最初に健、優子が出会ったファミレスで食事をしたあと、2人は自分達の家に帰宅した。
付き合い始めてから月日が流れて数年・・。ここ神聖大英帝国は一般的な市民の生活すら危うい戦争経済に突入した。
電子新聞によると数十光年離れた国同士がお互いの国家の都合で戦争を起こして経済的な発展を遂げようとしていた。
神聖軍は「南方青龍」という国といざこざが起きているらしい。
神聖大英帝国の中央経済地区の電子テレビで報道されていたのを俺と優子は他の人たち同様見つめていた。

女性アナウンサー「今回の作戦で天皇陛下様は市民の生活は危うくはならないと仰ってましたが、先生その辺りどう思われますか?」
戦争経済専門家 「大丈夫ですよ。基本的な戦争行動について銀河評議会の条約で市民に悪影響が出ないように宇宙法廷で定められています」
女性アナウンサー「すると、普通の生活していても問題は無い。という事ですか??」
戦争経済専門家 「国家というのは市民が居て初めて成り立ちます。従って国民の安全は最優先にすべきだと私は思います」
女性アナウンサー「先生ありがとうございます。えっ~ただいま、軍部最高指揮権を持つ影狼様と天皇陛下様から市民へのお言葉が報じられます」
男性司会者   「お近くにいるすべての方に我が神聖大英帝国天皇陛下のお言葉をお聞きになるようにお声をお掛け下さい。それではどうぞ・・」

電子テレビの画面が民間放送局から国営放送局のものに切り替わった瞬間に俺や優子も尊敬する天皇陛下さまと総帥閣下がいた。

天皇陛下 畑山角谷
「市民の皆様、こんにちは・・。あっ、いいえ。お返事は結構ですよ・・」
「これから我々は決定的なミスを起こした南方青龍と決戦のため旅立ちます・・」
「一般生活はこれまで同様続けていただいて結構です。避難をする必要はございません・・」
「我々政府が責任を持って安全を確保します・・どうぞご安心を・・。」

女性軍人アナウンサー「ありがとうございます。お次は総帥閣下からです・・どうぞ・・」

軍部総帥 宍塚影狼
「市民の皆様お仕事お勉強お疲れ様です。へぇ~今回、作戦結構前日まで兵士になってくれる方を急募中です」
「愛しき国家から敵の攻撃を防ぐ名誉なお仕事をして頂ける方を採用致します」
「愛国者、神聖市民の方は是非、応募下さいます様お願い申し上げます・・」

優子「大変なことなってきたね、健・・・」
健 「あぁ・・どうなるんだろうか」

予想外にも俺達2人以外のほかの人たちはざわめき始めた。

市民女A「マジで・・今後、子供たちのことが不安だわ・・」
市民男A「大丈夫だよ・・」

市民ギャル男A「俺のダチが兵士やってるんだけど、心配やね・・」
市民ギャル娘B「連絡は?? したの??」

男性労働者「また、戦争か。大変だよな・・」
女性労働者「食料、配給制になったりしないよね・・」

健 「とりあえず、優子。公園に行こう」
優子「うん・・放送の続き見なくていいの??」
健 「うん」
優子「わかった・・」

2人はひとざと離れた国立公園のベンチに腰を下ろした。

優子「健君、お父さんには私達の関係話した?」
健 「言ったほうがいいか?」
優子「ううん、別に・・」
健 「どうした??」
優子「うん・・実はね・・健と親密な関係になってからも・・一言も親に話してないから」
優子「・・・性的な関係になってることも」
健 「・・・・」
優子「ねぇ・・健はどう思う・・」
健 「言いに行く・・べきかもしれない・・」
優子「やっぱり・・そうなるよね・・・」
健 「反対されるかもしれない・・・」
優子「そう・・だね・・」
健 「俺と一緒は嫌か??」
優子「そんなことないよ・・だって私にとっては健君が初めての彼氏になったわけだし・・離れたくないよ・・」
健 「俺も優子のことが大好きだ・・」
優子「うん・・」

お互い冷たい手を繋ぐ・・。

健 「冷たいね。優子の手・・」
優子「健こそ・・すごい冷たいよ・・」
健 「どこかお店にも入る??」
優子「うん・・」

健と優子は国立公園から最寄のホテルに行くことにした。

ホテル店員「いらっしゃいませ。お客様二名で構いませんか??」
健    「はい、一番安い部屋、子供二枚、お願いします」
ホテル店員「かしこまりました。お2人で1400円になります」
ホテル店員「おつりはこちらになります。何泊お泊りですか?? 一泊に付き追加料金掛かりますが・・」
健    「すこし休む程度なので、3時間でいいですか??」
ホテル店員「了解しました。こちらが鍵となります。ごゆっくりどうぞ・・」

