あの悲惨な暴力事件から数ヶ月・・。むこぬこは病院を退院することができた。
退院と聞いてむこぬこを女子寮まで送り迎えをする為、珠子は自前の原付バイクで迎えに行った。
到着して病室に入る珠子。
珠 子 「よっ!!」
むこぬこ「あ、たまちゃん!!」
珠 子 「準備できたか?」
むこぬこ「うん。荷物はそれほどでもないし・・」
珠 子 「その手提げバッグだけか?」
むこぬこ「うん!!」
珠 子 「それじゃ帰るか・・」
病院前で外科先生と看護婦さんが退院するむこぬこを玄関先まで送ってくれた。
外科先生「ぬこちゃん。お大事に」
看護婦 「気を付けてね」
むこぬこ「はい。ありがとうございます!!」
珠 子 「大変お世話になりました。ありがとうございます」
手を振って見送ってくれる先生たちに挨拶を終えてバイクを走らせる珠子。
往復5時間掛かる距離をゆっくり安全運転で女子寮に向かって行った。
安物の原付バイクのエンジン音が鳴る中、綺麗な夕日が海辺の水平線を照らし2人を包み込む。
珠 子 「ぬこっち?」
むこぬこ「なにぃ~?」
珠 子 「左手の海辺見える?」
むこぬこ「うん。夕日が綺麗だね~!!」
珠 子 「今日は特別天気がよかったからねー」
むこぬこ「そうだね☆」
珠 子 「だな・・・・」
むこぬこ「・・・・」
少々無言になる2人。
むこぬこ「斉藤君・・心配してるかな?」
珠 子 「彼氏だもん。心配してるよ・・」
むこぬこ「だよね・・」
珠 子 「メールは送った?」
むこぬこ「ううん。病院はケータイ使えないから・・」
珠 子 「そっか・・じゃ、寮に着いたら送っておけよ?」
むこぬこ「うん。そうするつもり・・」
珠 子 「うん・・」
むこぬこ「桃子と美月の容体は?」
珠 子 「うん。すっかり良くなってたよ?」
むこぬこ「そうなんだ・・。よかったー☆」
珠 子 「うふふ。( ^ω^)」
夜8時頃・・。
すっかり暗くなり綺麗な夜の町並みが広がる。
むこぬこ「人が増えてきたね・・」
珠 子 「もう夜だからね」
むこぬこ「あぅ~お腹すいたよ~どっかで食べない?」
珠 子 「お金、あまり持ってないけどな・・」
むこぬこ「え~!! なんで?」
珠 子 「あんた迎えに行くだけの予定だったからさ!!」
むこぬこ「むぅ~!! (`・ω・´) 」
珠 子 「わぁ~ったよ!! なにか軽いのでいいよね?」
むこぬこ「やったー!!!」
夜9時頃のマクドーナルドでハンバーガーを食べる2人。
珠 子 「チーズがちゃんと入ってるな・・」
むこぬこ「う~ん。おいしい☆ ねぇ、たまちゃん!!」
珠 子 「うん?」
むこぬこ「なんかこう、ふたりで食べるのって久しぶりな感じじゃない?」
珠 子 「そうかぁ? いつも遊んだり勉強したり歌ったり、色々してるじゃん」
むこぬこ「幼稚園のとき以来かも・・」
珠 子 「そうか・・」
むこぬこ「うちが入院してる時、さいちゃんに何かあった?」
珠 子 「そういうことはケータイでメールを送りんさい!!」
むこぬこ「でも、聞きたいじゃん!!」
珠 子 「知らねぇーわ。あんたの彼氏のことなんか!!」
むこぬこ「え~、たまちゃんは心配じゃないの?」
珠 子 「ちょ、なんであたしが、あんたの彼氏のこと心配しなくちゃいけない!!」
むこぬこ「もぅ~!! ( ̄3 ̄)」
珠 子 「ケータイの電話で直接聞いてみれば?」
むこぬこ「わかった・・ ( ̄^ ̄ )」
珠 子 「まったく!! 疲れる・・もぐもぐ」
