時間:2月15日 16時半頃
イラスト:ttp://t-walker.jp/mugefan/img/win_town3/win_town3_npc330.jpg



~南方セイレーン領・翡翠の聖域マルソー~

 セイレーン領の王都、翡翠の聖域マルソーの王宮。
 玉座についた南方セイレーン領の女王ウェヌス・アクアーネは、数日前のことを思い出していた。

 ………………。
 千年世界樹へと向かう旅の途中、この王宮を訪れた「春の花の女神ランララ」。
 彼女は、神を歓待するべく出迎えたウェヌス女王を見つめ、しばし絶句した後に、告げた。
「何て綺麗なお姉様……どうみても、あなたがこの辺で一番美しくて一番偉い方ですよねっ!
 あなたに、ヴィアちゃんから伝言を預かってきました」
「ヴィアちゃんとは、もしや、天女神ヴィア様、ですか?」
「はい、そのヴィアちゃんです。『誘惑のグリモア』の近くに住む人々の中で一番美しくて偉い人に、伝言を伝えるように、って」
 天女神ヴィア。かつて南方セイレーン達の列強グリモアであった『誘惑のグリモア』を与えた神だ。
 内心、当惑しながらも、ウェヌスはランララの一言一句を聞き逃さぬよう身構える。
 そしてランララは、驚くべき伝言を口にした。
「それじゃ、伝言です。『誘惑のグリモアを奉ずる、気高く美しき者達よ。ドラゴンの魔手に脅かされぬよう、ワイルドファイア大陸に避難しなさい』……ですって」
「!?」
「ワイルドファイアがいるあちらの大陸なら、ランドアース大陸にいるよりも安全だから、っていうことだそうですよ」

 ………………。
 女神とのやり取りを思い出して、ウェヌスは小さく息をついた。
 ワイルドファイア大陸への移住ともなれば、南方セイレーン王国始まって以来の、大変な労力を要する大事業となるだろう。
 だが、誘惑のグリモアを授けた天女神ヴィアからの伝言を無視するわけにもいかないし、ドラゴンロードの脅威を考えると、悪くない選択にも思える。
「そろそろ、次の女王を決めるべき時が来たのかも知れませんわね」
 王女のうち、ワイルドファイア大陸への移住という大事業に最も多くの貢献を為した者は、女王となるに相応しい知恵と魅力を身につけていることだろう。
 そしてウェヌスは、セイレーン王国の王女達……彼女の6人の娘を呼び集めるよう侍従に命じた。

「娘達を集めて下さい。次代の女王を決める方法について説明します」

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最終更新:2008年02月20日 12:19