健と優子は部屋で数時間休むことにした。
休んでから20分ほど経った所で優子が口を開いた・・。

優子「健・・寒い・・」
健 「暖房・・点けたばかりだからね・・傍に行こうか?」
優子「うん」

毛布に潜り込む優子の傍に健が近づく寄り添う形でベットの上で温まるふたり・・。

健 「寒いね・・大丈夫?? 優子・・??」
優子「うん。だいじょうぶ・・抱いてくれる??」
健 「うん、いいよ・・」

優子のお腹周りに手を回して優子を優しく抱いてあげる健。

優子「健は・・」
健 「??」
優子「健は・・兵隊さんなんかには入らないよね・・」
健 「どうして・・そう思うの??」
優子「入りたいって・・思ってたりするの??」
健 「思わないよ・・別に戦うのとか嫌いだし・・」
優子「そうか。よかった・・。ねぇ!! 健と今度健のご両親のところ行ってふたりの関係についてお話しに行こうか??」
健 「そうだな・・いつにする??」
優子「明後日はどう??」
健 「明日はダメなのか?」
優子「明日は健康診断が健の高校もあるじゃん・・無理だょ」
健 「あぁ、そうだったね。わかった明後日だね」

自宅に帰宅してそして・・翌日・・。神聖大英帝国、昨日と変わらない明日がやってきた・・。
そして・・神聖大英帝国学園地区の最大の健康診断が執り行われた。

芽衣子「昨日優子さ、健のやつと泊まったんだって?? なにか進展はあったの??」
優子 「ちょ、なんでそんなことが・・」
芽衣子「学校中で有名になってるよ・・このーこのー」
優子 「くすぐったいよ芽衣子ちゃんー。あっそうだ、芽衣子ちゃん」
芽衣子「なぁに??」
優子 「昨日のニュースだけど・・見た??」
芽衣子「国営のあれ??」
優子 「うん・・心配だよ・・」
芽衣子「大丈夫じゃないの?? 啓一のお父さんが軍人だからそれについて言ってたよ??」
優子 「どんな風に??」
芽衣子「そうね・・南方の人たちの戦力が低いのは確実だからうんたらかんたら・・詳しくは分からないけど・・」
優子 「うぅーん・・」
芽衣子「大丈夫だー元気出せ、優子!!」
優子 「そう・・そうだね・・ありがとう・・」
先 生「優子さん・・あなたの番ですよ・・」

医者の近くに用意された椅子に座る優子・・。

医者「えぇーと、優子さん?? で合ってるかな??」
優子「はい・・」
医者「他の生徒さんにも既に伝えたことですが。親告義務がありますので最初に伝えておきます。」
医者「あなたの体内細胞の状態、体内の骨の状態、免疫機能の状態、病気などを患ってないか、全て調べるように政府から言われました。よろしいですか」
優子「はい」
医者「それじゃ、まず体内細胞調べるからそこの機械の中に服を脱いで入ってくれる??」

そういうと診断書になにかを書き込む医者・・。静かに服を脱いで全裸になって検査を受ける優子・・。
すると1人、医者の付き添いの看護婦が話しかけてきて検査の説明を始めた。

看護婦「この検査受けるの初めて??」
優子 「は、はい・・どういうことするんですか??」
看護婦「大丈夫よ。特殊なレーザーで体内細胞の状態を記録して調べる機械だから人体に悪影響はないわ」
優子 「入りました・・お願いします・・」
看護婦「カバー固定しました・・」
医者 「それじゃ動かないでね・・」

数分後、検査が終了。
午前中の授業が終わり、芽衣子と優子は学校のベンチで昼食を取る事にした。

芽衣子「検査・・どうだった??」
優子 「体触れるのかなと思ってたけど・・予想と違ってた」
芽衣子「あれは私も予想外・・楽だったわー」
優子 「いい時代になったよね~」

突然携帯電話が鳴り出した。電話に出ると相手は先生だった。職員室まで来るよう言われた優子は職員室に急いで向かった。

優子「失礼します・・」
担任「あっ、優子、お前の検査結果が緊急で出された・・」
優子「そんなに早いんですか??」
担任「いや、本来は2日ほど掛かるそうだがな・・優子の身に関わることだから、明日教えた病院に行きなさい。いいね??」
優子「はい・・」