むこぬこが病院を退院する一週間前、斉藤君は実家に学費を取りに帰っていた。
朝の寝室。目覚ましを止めてリビングへと降りていく斉藤君。
斉 藤 「はぁ・・よく寝た・・」
リビングには斉藤君の実の姉である園子がテレビを見ていた。
寝癖ですごい髪型になっている弟の姿を見て微笑む姉貴。
眠そうな顔をしながらソファに座って携帯電話のメールを確認していると
姉が学校での出来事を聞いてきた。
園 子 「よく寝た?」
斉 藤 「あぁ・・」
園 子 「あんた、この前、学校がすごいことになったんだって?」
斉 藤 「あぁ・・教室をめちゃくちゃにしたバカ女がいてな・・」
園 子 「それで? 怪我した生徒いたの?」
斉 藤 「うちの知り合いと彼女・・あとは5、6人はいたかな・・」
園 子 「あら・・大変ね・・ぬこちゃんだったけ?」
斉 藤 「・・俺の彼女?」
園 子 「そう!!」
斉 藤 「むこぬこって名前・・」
園 子 「その子は大丈夫だったの?」
斉 藤 「あぁ・・そういえば・・お見舞いを何度か行ったけど・・よくなったのかな・・」
園 子 「メールは? したの?」
斉 藤 「今、してる・・」
園 子 「そうそう、また学校行くんでしょ? お母さんがね机の上に学費置いといてくれたわよ」
斉 藤 「わかった。あとで持っていくよ・・」
園 子 「さて、麦茶でも飲みますかね」
斉 藤 「(あ、メールがきた・・)」
むこぬこへのメールをしていたら友達の榊原からメールが入る。
むこぬこのメールを送信してから受信済みメールを開くことにした。
榊原のメール内容は男子グループだけで一緒にプールに行かないか否かのメールだった。
園 子 「行って来なさいよ。たまには息抜きも必要よ」
斉 藤 「あぁ・・」
自宅から数時間の駅前で待ち合わせることになった。
自転車で向かうと友達が数人ほど既に待っていてくれた。
篠 田 「よぉ!!」
斉 藤 「あぁ・・元気か?」
篠 田 「お前はどうなんだ?」
斉 藤 「まぁ、なんとかな・・」
百 代 「お待たせ!!!」
そこへ遅刻だと勘違いして急いで走ってくるギャル娘がいた。
むこぬこの友達の百代だった。
斉 藤 「あぇ・・と、百代さんだっけ?」
百 代 「うん☆ 榊原に誘われたんだけど・・あいつは?」
斉 藤 「えっと・・」
篠 田 「いや、まだ来てないぜ」
百 代 「はぁ?」
篠 田 「あいつ、遅刻だな」
百 代 「人を誘っておいて遅刻とか。あり得ないわ!!」
篠 田 「はっはっ!! だな☆」
斉 藤 「篠田・・」
篠 田 「あん?」
斉 藤 「昨日の暴力事件・・なにか聞いてないか?」
篠 田 「いや、まったくだ・・気になるか?」
斉 藤 「何もお咎めないからな・・」
百 代 「やっぱり、ぬこちゃんの事、心配?」
斉 藤 「あぁ・・守れなかったしな・・」
百 代 「私も病院にお見舞いしに行ったけど元気だったよ?」
斉 藤 「それはそうだけど・・」
篠 田 「そうだぞ。元気出せよ!!」
斉 藤 「あぁ・・」
榊 原 「おぅー!! 悪い悪い!!!」
そこへ友達を20分も待たせた上に大遅刻してきた榊原がやってきた。
斉 藤 「お前な・・他に言う事はないのか?」
榊 原 「すまん。すまん!!」
斉 藤 「・・・」
百 代 「もぅー遅い!!」
榊 原 「生徒会の仕事があってさ・・」
斉 藤 「そっか。お前、そんなにガングロなのによく生徒会に入れたよな?」
