笑う茶碗


  • 初版:2004年9月20日
  • あとがき:南伸坊


感想(2011/02/27)
いしいひさいちさんがどうしても追いつけない親戚のお兄さんの感じなら、南伸坊さんは酸いも甘いも噛み分けた遊び人の叔父さんといった感じです。
エッセイの秀逸さ、軽妙洒脱でいやみの無い言葉遣いは群を抜いています。
元ガロの編集者で写真や漫画でも本を出していて、人生を楽しんでる様子が伺えます。

今回のエッセイは妙に奥さんが出てくるなと思ったら、笑う茶碗というのは夫婦茶碗を意識してつけられたタイトルで、どこかに連載しているエッセイからの抜粋ですが、2000年3月~2004年5月で月刊誌なら最大で51編。
そこから48編を選んだのなら、ほとんど大抵の回に奥さん絡みの内容を書いているということで、仲が良いご夫婦なのが伺えます。

奥さんべったりじゃなくて、自然に生活を描いている中に奥さんが登場するだけで、あまりの自然さにあとがきを見るまでそうだったことに気づきませんでした。
南伸坊さんのエッセイ集には『対岸の家事』というのもあって、それなんかはもうタイトルと出だしを見るだけで何がテーマなのかはすぐに分かるのですが、今回はあとがきで気づかされた。

タイトルの笑うシリーズでほかにも何冊もテーマを絞ったエッセイ集を出しているから気づくべきだったのか、たまたままとまったエッセイが夫婦茶碗的な内容だったのか。
こういうおしゃれで知的な老人を輩出できるのが文化というものだと思う。

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最終更新:2011年02月27日 20:24