優子は屋上に上がると携帯を開いて神宮寺 健にメールを送った・・。

メール内容 (優子)「突然ごめんなさい。明日急遽、病院に行く事になりました。ご両親にお話しする件はまた今度お願いします」

メールを送信する優子・・。
数分後返信メールが届いた。

メール内容 (健)「なにかあったのかな?? 気になるけどわかったよ。気を付けてね (*´ω`*) 」

優子は携帯を閉まって教室に戻った。
翌日、健康診断の結果が数日早いことを考えた優子は結果の内容が悪いのではと考えてしまうが、約束の時間が迫っていたので家を後にした。
数十キロ離れた公共施設地区に着いた優子は昨日の医者がいる病院へ向かった。到着するとロビーにいた看護婦に案内状を見せると医者の元へ案内された・・。

看護婦「先生、昨日の生徒さんの優子さんです」
医者 「こちらにどうぞ・・」

椅子に腰を下ろす優子・・。
しかし、診断書になにかを書き込み続ける医者・・。

優子「・・・・」
医者「・・・・」
優子「なにか・・あったんですか??」
医者「・・・・」
優子「・・・・」
優子「早く・・言ってくれませんか??」
医者「あっ・・ごめんね・・えっーとね。優子さん。非常に大変な事なので真面目に聞いてください」
優子「はい・・」
医者「実はですね・・稀に見る症状が出てます・・」

その頃、健は・・学校の休みを利用して神聖大英帝国のエンターテインメント地区のゲームセンターで友達の啓一と芽衣子たちで遊んでいた。

健  「優子・・なにかあったのか・・」
啓一 「芽衣子、なんか聞いてるか??」
芽衣子「そうね・・突然職員室に呼ばれて行ったんだけど・・それっきり連絡はないよ」
啓一 「そうなのか、健、今夜でも自宅に帰宅してからでもいいから電話してみろよ」
健  「そうだな・・」

健は啓一たちと遊び終わった後、自宅にまっすぐ帰宅した。

健の父親「あっ、健」
健   「どうした、父さん・・」
健の父親「優子ちゃんから電話があったぞ・・なんか暗かったが・・お前、なんかしたのか??」
健   「はぁ?? なんもしてねぇーよ。わざわざ、ありがとな・・」
健の父親「ちゃんと・・掛け直してやれよ・・」
健   「あぁ・・」

自分の部屋の椅子に座りで携帯電話で優子に電話してみると暗い声で優子が電話に出た・・。

健 「あぁ、もしもし、優子?? なんか昼間に電話くれたみたいでごめんね・・啓一たちと遊んでたから電話出れなかったんだよね・・」
優子「健・・」
健 「なにか・・あったのか?? なんか、いつもの優子の声じゃないぞ・・」
優子「健って・・いつも私のこと心配してくれるよね・・」
健 「当たり前だろ・・彼氏なんだから・・」
優子「いつも・・毎日・・心配してくれて・・嬉しいよ健・・」
健 「なにかあったのか・・どうした優子??」
優子「・・・・」
健 「・・・・」
優子「・・・・」
健 「なぁ・・」
優子「えへへ・・ごめんね・・こういうこと正直に言えないんだよね・・うふふ・・」
健 「ふざけんなよ!!!!」
優子「たける!?」
健 「俺は真剣にお前のことが心配で夜も眠れないんだぞ・・・これ以上お前に怒りたくない・・分かってくれ・・」
優子「でも・・」
健 「でも・・なに??」
優子「病気のこと言ったら健は私の元から離れるよ・・絶対・・」
健 「なんで・・別れるんだよ・・俺は優子の側から絶対に離れない・・誓うよ」
優子「・・ほんとに??」
健 「ホントだよ・・」
優子「・・・ホントにホント??」
健 「あのな・・誓う・・絶対にどっか行ったり逃げたりしないから・・」
優子「・・・・」
健 「だから、言ってくれ・・なにがあったのか・・なんで暗いのか・・」
優子「実はね・・」
健 「ゆっくりでいいから・・」
優子「実は昨日の健康診断の日に・・」
健 「それは芽衣子に聞いた・・今日なんで病院に行ったのか・・・それだけを言ってくれるか・・」
優子「うん・・わかった・・それでね・・今日お医者さんから言われたんだけど・・」
健 「なんて・・言われたの・・」
優子「子供が・・・できたみたいなの・・・」
健 「はぃ?? (´・ω・`) 」
優子「子供が私のお腹の中に・・妊娠してるの・・健の子が・・」
健 「うそ・・・」
優子「だから・・話したくなかったの・・・」

