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佐世保滞在中の最大のトピックスはアメリカ軍の空母「ニミッツ」が佐世保港に入港したこと。おりしもその直前に沖縄で米兵が中学生を暴行するというおぞましい事件が起こっていた。日米関係は緊張しているとテレビや新聞は言っていた。僕は佐世保で「ニミッツ」を見た。それは小さな灰色の街みたいに見えた。
アクチュアルな生活においては、右の思想も左の思想も、ひとを傷つけるだけだ。佐世保に暮らすひとたちにとっては、基地は生まれた時からそこにあるもの。海や、山や、空みたいに。彼女の実家やおばあちゃん家で沖縄や佐世保のニュースを見る度、僕はとても居心地の悪い思いがした。佐世保のひとの方がよっぽどリアルでタフなんだと思った。思想はどのくらい有効なんだろう?

『ちっちゃな海賊』という小説を描き始めた。山賊の次は海賊だろう、っていうノリで。だから、本当はアメリカだとか、「ニミッツ」だとか関係ない。佐世保にいる間はもっぱら子供たちとトミカで遊んでたし。
『山賊村』でとても残酷な物語を描いてしまったので、『ちっちゃな海賊』では優しい世界を描きたい。誰も死なない。誰も傷つかない。そういう物語が僕たちには必要だ。
現実がままならないのは知ってる。
もうずっと前から知ってる。


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最終更新:2008年02月19日 22:29