神聖軍と南方青龍はモラグ星を制圧。アバン星解放への足掛かりとした。
アバン星への軍事作戦に向けて準備が進む中、幹部達はアバン星解放作戦及び主封印に向けた作戦部隊を組織するため
特別会議が行われた。

西野 裕「現在、通商連合軍がアバン星を完全に制圧、街の武装化が進んでいる」
畑山弐龍「無力化するには航空機、戦車隊、車両隊、海上戦艦による攻撃で行うしかないだろうな・・」
西野 裕「そうだ・・」
畑山弐龍「当然。敵も相応の戦力で出迎えてくるはずだ・・」
西野 裕「では。どうする?」
畑山弐龍「あんたは、ここの土地について詳しいだろ?」
西野 裕「あぁ」
畑山弐龍「なら、どうする?」
西野 裕「作戦は至ってシンプルだ・・」

西野裕皇帝は神聖軍に作戦内容を伝えた。敵の戦力やモラグ星での彼らの戦術データを照らし合わせた結果の作戦である。
まず、戦艦によるアバン星軌道上にいる通商連合軍の戦艦と交戦を開始する。
艦隊が囮になっている間に輸送船武蔵による歩兵部隊と各々の車両兵器を次々と降下させる。
降下してるのが見つかれば当然、敵の捜索行動が開始される。これは隠密で潜り抜ける。
歩兵部隊が首都圏まで近づいたら戦艦部隊も大気圏を突入しアバン星への奇襲と強襲を同時に行う。
街が武装化されてはとても主封印ところではない。敵の戦力が全体の25%に低下したら特殊作戦班を現地に降下させる。
主封印後の対処は現地の状況を見て把握することにした。

西野 裕「これでどうだろうか?」
畑山弐龍「完璧だな。宍塚、聞いたな?」
宍塚影狼「あぁ・・」
畑山弐龍「頼むぞ」
宍塚影狼「わかった・・」

特別会議が終了した。
モラグ星に駐留中の神聖軍はアバン星攻略のため装備品から兵器類の準備に着々と取り掛かる。
大型トレーラーに匹敵する電子天体双眼鏡を使ってアバン星の動向を

宍塚影狼「大丸、どうだ。通商連合軍の動きは?」
大丸徳満「さっぱりだ・・見ろ」

電子天体双眼鏡を宍塚影狼に席を譲る。
双眼鏡越しに見えたのはアバン星と小さな惑星だけだった・・。
戦艦やモラグ星無力化に対して何かしらの対策を講じていると予想していた宍塚の想像とは逆だった。

宍塚影狼「うーん・・戦艦とかの動きは無いな・・」
大丸徳満「相手も相当の痛手だったのかもな」
宍塚影狼「だが、念入りだ・・作戦通りに行くぞ・・」

ほぼ同時刻。アバン星に孤立した通商連合軍は緊急対策会議を開いていた。
松平総司令官率いる幹部達は焦りの色を隠せないでいた。

幹部A 「神聖軍、南方青龍の力があれほどとは思いもしませんでした・・」
幹部B 「どうするのだ。我々の残された戦力はあと少ししかないのだぞ」
幹部C 「松平司令、如何致しましょうか?」
松平修三「アバン星の周りに戦艦部隊を配置しろ・・その他は空港、聖犂殿、議事堂、首都圏を中心に兵器類を配備しろ」

一斉に立ち上がる幹部達。

一同  「はっ!!!」

松平の提案したユニット配置は西野裕の提案した作戦通りに事を運んでしまうのであった。
そうとは知らずに議事堂、聖犂殿、空港施設、首都圏に車両、戦車、設置型兵器を次々と配備していく。
その頃、神聖軍と南方青龍の両軍は魔刀の適格者のみで構成した特殊作戦班を配備。
メンバーに龍前誠、朝倉音夢、竜我藍、西野裕、畑山弐龍となる。護衛にはライトニングの4名が配置された。
全ての装備品や兵器、車両を載せた武蔵、サイクロプス、スピリットオブファイヤはモラグ星を後にした。
そう遠くないモラグ星からアバン星への距離。両軍率いる大艦隊部隊がアバン星へと接近する・・。

宍塚影狼 「カッター艦長、お願いします・・」
カッター 「フェイド艦長、作戦を開始します!!!」
フェイド艦長「了解。正幸、クルー128名の命はお前に掛かってるぞ・・」

