メスガキ「だっ……だめぇ!あふれちゃう!」

 

 

メスガキ「勝手にメスシリンダーの中に別の薬品を入れないでください!!」

男性職員「え、違うの……?」

メスガキ「ちゃんと説明書読んでください!社長が見たらうるさいですよ?」

男性職員「先に混ぜたら後から楽だと思ったんだが」

メスガキ「科学はお菓子作りと一緒で順序を間違えたり分量が少しでも違うと完成しないんです。だからまず先に」

男性職員「へーー お菓子作るんだ!!今度なんか作ってきてよ!」

メスガキ「話を聞きなさい!」

男性職員「はい」

メスガキ「こんなんじゃいつまでも強化人間を作るためのアンプルなんてできませんよ?どっかの洋館の下でウィルス作ってハザードする会社と一緒です。信頼と安全を第一に私たちは研究をしてるんですから」

男性職員「なんかゲームで覚えある設定だが気にしないでおこう。で、次の強化の段階はなんだっけ?」

メスガキ「四回目の手術ですのでLv2ですね。移動しながらのAIMが格段と上昇します。乗り物には影響しない。」

男性職員「今回も耐えるかな?」

メスガキ「わからないですね。この実験体がダメならまた1からなのでなるべく成功はさせたいですが……だいぶ精神は消耗してるでしょう。」

男性職員「一応薬物投与と調整液での休養をさせているから昔よりましさ」

メスガキ「こんなFPSのAIMが上がる実験なんて最初はバカらしく思いましたよ。でもこんないい儲けになるとは」

男性職員「108円の時代とは違うだろう?今やプロゲーマーなんてみんな強化人間だ。あのアジア覇者だって」

メスガキ「ええ、実況者のオペレーターなんてもはやオワコン 時代はワンマンアーミーです。この私が開発した薬品「ヨクアタール」を応用して様々な分野に特化した人間を作り、世の中のパワーバランスを自在に操る……すばらしいです」

男性職員「VRマシンができて以来ネトゲーマーは職業としても地位を確立できた。機材と環境があれば場所なんてどーでもいい。だから借金したバカがギルドの奴隷として売られる。」

メスガキ「ですが私たちはその実験体を研究、強化してプロの道へ送る。すごくいいことをしています」

男性職員「底辺からあの世界で輝けるプロゲーマーに慣れるなら誰もが志願するさ」

メスガキ「生きていれば、ですがね」

男性職員「かわいい顔で怖いことを言う」

メスガキ「だってこんな手術の成功率なんて宝くじ当たるより低いのですから」

男性職員「二度も実験を受けてまたここに来る奴はどんなお粗末プレイをしているのやら」

メスガキ「だいぶ見慣れた顔も増えましたよね」

男性職員「資料にある負債の額はもっともすさまじい」

メスガキ「夢を与えるお仕事です。言っていてはキリがありません」

男性職員「夢ね ぼくぁどっか海の見える丘に家かまえて静かに暮らしたい」

メスガキ「科学者なんて一生研究室ですよ。もしかしたら貴方を改造するかも」

男性職員「せめて夢の中で君がずっとポールダンスする夢をみるようにしてくれ」

メスガキ「絶対バラして売ってやる」

男性職員「冗談はおいて、今の技術でどこまでやれそうだ?」

メスガキ「ん~ 神経系光学繊維化・知覚系直接伝達・肉体強化とやるときりがないですが、機械の補助なしに生きてはいれないとこまでやれたら最強の人間ができると考えてます」

男性職員「人口血液にナノマシンの内部からの強化ではなく、外部から弄るってことか」

メスガキ「やはり内部からでは限界があります。機械のように、コンピュータのような反射神経と動体視力を発揮するには筋肉なども手を加え、脳からのパルスをより素早く伝達できなければ宝の持ち腐れです」

