-札幌市中央区 桑園駅-
「どの方面にするよ」
ICカードでジュースを買いながらコウは尋ねる
「海に出よう。いろんな逃走手段を用意できる。」
「近くて小樽、日本海か?」
「そっちへ乗ったフリをして苫小牧へ向かおう。」
「乗ったフリってまさか」
「追手の乗車を確認したらドア閉まるタイミングで降りる」
「駅員から怒られそうだな」
「命かかってるんだから仕方ないよ」
休日、買い物客や観光客で人の多い駅は真っすぐ歩きにくい。小樽行きのホームでジュースを飲みながら電車を待っているとお客さんはやっと改札を超えてきた。そのタイミングで電車が来たので流れに身を任せ車内へ入る。あちらは必死に人をかき分け電車に乗っただろうか。すでに発射ベルは鳴り車掌の判断でドアは閉めらる。ホームで手を振って見送る私たちは発車を確認すると反対ホームの下りへ向かう。すると着信が入る
「このコールは初めて使った気がします。」
いとしい声
「備えあれば憂いなし、だろ?」
「状況を説明してください。」
イベリコが通話できる状態になったようなので手短に説明する。
「なるほど、貴方達は国が動くレベルの物を拾ってしまい巻きこまれたと」
「故意じゃない、お客さんがもっと賢明であれば回避できた」
「すでに交番での銃撃事件と駅周辺での謎の交通事故の報道は始まりました。警察の報道管制はギリギリ関与してる人物を隠す程度です。本庁は動いていますが二手、三手後を追う形ですね。」
「上は?」
「政府は動いていますが説明を避けてることから関与していると思っていいでしょう。軍に治安維持のための出動準備を要請しています。けど肝心の貴方達とお客さんを見失ってるので出動待機です。」
「どこが出る?」
「陸軍特殊戦コマンド第一分遣隊 東千歳から」
「あそこかー今は誰が隊長やってんだろ」
「もうすぐ電車がくるぞ。イベリコは警察と軍にお願いしてなんとか私たちを拾ってくれ」
「普段の借りを返してもらいましょうか 端末はそのままでお願いします。相手の正体次第でどっちを動かすか変わりますので」
「りょーかい」
ちょうど良く苫小牧行きの電車も到着しすぐに乗り込んで後ろを見るもあやしい人物はいない。さっきの引っ掛けで全部流れたのだろうか?
「あぁ~つかれた~」
コウがボックスシートの空きを見つけると即座に座り力を抜く。普段引きこもってる人間からしたら何年分の運動量なのだろうか
「遅かれ早かれ気付かれると思うが今はジュース飲みながらゆっくりできそうかな」
「買い物の戦利品も全部ぱぁか…泣きたい」
そういえば全部交番に置いてきた。無事なら後で回収できるのだが
「しかしこれの中身はなんじゃろな?」
そう言いながらケースの鍵を器用に弄り始めると
「あいた♪」
すぐに解錠した。ダイアル式とはこんな簡単に開くものか…?
