- 804. 名無し募集中。。。 2009/07/16(木) 23:00:09.61 0
- 結局あのあと寝たのは明け方だった。
いや、明け方まで寝かせてもらえなかったという表現の方が正しいかもしれない。
体は少し疲れているけど、夢と同じく二人そろって寝坊してしまったけど、
みやが本当のことを話してくれたから気持ちはすごく晴れていた。
「うわ、やばっ!」
朝のホームルームは見事にさぼってしまったけれど、1時間目には間に合うように急いで学校に来た。
しかし、少しだけ遅かったらしい。
教室に入ると、どうやら1時間目は体育だったようでもう誰もいなかった。
「どうしよう・・・体育の先生怖いんだよな・・・」
なんて言い訳しよう・・・なんて考えてるうちにも時間は刻々と過ぎていって。
とりあえず早く着替えよう!と体操服をロッカーに取りに行く。
その時だった。
教室の扉がガラっと開く。
やばっ先生!?と思って焦って目を向けると、そこには昨日絡んできたみやのファンらしき子たちがこっちを睨んでいた。
(最悪だ・・・)
- 808. 名無し募集中。。。 2009/07/16(木) 23:15:55.41 0
- 「今日のHR、夏焼先輩とどこ行ってたのよ」
「一緒に遅刻なんていいご身分ね」
腕組みをしてドアの前に立っているファンの子達を無視してせっせと教室を出て行こうとすると
そのうちの一人の子が私の肩を掴んだ
「ちょっと顔かしてよ」
「やだ!みやっ…!んー!」
口を塞がれその子達に誰もいない体育倉庫の裏へと連れていかれると
思いっきり突き飛ばされ尻もちをついた
「痛っ…」
「夏焼先輩にはもう近づかないで」
私を見下ろしながら腕を組んでいるファンの子達を私はキっと睨んだ
「なんであんた達にそんなこと言われなきゃなんないのよ」
「は?口答えする気!?」
首元をつかまれ体育倉庫の冷たいドアへと押し付けられた
首元を掴んでいた子の手が私の頬めがけて大きく振り下ろされる…
っと思ったその時
「ケンカはだめぇー!」
- 832. 名無し募集中。。。 2009/07/17(金) 15:02:44.81 0
- どこからかファンの子とあたしの間に割って入る誰か・・・
一瞬、昨日のように愛理かと思った
でも愛理より高めの声に小柄な・・・私服?
誰――――
「一人の子をよってたかって虐めるなんて卑怯だよ」
「っ!関係ないじゃん!!アンタ誰よ?!」
「関係ないなら誰だっていいでしょ。
・・・大声には自信あるんだ、声が高いからよく通るし。
試してみようか?」
ウフフ♪と楽しそうにみやのファン達に問いかけて黙らせる・・・
スゴイ・・・
「チッ!バカバカしい、行こ!!」
人が来たらまずいと思ったのか意外にも
さっさとみやのファン達は行ってしまった。
振り向き様にあたしを睨んできたからまた来るかもしれない・・・
「ふわぁ・・・」
あたしは少し、いや結構怖かったみたい
ファンの子達が行ってから脱力してしゃがみ込んでしまった。
- 833. 名無し募集中。。。 2009/07/17(金) 15:12:00.34 0
- 「大丈夫!?」
視界に入ってきたのは色白でキッとした顔立ちの
でも雰囲気はすごく優しそうな人だった。
「あの人達に何かされちゃった?どこか痛い?」
「いえ、される前に助けていただいて・・・あ、ありがとうございます」
「え?あ〜、いいのいいの。久しぶりの校舎と思ってフラフラしてたら
イカニモなシーンに遭遇しちゃって、これは止めなきゃでしょ♪」
「久しぶり?」
「もぉね・・・あ、あたしの名前・・・ピーチッチ!」
「え?ピー・・?」
「正義の味方!ピーチ姫・ピーチッチっていうの♪」
「そ、そうなんですか・・・」
楽しそうに得意げにピーチ姫と名乗る人・・・
なんとなく突っ込みたくなくてそのまま納得した。
良い人だけど変な人だな〜・・・。
何歳なんだろ?幼く見えるけど・・・?
