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恋人の手術が無事終わった。
手術には僕と恋人の弟が付き添った。恋人の弟は刑事で、殺人事件とかいろんな話を聞けて面白かった。
手術中に本を読もうと思ってたんだけど、図書館から借りてまだ読んでない本が『崩壊について』という建築の本しかなかったので持ってかなかった。手術中に読むには最悪のタイトルだ(笑)
手術は成功した。でも麻酔がさめても、恋人はほとんど眠ったままだった。
恋人の病室からは武蔵野の街が見渡せた。
武蔵野には高い建物がない。示し合わせたように同じような建物が立ち並んでいて、僕は、綺麗だなと思った。都市の、自己増殖してくような不気味さはない。畑が残っていたり、街道があったり。近代的なマンションが建ち並んでいて、まるで自然の野原を見ているように、綺麗だなと思った。そこには奇妙な統一感があった。
建築用語で『ランドスケープ』という言葉がある。日本語にすると「都市景観」みたいなカンジかな。僕は、恋人が眠る病室の窓から武蔵野を眺めて、初めて『ランドスケープ』という概念がわかった気がした。それはとても簡単なことだった。
風景は発見するものだ。
ひとは意識から自由になれない。自意識と、都市とが出会ったとき、風景が発生する。僕が武蔵野を眺めていた時、恋人は手術の後で眠っていた。そんなシチュエーションで初めて僕は僕なりのランドスケープを手に入れたのだ。
近代建築のテーマは「均質性と無限定性」だ。
でも僕らの生は均質的ではないし、とても限定的なものだ。
そんな当たり前のことを語る言葉を、思想を、物語を、僕は捜し続けているのだと思う。
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2007年01月] - &trackback() - 2007年01月29日 23:31
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最終更新:2007年02月01日 12:25