「中身は…分厚いなんかの報告書とUSBメモリがあるな」
「新政府独立のために支援概要一覧…英語と日本語混じってるけど、政府の文書みたいだね」
一応英語は読める。
「ならこっちはそれの電子版?」
コウはショルダーバッグからノートPCを取りだしUSBメモリを接続する
「みーせーてー」
「ちょ、寄るな。暑いだろ」
「中身気になるの」
画面に張り付く
『IDとパスワードを入力してください』
「そりゃタダでは見せてくれないよね。」
「ふふふ、この私を舐めるなよ」
コウはにやにや笑いながら目にも止まらぬ速さでタイピングを始める。どうやらパス抜きをする気だ。
「このノートだけでできるの?」
「もちろん、国のデータバングだって入ってみせら」
マトリックスめいた画面が流れ、一瞬にして止まる
「これだ」
苦労して設置したであろうセキュリティも年端もいかない女の子に1分とかからず突破されてしまった。
「中は全部英語だが、なにかのグラフ…お金の動きかな?」
「あーっと、『新政府(仮)に対する資金援助と我が国のありかた』。こっちは『米政府よりの援助費一覧』他も似たようなファイルばっかだな」
「つまり、これは噂では米国が独立を援助したって話を正当化しちゃう文章?」
「でしょうね。」
突然のイベリコ 通話は繋がりっぱでしたね。
「ロシアは援助を公に表明していますが、米国は中立の立場を貫くと発表していて関与を否定していました。しかし北方政府は大量の資金を受け取っていたため、組織としてそのお金の保管場所や使い道を記録しちゃう真面目な人間がいた。そしてそれが漏れたらマズイので回収したい連中が持ちだしたのでしょう。しかし直接寄こせとは言えないのでこっそり盗んで帰ろうとしたら落としたまぬけがいた っと推測はできます。」
「他の勢力の可能性は?」
ちょっと多すぎる量の妨害を受けたのだ。一国程度じゃないはず。
「その資料は手にすれば「公開しちゃうぞ」と関わった両政府を脅すことのできるとても素晴らしい兵器のはずです。たぶん普段から潜っていた第三勢力が漁夫の利を狙ってるはずです。先ほど上り線が事故で動かなくなりました。今頃停まった電車の中を血眼になって探してるはずです。」
「さて、我々はどうしよう?」
「方法と選択肢はたくさんあります。自国に恩を売るもよし、世界一の国家に媚を売る、はたまた他国に売るか・・・」
「自国以外だと高跳びしないと特殊部隊に追われる羽目になるんじゃね?私はヤダよ。買い物途中だし、ここじゃないとネトゲもできないし」
コウは保守的であり、一番冷静な観点だ。
「なら久しぶりに自国の為に働いてみますか~それなら軍の介入も早くできるでしょう」
くすねたUSPの残弾を確認する。まだ予備も含めて全部で30発ある。
「では私はこのまま軍へ”お願い”をしてみます。二人はそのまま電車で千歳へ行き駐屯へ向かってください。」
「しばらく電車の旅を楽しむよ」
「お客様、乗車券を拝見できますか?」
爽やかな声と共に楽しい旅は終わった。
「生憎と私たちはICカードしかもってなくてね。時代はスマートに生きるのが勝つんだよ」
「それは失敬した。お隣にかけても?」
男性はコウの隣へ座る。すでにケースは閉じられ鍵がかかっている。
「お好きにどーぞ」
話しかけてきたのは車掌でもなければお客でもない、見た目は20代後半、少し長めに伸ばした黒髪に着崩したスーツ姿の男性だ。怪しいが怪しくもない。
「あんたはカンパニー(CIA)じゃないね。FSB?」
「さすがは軍勢を率いたジャンヌ・ダルクだ。一発で見抜くとはね。ああ、そんなに警戒しなくていい。むしろ助ける側なんだぜ?」
悔しいが誰が見てもイケメンと判断する笑顔で話を続ける。
「助けられた覚えはないって顔だね。ズバリ、なぜお客さんは全部小樽行きに乗ったのか、こっちには一切目がくれなかったのか。それは僕の部下を使って誘導したからだ。」
「なるほど、なんか手ぬるいと思ったら」
「なぜ助けるよ。その義理もないだろう。」
隣に座られて嫌な顔をするコウ
「それはなるべくなら今のまま平穏であってほしいのと、あちらを牽制することかな?うちは公に発表してこの国を支えたのだから。だからこうやって僕も堂々と歩いて活動ができる。名前は佐久間でいいよ」