榊 原 「この肌の事か? これは生れつきこうなっちまった。理由は分からん」
斉 藤 「親も同じなのか?」
榊 原 「そうだよ?」
篠 田 「マジか・・」
百 代 「チンピラ男にしか見えない・・」
篠 田 「あっはっはっ!!! それは言えてる!!!」
百 代 「根っからのチンピラ、みたいな? はっはっはっ!!!」
榊 原 「コラコラ!! そういうこと言わない!!」
篠 田 「ごめんな。えっと、それでプールだっけ? どこ行くんだ?」
榊 原 「市民プールだ。最近、ウォーター滑り台ならぬ物ができたらしい・・」
篠 田 「それが目当てなのか?」
斉 藤 「どんだけ行きたいんだよ?」
そこへ突如、篠田の両目を手で隠して現れた女子高生がやってきた。
玲 子 「どうも☆ 遅れちゃった。てへ (*´ω`*) > 」
斉 藤 「どうも・・」
両胸の谷間が見えそうな服装でやってきた玲子の容姿に釘付けとなる斉藤。
篠 田 「おぃおぃ。浮気か?」
斉 藤 「あ、え、えっと・・ち、違う!!」
玲 子 「うふふ☆」
百 代 「玲子、なにそれ~?」
玲 子 「お弁当作ってきたの~あとで皆で食べましょ」
百 代 「おう~いいね!!」
榊 原 「さて、全員揃ったし行くか!!」
斉 藤 「あのさ・・」
榊 原 「うん? どうした?」
斉 藤 「おれ、やっぱ止めるわ。遊んでる時ではないと思うし・・」
玲 子 「あのね。さいちゃん。ぬこちゃんから伝言預かってるんだけど・・?」
斉 藤 「え、ほんと?」
玲 子 「えっとね。あ、はい。これ・・」
玲子はむこぬこの直筆の手紙を手渡した。
内容は落ち込まないで普段通りに過ごして欲しいと書いてあった。
斉 藤 「ありがとう。玲子ちゃん・・」
玲 子 「元気が出たようで何よりです。行きましょ☆」
榊 原 「行くぜ!!!」
皆で駅に入っていくと、そこで榊原の天然が発揮される。
駅から切符を買い間違えて・・。
乗る電車を間違えて、全く違う駅に着いてしまい・・。
各駅電車で良かったのに快速に乗って違う駅へ・・。そして1時間が経過してしまう。
戻ってきて最初の駅に到着。グループリーダーが斉藤くんへと変わる。
ようやく市民プールへ到着する。
斉 藤 「おい。お前!!! 何なんだよ!!!」
榊 原 「はっはっはっ・・突然の予期せぬアクシデントぉ・・」
百 代 「疲れた・・・」
玲 子 「はぁ・・足がつりそう・・」
篠 田 「榊、最悪だな・・おまえ・・だから、彼女できないだよ」
榊 原 「だろうな・・とにかく入ろうぜ」
市民プールへ入る一行。
篠田は入る前の準備運動を念入りに行う一方で、榊原は買ってきた水着が入らず更衣室から出て来れずにいた。
篠 田 「よぉ、榊は?」
斉 藤 「水着が入らずバカやってるよ・・」
篠 田 「あいつ何しに来たんだ?」
斉 藤 「バカをやる為ではないのは確かだうろな」
百 代 「おまたせ~☆」
玲 子 「あれ? さかき君は?」
斉 藤 「あ、まだ着替えてるって・・」
百 代 「へ~そうなんだー」
市民プールの売店で代わりの物を購入しそれを履いてきた榊原を見て斉藤は一言、言い掛ける。
斉 藤 「自前に持ってきたの履けなかったのか?」
榊 原 「なんだかサイズが合わなかったみたいでさー!!」
斉 藤 「普通、試着したりしてから買うだろ」
榊 原 「まぁ・・そうなんだけどさ・・」
百 代 「ねぇ!! 泳ごう!!」
榊 原 「あぁ!!」
二時間経過。市民プールの机や椅子の並ぶ飲食場で食事を取ることになった。