健の耳から優子が大泣きする声が聞こえた・・。
優子はお腹の子供が原因で健が自分の元から逃げ出すことを恐れて言えなかったのだ・・。

健 「何時から・・」
優子「数ヶ月前から・・・」
健 「それで・・」
優子「健はやっぱり聞かなくても良かったんだよ・・」
健 「なぜ・・黙ってた・・」
優子「下ろすべきだったよね・・」
健 「優子、いいか、よく聞けよ・・」
優子「うん・・なに??」
健 「とりあえず、俺達の親全員呼んでこのことを話そう・・」
優子「ううん・・やめた方がいいと思うよ・・」
健 「いいか、明日あの公園で待ってるから・・」
優子「ちょっと健!?」

一方的に電話を切る健・・。
階段を駆け下り親に相談して優子の親達にも連絡してくれと伝えて。翌日・・。
約束の公園で健は1時間早く到着していた。

健 「妊娠か・・凄いよな・・俺の子か・・優子Good Job!!!!」
優子「あ、ごめんなさい・・・」

優子も公園に到着した・・。

健 「お腹は・・まだ膨らんでないだな・・」
優子「うん・・まだ大丈夫だって・・」
健 「・・・・」
優子「怒らないの??」
健 「なんで??」
優子「ずっと、黙ってたし・・妊娠のことだって・・」
健 「優子・・俺はお前が例え子供を授かっても・・好きであることに変わりはない・・卒業したあとも・・一緒に育てたい・・優子と」
優子「健・・」
健 「俺ら親達を家に集合させたから・・話そう・・事実を・・」
優子「うん・・わかった・・」

ふたりで健の家に帰宅した・・家のリビングでそこでは和やかに世間話をするふたりの両親達が楽しく話していた。

健 「ただいま・・」

健の父 京平「なにしてんだ・・優子のご両親が見えてるんだぞ」
健の母 宮子「どこいってたの?? あら・・優子ちゃん。いらっしゃい!!」

優子の父 健太郎「健君、用というのは何だね??」
優子の母 律 香「優子、お母さんの隣に座る??」

優子 「ううん、ここでいいよ」
律香 「そう??」
健太郎「京平さん、わざわざすみません。一家全員で押し寄せるような真似して・・・」
京平 「いえいえ、気にしないで楽にしてください」
健  「親父、母さん、それと優子のお父さんとお母さんにも大切な話しがある」

優子の父母「??」

健  「実は・・数ヶ月前から俺と優子は付き合ってます・・」
京平 「・・・そうか」
健太郎「やはりな・・」
律 香「優子・・どうなの??」
優子 「・・・はい」
宮 子「あなた、やっぱり・・付き合ってたのね」
京平 「大体は予想はしていた・・」
健  「分かってたのか?? それに優子のご両親も・・」
健太郎「君らの元気な姿を見ててね・・なにかあんじゃないかと思ってたがな・・」
宮 子「お話しってのはその・・付き合ってることを知ってほしいってことなの??」
健  「それだけじゃない・・」
京平 「結婚に向けてか?? 流石に早いぞ・・」
健  「優子・・・」
優子 「うん・・・怒らないで聞いて欲しいの・・」

