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つつがなく夜勤を終えて。
小雨の中を歩いて帰ってきた。
くるりの新譜『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』を聞きながら。
大好きなくるり。
一番美しい場所で鳴っている、一番美しい音楽。
この日常こそが何よりも美しい。
『ワルツを踊れ』はフルオーケストラと共に描いたメルヘンの世界だった。『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』は日常がどんなフェアリーテイルよりも美しいと鮮やかに証明してくれる。こんなくるりが、たまらなく好きなんだ。
『東京レレレのレ』こんなにかっこ悪くてかっこいい音楽がある!?

夜勤中、社会人入試の為に小論文の参考書を読んだ。
小論文に必要なのは、極めてロジカルな、数学的な思考法だ。公式に言葉を当てはめていくだけ。インスピレーションも個性も必要ない。魔法も奇跡もいらない。くそおもしろくもない正解の文章を求められるし、受験生はそんなくそおもしろくもない正解の文章を書く。大抵参考書の例題みたいなカンジになるから、どこで合否が決まるのか全然わからない。そういう文章を書くことに耐えられないほどの抵抗感と嫌悪感があるけれど、もちろん僕も大人なのでそういう正解の文章を書く。本当に、どこに差異を見いだし、どこで合否を決するのだろう?

長編小説を一度でも描いたことがあるひとならわかると思うけど(そしてそういうひとはそう多くはいないと思うけれど)物語は生き物だ。言葉は何千、何万という蠢く細胞。総体としての物語は、ひとつの人格みたいなもので、自己確立を望んでいる。作者の手を離れたところに、物語という主体の自己決定がある。僕はそれを魔法と呼び、奇跡と呼ぶ。

ろくでもない小論文なんてもう二度と書きたくない。これが最後だ。
俺はまだ文学の奇跡を信じてる。


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最終更新:2010年09月28日 12:56