百 代 「じゃじゃーん!!」
百代は自分の作ってきたお弁当を広げる。
榊 原 「すげぇ!! 作ってきたの?」
百 代 「うん!! 玲子とね☆」
玲 子 「失敗が多かったけどねー」
篠 田 「すこしだけ食べていい?」
百 代 「え? あ、うん!! いいよ☆」
篠 田 「ありがと!!」
斉 藤 「・・・・・」
俯いたまま黙り込む斉藤。
榊 原 「おーい。元気ないぞ!!」
玲 子 「あの・・大丈夫ですか?」
斉 藤 「・・・うん?」
榊 原 「ぬこちゃんのことか?」
斉 藤 「・・・あぁ」
百 代 「気にしないでって手紙にも書いてあったし・・」
斉 藤 「そうだけど、悪い・・俺帰るわ」
榊 原 「はぁ? え、いや・・でも・・」
斉 藤 「折角誘ってくれたのにすまん!! じゃあ!!」
みんなの制止を振り切って荷物をまとめて市民プールを後にして病院に向かった。
むこぬこの病室を看護婦から聞いて病室に入ると。
むこぬこ「ひまりーいつもごめんね☆」
緋 鞠 「ううん。おねぇちゃんの為だもん!!」
妹の緋鞠がむこぬこの身の回りの世話をしていた。
そこへ斉藤君が歩み寄ってきた。
緋 鞠 「あ、さいとうさん!!」
むこぬこ「ほぇ?」
斉 藤 「どうも・・」
むこぬこ「皆とプールに行ってたんじゃ?」
斉 藤 「心配でさ・・」
むこぬこ「心配してくれてたの・・?」
斉 藤 「・・うん」
むこぬこ「そうなんだ・・」
斉 藤 「迷惑だったかな?」
むこぬこ「ううん。でも・・皆には断ってきたの?」
斉 藤 「数時間だけ遊んだけどね・・」
むこぬこ「そっか。でも元気だから大丈夫だよ?」
斉 藤 「・・よかった」
むこぬこ「・・うん」
緋 鞠 「おねぇちゃん!! 体拭こうか? お風呂入ってないもんね」
むこぬこ「うん。お願い」
緋 鞠 「斉藤さんも、もう家に帰っていいですよ?」
斉 藤 「そ、そうだね・・」
むこぬこ「わざわざ、ありがとうね☆ 学校で会おうね!!」
斉 藤 「あぁ・・うん。それじゃ!!」
むこぬこ「バイバイ~☆」
斉 藤 「うん☆」
それから数週間後。
バイクで送ってくれた珠子は女子寮にむこぬこを帰すとバイクに乗って自分の自宅へと帰って行った。
女子寮の出入り可能時間を遥かに越えた時間に帰宅したむこぬこは寮長先生の了解を得ると部屋へ向かう。
部屋に入る桃子と美月が暖かく出迎えてくれた・・。
桃 子 「傷のほうは、もう何とも無いんですか?」
むこぬこ「桃子はもういいの?」
桃 子 「はい。すっかりよくなりましたー!!」
美 月 「私もー」
むこぬこ「みんな、よくなって良かったよ・・」
桃 子 「ぬこさん?」
むこぬこ「なに?」
桃 子 「あの・・暴力事件について学園の理事長からご連絡がありまして・・」
むこぬこ「理事長?」
美 月 「校長先生より偉い人だよ?」
むこぬこ「あぁー。すごっ!! で?」
桃 子 「その私兵を務めてる方から"来て欲しい"と・・」
むこぬこ「お話しかな?」
桃 子 「たぶん・・」
むこぬこ「みんな?」
美 月 「多分被害に遭った人達全員だと思うけど・・」
むこぬこ「うん・・とりあえず担任の先生に聞いてみるかー!!」
桃 子 「そうですね」
翌日。
全ての授業が終わり放課後へ。
楠 楓 「珠子とむこぬこ? それと美月、桃子、えぇと百代、梓、梨穂子、帰らずにそのまま教室に残ってー!!」
百 代 「え?」
梓 「先生ー!! どうしてですか?」