無線受信のヘッドホンを掛けて戦闘に備える寺田正幸。

寺田正幸「はい・・」

武蔵の機関を停止させ、艦隊部隊の後方で待機する。

西野 裕「機関停止!! 艦隊部隊の戦闘が始まり次第降下を開始する」
畑山弐龍「大丸、竜我!! 装備の確認をしておけ!!」

第二小隊、第211、第317特別小隊は装備品の確認を取りつつ作戦内容の指示をした。
数十分後、艦隊部隊による戦闘が展開される。砕け散る敵駆逐艦や人間の残骸・・。

西野 裕「よし、いいぞ・・降下開始!!!!」

合図と共に大量のペリカン降下艇がアバン星潜入を開始する。降下開始と同時に撃ち落される複数の降下艇。
降下艇から投げ出される兵士達。その姿を見て怯える神聖軍の第211部隊。

竜我 藍「いいか。ここが俺達の正念場だ!!! アバン星を解放し魔刀の主様を封印する!!! いいな!!!」
第211一同「はーい!!!!」

降下途中何機も何機も撃ち落されていく味方の降下艇。激しく装甲を撃ちつける対空砲火。
竜我藍は西野裕と畑山弐龍に作戦変更の連絡を入れた。

竜我 藍「弐龍!!! ダメだ。対空砲火が激しい!!!! 作戦を変更する必要があるぞ!!!!」
畑山弐龍「わかってる」

肩を叩き西野裕に作戦を変更するべきだとお願いする。

畑山弐龍「このままだと降下部隊が全滅する・・」
西野 裕「了解した。作戦をプランBに変更する。現地に下りたらその場で待機。以上!!」
竜我 藍「助かる!!」

無事降下を完了する第二小隊及び第211小隊。
降下を完了したペリカンが去ろうとその場から撤退をした瞬間、内部のパイロットごと破壊されてしまう。
敵は既に両軍の降り立った場所を把握していたのだ。物陰に隠れて敵の戦力を見極めるため双眼鏡を手に取り出す。

竜我 藍「なんだありゃ・・」

双眼鏡を覗いて目に飛び込んできたのは巨大な兵器が街の至る所に武装化され数ヶ月前に見た風景と違う風景が広がっていた。
ビルの屋上に設置されたSAMや対空機銃が非情と思えるほどの弾薬を撃ち続け、その銃弾で撃ち落されていく味方の降下艇。
見たそのまんま状況を本部に連絡した。

竜我 藍  「本部、対空機銃を黙らせないと味方がやられちまうぞ!!!!」
シスターアイ「交戦を開始せよ、繰り返す。交戦を開始せよ!!」
竜我 藍  「了解、行くぞー!!!」

第二小隊及び第211部隊、他の部隊も一斉に攻撃を開始する。その攻撃に対して必死の抵抗を試みる通商連合軍。

ベクター  「竜我、ライトニング隊は? 行動してるのか?」
竜我 藍  「あぁ、本部。ライトニングは? 本部!?」
シスターアイ「既に降下は完了済みだ。自分の仕事をやれ」
竜我 藍  「よし。分かった」

無線を切る。

竜我 藍  「ビルの最上階にあるSAMを黙らせるぞ。来い!!」
第二小隊一同「おぅー!!!」

超高層ビルの入り口前で第二小隊が集結する。

竜我 藍  「藤代さん。隣のビルを頼む」
藤  代  「わかったわ・・」

藤代が率いる第一小隊も対空砲火の無力化に向かう。
超高層ビルの階段を勢いよく登り始める。

ベクター「くそったれ。何段あるんだよ・・」
野々村桜「ほらぁ、さっさと行きましょう☆」
ベクター「マイペースだなぁ!!」
竜我 藍「コンタクト!!!」

階段を上ってる最中に敵と遭遇する。
階段という名のとおり隠れるための遮断物が少ないため次々とやれていく第二小隊の隊員たち。
両者が撃ち放った弾丸が金属製の手摺を貫いていく。

竜我 藍「応戦!!!!」

大声を上げてバトルライフルで応戦する第二小隊。
相手も何時撃ち負けてもおかしくない状況下での必死の抵抗を続ける。

通商連合軍兵士「やっと手に入れた領土だ。奪われてたまるかよ!!!」

幾度と抵抗を続ける通商連合軍だったが、その抵抗も虚しく殲滅される・・。
階段で交戦していた第二小隊はそのまま屋上へと急行する。
屋上へ続く扉を静かに開けると今も尚、上陸する味方に対する非情な攻撃が続けられていた。

竜我 藍「蛮骨、お前の風で吹き飛ばしてやれ!!」
蛮骨雅洋「わかった。援護を頼む!!!」

蛮骨雅洋は扉を突き破るとそのまま通商連合軍兵士と対空兵器に向かって大剣を大きく振りかぶる。
錬換術を遣わせまいとライフルを蛮骨に向かって発射するものの第二小隊の隊員の援護によって阻止された。
ほんの数秒の出来事に動揺も見せない蛮骨は大剣を地面に振り下ろすと数十人の通商連合軍兵士をビルから吹き飛ばして叩き落した。
ビルを制圧した第二小隊はゴーストアイとシスターアイに連絡を入れた。

