Buono!は3人でBuono!なんだよ。1人だってかけちゃダメなんだよ!」
熊井ちゃんの声が少し荒くなり店内に居た客の視線を集めた
今にも飛び掛ってきそうな熊井ちゃんを宥めるように落ち着かせる
「わかってる…わかってるけど…みやと熊井ちゃんにあたしの気持ちなんてわかんないよ」
そういったら熊井ちゃんは困ったような顔をして私をずっと見つめていた
でも本当のこと…
いつも目立ってたみやや熊井ちゃんに私の気持ちなんてわかりっこないんだ…

「そういうことだから行くね」
「え、ちょっと待ってよキャプ!」
私は熊井ちゃんのほうを振り返ることなく伝票を手にレジへと向かった
168. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 02:17:58.09 0
カランコロンという音ともに喫茶店に駆け込んできた2人の女の子
「みや!と梨沙子ちゃん」
「キャプ…はぁはぁ…ぬけるってどういうこと?」
「なんで知って…!」
「さっきうちの携帯に寺田って人から電話かかってきて、キャプがHIGH-KING入るためにBuono!脱退すること知らされたの」

寺田さんが?
なんでそんなこと…

「ねえ辞めないよね?この話、嘘でしょ?」
みやの今にも泣きそうな顔を見て私は目を逸らした…
今、みやの泣き顔を見たらきっと心が揺らいでしまう…
そんな気がしたから
「嘘じゃないよ。Buono!やめてHIGH-KINGとしてデビューすること決めたの。わかったらもうどいて」
「やだ、どかない」
「どいてよ!」
「どかない!」
「どいて!」
「どかない!」
みやは頑なに私が外へ出るのを止めた
183. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 12:45:03.08 0
「理由を言わなきゃどかない」
みやが真っ直ぐな目で私を見てくる

この目だ・・・私はこの目が羨ましくて・・・悔しいんだ
透き通った綺麗な瞳、誰もを虜にする真っ直ぐな瞳

私は耐えきれなくて俯いてしまう
結局私はみやには勝てない・・・劣等感が襲い拳を握りしめる

「・・・みやにはわからない・・・私だって・・・私だって・・・」
ふと今までのことが頭をよぎる

初めて3人が顔を合わせた時
ぶつかりながらも初めてライブを成功させてみんなで涙を流した時
CDが出来上がった時

さまざまな楽しい思い出が蘇る
いつも3人で力を合わせてきた・・・
クールで何考えてるかわからないけど、さりげない優しさを持っているみや
いつも明るく笑顔で私を支えてくれた熊井ちゃん

私はこの場にいることが辛くなってみやの腕を振り切って店を出た

熊井ちゃん目線



184. 名無し募集中。。。 2009/07/05(日) 13:05:48.49 0
キャプが出て行って残されるうちら
みやの横で梨沙子ちゃんが気まずそうにしていて・・・
「みや、この話は明日にしよう、放課後ライブハウスで」
そうみやに言い残して喫茶店を出る

店を出てから後ろを振り返ると
梨沙子ちゃんがそっとみやの手を握りしめているのが見えて
私はため息をついてその場を後にした
最終更新:2009年07月05日 20:27