親一同「・・・??」

優子 「・・・実はね・・に、妊娠・・してるの・・・」
健太郎「妊娠?? 優子、どういうことだ??」

突然優子の父親の前で土下座する健。

健  「すみません・・・遊びではないんです・・俺は・・」
健太郎「・・・・」
健  「俺は・・優子のこと愛してるんです!!! だから・・妊娠のことも俺も数日前に知ったばかりで・・」
健太郎「優子・・」
優子 「はい・・・」
健太郎「この子ことは好きか・・愛してるか??」
優子 「・・・」
健太郎「答えなさい・・」
優子 「愛してます・・・」
健太郎「健君、神聖大英帝国で子供を生んでいい年はいくつか知ってるかな・・」
健  「いいえ・・」
健太郎「だろうな・・君と娘はまだ高校生だ・・」
健  「すみません・・・」
健太郎「神聖大英帝国で子供を生んでいい年齢は意外にも君達の年齢から生んでもいいと定められてる・・」
健  「なら・・」
健太郎「しかし、国がいいとは言えど・・生むことは別問題だ・・苦しみのあまり亡くなってしまう事だって有り得る・・」
健  「それは・・・」
京平 「健太郎さん・・私も一言いいですか」
健太郎「ええ、もちろん」
京平 「健、別にお前達が付き合ってることに怒ってはいない・・しかし、子供はどうする?? 生むのか??」
健  「それは・・優子次第だよ」
京平 「俺はお前に聞いてる・・どうなんだ?? お前はどう思ってるんだ??」
健  「俺は・・・」
優子 「私は生みます・・健の子供なんです・・下ろすことなんかできません」
健  「俺も・・優子に・・是非産んで欲しいです」
宮子 「あなたたち・・子供を育てることは簡単なことではないのよ??」
律香 「いい?? 優子、あんた自分が何言ってるか・・分かってるの??」
優子 「私は産んでちゃんと育てるから・・」
宮子 「優子ちゃん・・子供を育てるってことはね・・ずぅーと付きっ切りで面倒を見ることになるのよ??」
優子 「はい・・」
律香 「・・・・」
健太郎「・・・。京平さん・・」
京平 「はい・・なんでしょうか健太郎さん」
健太郎「これは私一個人の提案として受け止めて欲しいのですが・・」
京平 「はい・・」
健太郎「優子が学校行ってる間だけ我々が生まれた子供の面倒を見るというのはどうでしょうか??」
京平 「しかし・・」
律香 「あなた・・勝手に・・」
健太郎「会社には連絡しておく・・」
律香 「そら・・そうだけど・・」
健  「俺ちゃんと面倒見ます!!」
健太郎「いや、無理だ・・私と私の妻、君のお父さんたちで協力して育てよう・・」
京平 「生むなと言っても言う事聞く息子じゃないしな・・」
健  「それじゃ・・・」
京平 「構わんぞ・・・その代わり、産むまでの間のサポート、ちゃんと面倒見ろよ??」
健  「あぁ・・ありがとうございます・・お父さん・・」
京平 「親父でいいよ・・」
律香 「そう決まったら早速家に帰って今後のお話しましょう。ね、優子」
優子 「うん・・ありがとうございます・・お父様、お母様・・」
健太郎「恥ずかしいな・・んじゃ、とりあえず、京平さん、我々はひとまず家に帰宅します・・今後のことは後ほど・・」
京平 「なんか変なことに巻き込んでしまって・・すみませんでした・・」
健太郎「そんなこと言わないでいいですから、お互い頑張っていきまょう・・」
京平 「はい。よろしくお願いします・・」

優子と父母は家に帰宅した。俺は父親に感謝の言葉を言い部屋で休むことにした。
数分後、一通のメールが来た。送信元は優子からだった・・。

優子
「今日はいろいろとありがとね。お父さんに怒られると思ったけどそうでもなかった感じでよかった・・」
「明日学校でまた・・」

健はメールに返信した後、自然に眠りについた。
翌朝健は優子を向かいに行くため朝一番で家を出た。

優子の家に到着すると呼び鈴を鳴らしたのと、同時に玄関から偶然優子の父親が出てきた。

健太郎「おぅ、健君か。おはよう」
健  「おはようございます。優子はまだ寝てますか」
健太郎「いや、もう出てくるはずだよ。家の中で待ってれば??」
健  「はい。それでは遠慮なく・・」

綺麗なリビングで優子はパンを銜えたままテレビを見ていた。

優子「あっ!!」
健 「おー!!」
律香「あら、迎えに来てくれたの??」
健 「はい。」
律香「あらまぁ、優しいわね・・・」
優子「お母さん・・・」
律香「お母さんだって・・この子ね。お客さんや友達の前だとママじゃなくてお母さんって言い替えるのよ」
健 「へぇ~。そうなんですか」
優子「もぅ~ママー!!」
律香「はいはい。優子、時間は大丈夫??」
優子「うん、まだ大丈夫~」
健 「へぇ~。優子の新たな発見だな」
優子「健君・・・」

朝食を食べ終わった優子は健と一緒に学校へ歩き始めた。

健 「お腹は大丈夫なの??」
優子「すこし・・大きくなった・・かな」
健 「まさかこんな事になるなんて・・学校の友達や啓一、芽衣子はどう思うんだろ・・」
優子「多分、180度今までの生活が変わると思う・・」
健 「理解してもらうには数ヶ月掛かりそうだな・・」
優子「だね・・・」

