- サブタイトル:漫画で読破
- 著者:魯迅
- 発行所:イーストプレス
感想(2011/04/08)
魯迅の作品、藤野先生・髪の話・明日・狂人日記・阿Q正伝を漫画で表現しています。
高校生のときが自分の濫読の時代で、それ以降は本を読む気力が落ちてしまいました。
難しい本も、意味も分からず読んでいたのですが、それを以外と覚えていたり理解していたりするものです。
分けの解らないほど難解な文体で書いてあった哲学者ニーチェの“アンチクリスト”という本をその時期に読んだ事があります。
そのときはさっぱり解ってなかったのですが、二十年も後で容易な文体で書かれた解説本を読んだときに、自分の生き方や考え方に大きな影響を与えているのに驚いた事があります。
魯迅は明治時代に日本に医学を学びに来て、人を治す医者より国を治す医者になろうと文学を志したそうです。
その過程は“藤野先生”に表れています。一種自伝的な作品だと思います。
それは“髪の話”もそうだろうし、そのほかの話も自分が経験した事や伝え聞いた事から書かれた作品だろう。
魯迅は当時の打ちひしがれた中国人を目覚めさせようと文章で闘った、そしてそれは現代に活きている。
中国は永久に変わらないと絶望に近い思いを抱いたが、変化というものはなかなか目に見えないがマグマのように地下で煮えたぎっていて大地を動かして時には火山を爆発させる。
人間の集団はその性質としてお互いに監視しながら少しずつ変わっていくものなのでしょう。
結局、人を動かすのはその意識なので、ペンは剣より強という事は真実だし、魯迅の意思は百年たった現在に生きているといえるだろう。
そして現在では、日本こそ変わっていかなければならないだろう。
最終更新:2011年04月08日 08:23