男性職員「そこまで行くと米軍がうるさいぞ?いい加減うちで強化兵士を作れと」

メスガキ「民間のが待遇いいですし、自由がききます。あそこはただ兵器を作るだけ 私は人間の限界へ挑戦するの……いずれクローンだって」

男性職員「君ならできるさ 現にここまで何万との肉体を改造してきた」

メスガキ「何割が現在活躍できてます?」

男性職員「……」

メスガキ「つまりそーゆーことです。やはり強靭な肉体と精神を持つものを実験したい」


ピロピロピロピロ ゴーウィゴーウィヒカリッヘー

男性職員「私だ」

メスガキ「いい加減電話機の着信音変えてください」

男性職員「……わかった。すぐいく」

メスガキ「緊急ですか?」

男性職員「実験体が暴走してるらしい」

メスガキ「また」

 

エルタソー!エルタソー!

男性職員「いつからこの状態に?管理は?」

研究員「指示通りにしていましたが、フルダイブ中に勝手に検索サイトを除いた際に禁止ワードがあったみたいで……」

メスガキ「どのみち今は検体の出場する大会の予選ですよ。今すぐ沈静化しないと主催と観客に疑われます」

男性職員「鎮静剤投与の後に大会側に休憩を申請して時間を稼げ その間に海馬を電気ショックをして今の記憶を消去」

メスガキ「それがダメなら体調不良として出場停止ですね……検体sevenを起動準備します。補欠の準備ですよ」

研究員「かしこまり!」

男性職員「上手くいくかな?」

メスガキ「今までの経験則からいえばダメですね。禁止ワードは大脳基底核まで浸透しているのでそれを初期化すれば検体は生命活動を維持できない。外部からの操作と補給が必要です」

男性職員「せっかく3回も実験に耐えたのにもったいない 次を用意させるか」

メスガキ「まだわかりません ショック準備、離れて!」

ピピピ バシュ

「エルタソー!エルタソー!エルタソー!」

研究員「ダメです!止まりません!」

男性職員「自律神経を一度カット 再起動しろ」

「エル うあああああああああ」

研究員「脳内から異常な信号を感知!このままでは肉体も持ちません!」

男性職員「VRネットから遮断 オフラインに」

メスガキ「……ペントバルビタールナトリウムを注射してください」

男性職員「いいのか?」

メスガキ「もう使い物になりませんから」

男性職員「ペントバルビタールナトリウム注射後は解体していつもの業者へ流せ こいつはそこそこ高値で売れる」

研究員「わかりました」

 

男性職員「せっかく新しい実験へ踏み出せると思ったのにな」

メスガキ「仕方ないです。社長から指示があるまでまた市販薬の開発でもしましょう」

男性職員「いや、まて 今朝入った新しい検体があったような」

 

メスガキ「これが…今度の実験体ですか」

男性職員「うむ、資料では…元FPSスナイパーと」

メスガキ「なるほど、例のルートからですね」

男性職員「負債は…一体、何処からこんなに借りるんだ」

メスガキ「下手の横好きというわけですか。ですがこの実験で生まれ変わる事が出来ます」

男性職員「失敗すれば彼も楽に」

メスガキ「ま、そういう事です」

実験体「君は……どこかで……」

メスガキ「貴方は覚えていないのですね。私はしっかりと記憶してますよ」

実験体「さとり様…?」

男性職員「何を言ってるのか では始めようか」

メスガキ「あら、名前を刻んでもらったのですね。戦場を焼き付ける炎……FLAME 次の活躍に期待してますよ」

 

 

 

 

 

 

メスガキ「起きましたか?」

FLAME「ここは?」

メスガキ「ほら、もうすぐ試合が始まります。私は貴方のオペレーターを務めるクr」

FLAME「はやくログインしなきゃ!AWMの世界ランクは塗りかえられてないよね?」

メスガキ「ええ」

FLAME「世界に通用するよう頑張るぞ!!」

 

メスガキ「今回  も 頑張ってくださいね」

 

 

この作品はフィクションです。

最終更新:2015年05月15日 23:56