学校が見え始めると周りは自然と登校する学生で染まり始めた。
優子はすこしだけ膨らむお腹に恥ずかしさを出しつつも歩みを止めようとはしなかった。
すると、後ろから芽衣子と啓一が話しかけてきた。

啓一 「おい健、おめでとう!!」
健  「はぁ??」
芽衣子「隠すな隠すな!! 丸見えだぞ・・」
健  「一体何のことだ・・・」
芽衣子「優子・・おはよう~」
優子 「う、うん。おはよう芽衣子ちゃん・・」
啓一 「赤ちゃんできたって??」

優子と健は啓一の口を塞いだ。

健  「なっなぜ、そんなこと・・知ってるのかな・・」
優子 「一体どこから・・」
啓一 「お前らさ、神聖大英帝国では子供を授かるって事は大変素晴らしいことなんだぞ」
芽衣子「おめっでとう優子!!!」
優子 「ちょww芽衣子ちゃん。でもなんでですか啓一さん・・」
啓一 「現在神聖国の出生率が年々低くなってるんだ・・その中での妊娠だ・・政府だって驚くよ」
健  「そんなこと言ってるけど・・実際の出生率はいくつなんだ??」
啓一 「1.1ぐらいだろうな・・」
健  「随分と低いな・・」
優子 「学校の友達はどう思うでしょうか・・」
芽衣子「さぁてね・・行ってからのお楽しみじゃん??」
優子 「はぁ~??」

学校に着いた優子は予想外の歓迎を受けることになった。
なんと、国立学術地区の全生徒が拍手喝采で歓迎してくれたのである。
優子はただ唖然としながらも教室に向かった。
しかし、教室の椅子に座った後もあらゆる方法で祝福してくれる他の生徒たちに圧倒されるばかりの優子だった・・。
それは健も同じだった・・。

女子生徒A 「優子さん、おめでとうございます!!」
女後輩生徒「健先輩、おめでとうです!!!」
男先輩生徒「俺より早いじゃん。とにかくおめでとう!!」
同 級 生「すごいじゃん!! 大切にしろよ!!!」

別の学校で同じ勢いの祝いの声を受けた優子と健はただ呆然と椅子に座ってた。
同時刻ホームルームが始まり優子と健の間に赤ん坊がいることを先生が代行で報告してくれた。

担任先生「えー、もうみんな知ってるかもしれないが・・西園寺さんに赤ん坊がいます・・」

優子のクラスメイト全員 「せーの、優子ちゃん。おめでとう!!!!」

担任先生「静かに!! おい、静かに!!!!」
担任先生「とりあえず、体育の授業でも食事のときも皆気を使うように・・いいね??」

クラスメイト全員「はーい!!」

授業が終わり女子生徒が優子の周りに集まり始めた。

同級生A「優子ちゃん、誰の子なの??」

優子「となりの高校の神宮寺 健君・・・」

同級生B「へぇ~あの子の??」

優子「そう・・」

芽衣子「はいはい、次の授業行った行った!!」

同級生たちに周りを囲まれた状況で困ってる優子を芽衣子が静止させ窮地から救った。
数時間が経過し学校が終わり芽衣子は優子と一緒に帰宅した。

学校の正面玄関で健が待っててくれた。

健  「大丈夫お腹??」
優子 「うん・・大丈夫・・」
芽衣子「ラブラブやね~」
健  「芽衣子さん、啓一はどうしたの??」
芽衣子「うん・・最近会ってないわー」
優子 「なにかあったの??」
芽衣子「ううん・・気にしないでいいよ。よくある別れ話だから・・」
健  「別れたのか・・??」
芽衣子「あっ・・」
健  「なんで・・・」
芽衣子「気にしなくていいよ。あいつとは気持ちや性格が合わなかっただけだから・・」
優子 「ごめんね・・」
芽衣子「ちょwwなんで優子が謝るのよ!?」
優子 「自分ばかり幸せな想いして・・」
芽衣子「なっ・・・」
健  「とにかく、家に帰ったら啓に電話してみるよ」
芽衣子「あ・・まぁ勝手にすれば?? 関係が戻ることはないとおもうけど・・」
健  「分かった・・」

健は優子を自宅まで送った後、自分の部屋で啓一に芽衣子との関係崩壊について話を聞くことにした・・。

健 「あっ、もしもし、健だけど・・」
啓一「あー、どうした??」
健 「芽衣子とのことだけど・・」
啓一「あぁ」
健 「なんか、関係が崩れたみたいだけど・・」
啓一「あぁ・・」
健 「なにがあった??」
啓一「ある日な、芽衣子と喧嘩して・・」