竜我 藍  「こちら、第二小隊。ビルに設置された大型対空兵器を無力化。次の指示を頼む・・」
ゴーストアイ「ご苦労。作戦は順調に進行中。現在、ライトニングが二つのビルに設置された対空兵器を無力化したところだ」
竜我 藍  「あいつらも中々やるな・・」
ゴーストアイ「既に別の歩兵部隊も他の対空兵器の無力化に取り掛かっている。無力化は時間の問題だ」
竜我 藍  「了解した。次の指示を頼む・・」
シスターアイ「特殊作戦班に合流せよ。聖犂殿に向かえ。以上」
竜我 藍  「わかった。第二小隊アウト」
ゴーストアイ「幸運を。ゴーストアイアウト」

第二小隊はそのまま聖犂殿に向かった。
その頃、軌道上の戦艦を無力化した味方の戦艦部隊と航空機部隊は大気圏突入を開始する。
アバン星の海上戦艦が広範囲攻撃陣形を展開、大気圏を突入してくるサイクロプス及びスピリットオブファイヤに対する
決死の攻撃が行われた。

フェイド艦長 「大気圏を突入する。ウィンドホバー隊。援護を頼む・・」
ウインドホバー「了解した。任せろ!!」
フェイド艦長 「正幸、邪魔してくる敵航空機を始末しろ!!」
寺田正幸   「了解!!」
フェイド艦長 「前面シールド展開。大気圏に備えよ!!!」

大気圏入る戦艦の表面が赤く燃え上がり始める。
援護する味方航空機部隊も背面シールドを展開しながらの援護なので次々と敵航空機に落とされていく。
その内の味方航空機が前面シールドを展開せずに通商連合軍の敵機と戦っているのが目撃される。

ウィンドホバーリーダー機「スカイキッド!! 大丈夫か?」
スカイキッドリーダー機 「部下の機体が!!」
スカイキッド パルスカ機「ダメだ・・熱すぎる!!!!!」
スカイキッドリーダー機 「パルスカ、いいか。前面シールドを展開しろ」
スカイキッド パルスカ機「熱い・・・あ、熱い・・燃えるように熱い!!!!! た、助けて!!!!」
スカイキッドリーダー機 「落ち着いて、前面シールドを展開しろ!!」

ほぼ同時に敵機の通商連合軍の機体が木っ端微塵に砕け散る。
スカイキッドの部下が乗った機体が耐久度の低下を警告するアラームが動揺して混乱する兵士を
さらにパニック状態へと誘い込んでしまう。

フェイド艦長 「なにをしている!!! 死ぬぞ!!!!」
ウィンドホバーリーダー機「機体がもう持たないぞ!!!」
スカイキッドリーダー機 「パルスカ中尉!!! 落ち着け!!!!!」
スカイキッド パルスカ機「ママ、ママ・・だめ・・熱いの・・」
スカイキッドリーダー機 「パルスカ中尉!!!!!!!!!」

フェイド艦長、寺田正幸、ウィンドホバーとスカイキッドリーダーに飛び込んできたのは
神聖軍航空機パルスカ機が無残に砕け散る姿だった・・。

スカイキッドリーダー機 「あぁ・・・なんてことだ・・」
ウィンドホバーリーダー機「おい、今は戦争中だ。あとで悲しむ時間はたっぷりある。今は任務に集中しろ。いいな?」
スカイキッドリーダー機 「はい。わかりました。すみません」
ウィンドホバーリーダー機「大気圏を抜けるぞ!!! フェイド艦長!!」
フェイド艦長 「分かっている!! 正幸、攻撃開始!!!」
寺田正幸  「了解、全砲門解放。撃ち方始め!!!」
攻撃管制兵B「撃ち方、始め!!!」

サイクロプスの15個ある主砲三式が通商連合軍海上戦艦に向けて発砲される。
放たれた砲弾が青空の雲に大穴を開けて海上に大きな水柱を作り出す。波揺れる敵海上戦艦も反撃の手を緩めなかった。

ウィンドホバーリーダー機「全機、広範囲攻撃陣形展開!! 各個撃破!!」
スカイキッドリーダー機 「全機、散開。戦艦の援護に回る!!!」

大空から大気圏を突入してきた南方青龍軌道艦隊が雲から姿を現す。
艦砲射撃を滞りなく撃ち続ける通商連合軍。既に戦力の大半を失っていた彼らの必死の抵抗だった。

寺田正幸 「陽電子砲、発射用意!!!」
攻撃管制官「発射用意!!」
寺田正幸 「撃てー!!!!!」

南方青龍のサイクロプスから高出力兵器が放たれる。

通商連合軍管制官「高出力砲来ます!!! 回避不能!!!!」
通商連合軍艦長 「うわぁーーーーー!!!!!」

通商連合軍の艦隊の中にいる兵士を微塵に砕きながら戦艦を破壊し尽くした。
その火力はまた一隻、また一隻と一度放たれた陽電子砲による攻撃は滞ることを知らずに次々と破壊した。
一度の陽電子砲で合計5隻もの戦艦を破壊したサイクロプスの攻撃性能に圧倒される敵勢勢力。

