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2010年FIFAワールドカップが閉幕した。
アフリカ大陸で初めて開催された大会で、どの試合でも必ずブブゼラの音が景気よく鳴らされていた。何年後か、何十年後かに今大会を思い出す時、その記憶はおそらくブブゼラの音とセットになって蘇るだろう。
一ヶ月の間、サッカー漬けだった。「四年に一度だから」と自分に言い訳して毎日サッカーを観ながらビールを飲んだ。スリリングな試合があり、あまりぱっとしない試合があった。どう好意的に言っても凡戦としか言いようのない試合もあった。でも僕はすべてのゲームを心から楽しむことができた。工夫次第でサッカーはどんな試合も楽しく観れるのだ。
日本戦はもちろん全試合観た。
カメルーン戦は彼女の部屋で。オランダ戦は東京ドームでパブリックビューイング。デンマーク戦は夜勤中に。パラグアイ戦は彼女と僕の部屋で。
一番心に残ってるのがデンマーク戦。真夜中の病院で、テレビの音を消して観た。僕は震え出しそうなほど、泣き出しそうなほど緊張していた。90分があれほど恐ろしく苦痛に思えたのは初めてだった。家に帰ってニュースを見たら、涙が止まらなくなってしまった。
試合のない日はひとりでビールを飲んだ。簡単なつまみや夕食を作ってひとりで食べた。時々四年前のことや八年前のことを考えた。そして絶望的な気持ちになったり、うまく眠れなくなったりした。
去っていったひとたち。会わなくなってしまった友達。自分が歳をとっていくという事実。
サッカーの熱狂と、サッカーのない日の静寂。僕はなんとか持ちこたえ、自らを2010年に繋ぎ止めることに成功した。ゲームとゲームの間に張られたタイトロープの上をそろそろと歩き、決して下を見ないようにしながらその頼りない糸を渡り切った。
そのようにして一ヶ月が過ぎた。
無敵艦隊がリアリズムに徹したオランダを駆逐し、キャプテンのカシージャスがワールドカップを高々と掲げた。
ワールドカップがあった夏。僕はとても孤独だった。
けれどサッカーがなかったら、僕はさらに孤独になっていただろう。
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2010年07月] - &trackback() - 2010年07月13日 23:22:45
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最終更新:2010年07月13日 23:45