- 834. 名無し募集中。。。 2009/07/17(金) 15:27:34.40 0
- 「その制服は・・中等部?だよね。大人っぽいね〜」
「あなたは・・・」
「ピーチ姫♪」
「そう呼ばなきゃダメだんですか?」
「うん♪ダメ。」
やっぱり変な人だ・・・
でも面白い人―――でも恥ずかしいなぁ
「ピ、ピーチ姫はこの学校・・・高等部の方なんですか?」
「過去形、かな」
- 835. 名無し募集中。。。 2009/07/17(金) 15:28:43.67 0
- 少し悲しそうな笑顔で答えてくれた
可愛い雰囲気が目立つけど・・・
この人よく見ると整った、綺麗な顔してるなぁ。
横顔が特に綺麗・・・・・
変な人だけど。
「ん?過去形?えーっと卒業生??」
「ブブー!違いますぅ!・・・あ、そういえば聞いてなかったけど」
”あなたのお名前は?”
小さい子供に聞くような感じで
ふわふわ優しい笑顔をあたしに向けて聞いてきた
「・・・菅谷、梨沙子。です。」
「りさこチャン、か〜。すっごい可愛いね!もぉの次・・・の次くらいに可愛い!」
「え?」
「可愛いでしょ?」
自分を指しながらニコニコと聞いてくる。
少しウザいかもしれないけどイヤではない。
「でも次の次って・・・2番目に可愛い人って?」
「んー、可愛いっていうかその人は綺麗!って感じだから
りさこチャンがもぉの次に可愛くてもいいよ」
「はぁ・・・」
変だけどなんとなく仲良くなれそうな気がした
自称ピーチ姫と・・・
- 837. 名無し募集中。。。 2009/07/17(金) 15:43:45.98 O
- 目の前のピーチ姫さんは楽しそうにあたしの顔を覗き込んでくる
「ねぇねぇ、梨沙子ちゃんは付き合ってる人とかいるの?」
「ふぇ!?」
いきなりの質問に変な声を出しちゃうあたし
「うふふ♪だって可愛いんだもん
で、いる?」
「…………えっと…あの…はぃ…」
改めてみやと付き合ってるってことを口にすると顔が赤くなる
「やっぱりー!!だって…そ・こ」
ピーチ姫さんは自分の首筋を指差しながらくねくねしてる
首筋…?
触ってみてからハッとしてポケットに入れていた鏡で確認すると蚊に刺されたような赤い痕
その瞬間みやとのエッチを思い出しておもわず下を向いてしまった
- 844. 名無し募集中。。。 2009/07/17(金) 20:10:25.70 0
- 「可愛いwほどほどにしときなよーなんてね」
「あの、ほんとありがとうございました!」
「もういいよ。じゃあ、行くね?ばいばい、梨沙子ちゃん」
ピーチ姫さんは手を振って行ってしまいそうになる。
でも、私はそんなピーチ姫さんを引き止めた。
「あ、えっと!」
「ん?どしたの?」
「あー・・・えーっと・・・・これ!」
私はここでこの人と別れたらきっともう2度と会えないんじゃないだろうかと
そう思って引き止めた。そして、ケータイをポケットから出した。
「んー?なになに?」
「あ、あたしの番号・・・!」
「ごめん、ピーチ姫の桃色ケータイお家に置いてきちゃった」
「あ、じゃあ・・・・紙と書くもの・・・ありますか?」
「あるよ、はい」
私はペンを借りて自分の電話番号を書いて渡した。
「・・・あの、あたし助けてもらったのに何も出来ないから・・・だから・・・
なんか困ったことあったらここに電話してください、いつでもいいですから」
「え?あぁ・・・わかった・・・じゃあ、行くね。ばいばい」
ピーチ姫さんはちょっと戸惑ったような顔をして、メモをポケットに入れた。
そして、その場から立ち去った。私は一人、ポツンと残されるのだった。
- 958. 名無し募集中。。。2009/07/19(日) 15:02:59.74 0
- 梨沙子ちゃんの電話番号の書いた紙を見つめながら思い出深い学校を後にしようとしたとき
「もも」と誰かに呼ばれた
「真野ちゃん?久しぶりだね!元気してたぁ?」
久しぶりにあった真野ちゃんに抱きつこうと小走りで真野ちゃんのほうへ向かう
「来ないで!」
「真野ちゃん…?」
「もものせいでみやがどんだけ苦しんだかわかるの?ももがいなくなってからのみやは変わっちゃったの!
