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健康日本21は経達過成の目現標状を掲げ、発足5年が経ちました。各県各市町村ではそれぞれ特色あるやり方で目標達成を図っていると思いますが、現状はどのようになっていますか。参考にしたい立派な成績を上げているところと、その方法をお教えください。(石川県・整形外科)
2000年から「健康日本21」(21世紀における国民健康づくり運動)がスタートした。その目標は、健康を増
進し、発病を予防する「一次予防」に重点を置く対策を推進し、早世や要介護状態を減少させ、関係機関、団体と国民が一体となって健康づくり運動を総合的・
効果的に推進し、「すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会」の実現であった。健康日本21の特徴は、2010年までに達成する目標を9つ
の分野(栄養・食生活、身体活動・運動、休養・こころの健康、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がん)にわたって70の目標を設定し、国
民各層の自由な意思決定に基づく生活習慣の改善、危険因子の低減、疾病の減少などに向けた健康づくりにあった。しかしながら、2005年の時点で把握でき
た目標53項目中数値目標を達成したものは2項目(牛乳・乳製品の摂取量と脂肪エネルギー比率の減少)に過ぎない。逆に数値目標を大きく下回る項目も20
項目あった。
そもそも健康日本21は、1986年にWHOより提唱された「ヘルスプロモーションに関するオタワ憲章」の理念を総論で謳って
いるものの、各論となるとアメリカのヘルシー・ピープル2000を参考にした個人の生活習慣の改善を重視したものになっている。オタワ憲章では「生活習慣
の改善」は「(4)個人技術の開発」と表現されているが、その目標だけではなく、「(1)健康的な公共政策づくり (2)健康を支援する環境づくり
(3)地域活動の強化 (5)ヘルスサービスの方向転換」を含め5つの活動の必要性を訴えている。
もちろん、健康日本21でも健康づくりを支援する環境整備や実施主体の連携の必要性も述べられているが、あくまでも個人の生活習慣づくり(私的責任)に焦点を置きそれを支援する環境づくりを目指したアメリカ的な狭いヘルスプロモーション活動、いわゆる健康増進活動(life
long for health
promotion)であり、家庭・学校・職場・地域・保健医療福祉施設などの生活の場・環境をまず健康な場(公的責任)にし、その後個人の健康生活習慣づくりを目指すヨーロッパ的なヘルスプロモーション活動(settings
for health promotion)ではない(図1)。
このヨーロッパ的な活動は厚生省が平成5年から立ち上げた健康文化都市構想(健康なまちづくり構想)の中に見られる。この構想に基づき健康日本21を推進しているのが千葉県の白井市、習志野市、佐倉市、四街道市、栄町、酒々井町、宮崎県宮崎市などである。また健康日本21計画を強力に推進しているのは熊本県蘇陽町、長野県下条村、島根県頓原町、新潟県上越市などである。
図1:ヘルスプロモーションの概念モデル

いずれにしても大切なことは、関係機関、団体と国民が一体となって健康づくり運動に取り組むプロセス(過程)、すなわち住民と行政そして関係機関 および団体が地域特性や健康課題を共有し健康づくり活動を推進するプロセスを評価し、アウトカム(結果)に振り回されないことである。換言すれば、個人の 健康状態や生活習慣がどのように変わったかといったアウトカム評価をするだけでなく“実際に活動に関わった行政担当者や住民の満足度”や“健康日本21計 画・活動の進捗状況・認知度の変化”といったプロセス評価、そして“まちへの愛着度”といった影響評価をしていくことが重要な要素となるだろう。さらに言 えば、究極の目標は単に病気や障害をなくし寿命を延ばすこと(量)ではなく、人々が限られた人生の中で「本当に生きていてよかった」・「幸せだ」と感じる 心の実感力(質)を評価すべきであるし、それを可能とする健康社会づくりである。成功の鍵は産・官・学・民の四位一体の活動と彼等のリーダーシップとパー トナーシップのあり方にある。
1)WHO(島内憲夫訳):ヘルスプロモーション~WHO、オタワ憲章~、垣内出版、1990年
2)島内憲夫・高村美奈子著:ヘルスプロモーション~WHO、バンコク憲章~、順天堂大学ヘルスプロモーション・リサーチ・センター(2006)
3)島内憲夫編著:ヘルスプロモーション講座~心の居場所:セッチングズ・アプローチ~、順天堂大学ヘルスプロモーション・リサーチ・センター(2005)