「これを横取りして持って帰るとかは?」
「それはない。だってソレを手に入れてもなんの魅力もないじゃない?主導権を握るカードとしては切れそうだが冷戦時代みたいな関係にもつれるほうが嫌だ。」
つまり元から関係の薄い敵対勢力がこの情報を仕入れたとこでなんの価値もない。あくまで繋がりのある仲間内で『バラしちゃうぞ?』と脅す事に使うようだ。佐久間は話を続ける。
「それにこの国の政府はこれを公式な文章として取り扱うか悩んでいる。だから軍も待機なんだろ?無線越しのお嬢ちゃん?」
「…はい。仰る通り、現在も事を公にせず自体を終息するために揉めています。軍や警察の出動命令は正規の手続きをしますから、この書類を認めなければなりません。なのでまだ動くに動けないとこです。」
ため息交じりの声がスマホから聞こえる。今は彼にも聞こえるようにスピーカーで
「このまま駐屯地へ向かうのはマズイな…門で返される可能性が高い」
私たちを受け入れればもちろん政府の負けだろう。
「最初の提案通り海へ行くか?」
すると佐久間が提案を出す
「札幌なら大使館へ入れたが、こっち方面なら港に船を寄こそう。とりあえずはそれで洋上に出てからヘリなりで向かうといい。」
「でしたら私はどこか身を隠せる組織に取りつくろって、ヘリを用意しましょう。」
「イベリコお願いした。コウ、苫小牧で降りるぞ」
「了解した。あー、僕だけど苫小牧に船寄こしてくんない?あと人員もだ。相手は手ごわいぞ~」
彼は迷いなく仲間?に連絡をする。
「えぇ、この優男の提案飲むの?乗る気しない」
「仕方ないだろ…他に道がない」
「なんか後でデカイ請求したりしんじゃないの?」
コウの厳しい目つきが彼を襲う
「しないしない、むしろそのケースを守り切ったらうちからも何か謝礼をするよ。現に僕たちが付いていながら盗まれてしまったんだ。」
「なるほど、お客が怪しいから張ってたらヘマこいて盗まれて、行方を追ったら私らにたどりついたと」
「そーゆーこと」
これで彼が現れてそっちに助けられる辻褄が合う。
「そーだ、さっきUSBのメモリ開いてたけど一部パスが解読できなかったろ?」
「なっ、なんでわかるの!?」
珍しいコウの動揺した声
「それはそこらのハッカーでも解析はできんよ。僕が作ったからね。」
「なんだってええええええ」
「ほんとだって、試しに今から言うコード入力してごらん?」
コウが素早くメモリを取りだしPCに繋いでパスを入力する。
「入れた……マジかよ」
「だろう?パス抜き防止のプロトコルは苦労したんだよ。」
「…本物の諜報員みたいだな」
「あるぇ~信用されてなかった?ジャンヌのお嬢さんは安心して話してたのに」
-苫小牧市-
電車は最初の目的地の千歳を過ぎ、順調に終点苫小牧へ向けて走っていたが突然身を投げ出され、向かいの進行方向へ飛ばされる。急ブレーキをかけて車両が停車した。
「いってぇ…なんだ?」
とりあえず身体を起こす。
「どけ!!重い!」
「重いとは失礼しちゃうな。」
コウをクッションにしたので特に怪我はない
「連中もバカじゃない。仕掛けてきたか」
佐久間は体勢を直しながら冷静になる
『お客様にお知らせします。この先で事故発生の一報が入ったため緊急停車しました。このままお待ちください。』
「どうなると思う?」
「たぶん僕らは最寄り駅まで歩いていくことになるだろう。降りる乗客を監視して君たちを見つけたら捕まえる気だろうね。」
「どっから監視を?近くに部隊を寄こす暇があるのか?」
「いくら超大国と言えど衛星にも限界がある。ヘリかなにか飛ばして一括で上空から監視が一番だろうが…なにか見えるかい?」
「うーん?」
上空を見渡す。天気はよく雲が見えるも雨雲ではない。千歳へ向かう旅客機の他に飛行物体は……コウが真っ先に見つける。
「1時の方向、なんか灰色っぽいのが動いてる。」
「よく見えないな…双眼鏡なんか持ち歩いてないし…」
「使うか?」
佐久間が単眼鏡を差し出す。
「さんきゅ えーと……あれはヤバイな」
「なんなのさ?F22でも飛んでるの?」
「そっちのがマシだったかも」