健と優子がご両親と会ってたあの日・・。啓一と芽衣子は国立公園で喧嘩していたのだ。
ことの発端は啓一が芽衣子との待ち合わせ時間に遅れたことだった。

健 「それで・・別れたのか・・」
啓一「あぁ・・くだらない理由だろ・・」
健 「事情はわかった・・」
啓一「しばらくはあいつと顔も見たくないから・・またな」
健 「それじゃ・・」
啓一「子供・・産まれるといいな・・」
健 「あぁ・・ありがとう」
啓一「優子と仲良くやれよ・・って俺が言う事じゃないか・・」
健 「そんなことない・・」
啓一「そうか・・またな・・」
健 「あぁ・・・」

電話を切る健と啓一。
それから数ヵ月・・・ついに優子のお腹は順調に膨らみ始め、ピーク差し掛かろうとしていた。

律香 「優子、お医者さんで見てもらおうか??」
優子 「うぅ・・・そうだね・・きつくなって来た・・」
健太郎「表に車止めたからそれに乗って行こう」
優子 「うん・・ありがと・・」

西園寺家は医者のいる公共地区まで車で向かった。
診断室前で名前が呼ばれるのを待つ優子・・。

看護婦「西園寺さん・・どうぞ」

数十分後、名前が呼ばれて診断室に入ると健康診断のときとは違う先生が座っていた。

健太郎  「あの・・先生・・前のお医者さんは??」
小児科医者「戦争で・・行ってしまったんですよ」
優子   「それじゃ・・・」
小児科医者「えぇ・・残念ですが・・まあ、でも大丈夫ですよ。本部の仕事って言ってましたし・・」
優子   「そうですか・・・」
律香   「あの先生・・うちの娘のお腹にいる赤ん坊は・・」
小児科医者「とりあえず、調べてみること以外なんとも言えません・・」
健太郎  「先生・・お願いします」
小児科医者「大丈夫ですよ」

数分間、様々な検査が行われた・・。待合室で結果を待つ優子と両親。
ロビーから健たちが駆けつけた。

健  「結果は・・出ましたか??」
健太郎「いや、まだ待ってる」
優子 「来てくれたの??」
健  「うん?? あぁ、心配だったから・・」
優子 「ありがとう♪」

すると診断室から看護婦が呼びかけた。診断室に入る優子と両親。
病院のベンチで結果を待つ健。
数十分後、優子たちが診断室から出てきて健に告げた。

健太郎「健君、落ち着いて聞いて欲しい」
健  「はい・・・」
健太郎「子供なんだが・・女の子であともう少しで生まれるそうだ」
健  「そうですか!! ありがとうございます・・」
優子 「元気な子そうでよかった・・」
律香 「とにかく、家に帰るよ。健君また今度ね」
健  「はい。気をつけて・・」
優子 「またね・・」

自分の家のベットに寝転がる健・・。

健 「俺の子供か・・うわぁー恥ずかしいな・・でも育てるって決めたんだ。優子もあんなに喜んでたし・・」
健 「ふはぁ~、眠い・・寝るか・・・」

子供が生まれる運命の日・・。
一方、神聖大英帝国軍は本国に無事帰還を果たした
南方青龍との戦闘で損失戦力は推定60万人の兵隊と畑山角谷天皇陛下の戦死が神聖大英帝国全域に告げられた。
亡くなった兵隊さんの遺族が悲しみ、そしてより多くの市民や貴族、王族が畑山角谷様の死を悔やんだ・・。俺や優子、俺達の両親も悲しんだ・・。
子供の出産予定日と重なってこんなにも悲しいニュースが飛び込んだのは珍しいし南方青龍が正直憎いという気持ちはあったものの。
俺や優子にとっては目の前の子供の出産という一大事を控えている。俺達は子供の出産に集中した。
俺達は優子の様子を伺いながら病院へと向かった。

しかし・・。病院は戦争から帰還した負傷兵であふれ帰っていた。

俺達は小児科のお医者さんを探した。

健  「あのー看護婦さん・・」
看護婦「今手が離せないです。なんですか??」
負傷兵「なっ何とかしてくれ!!! 激痛で・・」
健  「小児科のお医者さんは・・」
看護婦「はい?? あぁ・・小児科病棟にいます!!」
健  「ありがとうございます」