楠 楓 「理事長からお話しがあるって言うから、そのまま待機!!」
梨 穂 子 「帰っちゃダメなの?」
楠 楓 「だーめ!!」
むこぬこ「桃子の言うとおりだったね」
桃 子 「ですね・・」
そして珠子たちと雑談すること数十分。
ある女子が尋ねてきてお辞儀をして一言呟いた。
絢 「二年A組はここですか?」
桃 子 「はい。そうですけど・・」
絢 「どうも。私兵を務めている絢と申します」
みんなが頭を下げてお辞儀する。
絢 「担任の先生から事情は聞いているとは思いますが、今から理事長室に案内します。では、行きましょうか・・」
そう言われると皆が一斉に自分の鞄を持って絢の後をついて行った。
美 月 「玲子ちゃん。それなに?」
玲 子 「お菓子。理事長先生にお渡ししようと思って・・」
美 月 「へぇ~高いの?」
玲 子 「えっと・・値段はあえて聞かないで・・」
美 月 「お、わかった!!」
むこぬこ「どこまで・・行くの・・?」
桃 子 「あの・・あやさん?」
絢 「・・はい?」
桃 子 「理事長先生とはどういった方なのでしょうか?」
絢 「・・知らないのですか?」
桃 子 「はい。一年前に転校してきたばかりなので・・」
絢 「理事長は・・強くて。性格豊かで。バカみたいに優しく・・私の尊敬する人です」
桃 子 「そうですか・・」
理事長室前にたどり着く。
絢 「ここです・・理事長の前では失礼な行動は慎んでください」
むこぬこ「わかりました☆」
珠 子 「一応偉い人なんだからね?」
むこぬこ「分かってるよ!!」
桃 子 「・・分かりました」
絢 「それでは・・」
トントンとノックする絢。
「どうぞ~」
と明るい声で答えてくれた。
中に入ると綺麗な洋服を着た理事長が椅子に座って待っていた。
絢 「三毛猫さま。あの暴力事件で被害に遭った生徒達です・・連れてきました」
三 毛 猫 「どうも。こんにちは☆」
桃 子 「こ、こんにちは☆」
むこぬこ「どうもですー☆」
珠 子 「こらっ!!」
むこぬこ「お、いけない・・こんにちは!!」
珠 子 「お、お邪魔します・・」
玲 子 「・・失礼します」
美 月 「うわぁ・・すごい部屋・・あ、し、失礼します!!!」
三 毛 猫 「ううん。いいの、いいの言い換えなくて。それじゃそこのソファーに座って・・」
桃 子 「失礼します・・」
全員が座れる大型のソファに腰を下ろすと三毛猫も険しい表情になり早速本題へと入った。
三 毛 猫 「むこぬこさん?っていうのかな? 怪我のほうは、もう大丈夫なのかな?」
むこぬこ「ほぇ?」
珠 子 「あんたのことでしょ?」
むこぬこ「ほ?は、はい!!」
三 毛 猫 「うふふ☆ 元気で何よりですー。えっと珠子さんかな?」
珠 子 「はい!!」
三 毛 猫 「傷の具合はどう?」
珠 子 「あ、はい。大分よくなりました・・」
三 毛 猫 「他の子も大丈夫かな? とくに桃子さんは?」
桃 子 「あの、大丈夫です!!」
三 毛 猫 「よかった。まぁ、皆は既に知ってると思うんだけど・・暴力がこの学園で発生しました」
桃 子 「・・は、はい。そうですね」
むこぬこ「・・はい」
珠 子 「・・・・・」
三 毛 猫 「でね? 犯人の黒猫さんってのがそもそもの根本的な主犯でね。みんなの意見次第では警察に引き渡そうってことになってるの・・」
桃 子 「逮捕ってことですか?」
珠 子 「どれぐらいの罪に問えるんですか?」
