老人のための残酷童話


  • 初版:2006年6月15日


感想(2012/1/29)
市役所に用事があって、ふっと空いた時間に図書館に行って暇つぶしに借りた本です。
人は歳を取ると子供に戻るといいますが、この本は子供か老人にしか書けないだろうという本です。

リアリティや考証というものが全然無く、話の筋は筆任せ。行き当たりばったりな印象です。
高校生が初めて書いた文章か、実生活から遠く離れた老作家しかたどり着けない境地なのでしょう。

本来童話というものは、ひとつのストーリーが長年にわたって磨きこまれたものです。
登場人物の行動にはどんなに不自然に見えても共感できるところが有るのだが、この作品の登場人物の行動の唐突さは生活感の欠如なのだろうと思う。

ディティールにセンスは感じるものの、それだけです。
『大人のための残酷童話』という自作を受けての作品だそうなのですが、どれだけ作品を練りこむ気持ちがあったのか。

単行本刊行が2003年10月で年齢を計算すれば65~6歳。
老作家の手慰み、葬式代だとでも思うべきか。

十編の短編から構成されていて、読むのに苦労するようなものでもないので、機会があれば『大人のための残酷童話』も読むのは悪くない。
ただ、人は、文章は現実から離れすぎるのは意味が無い。

ただの時間つぶしになってしまうのは残念だが、つぶしたってたかが数十分だ。

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最終更新:2012年01月29日 07:32