色んな子と遊んで色んな子と関係持ってる、それでもももはみやのこと愛せるの?
今のみやは昔のみやと違うの!今更戻ってきてみやのことこれ以上苦しめないでよ!」
真野ちゃんの目は怒りに満ちていてもぉの瞳を捕らえて離さない…
「ごめん真野ちゃん…みやがそんな風になってたなんて思ってもみなかった…
もぉが悪いと思ってる、思ってるよ…。でも一つだけ訂正してほしいことがあるの。
もぉはみやが変わっちゃってても愛せるよ。どんなみやでも世界中の誰よりも愛せる自信あるよ」
- 981. 名無し募集中。。。2009/07/20(月) 00:11:10.03 0
- ももの宣言を聞いてあたしは無意識に拳を握りしめる
やっぱり・・・いつもあたしはももには勝てない・・・
確かにみやと先にあったのはももだけどあたしもみやが好きだった
だけどみやの視線の先はいつもももだった
みやの瞳にはももしか映ってなかった・・・
それが悔しくて・・・そして羨ましかったの・・・
「真野ちゃん?」
急に黙り込んだあたしを心配したのかももが呼びかけてくる
「な、なんでもない・・・なんでももがここにいるの?」
「そ、それはぁ・・・うーんとぉ・・・一人旅?みたいなぁ?」
「嘘でしょ?」
「・・・」
「ほんとはもも、みやに会いに来たんでしょ?」
あたしの決定的な言葉に口ごもるもも
しばらくの沈黙の後、ももが口を開いた
「・・・・・・だって・・・我慢できなかったんだもん・・・会いたくて・・・
みやの声が聞きたくて・・・ばかじゃないの?ってももに呆れたような口調で
でもいっつも優しいみやに会いたかったんだもん・・・」
「じゃあなんですぐに会いに行かないの?」
「・・・・・・それは・・・」
そう言ってまた黙り込んで下を向くもも
- 984. 名無し募集中。。。2009/07/20(月) 00:20:28.35 0
- そんなももを見てあたしはカバンの中をごそごそと漁る
そしてお目当ての物を見つけももの目の前に出す
「・・・?」
一瞬びくっとさせてからおそるおそる顔を上げるもも
「これって・・・?」
「ホントはみやに渡すためにわざわざみやの学校まで来たけど
よく考えたら今日どうせ会うから先にももにあげる」
「サマーふぇすてぃばる・・・?」
「みやたちのバンドに出演オファーが来てるイベント
本当に出演が決まればここで今のみやに会えるよ」
あたしは何やってるんだろう・・・ライバルに塩を送るようなこと・・・
「みやがこのイベントに・・・」
ももはあたしが渡したパンフレットを食い入るように見ている
「まぁ、その時期に日本に来ることがあればだけどね」
「あ・・・う、うん・・・そうだね・・・そしたらみやを見れるんだね・・・」
そういってももはぎゅーっとそのパンフレットを胸に抱きしめた
「じゃああたし、用事終わったし帰るね、もも、バイバイ」
「うん、・・・あ・・・真野ちゃん!!」
「何?」
「ありがとう・・・」
ももは思いっきりあたしに頭を下げるとパンフレットを大事そうに抱きしめて
先に走って行ってしまった
最終更新:2009年07月23日 18:50