俺達は小児科病棟に移りお医者さんと会うことができた。

医者 「とりあえず、優子さんを出産室へ移して!!」
看護婦「はい」

緊急病室に入る優子・・。
俺は近くのソファーに座り待ってる間・・優子の必死に力む声が聞こえた・・。
正直、高校生の俺が始めて変な気持ちになった。これが父親になるという事なのか。
優子の苦しみに似たような声が聞こえる。
隣に座っていた優子の父、健太郎さんが話しかけてきた。

健太郎「驚いたよ・・」
健  「えっ・・」
健太郎「まさか、その歳で子供を生むなんてね・・」
健  「自分のせいですよね」
健太郎「いや・・別にそういう意味で言ったんじゃないんだ・・」
健太郎「なんていうのかな・・優子に・・そうだな・・子供を生むという1つの幸せを叶えてくれた・・」
健  「幸せ・・」
健太郎「健君・・」
健  「はい・・」
健太郎「女性が・・・この世に生を受けてから・・女性が一番幸せを感じるのはこの世に三つある・・なんだと思う??」
健  「子供です・・か・・それと・・好きな人といられる事ですか・・」
健太郎「あと・・1つわかる??」
健  「いいえ・・・分かりません・・」
健太郎「・・・結婚だ」
健  「結婚・・優子にとっての・・」
健太郎「優子のこと愛しているのなら・・・近く・・にいてあげてくれ・・」
健  「お父さん・・・」
健太郎「ふふん・・そう呼んでくれるか・・」
健  「すみません・・・優子のことを考えてたら・・」
健太郎「君が本当に私の娘を愛してくれてるというのが分かった・・ありがとう」
健  「そんな・・こちらこそ・・優子を生んでくれた・・自分はそれに感謝してます・・ありがとうございます」
健太郎「そうか・・」
健  「・・・・」

緊急病室のランプが消えて赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。ついに健と優子との間の赤ん坊が生まれた瞬間だった・・。
看護婦さんが健を中に入れてくれた・・。そこでは病室のベットで泣きながらも赤ん坊を持って待ってる優子の姿だった。
俺は優子に近づいて赤ん坊を抱きかかえた。

健 「へぇすげぇ・・もちもちしてて・・可愛いな優子・・」
優子「うん・・健と私の間で生まれた子だよ・・」
健 「ありがとうね・・優子・・・」
優子「うん・・」
健 「優子にそっくりだょ・・」
優子「健・・泣いてるの??」
健 「うん・・嬉しくて・・泣いてるんだな・・おれ・・全然自覚ないのに・・涙が出てくる・・」
優子「私ももらい泣き・・してるよ??・・元気な子に育てようね・・・」
健 「そうだね・・」
健 「あっ・・そうだ・・優子・・」
優子「うん・・??」
健 「・・結婚・・結婚しよう・・」
優子「もちろん・・たける・・」
健 「うん??」
優子「けっこんしき・・はしんせい・・の神・・・殿だよ・・」
健 「優子・・・??  眠くなったのか・・・」
優子「ううん・・なんだか・・つかれて・・きちゃって・・」
健 「ご苦労だったからね・・すこし寝てな・・・ね・・」
優子「うん・・そうする・・ね・・わたしねたけるに・・あえて・・ゆうこ・・うれし・・かった・・よ・・」
健 「優子??」

心電図から「ピー」という音が鳴り響いた・・。
ソファーで待ってた優子の父が駆けつけて来てくれた。

健太郎「優子・・・しっかりしろ!!!」
健  「おい・・優子・・うそだろ・・」
律香 「そん・・な・・」
健  「優子・・そんな・・優子・・優子・・・」

優子は眠るように静かに息を引き取った・・・。俺との結婚の約束をして・・

俺は赤ん坊を強く抱きしめた・・。愛した女性・・優子の最期に残した一番の宝物だから・・。

俺は優子と結婚の約束した。実現するべく神聖大英帝国に申請して神聖大英帝国最も有名な神殿で亡き優子と結婚式を開いた。

俺は亡き優子の冷たい唇に、初めて優子の体に抱いた時と同じ優しいキスをした。

「俺・・どんなことがあっても絶対に元気な子に育てるよ・・約束する・・。」
「たとえ、数百年経とうとも優子のこと・・愛してます・・愛し続けます・・これからも・・ずっと・・・」

エンディングテーマ「一番の宝物」by karuta

END
















最終更新:2013年03月24日 18:05