見ちゃいけない物を見たような気がして確認してもらうために佐久間に単眼鏡を返す。
「あー、うん。あれは結構マズイね。MQ-1プレデター 無人航空機(UAV)で長時間の偵察を可能にし、その精度はググれば一発だ。そんでもってさらにヤバイのが」
「搭載してるヘルファイアミサイルによる対地攻撃能力だ。元は偵察能力だけだったが、アフガンで任務中に見つけたテロリスト幹部へ攻撃もできなかった事を教訓に対地ミサイルを搭載した。実績もある。」
コウへわかりやすく説明をする。
「つまりだ、あちらさんは破壊も構わない覚悟で任務に臨んでいるって事だね。こりゃ洋上に出ても見つかったら逃げ場ないな」
「落とせないか?」
「自宅にも対空兵器はないかなー あったとしてもイベリコが音速で届けてくれないと無理だねー」
「じゃあ、あれは軍用ラジコンなんだろ?なんかジャミングとかできないのか?」
「基本は予めプログラミングされた航路に従って飛ぶ自立飛行だ。Cバンドや衛星データリンクを経由して地上からの操作も受け取るが」
「対抗手段はなし、か」
「一番近い基地から飛ばしてるだろうから三沢か?」
「だろうね。ここは僕らの国の基地はあってもあっちはない」
「三沢か…青森か…」
コウがノートPCを叩きながらなにか呟く
『お客様にお願い申し上げます。本線復旧の見通しが立たないため、最寄駅まで徒歩で移動して…』
「ここまで想定内だ。どうする?」
「この群衆と進めば犠牲を出すかもしれないから脇の道路から別に逃げる。どっかで車を捕まえよう。コウ行くぞ」
「あ、ああ、わかった」
「何があるかわからない、僕は後を警戒するよ。」
彼はそう言いながら拳銃を取り出す。バイカル社製のMP-443グラッチ自動拳銃だ。見た目は現代の拳銃さながら、少し特徴的なデザインのロシア軍正式採用銃だ。トリガーレスに見えるが実はスライドに覆われており、トカレフなどの伝統から分厚い防寒具が引っかからないようにする為である。
スライドを引き初弾を装てんすると彼は最後尾につく。先頭はもちろん私だ。すでにUSPを手に構えている。
車両最後尾の運転室から梯子で降りる乗客をしり目に近くの非常ドアコックを解放し、手でドアを開ける。突然の銃撃もありうるので外の様子を伺いつつ、ゆっくりと線路上に降り立つ。
「柵をこえて幹線道へ、建物を陰にして海へ向かうよ。」
「とりあえず仲間は港についたらしい。苫小牧港だ。」
「今は味方が多い方がいい、船で逃げるかは後で相談することにしても合流だ。」
-苫小牧市 路上-
複数のバンが周りを囲むようにして停車すると、中からは迷彩服にチェストリグいっぱいに弾倉を入れ自動小銃で完全武装した集団が降りてくる。小銃はG36 H&Kの開発したポリマーフレームの軽量アサルトライフルだ。
「わざわざ自国の武器使わないってことはそれだけ証拠を残したくないのか」
「だがテロリストでもその銃は持ってないだろうね、少なくとも僕らならAKのコピー品を使う」
「冷静に解説してないでこれどう切り抜けるよ」
コウの突っ込みが入る
「佐久間さんよ、どこのだと思う?感が正しけりゃSOGだと思う」
「だろうね、僕もパラミリだと思う」
「え、なに?すごい部隊なの?」
「たぶん今までで最強の敵」
「マジかよ・・・」
「大丈夫だ。2時の方向が少し手薄だから小型ジャマーと閃光手榴弾を投げたと同時に走れ、全力でな。彼が護ってくれるだろうから先に逃げろ」
「え、お前はどうするんだ」
「派手に暴れて注意を引いて逃げる。勝てる相手じゃないから捲いたら後で合流する」
「残るってバカじゃないの!?一緒に逃げないと死ぬぞ!!」
「簡単には死なないさ。ジャミングの効果が切れる頃には通話できる。銃は持ってるな?」
「あるけど…」
不安そうに自分のガバメントを握る
「時間がない、彼女を任せるぞ。頼んだ…絶対に生きて届けろよ」
「レディとの約束は絶対守る主義でね。君こそ武運を」
彼はグラッチを握りなおす。
「ああ、カウント10」
「……3、2、1、」
小型の機械のスイッチを入れると当時にジュースサイズの缶からピンを抜いて足元に落とす。すぐに激しい光を生みだし周囲をまぶしく照らしつけると同時に二人の走る方向へ牽制射撃をする。視界を奪われ、銃撃されると訓練された兵士であれ怯む事もある。二人が無事に視界から消えた事を確認すると鞄から眼鏡を取り出し装着する。コウから受け取った戦闘支援用情報投影装置を起動させる。
