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FISフリースタイルスキー世界選手権の開会式を観に猪苗代まで行った。
東京から高速バスで郡山まで行き、郡山で磐越西線に乗り換えた。いくつものトンネルを越えて猪苗代へ。真冬の猪苗代は世界の果てみたいな場所だった。
猪苗代駅に降り立った瞬間「あ、ダメだ」って(笑)駅前、なんもねえ。とにかくお腹が減っていて。ごはん食べるところ探したんだけど、なんもねえ。
ジャック・ジョンソンの『キュリアス・ジョージ』を聞きながら猪苗代を歩いた。
凍てついた風の中。
佐世保に行った時、二歳児の男の子がハマっていたDVDが『キュリアス・ジョージ』だった。
ちっちゃな猿の冒険。
都会の感覚は世界の果てでは通用しない。
緑地に赤の看板を見つけて。「あ、サイゼリアだ!」と思って。遥々猪苗代まで来てサイゼリアもなんだけど、とにかくお腹が減っていて。うわあーって歩いてったら『JAファーマーズ』。農協かよ!? って(笑)

FISフリースタイルスキー世界選手権の開会式を観た。
上村愛子はアスリートである。
彼女には「かわいい」という言葉は似合わない。「強い」とか「タフ」だとか「鋭い」とか……。そういう言葉がふさわしいと思う。でも上村愛子を見た瞬間「……かわいい!」って(笑)
あのこはあんなちっちゃな体で戦ってるんだな。
(上村愛子はこの大会でモーグルとデュアルモーグルで世界一になった)

一週間福島に帰ったけど、何も描けなかった。
そんな時、東京の彼女から電話がきた。『デス・トライバル』を読了した直後、興奮して電話をかけてきたのだ。
「凄いよ!」と彼女は言った。
『デス・トライバル』を脱稿して、初めて幸福な気持ちになれた。
僕の旅は終わったんだ。
僕の旅を終わらせてくれたのはあなた。

凄いものを描いてしまったと思った。
自分の理解を超えるものだったから、戸惑ったし、確信が持てなかったし、ディスられると超ヘコんだ。でも面白いものを描いたのは間違いなかったんだ。だって! 面白くなるように描いたんだから!
読み手も書き手もつまるところ、主観的であり、独善的だ。
それでも書き手が忘れちゃいけないのが、エンターテイメントということ。ひとを喜ばせる工夫をするということ。僕はとにかくエキサイティングな物語を描くことだけを考えていた。一瞬足りとも自虐的になったことなんかなかった。

サチ。エミ。フジヤマ。サムライさん。
いつもトップスピードでダッシュする君たちが大好きでした。
かっこいい大人になれよ!
シンちゃん。ヨウちゃん。松倉一等陸曹も中島二等陸士も山口二等陸曹も大好きでした。
ゾンビになった若者たちも大好きでした。
やっぱり俺は若いこの味方だよ。
でもそんなに社会は甘くねえぜ!?(笑)

文学の使命はひとをエンパワーすることだ。
これくらいの長編小説を描いて初めて、その言葉を口にすることができるのだと思う。だから言う。
文学の使命はひとをエンパワーすることだ。



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最終更新:2009年03月17日 18:00