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2007年度03月14日ホワイトデー

 

       蟲:2007/03/14(水) 19:37:33

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3月14日、ホワイトデー。
それは女性からチョコを貰った男性がお返しをする、聖なる日。
俺の記憶が確かならば、「バレンタインデー」とは本来、告白できない内気な乙女が、
チョコを差し出して、男性に愛を告白する日・・・だった様に思うが、
いつの間にか「義理チョコ」などといった低俗な物が世に蔓延り、
愛を告白というよりは、「日頃の感謝」みたいな、下らんイベントに成り下がってしまった。
何で「義理」に対して、「義理」でお返しせにゃならんのだ?
俺がホワイトデーを憂鬱と思うようになって久しい。

しかし今日の俺は、例年のホワイトデーより若干テンションが高かった。
何故なら、だ~い好きな早苗さんから、バレンタインデーにネクタイを貰ってたからだ。
これは気合い入れてお返しをせねばなるまい。
そんな訳で昨日は、バケ男さんに協力してもらいつつ、
納得のいくプレゼントを用意することができた。
さぁあとはこれを、早苗さんに渡すだけ!!

AM8時35分、気合いを入れつつ(遅刻しつつ)出社。


(んふ~、いつ渡そっかな~~♪)

そんな事を考えてると、遠き昔の思い出が蘇ってくる。

俺には中学時代、大好きな女の子がいた。
名前はユッコちゃん。 色白で美人で大人しくて、バスケ部のエースだった。
ほとんど喋った事はないけど、俺はいつも彼女だけを見ていた。
楽しそうに友達と喋るユッコちゃん。 放課後、花に水をやってたユッコちゃん。
バスケで汗水垂らしてたユッコちゃん。 音楽の時間、気持ちよさそうに歌うユッコちゃん。
ユッコちゃんはオ○ニーのネタにもできないほど、俺の中で神聖な存在だった。

ユッコちゃんに会って約2年が経った頃、事件が起こった。
中学2年のバレンタインデー。
放課後 さぁ部活に行こうと思ってたら、突然ユッコちゃんに呼び止められた。

ユッコ「蟲君、ちょっといいかな。」

(えっ? えっ?)テンパッてる俺をよそに、ユッコちゃんが箱を差し出してきた。

ユッコ「これ手作りです。 食べてください。」

それだけ言うと、ユッコちゃんは顔を真っ赤にして、そのまま去ってしまった。
俺は現実を理解できず、ただただその場に立ち尽くすだけだった。
未だに(あれは夢だったんじゃないか)とさえ思える、奇跡的な出来事だった。


それから1ヶ月後。 やってきました、ホワイトデー。
小遣いの全てを使って、俺はプレゼントを買った。
お菓子の詰まった、ショボい瓶だったと思う。
その瓶を抱えて、3月14日、俺は一日中渡すチャンスを窺っていた。

さぁ、朝イチに渡そう。 ・・・いや、無理か。(汗)

よし、昼休みに渡そう。 ・・・うぅ、ダメだ。 胃の調子が・・・(滝汗)

よぉっしゃ、放課後に勝負じゃい! ・・・ぐはぁ、心臓がっ!(ガクガクブルブル)


何と俺は、結局最後までプレゼントを渡せなかったのである。
どれだけ後悔したか分からない。 でも俺は 想いを告げるどころか、
その後 中学を卒業するまで、ユッコちゃんと一言も喋れなかったのである。

何とヘタレなガキだったのだろう。 まさに痛恨の思い出だ。
あの時俺に、人並みの勇気があれば・・・もうちょっと楽しい人生だったかもしれない。

あれから長い月日が経った。
15年ほど前の思い出に苦笑しつつ、今日 その時を待つ。
ふふっ。 思えば俺も、オッサンになったものだ。(しみじみ)

午前中は外出してて、渡す機会が無かった。
昼休みは 別支社のオバハンが来て、渡せなかった。

ふふふ。 それじゃあ午後から渡すかな。

今日もいつもと変わらず、テキパキ働く早苗さん。
何で一生懸命な女性って、こうも魅力的なのだろう?
早苗さん、喜んでくれるかなー。
何つって渡そうかなぁ~。


そんな事ばかり考えると、俺の身体に異変が起こった。


・・・あれ? あれれ?
おかしいな。 いつでも渡せる筈なんだけど・・・
いざ渡そうとすると・・・心臓がバクバク言って・・・

えっ? あっれぇ~!?
ま、まさか・・・き・・緊張・・・してるのか? 俺!?

ぐっは、意味が分からん!
相手はただの職場の先輩で! 夫も子どももいて!
そりゃあ好きだけど、それはもちろん尊敬する先輩としてであって、
恋愛感情なんて微塵も無いのに! why!?

バカか俺?w いつもみたいに、軽ぅ~いノリで渡せばいいじゃん!
ほら、軽く世間話しながら渡すんだよ。 さぁ、今渡せ。


しかし俺の意志とは裏腹に、渡そうとすると、カラカラに喉が渇いてしまう。
なっ・・なっ・・・何じゃこりゃぁぁーーー!!(汗)

結局 時は静かに流れ、気が付けば終業時刻。

げっ、ヤバいぞ(汗)
昨日そごうまで買いに行ったのに・・・まさか渡せんなんてオチは無いよな? ハハ(汗)

ほら、今渡せ。 戸締まりしてる内に渡せ。
駐車場に歩いてる内に渡せ。 車に乗り込む前に渡せ。

頭の中でグルグル考えるものの、結局渡せぬまま。

ぐぁぁあ、何やってんだよ俺!
どーでもいいオバチャンとかには、さっさと配ったのに!
早苗さんにはホントお世話になってんだろ!
渡さなきゃっ・・・渡さなきゃならんっ・・・!
でも・・うぅ・・・口から心臓飛び出しそうだ!(汗)

まさか俺・・・

全然成長できてないのか? 中学時代から!?
15年前みたいに、お返しできずに終わるのか?
ユッコちゃんの二の舞になるのか!?!?

ならん! それだけは断じてならんっ!(汗)
今日渡せなければ、俺は一生前に進めない気がする!
神よ・・・我に ほんのちょっとだけ勇気を!!!!!

そうこうしてる内に、車に乗り込もうとしてる早苗さん。
俺は声にもならぬ声を上げた。 無我夢中で叫んでいた。


俺「・・・なえさん。 さ、さな・・早苗さんっ!!」

早「・・・うん?」

振り返る早苗さん。 プレゼントを持つ手が、小刻みに震えている。

俺「あああああの、こここれ、つつ、つまらない物ですがっ!!(汗)」

早「うわー、ありがとー♪ めっちゃ嬉しい~♪ これ高かったんちゃうん?」

俺「あはは、いやぁ~、チャー○ーで買った安物ですよ! うは、うはは!」

早「そうなん? 私ブランドとか よー分からんけど、嬉しいわ~♪」

俺「そそそそーッスか! そいつぁ良かった! んじゃこれで!!」

逃げる様に、その場を立ち去る俺。
まさか この歳になって、バレンタインのお返しごときで、こんなに緊張してしまうとは(汗)


でも渡せた。
今日は渡せた。
遠く15年前の苦い記憶から、今日ようやく解放されたのだ。

ほんのちょっぴり成長できた気がする・・・
そんな2007年、3月14日のホワイトデーでした。

~END~

 

 


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最終更新:2008年07月10日 23:10
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