ある日、家に帰った俺は、着替える間も無く、親に無理矢理応接間に連れて行かれる。
そこには直接話したことはないけど法事でよく見かける爺さん、そして顔全体を包帯で巻いた女性が座っていた。
んでその爺さんに開口一番「この子と結婚してくれ」と言われる。
話を聞くと、女性は爺さんの孫娘らしく、以前は自分でも自慢するくらいの美人だったんだけど、
高校生の時、彼女を妬んだ連中に硫酸をかけられて、皮膚が爛れてしまう。
もちろん移植手術は行われたけど、どうにも上手くいかなくて、結局、以前の美しさの見る影も無い、
肉むき出しの醜悪な顔になってしまう。
そんな訳だから何処にも貰い手が無く、このままではあまりに哀れだからという事で、
白羽の矢が俺に立ったらしい。
当然俺は反対するけど、なんでもこの爺さんはいわゆる本家ってやつで、
下手に機嫌を損ねると親戚連中からハブにされるらしく、親が何とか同意させようとするし、
その本家の爺さんも「籍さえ入れてくれれば浮気程度の多少のことには目を瞑る」とまで言って頼むもんだから、
俺も渋々折れて、彼女と結婚する。
結婚式は行わず、婚姻届を出すだけの結婚だった。
爺さんが借りてくれたマンションで始まった夫婦生活はつまらんもので、
彼女は何とか捨てられまいとしてか、必死に尽くしてくれるけど、
家の中に顔全体を包帯で巻いた女が居るっていうのは結構怖いし、愛想ふるわれても不気味なだけ。
俺は家には出来るだけ寄り付かずに居酒屋とか古本屋で時間をつぶし、殆ど寝に帰るだけの生活。
もちろん抱いてもいない。同僚の女とかと浮気して、なんかの拍子に彼女にバレルんだけど、
「誰のおかげでry」「お前なんか俺じゃなきゃry」などの定番台詞で罵倒する俺。
でも彼女にとっては意外と事実だから黙って耐えるしかない。
そんな日々の中、俺は上司の責任を押し付けられて窓際部署へ左遷されてしまう。
俺は必死にやってきたのにそんな理不尽なことで、と嘆いても現実は非情で、
友人は自己保身に必死で、浮気相手も離れていく。
自暴自棄になった俺は辞表を叩きつけて会社を去る。
家に帰ると彼女が慰めてくれたけど、俺は「お前みたいな化け物に慰められたくない」と怒鳴りつけ、
結婚指輪を投げつけて家を飛び出す。
それからしばらくホームレス同然の暮らしをするけど全く馴染めず、俺は自殺を考える。
んで飛び降り自殺しようと思って、適当なところを探していたら、住んでたマンションにたどり着く。
じゃここでいいやと思ったんだけど、ふと自分の家に寄ってみる気になる。
流石に愛想が尽きただろうから、彼女はいないと思っていたんだけど、ノブを回すとあっさりドアが開く。
そこには包帯に涙の跡を残しながら、ジッと座って俺を待つ彼女の姿があった。
俺は彼女を抱きしめて、彼女とやり直していこうと誓う。
そんな背景を持つギャルゲー主人公の親父。
散髪屋なんぞやりながら、優しく育った主人公と妹を、
包帯の代わりに子育ての際子供を笑わせるためにおたふくのお面を付け、それ以来つけっぱなしの妻といちゃつきつつ、
時に厳しく時に真面目に、時には主人公と共にボケ倒し、成長を見守る。
んでルートによっては主人公が医者になり、妻の皮膚移植を成功させる。
・・・・・・なんで俺まだ21なのに、こんなおっさんになりたいんだろう?
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最終更新:2012年02月08日 07:09