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『メランコリア』はうつ病患者の心象風景を映像化した作品だ。
監督のラース・フォン・トリアーが鬱病だと知ってそう確信した。
思考抑制された世界。
死の惑星が接近する。鳥が逆さまに落ちてくる。馬が嘶いて倒れる。ウェディングドレスを着た花嫁。
静止画。ほんのわずかな変化。インスピレーションとインスピレーションを繋いだもの。物語というよりは絵と絵を繋ぎ合わせたもの。
映画の中で鬱病の花嫁が呟く。
「灰色の毛糸が 絡まって 動けない」
さすがラース・フォン・トリアー鬱病だなーって感心したんだけど笑
この台詞は鬱病患者の精神状態を的確に言い表している。
僕自身今何よりも苦しんでいるのは想像力が死んでしまったこと。
インスピレーションが失われてしまった。
以前だったらひとつのイメージというかインスピレーションがあったらそれをどんどん展開できたの。連想ゲームみたいに。それを自動筆記みたいなカンジでどこまでも広げていくことができた。長編小説はそういうオートマティズムの集積だ。今は何もひらめかないし、ひらめいたとしても、そのイメージは何も生まない。どこにも辿り着かない。
長編小説を描くっていうのは本当にとんでもないことだったんだなって今は思う。
今の自分にはとても長編小説は描けない。
でも今の自分でも何か描けるんじゃないかなって思って。それがメランコリアだったの。
「灰色の毛糸が 絡まって 動けない」っていう台詞。
あれは詩だと思う。
インスピレーションの原石というか。最小限の言葉の組み合わせで世界を切り取る。そういうことができるんじゃないかって。
少しずつ、リハビリみたいなカンジで、言葉を紡いでいけばいいんじゃないかって。それがいつか物語になるんじゃないかって。

思考抑制された世界。
もつれた毛糸を少しずつでも解いていきたい。
今は叶わない夢だとしても。
心の拠り所となる物語が欲しい。


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最終更新:2012年09月10日 23:11