通商連合軍パイロット「くそぉーこの野郎!!!!!!」

首都圏に近づくサイクロプスを許せなかった一人のパイロットが攻撃を仕掛けに行った。
しかし、サイクロプスのレーダー範囲の大きさは目を見張るものがあり簡単に捕まってしまう。

レーダー管制官「新たな目標を補足。通商、音速機、距離3000、5時の方向から急速接近」
寺田正幸   「イーゲルシュテルン射撃開始!!!!!」

急速接近する通商連合軍の音速機に対して数千発のガトリングガンで対処するサイクロプス。
右翼や左翼に数十発の穴が開きながらも突撃を敢行する音速機に対して主砲による射撃で更なる応戦を試みた。
発射された主砲の砲弾は音速機に綺麗に直撃し機体とパイロット諸共海へと叩き落した。

旗艦通信兵 「艦長、首都圏に接近。歩兵部隊は今も尚、交戦中との事です」
フェイド艦長「了解した。首都圏に到着し次第、歩兵部隊の支援へと回る」
シスターアイ「こちらも了解した。作戦は順調に進行中に付き統合作戦司令部と連携を図る」

首都圏に到着した航空部隊はそのまま国会議事堂、行政区画、空港区画、住宅区画へと散開。
各々の判断で各個撃破へと向かって行った。その頃、第二小隊は行政区画まで交戦しながら接近していた。

竜我 藍「こちら第二小隊、行政区画まで接近した。目と鼻の先だ。しかし、攻撃が激しい支援してくれ!!」

その連絡を聞いた神聖軍統合作戦司令部にいる畑山弐龍はすぐに支援を回すように部下の影狼に通達する。
その後も通商連合軍の圧倒的劣勢は確実だが、ここまでの敵と両軍ともに死者は数百人にも上っている。
通商連合軍の守りの堅い行政区画へ向かっていた第二小隊への支援として対地攻撃戦闘機が助けに来た。

対地攻撃機「ストロボを装着してくれ。どちらが味方なのか見分けが付かない」
竜我 藍 「了解、皆ストロボを起動しろー!!」

装備品の背中側に身に付けていた敵対識別機を起動させた。
すると、全味方の航空支援戦闘機から点滅した第二小隊が映し出された。

対地攻撃機 「ハッハッ!! お前らの場所を把握したぞ!! これより支援射撃を開始する。巻き込まれるなよ。以上!!」
通商連合兵士「隊長、あの戦闘機、我々を狙っています!!」
通商連合隊長「対空戦闘、叩き落せ!!!!」
対地攻撃機 「なめてんじゃねーぞ!! この野郎!!!」

一度通り過ぎた対地攻撃機が旋回して戻ってきたところを行政区画の通商連合軍へと激しい攻撃が展開される。
しかし、物陰に隠れたことで通商連合軍の破壊兵は撃たれずに済んだ。通り過ぎていく戦闘機へと対空ミサイルを補足し始める。

対地攻撃機「対空ミサイルに狙われてる。第二小隊、援護してくれ!!」
竜我 藍 「分かった。任せろ!!! 第二小隊全員破壊兵を優先に攻撃しろ!! いいな? 撃てー!!!」

第二小隊の隊員達が一斉に各々の目標へと支援攻撃を開始する。
対空攻撃が止んだところで二度目の対地射撃が行われた。首や胴体に大きな風穴が通商連合軍の兵士に開けられていく。
次々と倒れていく敵兵士たち。作戦は順調に進行していた為に無線から朗報が舞い込んできた。

スティールガンナーズ「こちら戦車隊。空港施設を奪還した。南方青龍お前らの空港を取り戻してやったぜ!!!」
ガブリエル・ハウジィ「こちら、ライトニング隊。議事堂区画を制圧。議事堂を取り戻したぞー!!!」

次々と朗報が届いてくる中、ライトニング隊と第二小隊へ新たな指令が下る。

シスターアイ「よし。作戦成功は時間の問題だ。よくやってくれた諸君。特別作戦班は準備に取り掛かり聖犂殿へ向かってくれ」
竜我 藍  「了解。第二小隊、聖犂殿に向かうぞ!!!」
加瀬谷春谷 「了解した。ライトニング隊も向かう!!」

第二小隊とライトニング隊の精鋭兵士たちは昔懐かしい聖犂殿へと急行した。
遂に魔刀の主と対面するのである・・。

第1部9項へ続く。

END
最終更新:2013年12月14日 15:19