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スモークガラス越しに見る桜は満開。
スモークガラス越しに見る景色は、ほんの少し翳って見える。
駅前のロータリーで小さなつむじ風を見た。
桜の花びらがくるくる回ってた。五歳くらいの女の子がその真ん中に飛び込んだ。
今年は花見をしなかった。
彼女と散歩しながら夜桜を見ただけ。夜になると少し寒いから、ポケットに手をつっこんで歩いた。
「桜はひとの心を打つね」と彼女が言った。その一言が僕の心を打った。
やっと悪夢を見なくなった。
枕をぽん、ぽん、ぽん、って三回叩いて「バクさんにプレゼント」と呪文を唱える。彼女が子どもの頃にやっていた儀式で、それを実行してからはきっかり悪夢を見なくなった。ちなみに本気でやんないと効力は薄い(笑)
僕は春という季節がずっと苦手だった。
春という季節に付随する、ある種のリスタート感が苦手だったのだと思う。コートを脱ぐみたいにはできない。そんな器用なやつばっかじゃない。
「押すなって! 背中押すなって!」春が来る度そう思っていた。
僕はずっと留まっていたかったのだと思う。
冷たく、凍てついた季節に。
(精神科で働いていて思うのは、僕はかなり危ういところにいたんだということだ。摂食障害。パーソナリティー障害。アルコール依存症。もしかしたら今も危ういところにいるのかもしれないけれど)
それでも僕は新しい季節に足を踏み出した。
今年の春はなんか違う。
春が来て、桜が咲いていて、僕はちょっと嬉しい。
無理矢理押し出されてる感が、今年はないよ。
僕は多分回復しつつあるのだと思う。
自ら損なってきたマテリアルを、取り戻しつつあるのだと思う。
とても凡庸だけど、僕は春を祝う。
春を祝うことができる僕を、僕は祝う。
そしてこの春が、誰にとっても嬉しい春でありますように。
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2009年04月] - &trackback() - 2009年04月07日 20:14:14
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最終更新:2009年04月07日 21:30