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坂口安吾を読んだ。
『いづこへ』『戦争と一人の女』『二十七歳』『三十歳』
いずれも坂口安吾の自伝的、私小説的な物語だ。
『堕落論』『文学のふるさと』『日本文化私観』『不良少年とキリスト』など大学生の頃、坂口安吾の言葉に何度救われたかわからない。
今僕は35歳で、看護学校の3年生で、心身ともにポンコツな状態だ。
鬱病は良くなってるのか悪くなってるのか、いまいちよくわからない。状態としては悪くなってるのかもしれないけれど、悪い状態というものに慣れた、というのもある。
不眠と聴覚過敏というのは前からあった。最近はそれに視調節障害とパニック発作が加わった。視調節障害は、とにかく目が疲れて焦点が合わない。夜は街灯とか車のヘッドライトとかやたら眩しく見えるのに、その他はぼんやりとして捉えることができない。ちょうど発熱した時に見る景色のように。それはちょっと童話の世界のようにも(狂人が見ている世界のようにも)見える。なんとなくだけど、瞳孔が開きすぎているカンジがする。パニック発作はそれほど強烈なものじゃないけれど、昨日美容院で髪を洗ってもらう時、ガーゼをかぶせられて呼吸が止まるようなカンジがして、パニックになった。物凄い動悸がしたけど、深呼吸をしてなんとかしのいだ。視調節障害とパニック発作は、明らかに今まで見られない症状だった。
実習中薬漬けで、いつも頭がぼーっとしていたから、とにかく薬を切りたかった。マイスリーとデパスをやめた。6週間の実習、打ち上げ、朝霧JAMの反動もあったのだと思うけど、一気に調子を崩してしまった。3ヶ月ぶりにまた抗鬱剤を飲み始めた。
実習中から坂口安吾を読むようになっていた。大学時代と同じように、僕は苦しくて、切なかった。坂口安吾の言葉、彼の強さを欲した。『FARCEに就て』は大学生の頃初めて『堕落論』を読んだ時のように、僕に力を与えてくれた。坂口安吾は腕っ節が強くて、不良だから、背中をそっと押してくれるというカンジじゃない。もっと暴力的で、野球バットで頭をぶん殴られるカンジだ。「しっかりしろよ!」って。
しっかりしろよ!
これは心の底からそう思う。しっかりしろよ!
しっかりしてるつもりだし、まともにやっていきたい気持ちはある。でも心が沈んでしまう。体力のなさを気力で補いながら生きてきたけど、その気力が続かない。気持ちが折れてしまう。鬱病だからと言われればそれまでなのだけど。
(ちなみに「頑張れ」って言われるのはつらくない。一番つらいのは「甘え」って言われること)
不眠とか食欲不振とか意欲減退とか倦怠感とか鬱病の症状はあるし、聴覚過敏とか視調節異常とかパニック発作とか身体的にやっかいなことにもなってる。でもそういうんじゃないんだ。僕が本当に苦しくて、切なくて、心が潰れるようになってしまうのは、そういうことじゃない。鬱病とかじゃない。『二十七歳』と『三十歳』を読んではっきりとわかったんだ。
僕は恋をしている。
あなたが、たまらなく、恋しい。
あなたを想うことがあまりにも苦しくて、つらくて、恋したことをなかったことにしようとして、心を抑圧するから、こんなになってしまったんだ。
この恋は叶わないと絶望して、一方的に連絡もとらなくなる。そんなことがこの一年半で何度もあった。でもやっぱり連絡して、返事が来て、また好きだなあと思う。そしてまた返事が遅かったり、気のない返事だったりすると絶望して連絡を絶つ。そんなことの繰り返しでどんどん悪くなってしまう。今も心は塞いでいて、あなたに連絡をとらないままだ。
鬱病とかお金がないとか本当はたいした問題じゃないんだ。僕は打ち明けることが怖くて、あなたを失うことに怯えている。心底怯えている。
だって、あなたは、今のぼくにとってすべてだから。
僕の生きる理由のすべてになってしまうから。そうなってしまうのが、たまらなく苦しい。だから僕はあなたから遠ざかろうとする。
本当は、あなたが、たまらなく、恋しい。
本当はたったそれだけのこと。
あなたが、たまらなく、恋しい。


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最終更新:2013年10月26日 00:05