三 毛 猫 「殺人未遂、校舎への不法侵入、暴力行為、器物破損など、諸々まだあるんだけどね・・」
絢 「問題はあなた達にもあります・・」
むこぬこ「ほぇ? あるの?」
三 毛 猫 「絢さん。外してもらっていい?」
絢 「はい・・失礼します」
絢が部屋を出て行く。
玲 子 「問題とは・・?」
三 毛 猫 「うん。あなた達も暴力を振るったことについてね」
珠 子 「やられたからやり返しただけですけど・・」
三 毛 猫 「問題とされているのはその一件が正当な防衛として問うことが出来るのか?ってことなの」
珠 子 「そ、それは・・」
むこぬこ「あの・・私達は別に悪いことをしてませんよ?」
三 毛 猫 「うん。それは私も信じたいの。でも、出張でいなかったから・・証明できるのは他の生徒達の証言だけなの」
むこぬこ「そんな・・」
珠 子 「それで・・聞いたんですか?」
三 毛 猫 「うん。あの現場を目撃した数十人の男女生徒が全てを話してくれてね・・」
むこぬこ「あ、あの・・それじゃ・・」
三 毛 猫 「警察は正当な防衛して対処すると言ってくれたわ・・」
桃 子 「ありがとうございます・・」
三 毛 猫 「それで・・黒猫さんの処罰についてなんだけど、どうする?」
むこぬこ「あの子は反省してるんでしょうか?」
三 毛 猫 「うーん。結構泣いてたから・・懲りたんじゃないかな?」
桃 子 「以前いじめてた人ですし・・・私は嫌です!!」
美 月 「私も・・」
珠 子 「二度と来て欲しくない・・」
玲 子 「暴力を振るうのはいけないことですしね・・一度捕まって反省するべきです」
むこぬこ「みんな・・」
珠 子 「あんたは?」
むこぬこ「にょ?」
百 代 「何とも思わないの?」
梓 「私達は許さないよ。ああいう女は・・!!」
梨 穂 子 「わたもだよ?」
むこぬこ「・・・わかった。お願いします!!」
三 毛 猫 「うん。分かりました!! 皆さん心に痛い傷を負わされたものね・・それじゃ対処しておくから・・帰っていいわ」
桃 子 「は、はい・・分かりました。ありがとうございます!!」
むこぬこ「あの、三毛猫さん?」
三 毛 猫 「うん? なにかしら?」
むこぬこ「あの絢さんは・・どういった人なんですか?」
三 毛 猫 「私の身の回りを守ってくれている侍女って感じかな?」
むこぬこ「すごい人なんですね・・」
三 毛 猫 「うふふ☆ 頼んでる訳ではないんだけどね・・」
桃 子 「ほらーむこぬこさん。忙しいんですから、行きましょ!!」
三 毛 猫 「寮長先生にはちゃんと事情を話してあるから、慌てる必要ないよ?」
美 月 「あ、あの・・色々ありがとうございます!!!」
百 代 「三毛猫さ~ん。ありがとうございますー☆」
梓 「どうも☆」
梨 穂 子 「失礼します!!!」
敬意が全く感じられない元気な声で理事長室をあとにする皆。
呆れてその場に留まる珠子に三毛猫が話しかける。
珠 子 「まったく・・あいつらは・・」
三 毛 猫 「珠子さんも道中、気を付けてね☆」
珠 子 「あの、失礼します・・すみません。何かご迷惑ばかり掛けて・・」
三 毛 猫 「ううん。気にしないで。健全な学校生活を送れるようにするのが理事長の役目だからね」
珠 子 「失礼します!!」
次の話ではまたいつもの生活に戻ります。
彼女たちの平凡な生活は平凡という言葉で片付けてしまっていいのか?
次の話に続く。
END
最終更新:2015年09月28日 03:31