「コウのPCが起動してればいいけど………TIE.exe起動!!」
無事にアプリケーションが起動し、レンズに地形、気象データ、敵のマーク、距離、危険度などが映し出され、武器、防具の解析が行われる。
相手は全員ヤンキーか 英語で挑発してみよう
「”さぁ、誰から遊んでくれるのかしら?”」
「”お前みたいなガキを突くロリコン趣味はねーよ”」
これが本場のヤジか 汚くて笑えない
「”あら、あんたらみたいな母親のミルク臭い連中に言われたくないわね。”」
「”あんだとこの●●●!?”」
「”この腐れ●●”」
敵の装備のスキャニングと解析が終わり、余す限りの戦術データが投影された。
「”さぁ、すてきなパーティーしましょ?”」
-数時間前 札幌市北区-
「そいえばこれ」
スポドリを頼んだのにアイスティーを買ってきた相方を恨みながら休憩しているとコウが眼鏡を差し出す。
「なにこの眼鏡、サングラスでもないのか」
「これはHUDみたいなものだ。筑波から持ち買った資料を使い、はこだてフューチャー大学の教授と作った試作品で、戦場の欲しいデータを映し出してくれる。つまりFPS画面のように情報が見れる。」
「ほほう、装着するだけで欲しい情報が手に入る訳だな?」
「そう、所謂ウェアラブル端末の一種で、乗り物の運転手などの支援を目的とした奴を私が転用したんだ。フレームにはいくつものCCDカメラにマイクが搭載されており、ミリ派レーダも併用して常に情報を収集する。その情報を元に戦闘に適した画面を作り出す。」
「はい、質問」
「どうぞ」
「それ全部このメガネが計算とか処理してるの?」
「情報の演算処理は別にある機械で行う、こいつは収集と表示だけだ。情報と簡単に言っても、地形・気象・距離・方位・高度と莫大な量だ。それを無線で私の部屋のPCか大学のスパコンへ送って処理させ、欲しいデータを映し出すように指示をだす。」
「タイムラグ酷いのでは?」
「それは解決済みで、スマホサイズの中継器が衛星、各携帯会社、無線バンドなどを使って通信する。情報収集から投影までコンマ0のラグを出さない。そこは天才教授の技術の結晶だ。」
「FPS画面ってことは残弾や健康状態も?」
「残弾に関しては銃がセンサーなどを搭載しないと映像だけでは誤差が出るだろう。ヘルスに関しても脈とか読み取る機械が必要だ。今それを装着して表示できるのは地図や方位、人のマーキングとその距離、武器の有無種類や息遣いから危険度を判断し色やマーカーを変えて表示ぐらいか 銃側も対応する機材を取りつければ、照準器を覗かなくとも着弾地点を予測してレーザーポインタのような表示が出る。銃口を向けるとその場所との距離や気象条件から着弾する場所を予測しポインタを表示する。これは照準器を覗いても表示されるので、合わせるのが楽になり、弾道落下などを考えずに狙えるって訳よ。まぁ、あんたにゃ逆に必要ないだろうが」
「とにかくすごい物ってのはわかった」
「ただし欠点もある。駆動時間だ。いくら演算しないとは言え莫大な電力を消費するそのグラスと中継器は連続使用で10分ってとこだろう。」
「つかえねぇ…」
「だから試作品だって言ってるでしょうが。まぁ、画面UIもまだ制作途中で私のPCのexeを起動しないと表示もされないんだ。だから今はただのおしゃれグラス」
「今ここで渡す意図は?」
「さきほど購入した部品で完成したから忘れないうちに渡そうかと まぁ、照準アシストとか敵のスポットとかマップとかなら私らでも助かる機能だからいずれは完ぺきな物にするさ。」
「ふーん」
眼鏡と機械を鞄に投げ入れた。
予告
それは過去最強の敵との戦いだった 数と質で押され少女、男はなす術もなく倒れる
彼女たちの運命は 新井式回転抽選機が宙を舞う!!
ところでこの予告って本編より時間かけてるかもしれません。予告ってなんだろう?お前は予告ではないとか言われるかもしれない。
俺が…俺たちが予告だ!!
次回「ガンダム大地に立つ!」
君は刻の涙をみる