http://www.mainichi.co.jp/universalon/report/2008/0717.html

| ユニバーサロンリポート |
配信サービスに対応するらくらくホンプレミアム=写真上=とⅤ=同下=8月から試行的にスタートしたらくらくホンで録音図書(デイジーブック)が聴ける視覚障害者向けの朗読配信サービス「びぶりおネットモバイル」。 高価な専用のデイジープレーヤーがなくても、パソコンが使えなくても、いつでもどこでも耳からの読書を楽しめるため、視覚障害者の情報環境が大きく様変わ りしそうだ。これまで点字図書館(視覚障害者情報提供施設)から借りたCD-ROM版のデイジーブックをiPodなどの携帯音楽プレーヤーに転送して(こ の時点で階層情報や読み上げ速度の可変機能は失われる)通勤電車の中などで聴いていた記者も早速試してみることにした。
ちなみにデイジー形式のデジタル録音図書は、活字原本の階層構造をオーディオブックの中で再現しており、章や節、ページ単位など好みのレベルで本 の中を行き来したり、しおり(ブックマーク)を付けたり、朗読のスピードを変えたりでき、しかも目の不自由な人が視覚に頼らず、音声ガイドだけでこれらの 操作ができるのが大きな特徴だ。日本の点字図書館では視覚障害者だけを対象にしたサービスとしてデイジーコンテンツを提供しているが、世界的には学習障害 や肢体障害のある人などアナログの印刷物の利用の難しい人へも積極的に提供している。
デイジー対応再生機の例:プレクストーク「PTR2」8月4日現在で同サイトに登録されている録音図書は1万320タイトル。まさかこれ全部のタイトルを一つ一つ読み上げさせて探すわけにもいかないの で、書名検索を利用して前から読みたいと思っていた85年の日航ジャンボ機の墜落事故を題材にした小説「クライマーズハイ」を探す。
タイトルを入力したあと、検索ボタンを押してしばし待つと検索結果ページが表示され、該当件数が1件ヒットしたことが分かった。そこで詳 細情報を見るために書名リンクをクリックすると「書名 クライマーズハイ」、「著者名 横山秀夫」、「出版社 文芸春秋」、「製作館 群馬県立点字図書館」、「録音時間 10時間28分27秒」、「分類 小説、物語」などの基本情報の下に簡単な内容解説が読み上げられた。
「決定」と聴こえたところで、らくらくホン中央の決定ボタンを押すと、ダウンロードページが現れ、容量が147メガで、ダウンロード時間 が32分であることが分かった。なおびぶりおネットモバイルの利用には、初めてアクセスするときにIDとパスワードの入力が要求され、専用アプリのダウン ロードにもユーザー認証が必要なため、予め会員登録をしていない人は利用できない。また、ドコモのパケット定額サービス「パケ・ホーダイ」への加入も前提となる。
ダウンロードボタンを押して時間を計ってみたところ、28、9分くらいで完了した。FOMAハイスピード対応のプレミアムを使っているからなのかもしれないが、だいたい1分5メガと思ってよさそうだ。
次はいよいよ再生だ。最初からの手順を紹介すると、らくらくホンのメニュー画面から8番目のiアプリの起動を選択すると「クライマーズハイ」と読み上げられるので、十字キー中央の決定ボタンを押す。「再生準備中」の音声ガイドの数秒後に録音図書の再生が始まる。既に記事でご紹介したように、上下矢印キーで音量の調整ができるので、上矢印を押して最大の5まで上げるものの、らくらくホン自体の読み上げ音量よりはるかに小さい。イヤホンで試すと多少はましだが、騒音の多い電車内などではまだ苦しい。今後の改善に期待したい。、
スキップの階層レベルは、製作時点でレベル1とページの2階層なので、数字キーの2と8を何度も押してもこの二つにしか変らない。ページレベルで数字の6を押していくと「2ページ」、「3ページ」とガイド音声が流れたあとに本文の読み上げが続く。
このほか、数字の5を押すと、現在の見出し、ページ数、経過時間を読み上げ、0を押すとタイトル、総ページ数(424ページ)、総時間(10時間28分 27秒)を読み上げる。また7は操作を中止する「Undo(アンドゥー)」、8は再度操作を実行する「Redo(リドゥー)」の機能がある。
またメニューボタンはこのアプリの中では「しおり」、特定ページへのダイレクトジャンプ、先頭へ移動、キー操作説明などに割り当てられている。
致命的なのは、今のバージョンでは速度の変更ができないことだ。日本点字図書館では、「次期バージョンでは、現在機能が割り当てられていな い数字の3でレベル変更と速度変更を切り替えられるようにする」という。また、ダウンロードはかなりバッテリーを消費するので、充電器に接続した状態で 行った方がよさそうだ。「クライマーズハイ」は147メガなので、1ギガのSDカードなら同じ分量の録音図書が6冊保存できることになる。6冊の本をいつ も持ち歩いて好きなときに読めるというのは想像しただけでもわくわくしてくる。
なお「クライマーズハイ」(10時間28分27秒)を連続再生させてみたら、プレミアムのバッテリーは何とか保つことができたので、ワン セグ視聴ほど電池残量を気にする必要はなさそうだ。とりあえず、音量と速度の問題が解決すれば、風呂場やトイレの中、ベッドの中といつも携帯電話とセット で持ち歩いている重たいデイジープレーヤーは不要になるかもしれない。